議会での質問・討論(詳細)
2015年3月9日

■経済局(大貫憲夫)

希望的観測で企業誘致に税金を使っちゃいけない

大貫議員:共産党の大貫です。
私は、企業立地促進の問題を伺いたいと思います。私は、今までやっているような、横浜市の、いわゆる補助金を中心とした誘致政策というのは、変えなきゃいけない時期じゃないかなと思っています。誘致は大変大事だけども、やり方によっては非常に大きな問題、後で財政的にも起こすというふうに思っています。
これまでの当局がやっていた立地促進条例の成果について、伺います。

牧野経済局長:条例制定以来、現在までに100件の企業立地を認定をいたしました。その結果、市内雇用については約2万8,000人の雇用が創出され、また市内企業の事業機会の拡大も図られております。さらに、支援額と税収の費用対効果でも単年度収支で23年度に税収額が支援額を上回っております。

企業立地促進条例の成果大貫議員:このグラフを見て説明してほしいんです。今後、どうなりますか。

牧野経済局長:今後は、税収額が支援額を大きく上回ることになります。

大貫議員:グラフを見てみると、このグラフの平成でいえば39年のグラフの数値ですけどね、これは高位推計ですか、それとも中位ですか、それとも低位ですか。このグラフの存在はどういう存在ですか。

牧野経済局長:いままでにやってきたものが、たとえば税でいえば5年間が税の軽減があるとか、そういうものが終わった後は、税収が満額入ってきますので、税収が上回っていくと、そういうことでございます。

大貫議員:これは、非常に、申し訳ないけど雑なものじゃないかと思っているんですね。前提があるでしょ。ようするに、今までいたところがいるという条件ですよね。これがもし途中でいなくなったら、どういう数字になるんですか。
牧野経済局長:これまででいなくなった例というのは、そういう意味では中小企業の2件だけということになります。われわれとしても、いろんな意味での、横浜でいろんな活動をしていただく支援も合わせてやっておりますので、そういうことは少ないというふうに考えております。

大貫議員:固定資産税取得で10年ですよね。それから賃貸7年ですね。その期間が終わった後も、やめてもそれは可能なんだよね。そうすると、いつやめるかどうかっていうのは企業側の都合によるから、外に行かせないという、そういった保証ですね、これは今言った希望かもしれないけど、何が保証としてあるんですか。

牧野経済局長:たとえば、いろんな工場が海外に行かないようにとか、ほかの場所に行かないようにとかいうことで、投資に対して助成をしておりまして、そういう意味でこれまでもその効果は得られているというふうに考えております。

大貫議員:何の保証にもならないですよ、それは。この間、パナソニックも出て行っちゃいましたよね。それからNECも、確か港北だったか緑だったかね、そのうちもう出て行っちゃった。立地というのは、企業の算段で、これからよいと思えばそちらに行くわけですよ。なんらその、今おっしゃっていたようなことでは確実な保証がないから、この数字、このグラフはやめた方がいいと思います。いかがですか。

牧野経済局長:少なくとも、一定期間はいていただくことになっておりますし、それ以降についても、いろんな意味でのわれわれとしては支援策によって横浜市内で活動していただくようなかたちでやっておりますので、大丈夫だというふうに、できるだけそういうふうにしていきたいと思います。

大貫議員:横浜の税金を使うんだから、そういう希望的観測でやっちゃいけないというように思います。

神奈川県は財政支援から成長支援に力点に移行

それでは、今度、企業立地条例の一部改定がありましたよね。その中身、言ってください。
牧野経済局長:今回の主な改正では、産業拠点へ健康医療、環境エネルギー、観光・MICE等の成長発展分野の企業立地に対する支援を強化をし、企業集積を図ります。また、賃貸ビル建設支援の再導入により、テナント誘致のための受け皿整備を行います。金額については、20億から50億というようなかたちで助成額を増やしております。

大貫議員:助成額を増やせば企業が来るという理由、考えは、何を根拠にしているんですか。

牧野経済局長:今回20億から50億に増やしたのは、第一期の条例で上限が50億円であったことから、研究所とか本社等の建設で600億円の投資、あるいは賃貸ビルの建設で400億円を超える大型投資がございました。このようなことで、大型投資を再び呼び込みたいというふうに考えております。
大貫議員:呼び込みたいというのは願望であって、これをいれることによって増えるという理由は何なのかと聞いたんですよ。

牧野経済局長:首都圏の各自治体は、本市同様、企業立地支援制度を有しておりまして、都市間競争大変熾烈になっております。また、東京では、2020年オリンピックパラリンピック東京大会を控えて、品川をはじめとした開発計画が数多く予定されておりまして、本市を取り巻く状況は今後ますます厳しくなるというふうなことが想定されております。企業立地の促進を図っていくために、今回の条例改正で、企業移転、投資への意思決定上、大きな後押しとなる助成金によるインセンティブをより魅力的なものとしました。これによりまして、本市への立地を増やしていけるというふうに考えております。

大貫議員:ほかのところもやっているからうちでもやらなきゃいけないんだ、じゃないと負けちゃうという考え方ですね。
インベスト神奈川が5年前に変わりましたよね。その中身についてどうして変えたのか、お聞きしたいんですが、いかがですか。

インベスト神奈川2ndステップ牧野経済局長:インベスト神奈川は、22年に助成金はやめまして、不動産取得税の2分の1軽減、それから産業集積促進奨励金ということで不動産所得税の2分の1等、上限1億円というような制度に改まっております。
ただ、われわれとすれば、認定企業に対するアンケートでも、本市の支援額が立地決定の際の最も重要な要因であるという結果が出ており、必要だと思っておりますので、それを続けていきたいというふうに思っております。

大貫議員:神奈川は、大規模な財政出動についてはやめますよということですね。これちょっと読んでいただきたかったんだけれども、基本的な考え方、インベスト神奈川セカンドステップの考え方については、本県の厳しい財政状況を踏まえて、これまでのような大規模な財政出動を伴わない神奈川らしいインセンティブを創出することにしたと。そのため、本県の立地優位性の源である技術力のある中小企業群、理工系大学の集積、抱負な研究開発人などを最大限に活用しながらやっていくんだと。これまでの企業立地の直接支援から、立地後の成長支援に力点を変えるというふうに言っているんですね。それで、これ5年前から、神奈川、どれくらい立地しましたか。この条例に基づいて。

牧野経済局長:64件ということだとございます。

大貫議員:横浜市がこれまで100件近くっておっしゃってましたけど、神奈川は財政出動やめても64件の立地があったということについては、いかがでしょうか。

牧野経済局長:横浜で誘致すれば県の不動産所得税も2分の1になるわけですね。そういうようなこととか、いろんな支援はしているかもしれませんけど。東京は非常に立地優位性がありますけれども、神奈川のような考え方で、企業誘致が促進されるかどうかというのは疑問があるというふうに思います。横浜の場合、東京から移転する、あるいは東京と争って誘致する、あるいは首都圏の都市と争いながらやっていく中で、ただ待つだけみたいなかたちの誘致ではなかなか難しい。それで、大規模な財政、経営状況厳しい中、大規模な財政出動といいますけども、将来を見越した上で、将来の税源関与の上でも、今やっておかないとなかなか難しいというふうにわれわれは考えております。

大貫議員:将来の税源のための涵養としてやると言ってるけど、先ほど言ったように、これがどうなっちゃうかわからない。出ていっちゃうかもわからないという状況ですよ。あてにならないことを言っちゃいけないと思うんです。
インベスト神奈川、先ほど64件、この数字について非常に私は大切だと思うんですよ。64件も出たんですよ。大規模な財政出動しなくても。本市でもそれと同じようことやればできるじゃないかというふうに思うんですが、いかがですか。

牧野経済局長:認定企業に対するアンケートでも、本市の支援制度は立地決定の際の最も重要な要因であったという結果が出ておりまして、この横浜市の支援制度、必要だと私は思っております。

財政支援は立地場所決定の決め手ではない

大貫議員:毎度言いますけど、帝国データバンクですけどね、2年続いて、自治体の支援策というのはもう下位なんですよ。その他の条件で出てきてるわけですよね。そのことを考えた時に、おっしゃってた横浜の立地企業からデータを調べた時には、今おっしゃってた支援が大きなインセンティブだといってますけど、現実にはこれが現実に一般の企業が立地を決めるその条件だと思うんですけど、いかがですか。

帝国データバンク資料より牧野経済局長:帝国データバンクの調査では、自治体の優遇制度を重視する企業は少ないというふうな、そういう書き方をしておりますけれども、このデータ、全国2,946社、北海道から九州までのいろんな企業を対象としたものでございます。関東のエリアでは約3割位の企業になると思います。自治体の優遇制度といっても、全国さまざまな自治体によって内容に違いがあります。企業のインセンティブへの考え方に大きな差がでてくるっていうふうに思ってます。実際、ここの帝国データバンクのまとめのところをみますと、自治体の優遇制度を重視する企業は少数に限られ、最も構成比の高い工場においても10.1%にとどまったと。企業のニーズと優遇制度がマッチしていないことや周知が進んでいない可能性もあるため、自治体の誘致活動の取り組み姿勢に左右される部分も大きいだろうというふうにいってます。われわれのところについては、いろんな立地の優位性とかいろんなものの考え方で選んで、最後のひと押しという意味でわれわれの助成制度が有効になっているというふうに考えております。

大貫議員:ようするに、決め手じゃないよと、最後のひと押しだと、こういうことですか。

牧野経済局長:基本的には、やはり、ここに書いてあります交通利便性とかそういうものについて影響大きいのは事実です。ただ、そういうところはいくつかあるわけですから、首都圏の中で。その中で、最後どうなるかというのは、アンケートの結果でも、何度も言いますけれども、それは市の助成制度が大きかったと、最も大きい要因だったというふうにおっしゃってます。そういうことで有効だとわれわれは思っています。

大貫議員:12月に市長が、アップル社がみなとみらい21に研究開発拠点をつくると言ってましたよね。大変、私、喜んでるんですよ。いいことだと思うんですけども、このアップル社の進出については、本市の企業立地促進条例とどういう関係あるんですか。

牧野経済局長:直接の助成制度の影響ではないと思います。

大貫議員:助成制度の影響でなくてもグローバル企業が横浜に来ると。そういうことでしょ。ていうことは、助成制度っていうのは、そんなに、今言ったように、大きな大企業にとっては、自分がそこの会社に立地することが本当に自分の企業にとっていいかどうかということを考えてくるわけですよ。50億っていいますけど、大企業の点でいえば、50億を何年もわけてもらうよりも、そこの立地が本当に自分の仕事にあうかどうかで来るんですよ。いかがですか。

牧野経済局長:アップルの例はいろいろ、アップルのいろんな判断の中でと思いますけども、たとえば外資系のいろんな企業の中では、やはりM3とかファーウェイですとか、いろんな外資系企業、やはりわれわれの助成制度が決め手になったというふうに伺っております。

大貫議員:伺っておるってはっきりしないんですけど。アップルに関しては、去年の段階で横浜がいいんだと、横浜に魅力があるから来たんだ、いろいろな意味でね。そういうことなんですよ。やっぱり企業というのは、横浜全体の力、魅力そういったものを企業の力をきちっと把握してもらって出てくる。また、横浜はあるんだというそういう自信持たなきゃいけないですよ。お金じゃなきゃ、金で釣るなんていうのは、これやめた方がいいと思う。いかがですか。

牧野経済局長:ですから、横浜の立地優位性とかいろんな企業の環境、そういうものプラス助成制度、これでいろんな企業が来ているということはアンケートの結果からみても間違いないというふうに思います。

大貫議員:費用対効果の点から考えても、50億ですよ、市民の税金ですよ。非常に考え方の基本が甘いですよ。
ちょっと新聞記事、紹介させていただきます。3月5日、日経です。「東京駅前開発に600億円」「全国大型プロジェクト続々」「都市力高め外資誘致」と、こう書いてありますよね。こういった動きと、東京の首都圏へどんどん集まっていく、こういう動きと、これを凌駕するようなかたちでの横浜の誘致策っていうのは、考えなきゃいけないと思うんですよね。それが、おっしゃっているような支援策、50億に増やした理由ですか。

牧野経済局長:先ほども申し上げましたように、今、おっしゃったように、東京では2020年オリンピックパラリンピック東京大会を控えて、いろんな動きが起こってまして、いろんな業務ビルもできて床もできて、そして企業の進出に対して有利な条件が揃っていくわけですけど、われわれのところはそういう東京と争ってやってかなきゃいけないという中では、やっぱり魅力的な誘致助成制度をつくっていかなきゃいけない。そしてやっぱり一期の時に大型の投資がたくさん来たわけですね。日産自動車だとか富士ゼロックスとかいろんな、それから業務ビルでも大型のものが。その業務ビルがたくさんできたことで、テナントが入る受け皿ができて、そこにいろんな有名な企業がたくさん入ってきて、集積が図られたということでございますので、われわれとしてもそういうことをこれからもやっていきたいというふうに思っております。

企業誘致は助成制度ではなく横浜の魅力を強めることで

大貫議員:企業立地、誘致されることは非常にいいことなんだと思いますよ、私も。だからそれでやってほしいんですよ。たとえば品川がこれから横浜のみなとみらいとは大きなライバル拠点になりますよね。品川から横浜のみなとみらい含めてこちらに超えてくるためのハードルって、いったい何だと思いますか。

牧野経済局長:より魅力的な環境とかいろんな助成制度とかそういうものだと思います。

大貫議員:あくまでも助成制度っていうけど、横浜は、横浜の港湾、交通利便もいい、それからこれまでの横浜の蓄積された工業群がある、中小企業もある、その中の内外的な力をどうやって発揮させるか、魅力をもっと強めるか、そこやんなきゃいけないと思いますよ。もうこれでお終いにします。時間がありませんので。最後に副市長どうですか。

渡辺副市長:大貫先生おっしゃいますように、横浜の交通の利便性でありますとか、あるいは都心臨海部の魅力、あるいは郊外の大都市としては非常に豊かな緑でありますとか、あるいは外国人学校の存在など外国人の方にとって暮らしやすい環境、これが何よりも横浜にとって大きな、いわばメリットであって、評価していただいている点であるということについては、全く否定しませんし、そのとおりだと思います。しかし、たとえば今みせていただいたデータも、これは特に、たとえば本社の移転とか研究所や工場の新設を考えているところだけにお聞きしたデータではなくて、いわば企業一般のお考えですよね。横浜に現にいらっしゃった企業の方は、この助成金がなければ来なかったと、こうおっしゃっているわけですから、そこのところをわれわれは重視して、これは非常に効果的であったというふうに考えております。


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