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【2008年第4回定例会】「一般質問」河治民夫議員

 実際には、質問と答弁がそれぞれ一括して行われましたが、わかりやすいように、対応する質疑と答弁を交互に記載しました。

無保険の子どもに直ちに保険証の交付を

河治議員:私は日本共産党を代表し、市政の重要問題のうち3項目について、中田市長に伺います。
 最初は、子どもの無保険問題についてです。
 国民健康保険の保険料を払いたくても払えず、国保証を取り上げられた資格証明書の世帯は、窓口で医療費全額を払うことにより、実質的に必要な医療を奪われています。なかでも何の責任もない子どもの無保険状態は、大きな社会問題になっています。
 厚生労働省は「資格証明書の発行に関する調査」を全国的に行い、その結果を10月30日に公表しました。そして、県や指定都市などに対して「被保険者資格証明書の発行に際しての留意点について」との通知を出し、中学生以下の子どもへの保険証交付などの改善を求めました。調査結果では、全国で約3万3000人の子どもが「無保険状態」で、その内3692人、11%以上を横浜市が占めています。
 11月5日の定例記者会見で、「児童への配布数が横浜市が全国最多となったと出たのですが、今後その件について何か具体的な対応は」と問われた市長は、「国のこれまでのルールに則って、市として運営してきています」と、これまでの本市の対応を述べただけでした。同日記者会見した京都市長は、同様の質問に対し「大変なことだ、子どもには責任は無い、保険証交付を指示した」と聞いています。しかし、中田市長は今後の改善についての言及もしませんでした。このことは、中学生以下の子どもへの保険証交付を指示した厚労省通知の受け止め方が、間違っていると思います。市長の所見を伺います。
 本市の保険年金課は11月12日、各区役所に厚労省通知を丸写しした指示文書を出しました。厚労省通知は、「世帯主から市町村の窓口において、子どもが医療を受ける必要性が生じ、かつ、一時払いが困難である旨の申し出があった場合は、緊急措置として、速やかに短期保険証を発行するものとする」として、短期証の発行に2つの条件を課しています。
 11月17日の参議院決算委員会で、我が党の仁比聡平議員の「医療の必要性を役所の窓口で判断できるのか」との質問に対し、枡添厚生労働大臣は「医者でないので判断できない」と述べ、同時に「一時払いが困難という申し出があれば、短期証を出して結構だ」と答弁しました。本市も、各区役所への短期証発行には「医療の必要性」の条件をはずすよう、11月12日の指示内容を見直すべきと考えますが、市長の所見を伺います。
 また、資格証明書世帯の子どもが短期証の交付を受けるには、保護者が区役所窓口へ出向くことが条件であり、厚労省通知の内容を郵送や電話などで保護者に知らせることが急務です。しかし、いまだ保護者には何ら知らされていません。なぜ、緊急に知らせないのか。また知らせる取り組みをどのようにしているのか、合わせて伺います。
全国で子どもの無保険状態への対応が始まっています。静岡市では厚労省通知以前の10月1日から15歳以下の子どもに無条件で、札幌市では厚労省通知後12月1日の更新時から18歳以下の子どもに無条件で、正規の保険証を発行。大阪市や福岡市などは、対象世帯に文書を郵送して通知して改善を図っています。国会では、与野党が一緒になって、衆議院厚生労働委員会で、無保険の子どもを無くす法改正案の提案準備が進んでいます。子どもの無保険状態がこれほど大きな社会問題になっている中で、市長を始め、本市の対応はあまりにも異常です。さきほど市長は、子育て支援の立場から本市の対応について考えたいと答弁されましたが、本市も無保険の子どもをなくすために、直ちに保険証を交付すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

中田市長:お答え申し上げます。
 まず初めに、子どもへの資格証明書の交付についてのご質問をいただきました。
 厚労省通知の受け止め方ということでございますが、本市においてはこれまでも小児医療費助成制度の対象である就学前の乳幼児を交付対象外というふうにしてきたわけでありまして、その意味においてはすでに一定の配慮をこれまでも行ってまいりました。今後、国の通知による緊急的対応ということについても、各区に対して速やかに指示しているところでありますし、今後もよく注意をしてまいりたいと思います。
 区役所での対応についてでありますけれども、10月30日付けの国の通知は直ちに各区に周知をし、世帯主から子どもが医療を受ける必要が生じ、かつ医療機関に対する医療費の一時払いが困難であるという旨の申し出があった、そうした場合には短期被保険者証を交付するということなどの対応を指示をいたしております。各区においては、国の通知ということも今後踏まえながら、引き続き適切かつきめ細やかな対応というものを心がけるようにいたしてまいります。
 保護者への通知ということでありますけれども、本市においてはこれまでも滞納世帯に対しては災害や失業、世帯主や家族の病気ということなど、保険料が納付できない特別の事情があると、こうした場合には区役所に相談に来ていただくように、文書送付やあるいは訪問ということなどを通じて、様々な機会に周知を図ってきたわけでございます。とりわけ、子どものいらっしゃる滞納世帯という件に関しましては、今回の国の通知も踏まえたよりきめ細かな対応というものを今後もしていくように努めてまいります。
 資格証明書世帯の子どもに対する今後の対応ということでありますけれども、さきほどもお答えしたとおりでありますが、本市においてはこれまでも小児医療費助成制度の対象年齢である就学前の乳幼児については交付対象から除外をし、子どもに対する配慮を行ってきたわけであります。横浜市が異常だというふうにいま言われましたけれども、まさに河治議員が議論のなかで整理をされたように、国会でいま議論になっているということは、制度の根本のところが問題ということで議論になっているわけでありまして、その意味において今後は国の対応というものの私たち確認をしながら、子育て支援の観点も含めて、本市としての対応を適切に図ってまいるようにしてまいりたいと思います。

一般会計繰り入れなどで介護保険料の引き下げを

河治議員:次に、本市介護保険第4期計画について伺います。
 介護保険制度は3年ごとに見直しが行われ、現在本市は第4期計画の策定中です。今回の見直しは、深刻な介護人材不足や低い介護報酬による事業所の経営難、来年度からの介護報酬引き上げに関する保険料負担をどのようにするのか等の問題に直面しています。
まず、保険料についてです。
 厚労省によると、介護保険料の改定見込み額は全国平均で月額180円、約4%の値上げとなり、4270円です。本市の見込み保険料は4900円で、現在の保険料4150円と比較して750円、18%の値上げです。なぜ本市の保険料は全国と比較してこんなに高いのか、伺います。また保険料準備基金を全額取り崩して保険料を抑えようとしている京都市のように、本市も「基金」のさらなる取り崩しや、浦安市や埼玉県美里町のように一般会計の繰り入れを行い、保険料を引き下げるべきだと思いますが、どうか伺います。
 介護人材の確保も深刻です。本市が今年度「福祉人材緊急確保事業」として行っている、特養ホームの介護職員の処遇改善や、介護福祉士の長期研修には代替職員の配置などは、一定評価できるものですが、介護人材を安定的に確保するために、予算の増額や、対象施設の拡大など、さらなる「確保事業」の拡充が必要です。また、東京都が行っている低所得の人がホームヘルパーの資格取得講習の際、受講料全額と10万円の生活費を一時金として支給する制度などを、本市も創設すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 特養ホームの整備数についてですが、2011年には「入所の必要性・緊急性の高い申込者が、概ね1年以内に入所できる水準」に達するとして、それ以降は整備数を第3期計画の3分の1の300床に減らす計画です。果たしてそれでいいのでしょうか。本市は2011年度時点の待機者数を3155人と見込んでいます。2011年度以降も特養ホームの整備数を削減すべきではないと考えますが、伺います。
 高齢者の急性期医療から在宅介護への受け皿として重要な役割を果たしてきた介護老人保健施設や介護療養型施設は、ますますその役割が高まっています。しかし素案では、介護老人保険施設の新たな整備を中止、介護療養型施設も国の方針に添って2011年度末までに廃止するとしています。これでは、あまりに実態を無視した計画であり、これらの施設の役割を否定するものです。答弁を求めます。

中田市長:次に、第4期高齢者保健福祉計画、介護保険事業計画についてのご質問をいただきました。
 介護保険料についてでありますけれども、本市の場合は、在宅・施設ともにサービス量が全国平均を上回っておりまして、これが保険料に反映をされているというものであります。すなわち、サービスがなされているということになるわけであります。保険料については、今後直近の給付実績などをもとにしまして、給付量を見込んで、そして介護保険給付費、準備基金の取り崩しということなども検討して、改めて算定をいたしてまいりたいと思います。また、引き下げについては、市町村の一般財源によって保険料の現年分の補てんを行うということは、これは介護保険制度の趣旨というものを考えたときに適当ではないというふうに考えられます。
 介護人材の確保についてでありますけれども、市内の施設や事業所においても大変これは厳しい状況であるというふうによく認識をしておりまして、次期計画の達成に向けて、本市としても職員の採用や定着化ということについては支援をしてまいるつもりでございます。このため、今年度は、緊急福祉人材確保事業というように考えまして、特別養護老人ホームの処遇改善であるとか、介護の仕事のイメージアップ事業ということなどを実施をしているところであります。今後についても介護報酬の改定ということも国にも要望してきているわけでありますけれども、これも見据えながら、これらの事業の継続であるとか、また新たな確保策ということについても検討を行うようにいたしてまいりたいと思います。
 特別養護老人ホームの平成23年度以降の整備数についてでありますけれども、第3期計画においては、22年度末には入所の必要性・緊急性が高い高齢者の申し込みから概ね1年以内の入所が可能ということになります。23年度以降の年間300床の整備というのは、要介護認定者の伸びに合わせて概ね1年以内の入所を維持していくということのために必要な整備量ということで設定をしたものであります。
 介護老人保健施設や介護療養型医療施設の役割についてでありますが、介護老人保健施設は在宅復帰支援などを目的とする施設でありますが、入所者の3分の1程度は特別養護老人ホームの入所を待つ方となっているため、第4期計画では新たな整備を見送ったものでございます。また、介護療養型医療施設は、医療制度改革の一環として、より医療の必要性が高い方は医療サービスを、より介護の必要性が高い方は介護サービスを利用できるように、医療療養病床や介護老人保健施設などへの転換とすることとされたものであります。

市営ひかりが丘団地の住戸改善事業を急げ

河治議員:最後は、市営住宅についてです。
 市営住宅の高齢化が進んでいます。旭区のひかりが丘住宅では、65歳以上の高齢者が29%を超えています。今年だけでも11人の孤独死があったと聞いています。市営住宅の高齢者が安心して暮らせるようにするためにも、世代間の均等が求められ、地域の人から「子育て世代の入居を多くするべきだ」との意見も聞かれますが、これらの意見をどのように受け止めるのか、伺います。
 市営ひかりが丘住宅の住戸改善事業計画は、勝田住宅の次だと聞いています。管理戸数2325戸のうち、住戸改善事業のための空き室がすでに266戸確保されています。高齢化が進み、バリアフリー化も早急に求められていますが、予算が減らされ、いまだ具体的な計画がありません。そればかりか、屋上防水や外壁塗装などの周期的一般修繕も先送りとなっています。
 そこで、大規模市営住宅の住戸改善事業が、2008年度の予算規模で進んだ場合、勝田住宅の住戸改善事業はいつまでかかるのか、また、ひかりが丘住宅の早急な改善事業が求められていますが、いつから始まるのか伺いまして、質問を終わります。

中田市長:市営住宅についてのご質問をいただきました。
 子育て世代の優先入居を求める声をどのように受け止めるかということでありますが、高齢化が進んだというような地域からの要望を踏まえて、すでに平成18年度から子育て世帯向けの優遇倍率の設定ということについて取り組んでおります。市営住宅における世代構成のバランス、それはこの観点からも確保に努めているところであります。
 勝田住宅の住宅改善事業は、全体で40棟のうちすでに25棟が完了しまして、20年度に5棟が終了しますので、残りは10棟ということになります。これらについては、財政状況をよく勘案をしながら進めてまいります。
 また、ひかりが丘住宅については、勝田住宅の事業完了後の着手できるように検討をしてまいりたいと考えております。
 以上、答弁申し上げます。