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神奈川地方最低賃金の大幅引き上げを求める申し入れ

2015年8月7日

神奈川地方最低賃金審議会長 盛 誠吾 様 
神奈川労働局長 若生 正之 様 

日本共産党横浜市会議員団
団 長  大 貫 憲 夫

日頃、賃金をはじめ労働時間や雇用など労働条件向上にご尽力いただき、心から敬意を表します。
厚生労働省の中央最低賃金審議会の小委員会は7月29日、2015年度の地域別最低賃金について、全国加重平均で時給18円増の798円とする目安をまとめ、30日に塩崎恭久厚生労働大臣に答申しました。神奈川県の引き上げ目安は3年連続19円で、目安どおりに引き上げると最低賃金は906円になります。2010年に政府が設置した「雇用戦略対話」では、労働界、産業界も含めて、「早期に全国最低800円を確保し、2020年までに全国平均1,000円を目指す」ことが合意されています。
報道によれば、菅官房長官は記者会見で、「経済の好循環を作り出して成長を刺激するには、思い切った賃上げが必要」と述べていますが、今回の引き上げの目安は人間らしく生活できる賃金を求める労働者の期待に応える額とは到底いえません。
神奈川県内の労働者が国と神奈川労働局長を相手に起こした最低賃金裁判は8月20日で第21回を迎えます。昨年末に行われた第18回裁判で、老人ホームで調理補助のパートとして働く26歳の女性原告は「時給910円で、1か月の給料は手取りで約13万円」という実態を語り、「人並みに親元から自立して一人暮らしを経験したいのですが、現実には経済力がなく、できません」「結婚してもおかしくない年齢ですが、いまの生活のことだけで精いっぱい」「時給が1000円になっても手取りは14万円ちょっとにしかならず、独立するには足りません」と述べました。
世界に目を向ければ、欧州では全国一律で1000~1400円が当たり前であり、アメリカでも15ドル(約1850円)への引き上げが決められ、各地で引き上げが始まっています。
従来から申し上げているように、生活保護費以下の賃金は、憲法第25条の国民の生存権および国の社会保障的義務、生活保護に係る施策との整合性に配慮するとする最低賃金法第9条3項にも反します。生活できる賃金を保証するために、最低賃金を大幅に引き上げるべきです。なお、最低賃金引き上げで営業が苦しくなる中小企業に対しては、ダメージを抑える別の政策が必要であり、国が策定した小規模企業振興基本法などに基づき、積極的な支援を行うことが求められています。
つきましては、下記の実現に向け、貴職の権限を生かした真摯な対応を要請いたします。

1.生活できる賃金をめざして、時給1,000円以上にする方向で、審議を行うこと。

以上