議会での質問・討論(詳細)
2015年10月14日

■環境創造局・温暖化対策統括本部(あらき由美子)

浸水対策などの防災意識を広く市民に強めよ

あらき議員:スライドを使いますので、よろしくお願いいたします。日本共産党を代表して、質問します。
 まず、下水道の浸水対策と更新事業について、伺っていきます。
気候変動に関する政府間パネルIPCCの第4次評価報告では、20世紀にかけてアジア北部と中部の降水量がかなり増加したことと、21世紀以降の気象予測について大雨の頻度が増加する傾向が示され、本市においてもその頻度は増加傾向になっています。これらの浸水リスクに対する安全度を向上させるため、特に横浜市の下水道事業においては、これまで雨水幹線やポンプ場などのハード整備を着実に進めてきています。施設の改善が一方で図られています。
そこで、これまでの下水道における浸水対策の取り組みについて、伺います。
山本下水道計画調整部長:地盤の高い地域につきましては1時間あたり約50ミリ、低い地域については約60ミリの降水量がありましても浸水が発生しないよう、雨水ポンプ場や雨水幹線、雨水貯留施設などを設備してきており、対象地域の約6割強で整備が完了しております。整備には、多大な事業費と時間を要するため、過去に浸水被害の発生した地域を優先するなど、対策か所の選択と集中を行い、整備を進めています。

あらき議員:今お答えいただいたとおりで、私の地元南区でも、過去に浸水被害を受けた別所1丁目、六ッ川2丁目、清水ヶ丘の地域で、下水管を太い管に入れ替える工事を実施したおかげで、ここ数年浸水被害が起きなくなりました。これは、まさに市民の安心・安全につながっていて、地元の人たちから大変喜ばれています。
 しかし、残念なのは、改修工事をした時は地域の方たちも知っているんですけれども、数年経つとそのこと自体を忘れてしまうことです。せっかく取り組んだ事業ですから、局として自分たちが取り組んできた浸水対策について、もっと積極的にアピールすることが必要だと考えますが、見解、伺います。

大熊環境創造局長:よろしくお願いします。これまでも工事現場における事業ピーアール看板の設置や施設見学会を開催することなど、機会をとらえて浸水対策の取り組みを紹介してきました。また、内水ハザードマップやふれあい横浜などによりまして、大雨への備えや大雨時に役立つ情報の積極的な発信にも取り組んでいます。今後も、区民まつりなどのイベントやホームページなどを活用いたしまして、浸水対策の必要性や事業効果などを積極的に周知していきます。

あらき議員:横浜市の職員はどこもみなさん本当によくやっていただいて、やったことに対して自分たちがもっとアピールするっていうのが、私は非常に欠けていると思います。ぜひ、その点ではもっともっとアピールしていただきたいと思うんです。
 今、お話あったように、内水ハザードマップを周知して、さらに活用してもらうこと、必要だと思うんです。どのようにされていくのか、伺います。

大熊環境創造局長:これまで床上浸水が想定される世帯への全戸配布や、ホームページ上での説明動画の掲載、各区役所におけます災害に関する会議や研修、小学校における出前講座での説明など、積極的に情報発信を行っています。引き続き、広報よこはまあるいはホームページなどの広報媒体や区局のイベントなどさまざまな機会をとらえまして、大雨
の備えなどについて継続した情報発信を進めてまいります。

あらき議員:これ、南区版をいただいきました。南区で、どう活用されているかとお聞きしたところ、1,000部昨年もいただいて、全てなくなったそうです。もう、すごいなと思いました。今年もまた1,000部調達をして、地域の方々は広報みると自分のところがその対象だと思うと取りに行っているそうなので、これはぜひ取り組み続けていただきたいと思うんです。
 さらに伺いたいのは、区と連携して、この内水ハザードマップあるところも含めて、私は防災対策の意識をより強めていくことだと思うんです。この点の取り組みはどうでしょうか。

大熊環境創造局長:防災対策などの取り組みについては区役所と常に連携をとりまして、特に区役所の土木事務所とは常日頃から連携して対策を講じております。

あらき議員:ぜひ、そういう活用、進めていただきたいと思います。広報もぜひもっともっと取り組んでいただける活動になると思いますので、期待をしています。
問題は、多大な事業費、これから更新するについて、浸水対策でも限らず、今後迎える下水道施設の再整備にかかる事業費です。生産年齢人口や人口そのものが減少していくことが予測されている現時点で、料金収入が増えることは期待できません。その財源については、国費を導入し負担軽減を図ることが一番だと思います。下水道更新事業に対する国からの補助について、ここ3か年の状況について伺います。

大熊環境創造局長:下水道の更新事業は、最近3か年の平均では年間約180億円、そのうち国費は約75億円で、約40%となってございます。更新事業のうち、下水道管の交付対象は、本市のような大都市の場合は幹線などの大きな下水道管に限られていますが、28年度までの緊急的な時限措置として敷設から50年を経過したものは小さな下水道管についても交付対象となってございます。

あらき議員:今お答えいただいたとおり、40%台で国費が導入されていると聞きました。ただ、今後、この2年間の限定措置ということも聞いていますので、引き続き国に対してはこの点は延長していただくように要望すること、とても大事だと思います。この点、副市長、いかがでしょうか。

鈴木副市長:管径のちいさな下水道管が交付対象となっております28年度までの時限措置、これを恒久的な制度とするように、これまでも要望を行ってきております。あわせて、中長期を見据えた予防保全型の維持管理における調査や診断についても、他都市とも連携をしながら、交付対象としていただけるように、国の方に強く要望してまいります。

あらき議員:ぜひそれが実現できるように、私たちも応援していきたいと思います。

エネルギーアクションプランに数値目標を定めよ

あらき議員:次に、横浜市エネルギーアクションプランについて、伺っていきます。
 横浜市地球温暖化対策実行計画に位置付けたエネルギー施策をより着実に推進するために策定され、実行計画の短期目標の年次である2020年度に向けて取り組みとその工程表を示しています。これがエネルギーアクションプランです。
実行計画には、第6章取り組み方針として、対策・施策で目標毎に具体化または検討する主な施策が明記されています。しかし、本プラン素案では、それぞれの施策について、いつまでに、何を、どうするかがあいまいです。特に市が目指す温室効果ガス排出削減目標値が明記されておらず、各取り組みにおける具体的な方法、事業費、取り組みのスケジュールに年度ごとの数値目標も示されておりません。これでは、アクションプランを策定する意味がありません。
今年の予算議会で古谷議員がこの点を指摘した際に、局長は「取り組み主体が多岐にわたるため、ご指摘の年度ごとの数値目標のようなものは定めることは困難な側面がある」とおっしゃっています。「2020年度の目標達成に向けて、市民、事業者のみなさまなどと連携しながら、着実に取り組みを推進していきたいというふうに考えております」と答弁しています。
 2020年度の目標達成のためにも、年度ごとの目標が大事なのではありませんか。目標をどうしてつくらないのか、つくらないでどのように達成できるのか、あわせて伺います。

野村温暖化対策統括本部長:どうぞよろしくお願いします。
 エネルギー施策の推進にあたりましては、行政のみならず、市民・事業者のみなさまとともに実践していくこと、これが何より重要だというふうに考えております。委員ご指摘の、このエネルギーアクションプランでございますが、これまで取り組んできました省エネあるいは創エネの成果やプロセス、そして地域や企業などの具体的な省エネ活動などをお示ししながら、それぞれのみなさまがそれぞれの立場で実践行動につなげていっていただきたいということを目指しているところでございます。
行政目標と異なりまして、市民・企業のみなさまの主体的な行動により成果を出していくという取り組みにつきましては、年度ごとの数値目標、委員ご指摘のこの数値目標を定めることは大変困難な側面がございます。しかしながら、進捗状況については、全体の事業を取りまとめ、常任委員会の場などを通じて報告してまいりたいというふうに考えてございます。

あらき議員:その困難だって逃げてるところがどうしても許せないんです。
 それで、これを見ていただきたいんです。(スライド)温室効果ガスの市内排出量および排出源別の推移です。注目していただきたいのは、2009年から2013年度で、温室効果ガスの排出量が増えていることです。しかも、増えているのは業務部門が一番延びが高いんです。こういう点で、やはりきちっと目標値を掲げて削減することが今一番取り組まなければいけないことなのに、こういう状況であることについて、どう認識されていますか。

環境創造局スライド
野村温暖化対策統括本部長:業務部門を含めて排出量を大きく増加している要因は、委員ご指摘のとおり、火力発電の占める割合が増えたことに伴いまして、このグラフにございます電力の二酸化炭素排出係数でございますが、21年度に比較して25年度は38%増加しているということによるものでございます。ちなみに21年度の排出係数に固定した場合、この業務部門でみますと6.7%になっております。この数値は、床面積の増加ですが、この間7.2%増加しておりますので、ほぼ同等となっております。しかしながら、委員ご指摘のように、4部門の、例えば業務部門の二酸化炭素排出量の削減、重要な課題であるというふうに認識しております。
この場合どうしているかということでございますが、たとえば新たにビルを建設する場合につきましては、LEDなどの省エネ性能の高い設備の導入をはじめ、CASBEE横浜の普及など建物ごとの省エネを働きかけているところでございます。さらに、既存のビルも含めまして、この業務部門に関連する多くの企業のみなさまがエネルギーコストの削減に取り組んでいるということは十分承知しております。このため本市としてもBEMSなどYSCP、横浜スマートシティプロジェクトでこれまで培ったノウハウを提供し、今後、業務部門の二酸化炭素排出量の削減に今後とも積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

あらき議員:今お答えいただいたように、二酸化炭素発生の原因は原発から火力に切り替わったことによると考えられます。二酸化炭素が発生しない電力源に切り替える手立てとして、本市としてどこまで講じているのか、また二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーの普及を進めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。

野村温暖化対策統括本部長:今後、温暖化対策を推進していく上で、委員ご指摘のとおり、再生可能エネルギーの積極的な導入は重要だというふうに考えております。これまでも太陽光発電の導入補助や再生可能エネルギー導入検討報告制度などの運用などに取り組んでまいりました。また、公共施設においても導入を積極的に進めておりまして、26年度末時点では298か所、一般家庭の11万世帯分に相当する4.1億キロワットアワーを発電しているところでございます。今後も、この低炭素なエネルギー源である再生可能エネルギーの普及に向けまして、市民・事業者のみなさまへ導入を促すとともに、公共施設の率先導入にも取り組んでまいりたいというふうに考えております。

あらき議員:そこで、再生可能エネルギーとして普及してきた太陽光パネルの設置状況はどのようになっているのか、また効果のある太陽光パネル設置助成について、横浜市は廃止をしましたけれども、助成がない中でどのように増やすのか、あわせて伺います。

伊藤環境保全部長:はじめに、太陽光パネルの導入状況でございますが、国の買い取り固定価格買取制度のデータ等から、主に住宅系の太陽光発電設備が約2万2,000件導入されていると推計しております。
 また、助成がない中でどのように増やすのかということでございますが、太陽光発電設備はパネル価格の低下が24年度から始まった電力の固定価格買取制度が一般に浸透してきたことなどによりまして、今後も自立的な普及が進むと考えられます。また、横浜市生活環境の保全等に関する条例では、一定規模以上の建物を建設する方に対しまして再生可能エネルギー導入の検討をしていただく制度がありますので、この中で太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの導入を促していきたいと考えております。

あらき議員:ひとつの手法としては、やはり助成制度があることによって、各一般家庭の設置実態を把握することができたと思うんですね。今のお答えだと、助成制度なくして、まあ増えていくだろうという想定でいくっていうの、これは全然現実的じゃないです。この点、いかがでしょうか。

大熊環境創造局長:今もお答え申し上げましたとおり、かなり普及が進んでいるということと、この固定価格制度というものが非常に浸透してきています。これによって改修するということも非常に高率になってきておりまして、この固定価格制度が浸透してきたことにより非常に多くの人がこのパネルを買っていただくような現状がございますので、われわれとしては今申し上げました条例に基づいた方法というところで、このエネルギー、再生可能エネルギーの導入を促していきたいと考えております。

あらき議員:そこは、数字をつかむ上でも、ぜひやるべきことだと思っていますから、これは再検討を申しおきます。

CO2削減対策としても開発をやめて緑を守れ

あらき議員:それから、創エネ対策として、また増やすことも、CO2削減につながる重要な施策です。緑を減らさないために、上郷開発や池子の森など現存する緑を開発させないことも大事です。しかも、みどり税を負担させられている市民は、開発により緑が減ることには納得をしていません。この点についての見解を伺います。

大熊環境創造局長:緑の保全につきましては、土地所有者のみなさまのご理解とご協力が必要であることから、緑地保全制度による指定を積極的に働きかけるとともに、買い取り対応の充実、これを図っております。また、総合的なまちづくりの観点から、水と緑の計画や都市マスタープランなどを策定いたしまして、市街地の形成と緑のバランスに配慮をしながら、関係局と連携いたしまして、適正な土地利用を誘導していきます。

あらき議員:その適正な土地有効というところ、鈴木副市長、ここは全く見解が違います。そこをもう一回改めて考え直していただきたいんです。いかがでしょうか。

鈴木副市長:横浜をこれからさらに発展させ、経済どういう活性化させていくか、価値をどう高めていくかという中で、やはり緑、横浜の緑っていうのは、これは横浜の特徴でもありますし、これはやはり、良好な緑を残していくというのは、これはもう当然のことでありますし。ただ、一方で、やはり戦略的に土地利用を進めていくということも、やはりこれも必要なことでございますから、今、局長、答弁申し上げましたように、その両者のバランスを取りながら、将来の発展に向けたまちづくりを進めていくということが必要だと思っています。

あらき議員:横浜市はこれから人口減少社会に向かうというのは周知の事実です。そういう中で戦略的な土地の活用というのは、横浜市がこれを誘導していくようなやりか方については、私たちは到底納得していないということだけお伝えしておきます。

市職員が市民の中に入って脱温暖化対策を進めよ

あらき議員:そして、ごみ減量に向けてG30を推進した時のように、本市の職員が市民の中に積極的に入り、啓発活動を行うこと、これがCO2削減、そして温暖化対策には大変重要だと思っています。統括本部という名称で、本部長もここ2年、区役所に出向いていろいろ区役所とお話をしたって聞いています。だったら、もうひとふんばりで、各連合地区にも出向いてお話をして、やはり啓発を一緒にやりましょうという取り組みを、これから進めていただきたいと思うんですけど、いかがでしょうか。

野村温暖化対策統括本部長:ありがとうございます。私自身リーダーシップを発揮しながら、どういうかたちで温暖化対策統括本部の特色を共有しております。まさに、温暖化対策を進めるかっていうことを考えておりますので、委員のご提案をふまえまして、今後とも検討してまいりたいと考えています。

あらき議員:ぜひやはり、市の職員の構えで、G30の時もそうでしたよね。職員のみなさんが町内会に入っていることによって、よし一緒にやろうっていうことができたので、やはり今回の点でも啓発活動するというのでは、職員の構えは必要だと思います。それから、もし職員が不足しているのであれば、私は何度も申し上げます。職員は増やしていただきたいと思っています。

いつ脱温暖化条例をつくるのか

あらき議員:最後に、横浜市は2008年、脱温暖化に向けて、規制的な施策や融資制度・税制等の経済的な誘導策などさまざまな施策の実効性を担保するための、この脱温暖化条例、いつ着手するにか、そしていつ条例化するのか、この見解を伺って、終わります。

野村温暖化対策統括本部長:脱温暖化に向けまして、本市では横浜市地球温暖化対策実行計画を策定するとともに、横浜市生活環境等の保全等に関する条例、この中で、すでに地球温暖化の防止に関する本市・市民・そして事業者の責務等を定めているところでございます。これらの計画や条例に基づき、温暖化対策を推進しておりまして、具体的には一定以上のエネルギーを使う事業者に対しまして、温室効果ガスの削減計画、そして取り組み状況の提出を義務付けておりまして、これまでの実績では3年間で約9%という排出量削減を実現しております。また、同じく条例に規定された再生可能エネルギー導入検討報告制度によりまして、一定規模以上の建築物に太陽光発電などの導入を後押ししてきました。こういった実績も踏まえながら、今後も横浜市生活環境の保全等に関する条例や新たに策定しました横浜市エネルギーアクションプランに基づきまして、市民・事業者のみなさまとともに、温暖化対策を進めていきたいというふうに考えております。


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