政策/見解

2009年2月12日

横浜市立保育園民営化裁判・東京高裁判決について

2009年2月12日
日本共産党横浜市議団
団 長 大貫 憲夫

 2004年4月に行われた横浜市立保育園の民営化をめぐり、保護者が横浜市に対して民営化の取り消しと損害賠償を求めた裁判で、東京高等裁判所は1月29日、「早急な民営化は違法」とした一審の横浜地裁判決を取り消し、原告の訴えを退ける判決を下しました。
 原告側は、民営化によって、わずか3か月で職員が一斉に入れ替わり、子どもの混乱やけがの増加等保育環境が悪化、市側の説明が不十分であった等、民営化が児童の健全育成を義務付けた児童福祉法等に違反していると主張。一審判決では、「特別に民営化を急ぐ理由があったとは認められない」「少なくとも民営化後相当の期間にわたって相乗的な混乱が起こるであろうことは容易に想像できる」「民営化について大方の保護者の承諾が得られているとはいい難い状況」であり、「民営化を実施するとしたことは、裁量の範囲を逸脱、濫用したもので違法であると認めるのが相当」とし、横浜市に1世帯あたり10万円の賠償金を支払うよう命令しました。
 しかし、今回の高裁判決では、「条例の制定は、(略)抗告訴訟の対象である『処分』に該当しない」として訴え自体を却下し、民営化にあたって「転園を可能とする配慮もしていることなど」から、「移行期間及び保護者の理解等において必ずしも十分とはいえないものの、本件改正条例制定行為に違法のかどはなく、被控訴人らの有する利益を最大限尊重しているものというべき」として損害賠償も棄却しました。
 この高裁の判決は、詳細に実態審理して保育の実態に踏み込んで判断を下した一審判決を無視し、「条例改正の処分性」のみを重視したもので、いわば「門前払い」で判決を出すという暴挙です。また、2007年11月最高裁が大阪府大東市の保育園民営化に対してその上告を棄却して損害賠償を命じた判例に照らしても不当なものです。
 横浜市は、2004年以降毎年4園ずつ市立保育園の民営化を続けていますが、引継ぎ期間の延長や共同保育、アフターフォローの充実など、慎重に進めるよう改善しています。このことは、2004年の民営化方法を反省し、地裁判決を重く受け止めた結果ではないでしょうか。
 今回の高裁判決のもう一つの問題は、2007年12月の判決言渡期限予定日から2009年1月まで何の審理も行わず、最後の在園申立人があと2か月で卒園するという時期になってから、判断を下したことです。これは、実質的に最高裁判断を仰ぐ道を閉ざした極めて恣意的な処置といわざるを得ません。
 判決後、原告は声明を発表し、「『横浜市のやりかたは間違っている』という一審の判断が維持されず、本当に残念」「子どもと親のつらい現実を裁判所に理解してほしいと思っていた」「今回の判決は、保育の原理からかけ離れた横浜市の主張を追認しており、どう考えても、不当なもの」と訴え、最高裁に上告しました。
 日本共産党横浜市議団は、保育の実態に踏み込むことなく子どもや保護者の権利を矮小化した高裁判決は憲法や児童福祉法に反するものとして抗議するとともに、原告の子どもと親のようなつらい思いを二度と誰にもさせないためにも、これ以上の横浜市立保育園の民営化をやめさせ、子どもが大切にされる保育が行われるよう、力を尽くします。

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