議会での質問・討論(詳細)
2015年10月14日

■政策局(古谷やすひこ)

筆舌に尽しがたい根岸米軍住宅内での生活

古谷議員:委員長、最初にスライドの許可、お願いします。
 日本共産党、古谷やすひこです。米軍施設・根岸住宅について、非提供地に住む佐治さんら居住者の現在の問題、また根岸住宅の返還後の跡地活用について、順次伺ってまいります。本日は、佐治さんご夫妻も傍聴に来ていただいております。どうぞ、よろしくお願いいたします。
 この根岸住宅は、今年の12月までを目途に、居住者の退去を終える方向で米軍が検討を進めているとの報道が出ました。もしそうであれば、返還実現に向けて大きく前進することになり、佐治さんたち居住者が日本国民として横浜市民として当たり前の権利をしっかり取り戻す大きな一歩となると思います。
 そこで、現在の根岸住宅がどうなっているかについて、いくつかのスライドをご覧いただきたいというふうに思います。
(スライド1)これがゲートです。今、1か所しかない入り口で、この先には銃を持った警備員が警備をしております。湾岸戦争の際は、佐治さんも許可書があったんですけど、入れなかったと、こういった状況もあったようであります。
政策局スライド1
(スライド2)これが、佐治さんのお宅の全景であります。ちょっと伺いますが、ここは横浜市なのでしょうか。

政策局スライド2

青木基地担当理事:横浜市の中区、磯子区でございます。

古谷議員:はい、横浜市なんです。
(スライド3)これは、お宅の裏側から見たところなんですが、こういった看板があります。
政策局スライド3
(スライド4)こういった看板に囲まれて、今、生活をされているという状況にあります。というのも、こういう看板がない時には、本当に庭をトイレ代わりにされたり、あるいは庭の桜の木を盗まれたり、子どもが軍関係者の車に押し込められそうになったり、こういった被害も全て今はうやむやになってしまっています。自宅前の道路に放置されたものを片付けてほしいと米兵に言ったところ、銃を突き付けられたこともあったというふうに聞いております。
政策局スライド4
 (スライド5)これは水道メーターですが、きちんとヨコハマ・ウォーター・ワークス・ビューローのマーク、横浜市水道局のマークがついています。
政策局スライド5 
(スライド6)これが境界杭ですね。佐治さんのお宅は本来、磯子区なんですが、行政的には中区に所属しているという中区民であります。これが磯子区と中区の境界線ということになります。
政策局スライド6 
(スライド7)これは裏側で、むき出しの崖地が今あります。これは先日、先週の様子で、南関東防衛局が崖が崩れないように擁壁工事をするということで、業者を連れているところであります。
政策局スライド7
 (スライド8)これは井戸なんですが、水道が引かれるまで使われていた井戸であります。これは、横浜市の災害応急用の井戸に指定されているそうであります。
政策局スライド8
 いま、写真でいくつか見ていただきましたが、今まで佐治さんご夫妻は、本当に筆舌に尽くしがたいひどい目に会い続けているというふうに私も思っています。米軍に囲まれて飛び地に住んでいるというような環境、これは、日本一の基地県の沖縄でもこんなところはありません。出入りは銃を持った警備員のいる一か所のゲートを通じてのみで、居住者といえども許可証を示さなければならない。その許可証を取るためには、定期的に履歴書や指紋押捺書、こういったものを提出させられます。もちろん、許可証のあるご家族以外は自由に出入りすることはできません。横浜市民として当たり前のごみ収集や水道の敷設、電話の敷設も許可が必要だったということであります。
佐治さんはマスコミのインタビューにこう答えられています。「私たちの代でこれを終わりにしないと、子どもに影響がいってしまう。外の人と同じように、生活、普通の生活をさせてほしい」、こう訴えられております。
佐治さんたちは、日本国民であり、横浜市民です。スライドにあるように、横浜市の水道メーターがついて、横浜市の水道局のもので、それはもちろん横浜市に支払い、また税金も横浜市に支払っております。
そこで、あらためて伺います。非提供地に住む佐治さんたちは、横浜の一市民として、通常の行政サービスを受けて、通常の市民生活が送られていると言えるのでしょうか。今日、傍聴に来られている佐治さんご夫婦に、ぜひお答え聞こえるように、お答えいただきたいと思います。

青木基地担当理事:非提供地は、周囲を米軍の提供地に囲まれているという特殊な状況でございますので、居住者の方々が日常生活のさまざまな制約を受けていると受け止めております。また、米軍関係の居住者が減ってきていることもあり、今後の生活の維持に強い不安をお持ちになっていることも認識しております。

古谷議員:今、あげたライフラインの確保であるとか、あるいは市民生活として当たり前の一つひとつを、今まで佐治さんたちは、自分で条約を調べて、直接米軍とも交渉をしてきました。そうせざるを得なかったからであります。本来は国や市が、当然市民の立場で米側に対応すべきものだったと思いますが、見解、伺います。

青木基地担当理事:非提供地の問題につきましては、日米安全保障条約および日米地位協定に基づき、国が米側に施設を提供したものであることから、国が責任をもって調整していくべきことと考えています。しかしながら、非提供地の生活環境の維持の観点から、本市としてできる範囲については、国や米軍と調整し、対応してまいりました。

古谷議員:非常に不十分だというふうに思うんです。やられていることも存じております。
 妻の佐治みどりさん、こう言っております。「人生の大部分の日常生活を制限された。こうした人権侵害が戦後60年以上もわたって続いている」「私の中では戦争は終わっていない。国は解決してくれず、どこの国が私たちを守ってくれるのか」と、こう訴えられています。こういう訴えについて、局長、所感、伺います。

小林政策局長:横浜市といたしましては、お住まいの方々の生活環境維持の観点から、できる限りの対応に努めてきたつもりでございますが、そうしたことについては、お住まいの方からすれば、今、委員がおっしゃったように、甚だ不十分であったというふうな指摘があっても仕方がないのかなというふうに思います。ただ、先ほど理事も申し上げましたとおり、日米安全保障条約および日米地位協定という枠の中で、横浜市ができることをやってきたものでございます。たとえば、非提供地の電気や電話線などのライフラインが災害などで断線した際に、事業者が速やかに米軍施設内に入って応急対策ができる仕組みを、米軍や事業者と調整して構築することなどもやってまいりました。ただ、これは、先ほども申したとおり、これで十分かどうかといわれれば、お住まいの方からみれば不十分であったということは推察するところでございます。

古谷議員:ありがとうございます。

米軍撤退後のライフラインは大丈夫か

古谷議員:8月11日付の神奈川新聞によれば、「米軍根岸住宅地区から今年12月を目途に、居住者の退去を終える方向で米軍当局が検討を進めている。来年以後も消防などの部隊は残る見通しだが、住宅地区としての機能は事実上なくなる形」と、こういった報道が流れました。私も先週、根岸住宅に入ってきましたが、文字通りガラガラの状態で、人の気配がありません。あるのは、引っ越しで米兵が残していった荷物と置き去りにされた猫。そんな中で、もし閉鎖となった場合、ライフラインを米軍経由で確保されている佐治さんたちの生活を守るために全力で対応していただきたいと思います。
また、ライフラインだけが問題ではありません。誰も手入れをしなくなった中の公園や道路やまた環境整備はどうしていくのか、またゲートは24時間人がいるようにするのか、米軍家族が捨てていった猫、たくさんいるそうです、これはどうするのか、解決すべき問題は本当に山積みだと思っています。
こういう時にこそ、ぜひ国や市の出番だというふうに思います。市民を守る立場で、先手を打って対応していただきたいと思いますが、局長の決意、伺います。

小林政策局長:米軍施設に起因する非提供地の環境対策は、先ほども申し上げましたとおり、日米安全保障条約および日米地位協定に基づき、国が責任をもって調整していくべきものと考えております。しかしながら、ライフラインの供給をはじめとする生活環境の維持につきましては、生活されている方にとって切実な問題でございますので、本市といたしましてもできる限りの対応をしてまいりたいと思っております。これまでも、昨年の8月、11月、および本年4月に国に対し重ねて文書要請を行うとともに、必要に応じ国や米軍への対策の申し入れや、職員が現地に赴くなど、できる限りの対応を行ってございます。今後も、今、委員ご指摘のとおりの予想をできるもの、あるいは予想をできないものといったことが出てくるかと思われますが、引き続き生活環境の維持のため、本市としての役割を果たしてまいります。

古谷議員:ありがとうございます。その中でも、特に水道の問題、ちょっと非常に重要だと思っています。水道は大丈夫かという不安が佐治さんからも寄せられています。もともとこの根岸住宅は385戸の米軍住宅があったわけで、その他の施設、小学校もあり、映画館もあり、いろんな施設があった中で、そういった前提で敷設されている米軍の水道管を通じて、佐治さんたちの水が供給されているということになります。それが、佐治さんたちご夫妻などの使用量と、新聞報道によれば消防の部隊が残るというので、そこで活用されると、水が使われるだろうと、こういったことなんですが。それではたして水質の維持ができるのでしょうかといいたいと思います。例えば、水質の検査を通常のペースよりも少し増やすなど、ぜひ不安を解消するような対応をしていただきたいというふうに思いますが、どうか伺います。

小林政策局長:水質の問題につきましては、国や米軍も認識してございまして、横浜市も交えた3者で対策について検討を現在行っているところでございます。横浜市も独自に水質検査を実施してございますが、さらに、今言われた回数を増やすこと、どういうことが適切かどうかはこれから検討してまいりますけれども、監視を強化していくとともに、引き続き国や米軍と協力しながら、その水質を確保していきたいと思っております。

古谷議員:ぜひ、毎日使う水ですから、ぜひ気を付けていただきたいというふうに思います。
副市長、元、佐治さんは自衛隊員で、元々は国を守るという任務についていた佐治さんが、今、国を相手に訴訟を起こさなくてはいけなくなったという事態です。それほどまで、横浜の一市民が、本当に想像を絶するような生活を強いられていたことについて、副市長の所感と今後の対応の決意、伺います。

渡辺副市長:非提供地にお住まいのみなさまが、現在に至るまで、さまざまな制約条件の中で、大変なご苦労をされていたと、そして、今後の生活の維持において大きな不安を抱いていらっしゃるということについて、私も認識しております。横浜市といたしまして、これまでも生活環境の維持という観点から対応してまいりました。私自身も、神奈川県基地関係県市連絡協議会として、関係省庁に要請する際や、あるいは防衛省の南関東防衛局長と別件も含めてさまざまな要望などで面談する際には、その都度、必ず国に対して適切な対応を強く要請してまいりました。今後も、国に対して粘り強く対応を求めていくとともに、本市としてできることについては、本市としてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

古谷議員:ありがとうございます。副市長、これは通告外ですが、根岸住宅はここから車で10分もかかりません。ぜひ、今の状況でどんな生活が強いられているのか、ぜひ市長に現場へ行っていただきたいというふうに思いますが、副市長、いかがでしょうか。

渡辺副市長:まず、この根岸住宅地区の非提供地にお住まいの方々の生活環境の維持・向上につきましては、国の制度や予算に関する提案要望書、毎年出しておりますが、こうした機会に、市長自らも国に対してしっかりと申し入れを行っております。また、私同様、市長が南関東防衛局長に面談する際にも、その都度適切な対応を要請をしております。市長には、昨年8月のゲート閉鎖をはじめ、随時、非提供地にお住まいのみなさまの実情に関する報告を行っておりますし、必要な指示を受けて政策局に対応をしております。今日また先生からお話があったことなどについても、状況については報告をいたします。

古谷議員:ぜひ、不安に寄り添うというのであれば、本当にここから10分もかかりませんので、ぜひ市長に現場に行っていただくことを、重ねて要望します。

跡地利用の検討は地権者の丁寧な合意形成を

古谷議員:続けて、根岸住宅の跡地利用の検討状況について伺います。この質問に先立って、根岸住宅地区の返還跡地利用調査業務委託の報告書を3年分拝見させていただきました。これが資料でございます。実に具体的な跡地利用の計画が地権者を中心に今、描かれているということですが、まず今検討されているその概要について、説明してください。

青木基地担当理事:地権者で構成されました協議会が取りまとめたまちづくり基本計画案は、当地区や周辺の現状をふまえながら、将来のまちの姿を検討したものでございまして、道路や公園などの基盤施設や住宅の配置など、土地利用の概要を示したものとなっております。

古谷議員:住宅地区であるとか、非常に住宅でも程度の差を分けるとか、あるいはいろんな本当に具体的なものが書かれています。中央道路をつくるんだとかっていうことも含めて、書かれているようであります。
 ところで、これだけの計画を、今地権者が180人いるというふうに聞いています。地権者の合意を得られているという認識なのか、また合意を得られない地権者に対してはどう対応していく方針なのか、伺います。

青木基地担当理事:委員ご承知のとおり、そのまちづくりには地権者をはじめ多くの方々の合意形成が必要になってございます。協議会ニュースですとか、活動報告書を送付するなどの情報提供を関係者に送っているところでございますが、現在のところ地権者の合意形成はこれからといったところが、状況でございます。今後は、その協議会の会員はもとより、現在参加されていない地権者の方の合意形成を図る必要もございます。また、その上で、周辺にお住まいのみなさまをはじめ、関係者の幅広い理解を得ることも必要になりますので、引き続きそうした観点からまちづくり協議会の活動を支援してまいりたいと考えております。

古谷議員:ぜひ、丁寧に合意形成していただきたいと思うんですが、この中身をみると、会議は丁寧に実にやられているなあということと、あと基地対策の担当の職員の方も毎回参加をされて、本当にご苦労されているなあというふうに感じます。
 ただ、180人いるうちのだいたい最近の参加者でみると10人位の中で会議が進んでいるということですから、これだけではなかなか合意形成はできないというふうに思いますので、ぜひ丁寧な合意形成、受けていただきたいというふうに思います。
跡地計画についての地権者などとの丁寧な合意形成とともに、現在住まわれている非提供地に住む市民の方の居住環境が損なわれないように、十二分に配慮して対応していただきたいと思いますが、再び副市長に伺います。

渡辺副市長:まちづくりを進めていくためには、先生ご指摘のとおり、地権者の合意形成は不可欠でございます。従いまして、円滑な合意形成が図られるように、引き続きまちづくり協議会を横浜市として支援をしっかり行ってまいります。
 また、非提供地につきましては、先ほどお答えしたことの繰り返しにはなりますけれども、お住まいのみなさまが大変なご苦労されていること、強い不安をもっていらっしゃること、こうしたことをしっかり胸に刻んで、今後も生活環境の維持の観点から、国に対して粘り強く対応を求めるとともに、横浜市としてできることについては横浜市としてしっかりと対応するということを重ねて申し上げさせていただきます。

古谷議員:よろしくお願いいたします。

池子米軍住宅建設計画は白紙撤回を

古谷議員:根岸住宅の問題も、もし閉鎖となれば、最終版となります。今まで苦難の歴史、これは埋め合わせることはできないかもしれませんが、その反省に今後の対応、ぜひ市民を守りきる立場でやっていただきたいというふうに思います。
 あわせて、根岸住宅がほぼ今使用されていないという状況ですから、引き換えになっている池子の住宅の新たな建設、これ必要ないというふうに思うんですが、改めて計画の白紙撤回、求めるべきだと思いますが、局長、伺います。

小林政策局長:根岸住宅の使用されてる使用されていないといったことについて、正式に国の方からは連絡を受けてはございません。いずれにいたしましても、根岸住宅のこととは関係なく、池子について国が進めていくというふうにおっしゃった上での全面返還ということだと受け止めております。

古谷議員:今のその回答だと、どちらの立場の回答なのかと思いますので、ぜひ、池子の方の立場に立っても、ぜひ発言していただきたいと思いますので、ぜひ市民の立場で国や米軍に対して主張していただきたいと強く述べて、質問を終えます。


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