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■総合審査(岩崎ひろし)

2020年度までの施設等事業費の推定額も示せないのか

岩崎議員: 2020年までの財政見通しについて、市民の目線で伺います。
市長は、オリンピックまでにと、大型の施設整備を次々打ち出しています。全部合わせると、とんでもなく大きな事業費になり、財政破綻で市民生活に被害が出るのではと心配になります。
そこで伺います。2020年をめざす事業費は、全部でいくらになりますか。財政局に作ってもらった表があります(パネル1)。

パネル1鈴木財政局長:先生もご承知のとおり、中期4か年計画で示した未来のまちづくり戦略では、まず2025年、長期ビジョンですね、この2025年のめざすべき姿の実現に向けて、オリンピック・パラリンピック東京大会が開催される2020年を大きな節目の年と位置付けて、世界に横浜の魅力を発信していくと。そのために、さまざまな事業に取り組んでいくというような内容の計画になっております。そして、計画に盛り込まれた個々の事業に関しては、今後の事業進捗、2020年までになりますので、建設コストの動向等なかなか全体の把握が難しいということで、ご質問にありましたようなかたちでの数値の集約、それはしておりません。

岩崎議員:これは、お願いして作ってもらったんですけど、主な事業だけでも2兆3,000億円というふうに資料をいただいています。これは大変な額です。
このうち、2018年から20年に予算計上すべき額はどれくらいになるでしょうか。また、事業費は施設等整備費として表れます。財政見通しの表(パネル2)の施設等整備費に入れる金額を示してください。

パネル2鈴木財政局長:2016年度から、(平成)29年度ですから2017年度まで、この間につきましては、すでに中期計画期間中ということで、計画の内容を踏まえまして、27年度当初予算の施設等整備費と同額の2,360億円程度の施設等整備費が必要というふうに見込んでおります。それから、30年度以降の水準につきましては、事業の進捗状況や建設コストの動向等を考慮すると、なかなか見通すことが難しいという面もあります。実際には、毎年度の予算編成の中で、本市を取り巻く状況を総合的に考慮して、必要な事業費を精査した上で予算計上していくというふうに考えております。

岩崎議員:今、財政局長、数字で示されませんでした。これは、予算の審議ですから、やっぱり数字で示して、議会に審議を願うというのが筋だと思います。
それで、勘定しようと思ったらできるんですよね。この表(パネル3)は、道路局の方で算出してもらいました。これは、横環の30年度以降の事業費見込み、これがちゃんと出ています。ですから、他の局も、所管していることをちゃんと計算すれば出るはずなんですけど、これはなぜ出ないんですか。

パネル3鈴木財政局長:施設等整備費につきましては、今年度もそうですが、先ほど言いましたように、2020年までの長い時間になりますので、全体の事業費についてきっちりと施設整備費を出すのは難しい。特に、たとえばですが、今年度でいいますと、27年度予算では、防災減災対策の区庁舎が非常に工事費のピークを迎えているというようなこともあります。そういった中で、さまざまなものを含めて、この2,360億円というのを計上しております。現計画以降の中身につきましては、やはりその時の歳入状況、それから支出状況、事業の進捗状況を精査して、その範囲内で計上していくということになりますので、現段階では2,360億円という29年度までの数字ということでご了承いただければというふうに思います。

岩崎議員:局長、そりゃだめですよ。2020年なんて、そんな先の長い話じゃなくてたった6年しかないんですよ。今年も入れて。そんなの見通せないようで財政局長っていうふうにいうんですか。
国費が入ることや先行事業の終了などを考慮しても、2018年度以降、施設等整備費が膨れ上がると推定できます。財政が持たないと思います。さらに言えば、国費が見込めるのであれば、市費負担がどうなろうと、何をやってもいいと考えておられるのでしょうか。市長、この財政の見通しと市長の見解を伺います。

林市長:ただいま財政局長がご答弁申し上げたとおりでございまして、まさに先ほどの大岩先生のご質問に私もお答えいたしましたけども、まさに行政の仕事というのは都市経営でもございます。これは民間企業でもそうでございまして、経済情勢の変化ということも極めて大事なことですね。ですから、先生のご心配はもっともでございますけれども、私どもは長い間、私が市長以前の時代から、ずっとこういう厳しい環境の中で、しっかりと市政を運営してまいりましたから、ご信頼いただきたいというか、その状況の中でしっかりときちっと予算計上もしてやっていくということでございますから、正確に今数字をお出しすることは難しいということだと思います。

岩崎議員:正確に出してくれって言ってないんですよ。推計でいいんです、推計で。でも、大まかにはこれくらいいるということ言わなかったら、予算の審議じゃないですよ、これは。

借金のつけを市民に転嫁するな

岩崎議員:財政局審査で、あらき議員が「市民負担を求めることにならないか」と質問したことに対し、財政局長は「受益者負担の見直し、適正化を図る」と答弁されました。将来の見通しさえ示せない財政運営で、借金のつけだけは市民に転嫁するということなどは絶対にしちゃいけないと思います。市民負担増はないと、確約する必要があると思いますが、どうですか、局長。

鈴木財政局長:私が常任委員会でお答えしたのは、いろいろな見直しの中のひとつとして、受益者負担の見直しもあると。それは料金を上げるということではなくて、その受益と負担の関係が税の負担と施設を使う方の利用の負担と、それが正しいかどうかきっちりと検討していくということであって、直ちに歳入が少ないから料金をあげればいいといったような趣旨でお答えしたつもりは全くございません。

岩崎議員:市民負担は増やさないということですね。

横環南線の2020年度完成は無理、土地収用手続きの即時中止、撤回を

岩崎議員:次に、横浜環状南線について、伺っていきます。
国は2020年度完成めざして、土地収用手続きを強権的に進めています。しかし、2020年までといえば、あと5、6年です。完成させるのは、物理的に無理です。
そこで、南線と同じ規模の北線のJRをまたぐ生麦高架橋の工期は何年何か月ですか。

手塚道路局長:北線の鉄道横断箇所における工事は、作業時間が終電から始発までの短時間に限られるほか、横断箇所にはJR東海道線、貨物線や京急線などの鉄道の線路数が多く、同時に国道15号を通行止めにして施行する必要があります。また、北線本線に加え、新生麦出入口、岸谷生麦線を含め、構造が複雑なことから、工事期間は約5年半を予定しております。

岩崎議員:南線には、JRをまたぐ同様の工事が大船駅付近にあります。この工期は何年何か月かかると見込んでいますか。

手塚道路局長:鉄道の横断箇所における作業時間については南線も北線も同様でございますが、南線の横断箇所は北線にくらべますと、線路をまたぐ区間の延長が短いことや、構造が北線ほど複雑ではないということで、状況が異なりますので、北線より工期は短くなるというふうに考えております。

岩崎議員:次に、圏央道八王子区間で、軽微な物件の土地収用法適用事例が1件あります。工事開始までに要した時間はどれだけですか。

手塚道路局長:圏央道の八王子ジャンクションから八王子南インターチェンジ区間における土地収用法を適用した事例でございますが、事業日程の告示から採決申請と、明け渡し採決の申し立て、その後の権利取得と明け渡し採決を経て、物件等の撤去までに約2年6か月の期間を要しました。

岩崎議員:大船駅付近のJR越え工事は、少なく見積もっても4、5年かかります。加えて、JRをまたぐ工事はまだ発注さえしていません。さらに、橋を架ける前と後に、付帯工事や用地取得等に時間が必要です。このようにみると、5、6年はゆうに超えてしまいます。
国は、「土地収用法の手続きが速やかに完了する場合」などと奇妙な条件を付けていますが、時間を稼ぐための強権発動であり、暴挙そのものです。土地収用手続きの即時中止、撤回を求めておきます。

市長は地元住民の立場で国に働きかけよ

岩崎議員:次に、地元の運動について伺います。これ(パネル4)は、南線の沿線の図です。ここ、自治会町内会あげて運動があります。どういう運動ですか。

手塚道路局長:沿線の自治会町内会の方々からは、南線の早期整備への期待や環境への影響に対するご心配など、さまざまなご意見はいただいております。南線につきましては、昭和63年の事業化以来、事業の必要性や内容等の説明を重ねるとともに、これまでも地元のみなさまからいただいたご意見をできる限り事業に反映させてきました。今後も本格化する工事の進捗に応じて工事説明会等において丁寧に説明を行い、地元のみなさまからいただいたご意見について、できるだけ工事の中で反映させるよう事業者に働きかけております。

パネル4岩崎議員:これは(パネル5)、南線と上郷公田線の二つのトンネルが真下を通ることになっている朝日平和台地域の周辺の写真です。ここで住民が心配していることはなんでしょうか。

手塚道路局長:ちょうど写真でみて、下に見える部分、池がありますが、その左側の部分については公田インターチェンジができる部分でございまして、その公田インターチェンジから左側大きな法面がございますが、その部分の地下を南線本線がいきまして、右側の小さい法面の下を上郷公田線がいくというようなことで、地盤沈下が起きないかというようなことだとか、防空壕が昔作ってありましたので、そういったことについての心配を今、されているところです。

パネル5岩崎議員:(パネル6)全部の市会議員に送られたようですけど、新たに地元から提起された日野隧道との交差部のリスクというのが出されています。これはどういうことでしょうか。

パネル6手塚道路局長:今の日野隧道の前ですが、先生のご質問のその前の質問でございますが、どういうことですかということだったんですが、問題点、言われていることだけあげましたけれども、トンネルの地盤沈下につきましては、地盤沈下が生じないような適切な工法を採用するとともに、地盤の計測管理を行いながら実施していきます。また、防空壕につきましても、トンネルの工事に防空壕がございましたら、埋めた後でトンネルを掘削するというようなことを実施してまいります。
今のこの図面、これは地元の方が作られた図面ではないかと思うんですが、ちょうど釜利谷のインターチェンジから庄戸の方に向かっていく釜利谷方面からみたところで、パイプみたいなものが4本ございますが、これが高速道路のインターチェンジでございまして、その下に水道の隧道が入っているという図面ではないかというふうに思います。

岩崎議員:説明ありがとうございました。今の話を聞いても、一部の反対運動というような単純なものではなくて、様々な思いや考えが、この地元にはあるということがよく分かりました。
市長は、事業者の立場と市民の命や財産を守るという立場があると思います。そこで、市民を守る立場からみて、沿線地域の運動をどのようにみておられるのか、伺います。

林市長:南線については、事業化以来、環境面のご批判や道路の必要について地元のみなさまからご意見をいただいておりまして、先生がお話しているとおりでございます。また、早期整備への期待のご意見もいただいているんですね。これらのご意見に対して、これまで事業者と横浜市は、全線の約7割の区間を地下堀割構造とするなど可能な限り環境に配慮した計画とするとともに、何年にもわたって南線の必要性や事業内容等の説明を積み重ねてまいりました。ご理解が得られるように努めてきたわけでございます。今後も引き続き事業者と連携して、丁寧にご説明をいたしまして、ご理解が得られるように努めてまいりたいというふうに思っております。

岩崎議員:次に、事業者に地元の事態を正しく認識させるというのも、横浜市としてのひとつの仕事じゃないかと思いますし、それから、日野隧道に係わる協議会設置の要望なども出ていますから、こういう問題について、地元住民という立場もちゃんと踏まえて、国に市として働きかける必要があるんじゃないかと思いますけれども、この点、市長、どういうふうに考えておられますか。

林市長:南線につきましては、国等と連携して説明会等を行っておりますので、地元の状況については国も十分に承知しておられます。横浜市としても、これまで地元のみなさまからいただいたご意見について、できるだけ事業に反映できるように、国に働きかけております。日野隧道に係わるご心配でありますが、先ほど道路局長がご答弁いたしまして、トンネル施工の専門家による施工技術検討会が事業者よりすでに設置されていますので、施工の安全性は確認してまいります。横浜市としても、こうした施工の安全性の確認について、事業者とともに、地元のみなさまに丁寧に説明しながら、事業を進めてまいりますが、先生ご指摘のように、国にもさらに強く意見を申し上げていきたいと思います。

横浜駅周辺の防災対策の抜本的見直しを

岩崎議員:次に、横浜駅周辺地区の防災対策について、伺います。
市民の命・財産を守るために、消防局をはじめ危機対処・管理部門で、日夜、尽力されているみなさんに、まず敬意を表しておきたいと思います。
一日、200万人以上が乗り降りする横浜駅と周辺地区は、防災対策上、極めて重要なエリアです。ところが、本市の防災対策をみると、防災計画や市長答弁に示されていることがきちんと行われていないように思います。これでは、市民の命・財産が守れないと心配しています。
まず、市長が、「今後30年以内に78%の確率で起こる」と言われた大地震が、明日にも起こった場合、横浜駅周辺はどうなるのか、伺います。
山隈総務局長:本市が平成24年度に実施をしました地震被害想定では、沿岸部での液状化や岸壁の破損、それから河川の河口部における堤防の沈下、こういったことが予想されておりますが、横浜駅周辺に特化をした建物被害等の定量的な被害想定は行っておりません。

岩崎議員:このパネル(パネル7)をちょっと見てください。これは関東大震災の際の豊国橋という橋、これは今の関内駅の周辺だそうです。これがその状況です。そうとう地割れがひどいというのがよくわかります。
パネル7もうひとつ、これは(パネル8)、1995年1月30日に、私が神戸で撮影してきたものです。これも、こういうかたちで地割れが非常に、こんなところはいっぱいありましたからね、こういう状況です。
パネル8

先ほど局長言われましたけど、しておりませんじゃなくて、私が聞いているのは、したとしたらどうなるんですかって聞いているんですよ。これは、防災計画の被害想定、今もう局長言われたんで私これ(パネル9)出す必要なかったんだけど、抜粋するとこういうふうにちゃんと書いてあるんですよ、どういうことが起こるかっていうことが。だから、防災計画に書かれた被害想定と、現地をちゃんと調査していれば、シュミレーションできるんですよ。そしてまた、しないと有効な対策はできないんじゃないですか。
パネル9 市長は、2012年の3月21日の私の質問に、現地調査については、「しっかりと慎重に調査もし、検証もして、プロ集団でやる」というふうに答弁されました。現地調査や検証はどのように行われたのか、また、その結果の報告書はあるんですか、ないんですか。どうですか。

林市長:ちょっとふたつのお答えになると思います。今、現地調査や検証を行う責任者という話でございますが、基本的には建築物を建設する前提として、地盤調査などの安全面での確認を行うのはその事業者の責任というふうに、私は認識をしております。エキサイトよこはま22では、横浜市も事業者の一員として民間事業者と連携しながら、地盤の高さの把握や、橋梁、護岸、西口、東口周辺の地下街の入り口の高さの計測等を実施しております。報告書がということについては、お答えをお願いしたい。

平原都市整備局長:エキサイトよこはま22を進める事業者の立場として、横浜市の方で現地の調査をいろいろやっております。橋梁、護岸の高さの計測の実施、地下街等の入り口高さの計測の実施、それから地下街等の入り口の止水板あるいは土のうなどの準備状況、それから地質調査結果を集約して支持層の深さや地層の状況の確認をしてございます。また、水防法に基づき、各事業者が提出しております避難確保計画の相互の整合性などについても確認をしてございまして、当然計測したデータについては私どもの方で所有してございます。

岩崎議員:今の答弁は、全然納得できませんから、またやります。
市営地下鉄駅構内、東西の地下街、その他地下空間に海抜表示がいまだに設置されていません。いつ、つけるんですか。

山隈総務局長:昨年、岩崎先生からご指摘をいただきまして、改めて地下街等の関係者に意見を伺いましたが、前回同様、避難誘導を優先することが第一であって、海抜表示については否定的なご意見をいただきました。今後も設置については関係者の意見を伺いながら検討をしてまいります。

岩崎議員:災害リスクが極めて高い横浜駅周辺の防災対策は、お聞きのとおり、お寒い状態です。これで、災害に強い横浜駅周辺の再整備ができるのでしょうか。市長、ちょっとその辺、意見を伺います。

林市長:防災計画震災対策編では、災害に強い都心部の形成といたしまして、横浜駅周辺地区の整備について規定をしております。具体的には、河川の改修など基盤整備による安全性の強化、耐震性の向上などまちづくりの基本方針を定めたガイドラインによる安全性の強化、帰宅困難対策などエリアマネジメントによる安全性の強化、これらを柱として、総合的に防災対策を進めることとしております。従って、開発等の事業を進めるにあたっては、関係局や事業者がこの計画に則り必要な対策を講じてまいります。

岩崎議員:横浜駅周辺の防災対策を抜本的見直すことを強く求めて、終わります。