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市一般職職員の給与条例改正案に対する討論

市職員給与制度の総合的見直しにより高齢層の給与水準が引き下げに

 私は、日本共産党を代表して討論します。
 市第88号議案 横浜市一般職職員の給与に関する条例等の一部改正は、市人事委員会からの報告及び勧告を受けて改定するものです。
その内容は、1,072円の公民格差を解消するために地域手当の支給割合を現行12.26%から12.57%に、特別給、ボーナスについては、現行4.15月を4.25月にいずれも引き上げ、2015年度から実施するとしています。この点については、臨時国会が開かれず通常国会に先送りされている国家公務員給与法の改正案が成立する前に条例制定をし、年内に差額を支給できるようにしたことは、積極的な姿勢として評価いたします。
 さらに、2016年度から地域手当の支給割合を、国が横浜市域に設定している16%に引き上げる点についても賛成です。
 しかし、今回の改定は、国の指導により、公民の給与水準の均衡を維持するため、地域手当の16%への引き上げ分に相当する給料月額を平均3.25%引き下げるとしています。その引き下げにあたっては、高齢層職員の給与水準を見直すことにより、世代間の給与配分の見直しを行うとし、国における給与制度の総合的見直しの内容に沿った改定を提案しています。この問題点について述べてまいります。
まず、1番目の問題は、高齢層職員の給与水準を引き下げ、世代間の給与配分の見直しを行うとしていることです。行政職員給料表にある1級、2級及び4級の係長級については平均改定率より低い率となり、3級の職員については平均改定率を上回る引き下げとなります。
3級の職員は38歳以上60歳までで3,928人おり、行政職約2万人の職員の中で占める割合が20%と一番多くいます。しかも38歳以上から50歳前半までで80%を占めています。この年代の職員は、経験豊富で後継者を育てるという立場もあり、そういう職員に対して給与を引き下げることは、モチベーションを下げることになり業務遂行にもマイナスとなります。
さらに高齢層職員の給与引き下げは、当然、生活水準の低下を招くことになります。この年代は、一般的には子育て、特に高校・大学などの教育費の負担、親の介護など家族を支えていくための費用がかかり、その点での配慮こそ必要です。
2番目に、3級の職員については、今回提案されている平均改定率を上回る引き下げをすることで、市の試算によれば、これから市の職員となる22歳大学卒で行政職員として3級で定年退職すると、現行の職員給与との比較で生涯賃金が224万円も引き下げになることです。これでは、退職後の生活設計を危うくすることは必至です。

従わないと交付税引き下げもありうると国が指導

3番目に、国の地方公共団体への厳しい指導があるという点です。国の方針を受けて、高齢層職員の給与を引き下げ、その分を若年層にあてるという手法をそのまま地方自治体に反映させることは地方分権という考え方にはなじみません。国が、それに従わないと交付税を引き下げることもありうると地方自治体に強く指導していることは看過できません。
4番目に、国が地方公共団体と国家公務員の給与比較については、国家公務員では指定職と言われる事務次官、外局の長官、審議官、内部局の長や外局の次長などはラスパイレス指数の比較としては含まず、対象を係員から課長までと限定しています。横浜市は局長級も入った行政職員の給与と比較してこのように指定職を除いた国家公務員より高いと言われるのは、比較の仕方が正しくありません。

労働基本権が制限されている公務員の労使合意は尊重すべき

以上述べたように、これらの問題点がありますが、今回の条例提案は、労働組合との合意に至ったうえでの提案と聞いています。
そもそも公務員は争議行為が全面一律に禁止され、労働基本権が大きく制限されています。一方で、公務員であっても憲法28条が保障する勤労権を有し、これに基づいて地方公務員法は、職員団体の結成と当局の団体交渉権を認めています。このような憲法上、法律上の権利に基づいて、職員団体が横浜市と交渉を重ね合意に達したことについては、議会が条例制定権を行使する場合でも最大限に尊重することが求められています。労使合意の内容に明らかな法違反が認められるような場合でもない限り、その内容を修正することは許されません。
この立場から、今回の条例改正には賛成をし、私の討論を終わります。