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■健康福祉局(白井まさ子)

白井議員:日本共産党を代表して質問します。よろしくお願いします。

介護離職ゼロ達成のためにも特養ホームの増設急げ

白井議員:安倍政権は、一億総活躍社会に向けた新第三の矢として、「介護離職ゼロ」を掲げています。現役世代が家族介護のために仕事を辞めざるを得ない、こういう状況、全国で年間10万人。これをゼロにするということが喫緊の課題ですけれども、本市での認識どうか、伺います。

鯉渕健康福祉局長:超高齢化社会を迎える中で、介護を理由に離職される方は国内で年間約10万人といわれております。本市では、今年度から3か年を期間とする第6期横浜市高齢者保健福祉計画介護保険事業計画に基づきまして、介護施設の着実な整備と在宅サービスの充実の両輪で、地域包括ケアシステムの構築に取り組んでまいります。また、介護事業が増大する中で、介護サービスを支える人材の確保についても喫緊かつ重大な課題と考えており、行政としてしっかり取り組んでまいります。

白井議員:しっかり取り組むということなんですが、そのための入所施設サービスのうち、低所得世帯でも入れる施設としての特別養護老人ホームの整備、重要だと思います。介護保険の現行2015年から17年の3年間の6期計画で、1年以内に入れるように年間新規300床整備するとしていますが、待機者約5,000人いて、希望に応えられていません。現行の計画整備数を上回るような整備が必要だと思います。
 そこで、予算関連質問での市長の答弁の中に、「介護保険第7期計画に向けて、国からの提案のあった国有地活用も視野に入れて、必要となる整備数を検討する」とのことでした。視野に入れている国有地を活用した特養整備とはどのようなものかを説明お願いします。

細川高齢健康福祉部長:国は、介護離職ゼロの実現に向けて、貸付日から10年間に限り国有地の賃料を地価の5割に減額して貸付を行い、用地確保が困難な都市部における特養等の介護施設整備を促進するとしております。すでに市内の活用可能な国有地リストも示されており、今後、利用候補地等を調整してまいります。

白井議員:特養を稼働するには、計画から整備まで3年かかると聞いていますから、18年からの7期計画に向けて、国有地活用を視野に入れているということで、すでに候補地もということで、整備を始めているということなんですが、急いでお願いしたいと思います。
 ところで、現行の6期計画の途中の来年2016年とそれから2017年はショートステイからの転換も行うとしています。16年が120床転換して340床にする、そして17年が120床転換して240床*にする。こういうことは、年間新規300床では間にあわない、希望に追いつかないということだと思います。1年以内に入れるように300床とした計画は、実質はすでに拡大しているわけですから、1年以内に入れるようにという整備水準にこだわる理由はもうすでになくなっています。もっと早めて、半年待たなくても入れるようにと改めるべきだと思います。どうでしょうか。(*は420床の間違い)

鯉渕健康福祉局長:現在の第6期計画におきましては、介護保険財政の影響等を考慮して、12か月以内に入所できる整備水準を維持することを目標に、目標整備数を定めております。今後は、新規、整備ともに特養建設のショートステイションの本入所への転換等によりまして、必要な定員数の確保を図ってまいります。

白井議員:現行の6期計画中でも実質増やしている、7期計画に向けても取り組んでいるわけですから、整備水準を見直して、早めていただきたいと思います。

国保料の低所得者対策は不十分

白井議員:続いて、国民健康保険についてです。
 保険料についてなんですけれども、社会保障・税一体改革で決まった低所得者に対する財政支援の強化策以降の公費追加はどうなっているんでしょうか。本市の介護保険料への影響はどうなのか、引き下げできたのでしょうか、伺います。

細川高齢健康福祉部長:介護保険料の公費を導入した27年4月から実施されている介護保険料の経過措置につきましては、この4月、今年度の保険料に反映される第1段階、第2段階の方についてもすでに実施をしているところでございます。

白井議員:実施をしてどうなったんでしょうか。

細川高齢健康福祉部長:平均でいうと概ね20%値上がりするものが、ほぼ前年度より若干上がりましたけれども、数パーセントの値上がりにとどまっておりますし、今後、もしこのまま予定どおり、平成29年度のさらなる消費税増税あれば、それを財源としたさらなる軽減措置が講じられますので、介護保険料について申し上げますと、その点については、低所得者の方については、1、2層でいえば第5期よりもさらに下がるような、そういうような状況になるということでございます。

白井議員:一人あたりの平均保険料額でみてみますと、2014年度が13万648円、15年度が12万679円、16年度が12万1,309円で、2016年度は高止まりということですね。伸びの抑制にとどまっているわけです。2015年度に低所得者対策のための保険者支援として37億円の公費が計上されましたけれども、うち4分の1は市の負担が伴いました。それによって5割軽減とか2割軽減の対象者は増やしましけれども、これまで軽減を受けていた人の保険料が下がったわけではないです。
 それでは、国保加入世帯のうち、所得200万円未満の割合、100万円未満の割合はどうか、伺います。
本吉生活福祉部長:本市の国民健康保険加入世帯のうち、所得金額が200万円未満の世帯の割合でございますが、27年6月の時点で加入世帯54万9,983世帯のうち、36万9,410世帯で67.1%の割合になっています。また、100万円未満の世帯の割合は25万3,244世帯で46.1%になっております。この所得でございますが、これは総収入から必要経費を引いたものでございまして、給与の場合ですと給与収入から給与所得控除を引いたものになります。給与収入の場合で約311万円、65歳以上でかつ年金収入しかない場合は320万円が所得金額200万円の方に該当いたします。100万円の所得金額に該当する方は、給与収入の場合約167万円、年金収入の場合220万円でございます。なお、国民健康保険加入世帯の平均世帯構成人員は1.59人となっております。

白井議員:本市の国保、構造的に低所得階の階層が多いということで、国の低所得者対策はまだまだ不十分だと思うんですが、局長、認識はどうでしょうか。

鯉渕健康福祉局長:国保の加入世帯の方たちはかなり低所得の方が多くなっておりますので、引き続き国には財政支援を強化していただくよう求めてまいりたいと考えております。

白井議員:しっかりと国に求めていただきたいと思います。
 一方で、中間所得階層の保険料軽減も必要だと思います。2014年度から、子どもがいる世帯に対する保険料減免が行われています。2013年度に保険料の算定方式が変更になったことで、子どものいる世帯の保険料、急増したために、悲鳴が上がって、その後とられた減免です。当初、当分の間とされていましたが、これしっかりと継続すべきですが、どうでしょうか。

鯉渕健康福祉局長:本市の28年度分の医療分と支援分を足した均等割額は、子ども一人当たり年間4万1,910円になります。このため、子どものいる世帯は子どものいない世帯と比べまして世帯の収入が同額であっても保険料負担が高くなることなどから、26年度より19歳未満のお子さんがいらっしゃる世帯に対して保険料減免を実施しております。この減免によりまして、28年度保険料の場合、16歳未満の子どもがいる多くの世帯で保険料が約2万7,800円、16歳以上19歳未満のお子さんがいる多くの世帯で約1万100円の保険料が軽減されます。この減免につきましては、多額の費用を要するということで当面の措置としておりますが、28年度も継続してまいります。

白井議員:多額の費用ということなんですが、国保の会計の中でやりくりすると多額という厳しいということもありますので、一般会計から繰り入れをして、継続すべきだと思います。よろしくお願いします。
 それでは、国では国保の都道府県単位化を決めていますので、どうなるのか、概要を説明してください。本市にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。

本吉生活福祉部長:27年5月29日に交付されました持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険等の一部を改正する法律によりますと、30年度から都道府県が財政運営の責任主体となり、安定的な財政運営や効率的な事業の確保等の国保運営に中心的を担い、制度を安定化することを目的としております。なお、横浜市も含めた市町村はこれまでどおり資格管理、保険給付、保険料の賦課徴収、保険事業など、地域におけるきめ細かい事業を担うこととされております。

白井議員:仕組み伺ったところで、保険料が下がるのか、上がるのかが注目されるんですけれども。
現在は各市町村が保険料率と収納率を独自に設定して徴収していて、今度は県が県全体の医療費見込みを立てて、保険料必要額を決めて、県が自治体の加入者数規模によって標準保険料率そして標準収納率を決めて納付金を求めるような仕組みになるんだと思うんですけれども。国が示しているのは収納率が88%、これに対応して市が90%となるような数字が示されているものも見ています。こうなると、本市の現在の収納率が92%ですから、本市の保険料は下がるのかと想定をするんですが、どうなんでしょうか。

本吉生活福祉部長:都道府県化につきましては、現在、国が検討中でございます。今、先生ご指摘のような案が出ておりますが、まだ実際に具体的なものが示されておりませんので、保険料が上がるか下がるかということは現時点では不明でございます。今後も国の動向を注視してまいりたいと思っております。

白井議員:保険料には注目をしていきます。
 ところで、国保法の第1条、法律の目的というところには、国保は社会保障だと明確に規定がされています。また、第4条の国及び都道府県の義務には、国の運営責任や都道府県の指導責任を規定しています。国が財政的責任を負う制度だということです。国保を直接運営している大規模自治体として、国にはどのように要望しているのか、伺います。

鯉渕健康福祉局長:国は国保への財政支援を強化する予定としておりますが、本市は国保事業の安定運営と低所得者層や中間層所得者層の保険料負担軽減を図るためには、それでも不十分ではないかと考えておりまして、国の負担のさらなる引き上げを、他の政令指定都市とともに要望しております。

白井議員:しっかりと、国の責任、求めていただきたいと思います。

一部負担金を導入せずに中3までの医療費無料化を

白井議員:続いて、小児医療費助成についてです。
 本来国が責任もって、子どもの医療費、無料にすべきところを、自治体任せにしているために、全国すべての自治体で独自に助成制度をつくってきました。通院の場合の対象年齢ですが、神奈川県が就学前までとしているために県内各自治体が独自に上乗せして、本市は昨年10月にやっと小1から小3まで引き上げたところです。
県内市町村の2016年度予算案では、7つの自治体はさらに対象年齢を拡大します。川崎市が小2から小3へ、秦野市と伊勢原市が小4から小6へ、三浦市が小5から小6へ、平塚市と小田原市と大井町が小6から中3へ。これによって、県内では中3までが5市8町1村の14の自治体、小6までが15自治体、小4までが1自治体、小3までが3自治体ですから、本市はまさに県内最低水準のままです。
 2017年度4月からの対象年齢拡大のためのシステム改修に7,000万の予算をつけているのですから、これまで強く主張してきましたように、中3までの拡大、そしてあわせて所得制限の撤廃、求められます。
 この際、「小児医療費助成」と呼ぶのではなくって、「子ども医療費助成」のように名称変更して、対象年齢引き上げる構えを見せていただきたいものです。どうでしょうか。

本吉生活福祉部長:本市は厳しい財政状況ではございますが、29年4月から対象年齢の拡大をするという予定になっております。具体的な拡大の内容につきましては、今後検討してお示したいと思っております。
 また、小児医療費助成事業の名称でございますが、平成7年から約、この名称で20年間使っております。この間、市民のみなさまに広く浸透しておりますので、現状では事業名を変更することは考えておりません。

白井議員:構えは聞いたんですけれども、現時点で拡大年齢を示すべきだと思うんですね。なぜ、示せないんでしょうか。

本吉生活福祉部長:先ほど局長からも答弁がありましたように、1学年増やすと5億円ほど新たに支出が増えると想定されております。従いまして、1学年ずつ増やせば2学年増やせば10億円ということになるわけですけれども、そうした対象幅の拡大とそれに伴う予算、そしてそれに充当する財源、こういったものを総合的に勘案していく必要があると思いますので、現時点ではまだ検討中というお答になるかと思います。

白井議員:議案関連質問の市長の答弁では、「厳しい財政状況だが」、今もそれおっしゃるんですけれども、「将来に向けて持続可能な制度となるよう、一部負担金導入を検討する」と言われました。まさに、本市の財政状況が理由ということです。
 では、現在、就学前までの県の助成制度は4歳から就学前まで一部負担金を課しており、通院は1回200円ですが、市が負担しています。この県の一部負担金相当額はいくらなんでしょうか。

本吉生活福祉部長:この事業は、県の補助事業により実施しております。20年10月に県は4歳児から就学前までの子どもを対象に通院1回200円、入院1日100円の負担を求める一部負担金を導入いたしました。本市ではこの一部負担金を導入しておりませんので、26年度実績では約2億6,000万を本市が負担しております。

白井議員:今後、市が一部負担金を検討するとなると、この額をもとにして、仮に小学校卒業までとすると、一定額が想定できるわけなんですけれども。2016年度の全体の助成額というのは、今の小3までで91億4,000万円。そして先ほどから1学年拡大すると5億と言われておりますので、ここから一定額が一部負担金で軽くなるわけですけれども。一般会計が1兆5、100億円という本市の財政規模からすると、負担金なしでは制度が持続できないほどの額ではないと思います。県内市町村どこでも負担金はとっていません。とらなくても、中3までも対象にして持続的な制度としているのではないでしょうか。
 市内の歯科の先生が、無料の年齢が引きあがると途端に受診が増えたと話されました。無料にする分、自治体の負担はありますけれども、早期受診・早期治療につながって、結果的に医療費抑制効果を示している自治体もあるわけです。
 ですから、実質有料化となる一部負担金は導入すべきではないと思います。
 それでは、生活保護以下で暮らす子育て貧困世帯が20年で2倍になったという研究結果が明らかになって、子どもの貧困が全国的に深刻化していることが浮き彫りになっています。市長は本市でも子どもの貧困対策計画を策定するとして、こども青少年局がとりまとめた計画の素案に小児医療費助成が位置付けられました。策定の当初は入っていませんでしたけれども、入ったわけです。まさに、子どもの貧困対策に資する制度だということです。制度の所管局としての局長の認識、どうなのでしょうか。

鯉渕健康福祉局長:小児医療費制度は、子育て支援策として重要な政策です。特に、低所得世帯ということで意識しているというよりは、一般施策の分類かなと思っておりますが、重要な施策ですので、今回も拡大についても検討するし、一部負担の導入についても検討してまいりたいということを申し上げております。

白井議員:計画策定にあたって、実態把握のために行われた市民アンケートの結果では、「医療費を支払うことが難しいために、過去1年間に子どもが病気やけがをした時に病院を受診しなかったことがある」と回答した割合が、回答者2,127世帯のうち2.3%います。そして、ひとり親177世帯では5.1%です。受診を控えている実態がもう明らかになっているわけです。窓口無料化の運動を進めている医師からは「貧困家庭では、窓口負担があることで医者にかかるべきなのに連れて行かない、医療ネグレクトともいうべき事態が起こっている」と指摘があります。
本市で受診のたびに一部負担金が必要となれば、本市がかかげた子どもの貧困対策に逆行します。年齢拡大と一部負担金とおっしゃるんですけれども、本市の貧困対策に逆行すること、これをどう考えるんでしょうか。

鯉渕健康福祉局長:決して逆行しているとは思っておりません。順次、小児医療費制度を拡大しながら、低所得世帯への配慮というものも検討課題かなというふうに思っております。