議会での質問・討論(詳細)
2015年10月13日

■教育委員会(みわ智恵美)

(スライド4~8については、個人情報保護の観点から記載いたしません。)
みわ議員:日本共産党のみわ智恵美です。委員長、本日はスライドを使いますのでよろしくお願いします。

貴重な古代の製鉄遺跡―上郷深田遺跡を破壊から守れ

27年前,栄区上郷猿田地区の舞岡上郷線道路の建設に伴う発掘調査が行われた上郷深田遺
跡について、どのような遺跡で、どう評価しているのか、伺います。
小林教育政策推進等担当部長:横浜市都市計画道路舞岡上郷線建設に伴い、昭和61年9月から翌62年6月にかけて9か月間にわたって、工事区間に含まれる上郷深田遺跡の発掘が行われました。実施された調査の結果、製鉄に関係すると考えられる遺物や炉の跡などが出土し、7世紀中頃から9世紀前半にかけて営まれた古代の製鉄遺跡であることがわかりました。

みわ議員:東急建設による提案では、遺跡は建物の建設に伴う掘削で破壊するとなっていますが、教育委員会の見解を伺います。また、埋蔵文化財に関わる調査の指針を示してください。

小林教育政策推進等担当部長:開発により遺跡のある土地が影響を受ける場合、文化財保護法に基づき、事業者からの届け出を受けて、事業者と文化財保護のための協議を行うことになります。
具体的には、まず遺跡のある土地を事業区域から除外することが可能かどうかの協議を行います。次に、それが難しい場合には、事業区域であっても影響を受けない公園や緑地として保存すること、あるいは工事の範囲を地下の遺跡に影響がない程度に留めることで保存を図ることが可能かどうか、協議を行います。協議により、これらの対応ができない場合には、記録保存のための発掘調査等の実施等を求めていくことになります。

教育委員会スライド1みわ議員:スライド(スライド1)をご覧ください。1967年当時の七石山横穴墓群です。栄区小菅ヶ谷町周辺に住んでいた古墳時代の豪族の一族の墓と考えられるもので、一部を公園に取り組み残し、あとはJR根岸線の敷設で破壊され、記録保存です。文化財は破壊すればなくなります。
 横浜と言えばペリー来航以来の150-60年の間の歴史ばかりが語られますが、太古の昔からの貴重な歴史遺産があります。科学の発達で、歴史の謎を紐解く可能性があると考えます。
上郷猿田地区における都市計画提案評価委員会で、「遺跡については、記録保存を前提とせず、調査方法から詳細な協議が必要である」と教育委員会は意見を述べておられます。上郷深田遺跡調査は、業者任せの記録保存を前提とする事なく、この立場を堅持し取り組むべきと考えますが、見解を伺います。

岡田教育長:上郷深田遺跡の保存を理由としまして開発を法的に規制することは現況では困難ですが、今後、事業実施にあたって遺跡に影響が及ぶ場合には、発掘調査や保存等埋蔵文化財の取り扱いについて事業者と協議していきます。

みわ議員:しっかりと歴史に禍根を残さない取り組みをお願いします。

司書の配置で図書館利用が増えた! 学校図書館司書を正規雇用に

みわ議員:次に、学校図書館司書が来年度で全校配置完了とのことです。長年学校図書館司書配置に取り組んで来た者として、大変感無量です。司書が配置されてからの学校図書館利用状況について、伺います。

長谷川指導部長:学校司書が配置された学校では、学校図書館の環境整備が進み、図書資料が充実いたしました。その結果、平均貸出冊数が約1.6倍になり、子どもの読書量が増加いたしました。また、学校司書が配置された学校へのアンケートの結果では、子どもたちが学校図書館を多く利用するようになったという学校の割合が10%以上あがりました。

みわ議員:財政の課題もありますが、学校司書はすでに学校にとって欠かせない存在だと思います。19日から学校司書の募集をしていますが、業務内容と処遇について伺います。

長谷川指導部長:学校司書は非常勤特別職職員であり、雇用期間は原則1年としております。学校図書館の環境整備や授業支援、教職員との連携など、学校司書の専門性は継続的な勤務の中でより発揮されることから、勤務成績が良好な場合は4回まで更新可能としております。

みわ議員:今の募集で、書いてある処遇で計算しますと、年収で100万円ちょっとです。自立を目指す若者の仕事にはなりません。正規職員として配置すべきと考えますが、見解を伺います。

岡田教育長:28年度中に全校配置を完了させたいと計画しているところです。今後は配置した学校司書の一層の活用により、子どもたちの読書活動の推進を図っていきます。

みわ議員:正規職員雇用を要望します。

先生が一人ひとりの子どもに対応できる少人数学級の推進を

みわ議員:次に、横浜市における少人数学級の状況、導入のねらいと効果について、伺います。

魚屋教職員人事部長:少人数学級の状況ですが、小学校1年生については全校で35人以下学級を実施しています。また、全ての小中学校に少人数授業チームティーチングを行うための定数が配当されていますので、一部の学校ではその教員を学級担任にあてることで他の学年でも35人以下学級を実施しております。
 ねらいと効果としましては、理解度や興味・関心に応じたきめ細やかな指導が可能となること、発言や発表の機会が増え授業参加がより積極化されること、教員と児童・生徒間の緊密化が期待できることなどがあげられます。

みわ議員:本当に効果がある少人数学級ですが、日本共産党は少人数学級実現を長年求めております。今、少子化だからチャンスだというふうに考えるんですが、財務省は「財政健全化計画等に関する建議」で、少子化に合わせ、今後9年間で約4万2,000人の教職員定数のリストラ・合理化が可能としました。全く的外れです。林市長が会長である政令都市市長会は、このリストラ案に、教職員定数改善・充実に関する緊急アピールを作成し、国に提出されました。市教育委員会としては、どう対応されたのか伺います。

岡田教育長:教育現場では、国による教職員定数の確保は教育政策の実現のために大きな力となっており、教職員定数の削減は教育の質に直結する問題であると考えています。教育委員会では指定都市教育委員会教育長協議会に働きかけ、教職員定数の改善・充実を図るよう、加配定数を含めた教職員定数に関する緊急要望を国に対して提出いたしました。

みわ議員:本当に、緊急に動かれたんですけれども、これは教職員の勤務実態調査をされてきた横浜市教育委員会として、重大事態だと直感されたのではないかと思います。
私は、市教育委員会が実施されてきた教職員の実態調査は大変貴重なものだと考えています。ここで、調査で明らかとなった教職員の時間外勤務、1人1か月平均何時間でしょうか。

小林教育政策推進等担当部長:教員の勤務日における時間外業務を行った1日あたりの平均は、約3時間になっております。なお、これには自宅等で業務を行った時間を含んでおります。また、休日に行った業務時間を加え、1か月あたりの平均を算出すると、約84時間になります。

みわ議員:ほとんどの先生方が過労死ラインで勤務しているというわけで、また若い先生方の教員の給与で換算しますと、教師は残業代ゼロですから時給700円、ほぼブラックです。
この調査で、先生方が「多忙や負担」を感じる時について、多い順に上から6番目まで示して下さい。

小林教育政策推進等担当部長:教職員が負担だと感じている業務でございますが、まず、調査・報告等、次に会議・打ち合わせ、次に保護者対応、次に成績処理、それから学校事務文書でございます。5番まで今回の調査では明らかになっております。

みわ議員:本当に業務内容が多い、そして成績をつけることになっておりますが、それが多忙を感じるということになっていますが、教育委員会からの調査依頼への対応というのもありました。横浜は、他都市より授業時間が長くなる横浜版学習指導要領がありますが、これは教育委員会で改善できます。そして、多忙さの最大の要因は、何と言っても1クラスの人数の多さではないでしょうか。30人と40人では業務量は1.3倍です。市立中学校の1クラスの生徒36人以上は何クラスで、それは全体の何%になりますか。

小林教育政策推進等担当部長:26年度の市立中学校の全学級のうち、生徒数が36人から40人の学級の割合は52.3%となっております。なお、個別支援学級を除いた一般学級に占める割合は61%となります。

みわ議員:大変どの学級も大変な状況で先生方、がんばっているということがよくわかりました。
 先日、横浜市の小中学校のいじめ認知件数が3,233件と発表されました。3クラスに1件です。子どもたちを取り巻く問題は、貧困、学力格差、いじめ、虐待など深刻です。1クラスの人数を少なくして、先生が一人ひとりの子どもにまなざしを向け、対応できるようにするべきです。横浜市において、今後どのように少人数学級を推進していくのか、見解を伺います。

岡田教育長:教職員定数の増を伴う少人数学級の推進につきましては、法律の規定をはじめ、人材の確保、毎年の人件費の財源の確保などの観点から、さまざまな課題がありますので、国、県、政令市等との動向を見守っていきたいと考えています。

みわ議員:国や県の動向を見守るという立場でなく、早急になんとしても横浜市として取り組んでいくよう工夫していただきたいと思います。
さて、今後は、国と直接交渉する立場に横浜市教育委員会はなります。強く定数改善を求めること、あわせて図書館司書の定数配置も求めるべきと考えますが、見解を伺います。

岡田教育長:指定都市教育委員会や教育長会議などを通して、いろいろ各都市との情報交換もいたしまして、職員定数の改善については必要なものはしっかりと要望し、工夫できるところは工夫をしていくというスタンスでいきたいと思っていす。

みわ議員:がんばっていただきたいと思います。

生徒数が増えているのに北綱島特別支援学校を閉校するな

みわ議員:横浜市の肢体不自由児の特別支援学校は、養護学校義務化より前に、重度重複障害を持つ子どもたちの就学を全国に先駆けて進めてきたと伺っています。その理念について伺います。

岡田教育長:本市では、昭和54年の養護学校の義務化以前の昭和44年から、就学免除で学校教育を受けられなかった重度重複障害児に家庭や施設への訪問指導というかたちで教育を行ってまいりました。しかし、教師と一対一の指導だけでは子どもたち同士の関わりあいや集団での学習が経験できないことから、昭和47年には南区の中村小学校の特殊学級への通学による指導を始めました。こうした経緯をふまえまして、昭和49年には肢体不自由のある子どもたちにも小中学校に準じた教育の場をつくるため、上菅田養護学校を設置し、さらに在宅の重度重複障害児に学校への通学を保障したいとの思いから、肢体不自由養護学校を小学校4校の敷地内に設置してきたものであります。

みわ議員:保護者の方々の思いに本当に応えた横浜市の誇るべき教育だというふうに思います。
肢体不自由特別支援学校の設立当初の児童生徒数と、現在どうなっているか、伺います。

長谷川指導部長:まず、上菅田特別支援学校は、教育委員会として正確な把握できている昭和51年の98人に対して、平成27年5月現在の在籍児童・生徒数は225人です。中村特別支援学校は、設立当初の46人に対して、現在は76人。北綱島特別支援学校は、現在の場所に移った平成7年の39人に対して、現在は81人。東俣野特別支援学校は、設立当初の21人に対して、現在は42人。若葉台特別支援学校は、現在の場所に移った平成25年の64人に対して、現在は66人です。

みわ議員:児童・生徒数が本当に増えていて、どの学校も過大規模となっているなあと感じます。この問題に対して、市教育委員会が計画している肢体不自由特別支援学校の再編整備について、伺います。

岡田教育長:これまで児童・生徒の過大規模化につきましては、中村特別支援学校と東俣野特別支援学校は併設の小学校の空き教室を改修するなど、児童・生徒の増加に対応してまいりました。一方、軽度を対象とする上菅田特別支援学校は、特別教室を普通教室に改修し、児童・生徒の増加に対応してきましたが、過大規模化への対応が十分ではありません。さらに、市内全域から児童・生徒が通っていることから、通学時間の長時間化などの課題があります。また、北綱島特別支援学校は、敷地内に空きスペースがなく、建物の構造上においても増築ができないため、児童・生徒の増加への対応が困難な状況となっております。これらの状況を改善するために再編整備計画をつくり、実施に向けて準備を始めたところです。

教育委員会スライド2みわ議員:このスライド(スライド2)をご覧ください。赤い四角は横浜市の学校、赤い丸は今後できる予定の市の学校。青い四角は県立で、青い丸は建設予定の県立学校です。教育委員会が、旭区や青葉区に新たな学校ができるからということで、北綱島特別支援学校の閉校を考えるということが新聞でも報道されておりましたし、私たちも説明を受けておりますが、全く理解できません。
教育委員会スライド3次のスライド(スライド3)をご覧ください。これは、都筑区、港北区,鶴見区,神奈川区から子どもたちが通っている北綱島特別支援学校がなくなったことを想定した図です。ここで、都筑、港北,鶴見区の小学校児童数の今後の推移について伺います。

長谷川指導部長:平成27年度義務教育人口推計表によりますと、27年5月時点での鶴見区の小学校の児童・生徒数1万3,395人に対して、5年後の32年には1万4,447人と、約1,000人の増加が見込まれます。港北区は、27年の1万5,553人に対して、5年後の32年は1万7,029人と、約1,500人の増加が見込まれます。都筑区は、27年の1万4,174人に対して、5年後の32年には1万3,770人と、約400人の減少が見込まれます。

みわ議員:そこを合わせますと、明らかに児童数の増加が見込まれる地域で、学校をなくすなど到底理解できません。この地域で果たしている北綱島特別支援学校の交流教育、そして地域支援活動について、紹介してください。

長谷川指導部長:北綱島特別支援学校では、併設している北綱島小学校と年間を通じて交流活動を展開しております。たとえば、運動会などは合同に行ったり、また総合的な学習の時間の中など北綱島小学校の子どもたちが特別支援学校の方に赴いて子どもたちと一緒に活動するような取り組みも行っております。

みわ議員:地域支援活動について、述べてください。

長谷川指導部長:地域支援活動ですけれども、地域の方々とも行事等の中で交流を深めているというふうに聞いております。

みわ議員:対象にあげているのですから、どういう役割を果たしているのかは、しっかりと考えていただきたいと思うんですが。地域の障害児教育のセンター機能、やってますよね。それから、近隣地域の家庭への支援、相談活動、障害児に関するボランティアの育成拠点となっています。子どもたちを温かく見守り応援していただいた地域のみなさんとともにある学校です。
次のスライド(スライド4)をご覧ください。この地図は学校に貼ってあったので、写真を撮らせていただき、子どもたちがだいたいどの辺りから来ているのかを地図に落としたのが、次のスライド(スライド5)です。
このスライド(スライド6)をご覧ください。これは、北綱島特別支援学校がなくなった時を想定した地図です。今後、子どもが増えていくこの地域で、学校をなくすことが許されるのでしょうか。これまでに北綱島特別支援学校で2回保護者説明会をしていますが、どのような声が出されているでしょうか。

長谷川指導部長:今まで2回の保護者説明会を行ってまいりました。保護者の方たちの声の中には、やはり北綱島特別支援学校の、特に重度のお子さんをお持ちのご家庭については、やはりそういう子どもたちのケアを含めて、他の学校に移ることによって距離が遠くなったりとか、あるいは医療的ケアが今後どうなるのかとか、そういう問題で、非常に不安の声がございました。われわれ教育委員会といたしましても、そういう個々のケースに対しては、今後やはりきちんと対応していくように進めていきたいと考えております。

みわ議員:個々のっていうのは、一人ひとり迫られて、三者面談とか一対一とかになったら、教育委員会になかなかものを言えないんじゃないでしょうか。バス乗車がこれまで以上に長くなるのは命に危険がおよぶ。バスには乗れないので在宅で訪問を受けるようになる。ここで積み上げ、安心して通っているのに、どうして行けなくなるのかなど、命に関わる不安と怒りが出されていたと伺っております。
スライド(スライド7)ご覧ください。副市長に伺います。今回の再編整備のやり方は、まさに教育のリストラ・合理化です。もっとも弱い、自らは声をあげることのできない子どもたちを犠牲にするやり方です。オール横浜で進める教育は、子どもの命第一に考え、豊かで安心できる教育に、これまでの障害児教育にかけてきた横浜の歴史に恥じることのない方向で進めるべきではないでしょうか。この地図にあるように、きちんと地域の学校として存続するべきではないかと考えますが、見解を伺います。

柏崎副市長:今回の再編整備計画は、将来に向けましても、やはり肢体不自由児のみなさまの教育をめぐる環境をよりよくしていこうということのために必要な再整備だということで、私ども計画をたてまして、現在ご説明を始めたところでございます。そういう中で、当然設置義務のある県との調整などを行いまして、県の特別支援学校の機能というものも十分全体として勘案しながら、居住地によりまして学校を指定するというようなことも取り組んでまいりたいというふうに思っております。いずれにいたしましても、引き続き保護者のみなさまや地域のみなさまには出来る限り丁寧にご説明をしながら進めてまいりたいというふうに考えてございます。

みわ議員:結局、進めていくのを理解していただくということだけじゃないでしょうか。過大規模化の中で、当然学校をつくるというのは当然だと思います。この上菅田特別支援学校が、つくった時から考えても200%ぐらいな事態なので、こちらに左近山特別支援学校をつくるということは、当然のことだというふうに思います。今、鶴見区市場小学校や中区本町小学校でも、過大規模化の中で学校を増設する計画と伺っています。大切な教育財産である学校をなくすことなく、地域の本当に拠点として機能している学校をなくさないように、智恵をつくし、子どもたちのために再編ができるよう、改めて見解を伺います。

岡田教育長:今後は全ての肢体不自由支援学校で軽度から重度までの幅広い児童・生徒を受け入れて、スクールバスでの通学時間の長時間化を解消し、教育環境や教育活動の充実を図っていきます。そのために、全体の再編整備計画をたてているものですので、ご心配の点は十分配慮しながら進めてまいります。

みわ議員:全ての子どもにという名のもとに進める教育の合理化としか到底考えられません。本当に子どもたちの命を第一に考えた教育をということを最後に申し上げて、質問を終わります。


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