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■「議案関連質問」 あらき由美子議員(2016.9.6)

◎質問と市長答弁は次の通りです。なお、実際には、質問と答弁がそれぞれ一括して行われました。

あらき議員:私は、日本共産党を代表して質問いたします。
 質問に入る前に、今回の台風10号により被害にあわれたみなさま、亡くなられたみなさまに対し、心からお見舞いとお悔やみを申し上げます。そして、生活再建の手立てを政府がしっかりと一刻も早く講じることに期待して、質問に入ります。

「ごみ屋敷」問題の解決に向けて専門職員の配置を

あらき議員:まず初めに、市第69号議案、いわゆる「ごみ屋敷」条例についてです。
 この条例が提案されたのは、住居やその敷地内にごみ等をため込んでしまい、周辺住民の生活環境に様々な影響を及ぼしている、いわゆる「ごみ屋敷」が社会的に関心を集め、横浜市でもごみ屋敷をなんとかしてほしいという相談が寄せられていることが背景にあります。「ごみ屋敷」状態になると、そのごみを含む堆積物等による悪臭、害虫の発生、火災の危険性等の苦情が寄せられ、地域では様々な影響を及ぼします。
 横浜市は、これらの問題に対応するため、今年度、健康福祉局にごみ問題担当の専任係長と社会福祉職職員をそれぞれ1名配置し、各区の福祉保健課に窓口を一本化し、ケースごとに主たる支援課を決め、関係する局区が連携・協力して対応していますが、なかなか解決に至っておりません。
 現行の法令では対応できる範囲が限られており、解決が長期にわたって困難になっている事例がほとんどです。私たち議員にもごみ屋敷に関する相談が寄せられ対応していますが、簡単には解決できないことを実感しています。
私たち日本共産党市議団は今年の1月、ごみ屋敷条例を制定している京都市と大阪市を訪れ、問題解決のためにどういう視点を条例に盛り込むことが必要かなどについて、両市の担当課から直接話を伺ってきました。その調査結果などをもとに、条例策定にあたって市長に次のような申し入れを行いました。
 当事者に寄り添い福祉的な支援を条例の中心に据えること、そのための経済的支援を行うこと、当事者への支援や調査にあたっては人権を守り、十分にプライバシーに配慮するよう関係者の守秘義務を盛り込むこと、罰則としての過料はごみ屋敷の解決にはつながらないため盛り込まないことなどです。これらの提案は条例案に盛り込まれ、特に基本方針には当事者に寄り添い、福祉的な支援に重点を置いたことは非常に重要です。
 京都市では、ごみ屋敷状態を解決するために、ごみ屋敷状態にしてしまった人に対する支援を中心に取り組む必要があるということで、区長の元に対策事務局を設置し、総務課、庶務課、まちづくり担当、福祉事務所、保健センターなどの関係部署が区全体として取り組み、本庁の保健福祉局の専任担当職員2人が各区を支援・統括しています。これらの体制がごみ屋敷解決の鍵であると担当職員はおっしゃっていました。
 そこで、横浜市でも、市役所に対策本部や事務局体制をつくり、区役所に専門の職員を配置すべきと考えますが、市長の見解を伺います。
 正当な理由がなく、期限までに命令された解消措置が行われない場合は行政代執行することとなっていますが、強制力をもって一時的に解決したとしても、ごみをため込んでしまう根本問題は解決されません。大阪市では、代執行の規定はありますが、実際にはまだ一件も実施されていません。行政代執行の規定を盛り込んだのは、どういうケースを想定しているのか、伺います。

林市長:あらき議員のご質問にお答え申し上げます。
 市第69号議案について、ご質問いただきました。
 対策本部や事務局体制についてですが、現在、いわゆる「ごみ屋敷」問題については、健康福祉局、資源循環局、区役所などからなる検討プロジェクトを立ち上げておりまして、その中で今後の推進体制についても検討していきます。区の職員配置についてですが、今後の業務の状況を見極め、必要に応じて改めて検討してまいります。
 代執行を規定した理由ですが、基本的にはご本人の同意を得てごみを撤去することが望ましいと考えています。しかし、現実には、近隣の方々の財産のみならず、生命、身体に危害の及ぶ恐れがあるなど、撤去を行う必要がある場面もあり得ることから、規定しました。なお、代執行を行う場合であっても、根本的な問題の解決に向けた福祉的支援は継続して行う考えです。

子育て支援というならば小児医療費助成の一部負担金導入はやめよ

あらき議員:次に、市第45号議案、小児医療費助成制度の一部改正についてです。
 この議案は、子どもの通院医療費助成の対象年齢を現行の小3までを小6までに拡大し、拡大した年齢の子どもについては医療機関の窓口で一回上限500円までの負担を求めるというものです。現在、県内で一部負担金を導入している市町村はありません。
 私たち日本共産党市議団は、小6まで拡大することには賛成ですが、一部負担金を導入することには反対です。
 そもそも、小児医療費助成制度は、1995年10月1日の条例制定時から、無料です。その当時、「ここ数年の少子化傾向の中で、子育てを家庭だけでなく社会全体で支えていくようなシステムづくりが求められています。そこで、本市においても子育て支援の一環から乳児の医療費助成に取り組むものとした」と、無料化の導入理由を述べています。その無料で開始した理由と今回一部負担金を導入する理由にどのような違いがあるのか、市長に伺います。
 私たちは、助成の対象年齢拡大と所得制限廃止をこれまで何度も求めてきましたが、市長は「持続可能な制度にしていかなくてはいけない」と答弁してきました。
 小児医療費助成制度の予算額は、現行の小学校3年生までで91億4,100万円です。所得制限なしで中学校3年生まで拡大するために必要な予算は約152億円で、一般会計の1%です。所得制限なしで全額助成を中3まで実施しているさいたま市での負担率は1.2%です。県内では10市町村が所得制限なしで中3まで実施しています。横浜市が一部負担金を導入しなければ制度を持続できないというのは、自らの行政手腕のなさを市民に転嫁するようなものです。
 なぜ市長は「持続可能な」という言葉で無料化を投げ捨てるのか、横浜市より拡充した制度を実施している自治体も多いのに、なぜ横浜ではできないのか、市長の見解を求めます。
 2013年8月にこども青少年局が実施した「こども子育て支援事業計画の策定に向けた利用ニーズ把握のための調査結果報告書」によれば、小学生を持つ保護者に「子育てをしていて感じる悩み」という問いに対し、「子どもの健康」との回答は30%で、第3位の回答率でした。
 また、子育て世帯では年収500万円以上が60.9%を占めている一方で、5年前と比べると所得300万円以下の世帯が増えているとしています。
 いま、子ども6人に1人が貧困であると言われています。アベノミクスによる非正規雇用の拡大などで、中学校に経済的事情などでお弁当を持参できない子どもたちが増えています。
 大阪府保険医協会が府内の全公立小中高校を対象に行った調査では、2014年学校検診で受診が必要と診断された児童・生徒のうち、小学生の50.4%、中学生の69%、高校生の86.9%がその後受診していません。年齢が高くなると医療費助成対象でなくなる自治体が多くなるからです。まさに、受診抑制には経済的負担が大きく関わっていると考えられます。
 今までよりは窓口負担が減るとはいえ、低所得者にとって診察のたびの500円が大きな負担となるということを、市長は認識しているのか、伺います。
 そもそも、中期計画で「少子高齢化、生産年齢人口の減少」の問題を将来解決すべき課題として掲げています。その課題解決にむけて、子育て世代を横浜に定着させ増加させることが必要で、そのためには子育て支援を積極的に行うことです。県内市町村が、県の求める通院1回200円の一部負担金徴収を拒否し、一部負担金を取っていた湯河原町が廃止したのは、子育て支援を強めるためです。小児医療費助成制度に一部負担金を導入することは、子育て世代を定着・増加させるという政策課題解決と真逆なものです。現に、日本共産党市会議員団が行った市民アンケートや私が聞いた医師からは「小学校入学とともに医療費無料化の自治体へ転居する」と言っている方がいます。
 医療費助成制度は一部負担金を課すことなく無料で年齢を拡大することこそが、子育て世帯に選ばれるための必須な施策だという認識を、市長はお持ちではないのか、見解を伺います。
 横浜市は毎年黒字で、昨年度での決算での実質収支は60億円の黒字でした。日本共産党横浜市議団は今年度、新市庁舎整備をはじめ20街区MICE施設整備、議員の費用弁償と海外視察費の全額カットなどで一般財源は34.5億円を生み出せるとした予算組替動議を提案しました。これらの財源を使えば、一部負担金を導入することなく小学6年まで拡大する予算約15億円は十分確保できます。そのように検討をしたのか、市長の見解を伺います。

林市長:市第45号議案について、ご質問いただきました。
 条例制定時に無料化でスタートした理由と、今回一部負担金を導入した理由ですが、この制度は県が7年10月から一部負担金を無料とする制度を開始するのを見据え、それに先立って平成7年1月から開始しました。その後も、自己負担を無料とする助成対象を徐々に拡大し、27年10月からは通院助成の対象を小学3年生まで引き上げました。
 今回の拡大案では、厳しい財政状況の中、将来にわたって持続可能な制度とするため、新たに対象になる小学4年5年6年生のお子様については、自己負担を全額助成するのではなく、一定のご負担をお願いすることにいたしました。
 無料化で所得制限なしで中学3年生まで拡大することについてですが、今回の小児医療費助成の拡充にあたっては、他の指定都市の動向なども踏まえまして、将来にわたって持続可能な制度とするため、新たに対象となるお子様については一定のご負担をお願いすることにしました。厳しい財政状況の中ではありますが、市民のみなさまのご意見を参考に、優先順位をつけて、今回は3学年の対象年齢の引き上げに踏み切りました。
 一部負担金を導入することによる貧困家庭への影響についてですが、今回の拡大案では、新たに対象となるお子様は現在医療機関の窓口において3割を負担していますが、1回の通院の負担上限額が500円までとなることによって、これまでの平均的な負担額の3分の1程度となりまして、多くのご家庭の負担が軽減されます。また、保護者が非課税の場合、自己負担を無料にしますので、これまでよりも安心して受診できる環境を整えられると考えております。
 年齢拡大にあたって無料化もすべきとのご意見についてですが、厳しい財政状況の中、将来にわたって持続可能な制度とするため、新たに対象となるお子様について、全額を助成するのではなく、一定のご負担をお願いすることにしましたが、これまでよりも窓口負担額が軽減されますので、ご理解いただけると考えております。
 予算の組み替えにより小学6年生まで無料で拡大することについてですが、基礎自治体の役割としては、子育てや福祉など市民のみなさまの暮らしに直結する施策の充実はもちろんのこと、市内経済の活性化や防災上も重要な役割を担う新市庁舎やMICE施設などの骨格的な都市施設などへの投資も大切です。厳しい財政状況の中、将来にわたって持続可能な制度とするために、新たに対象になるお子様については自己負担を全額助成するのではなく、一定のご負担をお願いすることにしました。

第2質問
あらき議員:まず、小児医療費助成制度について伺います。
 市長は、市民税非課税世帯に一部負担金を導入しないことが所得の低い世帯に配慮した制度だとおっしゃっていますが、その市民税非課税世帯として、夫婦と子ども2人で年収256万円未満が想定されます。結局、一部負担金導入は、近年増えてきた300万円以下の所得の低い世帯に配慮したとは言えないと思いますが、市長の認識について伺います。
 持続可能なためにと何度もお答えいただきました。今後、横浜市といえども、生産年齢人口は減り、医療費助成制度の対象とする子どもの人数は爆発的に増えるとは言えません。都市基盤整備をいくら行っても、この横浜に子育て世代が定着しなければ、新市庁舎や20街区のMICE整備など、これらの都市基盤整備をしたことによる市債等の返済にも行き詰まることが、今、市長の答弁でもみえました。そうやって横浜に住み続ける人が減ってしまうのではありませんか。その点での市長の認識を伺います。
 湯河原町では、より子育てしやすい環境を整備するため、昨年7月1日から対象年齢を小学校就学前から小学6年生まで拡大し、一部負担金と所得制限を廃止しました。子育て支援というならば一部負担金制度はやめるべきです。市長の見解を再度伺っておきます。

林市長:あらき議員のただいまのご質問にお答え申し上げます。
 私は、子どもたちの教育については、基本的なことで、都市の持続的成長という堅い言葉ではございますけども、これも本当に子どもたちの将来にむけては必要なことであって、教育環境の充実というのはもう必須であるというふうに考えております。
 そして、小児医療費の問題も、これは本当に、まさに先生がおっしゃったように6人に1人が困窮した家庭に育っているという事実も私は本当に胸を痛めているところでございますが。しかし、これは全体最適というが、やっぱり横浜市全体でどういうふうに維持していかなきゃいけないという見地もやっぱり考えなくてはなりません。
 ですから、今回6年生までを無料にさせていただきました。これも、やはり全体の税収、今、先生たちが一番ご理解を賜っておりますけれども、横浜市の税収はけっして楽ではございませんね。東京都は非常に財政が、大企業も集中して非常に安定的ではありますけれども、横浜市は厳しい中で議論を重ねて、毎年毎年何とか予算編成しているところでございます。
 そういうことをすべて見渡した上で、決断をしていかなきゃならないということで、あらき先生のご意見、もう本当によく私は理解をしておりますけれども、今、一歩として、まず6年生までを拡大し、なおかつ今の税収を全体を見て500円の一部負担をお願いしたということでございますので、ぜひ、まずこれを進めさせていただいて、ご理解を承りたいというふうに思います。
 それから、経済活性化をさせていかないといけないというのは、こういう貧しいお子さんたちがいらっしゃるということを、横浜市がなんとして、やはり中小企業の方にも元気になってもらって、経済活性化をしていくことが、そういうことを助けていく一助になっていくんではないかと思います。

地元が反対する俣野小学校の統廃合はやめるべき

あらき議員:次は、市第50号議案、横浜市立学校条例の一部改正についてです。
 この議案は、戸塚区にある俣野小学校を廃校にして深谷台小学校に統合し、新たに横浜深谷台小学校とするものです。
 横浜市教育委員会は、この統廃合について、2012年の俣野小の児童数は138人、1学年1クラス、全校で6クラスという状況で、今後この学区に通う児童数がさらに減るという予測のもとから、「市立小中学校の通学区域制度及び学校規模に関する基本方針」にもとづいて、検討委員会で検討した結果を踏まえたものとしています。
 まず、統合対象の学校や保護者から、小規模校のため問題が起きているから統合してほしいという要望が出ていたのかどうか、教育長に伺います。
 小規模校では、先生がすべての子どもたちの名前と顔を一致して覚えていること、1クラスの人数が20人前後と少ないので、子どもの変化に気づきやすく、丁寧に教えることができるなど、良いところがたくさんあります。この点について教育委員会はどう考えているのでしょうか。むしろ、統合する一番の理由は、1校を廃校にすることで、水光熱費や事務費などで約3,000万円が削減できることを考えてのことなのかではないでしょうか。何を優先して統合を推進しているのか、教育長の見解を伺います。
 現在、俣野小の個別支援学級には4人在籍し、2人の先生が担当しています。統合されると、深谷台小学校ではなく通学距離の短い大正小に通うことになりますが、大正小では現在児童23人に5人の先生が担当しており、今の手厚い落ち着いた環境とは打って変わってしまいます。現在5年生の児童は、「あと1年で卒業するのだから俣野小に通いたかった」と言っています。児童も保護者も今回の学校統合については納得していません。
 個別支援学級に通う児童は環境の変化にとても敏感です。子どもが安心した環境のもとで学ぶという点を、統廃合によって保障できると言えるのか、教育長にその見解を伺います。
 今回の統廃合の議案は、8月5日の教育委員会で非公開で審議されました。教育委員会の審議は公開が原則です。市長の作成する議会の議案に関する事項などについては決議により非公開とするとなっており、今回はこれに基づき、決議で非公開にしたということです。当日、関係する保護者などが、自分たちの学校をどういう理由で統廃合にするのかを知りたくて、委員会の傍聴にきていました。
 教育委員会は、原則に則って公開で審議すべきです。議会提案に関する事項であっても、保護者らの知りたいという要求を無視してまで、非公開にする決議を行う必要はどこにあるのでしょうか。なぜ、非公開にしたのか、伺います。
 先日、私は俣野小と深谷台小に行ってきました。俣野小は畑や緑に囲まれた自然豊かな所にあり、地域の畳屋さんの協力で児童の更衣室などの畳は毎年新しいものに交換してもらっている、空き教室を利用した寺子屋があり、11人の地域のボランティアの人たちが毎週木曜日に放課後に来て、36人の低学年の宿題などを見て下さっているなど、地域のみなさんが支えているということがよくわかりました。
 そもそも、最初に統合ありきの基本方針が一番問題です。小規模校である俣野小の教育環境に問題があるとは思えず、俣野小PTAのアンケートでは統合に8割が反対し、児童や保護者、地域の人達は今の学校が大好きだ、学校をなくしてほしくないと言っています。
 児童・教職員・保護者・地域の方々の合意を得ず、統合ありきでスタートする基本方針そのものを見直すべきですが、教育長の見解を伺います。
 また、市長は、教育環境の整備という点から小規模校だから統合すべきという考え方で良いと考えているのか、所見を伺います。

林市長:市第50号議案について、ご質問いただきました。
 よりよい教育環境の整備が統合ありきでよいかとのことですが、今後の少子化の進展に伴いまして、様々な行政サービスが変化・発展していくと思います。教育におきましても、児童・生徒数が減少し、小規模になることが見込まれる学校については、本市全体の土地利用計画と連動しながら、今後の対策を検討していく必要はあります。
 地域に根ざした学校がなくなることというのは、非常に地域の方にとっても残念だと思います。生徒さんもそういう意味では寂しい思いをなさるという点もございますが、けっしてこれが、教育環境が悪くなるということではなくて、必ず教育環境が向上するためということで、私どもも取り組みますので、ご不安はあると思いますけれども、どうぞご理解を賜りたいと思います。
 将来的にも、横浜市全体の教育環境を維持していく、よりよい教育を提供していくためには、この学校統合が必要だと、私は考えております。

岡田教育長:市第50号議案について、ご質問いただきました。
 学校や保護者からの統合を求める要望の有無ですけれども、保護者からの統合を求める特段の要望はありませんでしたが、検討を開始した当時、学校からは、小規模であるため、教職員の負担が大きくなり、学校運営に課題がでているとの相談が寄せられておりました。
 小規模校の良さ、および何を優先して統合するかについてですけれども、小規模校は児童が少ないために1年から6年生までが一緒に活動する機会が増えます。反面、同学年での活動が限定されることになります。また、多様な個性と触れあえる機会も少なくなり、人間関係も固定化しがちになります。これは、学びあい、伸ばしあう機会を得られることが少ないということになります。さらに、行事やクラブ活動が限定されるという課題があります。横浜で学ぶ子どもたちにとって、一定規模以上の集団での学習や、多様性の中で学ぶことは、非常に重要だと考えています。教育環境や教育内容の充実を最優先して、学校統合を行ってまいります。
 個別支援学級の児童への配慮や環境確保ですけれども、個別支援学級の児童に対しては、障害特性に応じてきめ細かく対応できるよう、一般学級とは別に、法律で定められた教員定数をもとに、教員の配置を行っています。学校統合にあたっては、児童一人ひとりの障害特性に応じた指導や配慮を引き続き行い、統合に対する混乱や不安がないように、校長による保護者との面談をより丁寧に行います。さらに、必要に応じまして、中学校の選定についての配慮も行います。
 教育委員会での学校統合に関する審議については、条例改正に関連するものとなり、横浜市教育委員会会議規則第11条の「市長の作成する議会の議案に関する事項」に該当するものとして、過去の学校統合に関する審議と同様に非公開となりました。公開・非公開につきましては、教育委員会会議にて決定しますので、その決定は尊重しなければなりません。
 学校統合の基本方針を見直すべきとのことですが、本市では22年12月に横浜市立小中学校の通学区域制度及び学校規模に関する基本方針を定め、小学校では11学級以下を小規模校とし、適正規模化対策を進めています。検討にあたっては、通学区域の変更や弾力化等により対応し、その上で課題が解決できないと判断される場合には学校統合について検討を進めることとしています。今後も地域の実情を踏まえながら、教育環境や教育内容の充実に努めてまいります。
 以上、ご答弁申し上げました。

第2質問
あらき議員:次に、俣野小・深谷台小の統合についてです。
 まず、統合対象の問題について、学校から負担、課題が出ていると言いました。しかし、地域や保護者からは出ていませんでした。学校での問題があれば、深谷台小と一緒に行事等を取り組むことは可能です。この点では、認識が全くおかしいです。再度、この方針は見直して再検討するべき。教育長の見解を伺います。
 そして、5人の教育委員と市長は現地に行ってないと、それぞれの学校からも聞きました。保護者や地域が納得していない今回の事例については、当時者の意見を丁寧に聞くことこそ必要なのに、検討委員会の報告だけで統合を決めるというやり方は非常に問題です。しかも、検討委員会からの答申を受け、8月5日の教育委員会審議、そして9月に今日の議案提案、そして来年4月から統合スタートする。こんなに急いで進める根拠は、これまでの答弁を聞いてもひとつも納得がいきません。改めて、教育長と市長の見解を求めます。
 最後に、市長は現場主義といいながら、北綱島特別支援学校の時と同じで、現場に行かずに統廃合を決めるというのは、なぜなのか。また、教育委員会審議で、現地を見ていない5人の委員で統廃合を承認したことについて、教育長はなぜ問題ないと言えるのか。この点の教育長と市長の見解を伺って、私の質問を終わります。明快な答弁を求めます。以上です。

林市長:それから、小学校の統合についてでございますが、今、先生ご指摘のように、私は現地に伺っておりませんけれども、現場主義ということは少しも変わっておりません。しかし、私は、教育委員会というものを非常に大切にしておりますし、教育委員の意見、それから教育長の意見も聞いておりますし、われわれ経営責任職ともそういった協議も一緒にしているわけでございまして、今回の統合については、先ほども申し上げましたように、全体の教育環境を維持する、子どもたちの教育については必要なことであるという、そういった気持のもとに進めさせていただいているところでございます。しかし、先生がおっしゃったように、様々なご意見があることも承知しておりますけれども、しかし、これからの行政運営について、本当に子どもたちを基準にして、考えた上でございますから、どうぞご理解を賜りたい。以上、ご答弁申し上げました。

岡田教育長:3点の再質問をいただいたかと思います。
 ひとつは、保護者の方が賛成していないのに、なぜ統合を進めるかというお話でした。
 昨年の11月から12月にかけてだったと思います。先ほどあらき先生のご指摘があったように、保護者の方が保護者の方たちの間でアンケートをとりました。そのアンケートの結果をお持ちいただいて、ご検討くださいという話がありまして、内容はすべて見させていただきました。その時に、学校の課題解決が統合によって統合に寄って解決されると思いますかという問いに、そうは思わないと回答されてた方が、ご回答になった方の78%位だったと思います。また、他の項目をみても、苦しい中で教職員はがんばっているなという感じが非常によくわかるアンケートの内容でした。
 それを見まして、本当に学校の課題解決のために統合しかないのだろうかということも、当然考えまして、これは検討委員会、もちろん制度にもとづく検討委員会ですけれども、それとは別に保護者の方のご意見を少し丁寧に聞かなきゃいけないということで、保護者説明会を別途開催をさせていただきました。非常に多くの回数をさせていただきましたけれども、そのアンケートに書いてあった内容の解釈の様子ですとか、それからなかなか発言しにくい保護者の方もたくさんいらっしゃいまして、そういう方たちから実はという話もたくさんちょうだいいたしました。
 その中で、やはり子どもたちのためにこんなに閉塞した環境の中で子どもたちが育っていくことにいいのだろうかということに疑問を感じていらっしゃる方もたくさんいらっしゃることもわかりました。そして、いろいろな丁寧な説明をしていく中で、やはり早く子どもたちの交流や先生方の交流を始めて、統合することがいいのかどうかをきちんと見極めたいと思いまして、それもさせていただきました。
 今、統合されたあとの学校も、その後、私は何校か訪問させていただきました。ただ、そういう状況の中から、あるいは保護者の方の生の声を職員たちが直接いろんなたくさんの保護者からご意見をちょうだいする中でも、やはり統合すべきだと判断をいたしました。それは、子どもたちのこれからの成長のために、やはり一定規模の集団の活動が、子ども同士が伸びあっていくことにとっても意味があるということから、統合して一定の集団をつくることで、横浜の教育は進めていこうというふうに判断をいたしました。
 それから、交流の方法は他にもあるというふうに、先生からご質問あがって、統合だけなんでしょうかという疑問のご質問がありました。もちろん、距離の問題もありまして、子どもたちがとても通える状況にない学校を、人数が少なくなったからといってすぐ統合ということにはけっしてなりません。やはり、周辺の状況、今2キロ圏内歩いて行けるというのが大原則としておりますので、やはりその距離の中でちゃんと通える学校があるということを前提に、統廃合の問題は検討しておりますし、そこはきちんとみていかないといけない。また、そういう少し近くに学校がないところで、児童数が減ってきた時の交流のあり方も一方できちんと検討していかなければいけないというふうには思っております。
 それから、もう1点、3点目ですが、教育委員の方々が直接統合校を見に行っていないのに、こういう議論をしていて大丈夫なんでしょうかというご質問でした。教育委員会の方々は、もちろんいろんな学校にはいらっしゃっていますけれども、この2つの学校の統合校としての視察は行っておりませんでした。ただ、新規に設置した検討委員会の報告は、さまざま上がっていりますし、また請願審査などで報告を受けて地域の様々な思いは十分承知している上で、審議をさせていただきましたので、必ずしも現場に足を運んでいないから、状況がわかっていないということはありえないと思います。
 以上、ご答弁申し上げました。

運河を埋め立て、大資本に提供することに公益性があるのか

あらき議員:最後に、市第52号議案、公有水面埋め立てに関する意見提出についてです。
 この議案は、神奈川区の東高島駅北地区にある国所管の0.9ヘクタールの運河を埋め立てて宅地化することが、業務機能等を支える新たな拠点づくりを推進するために必要であると、市長が意見表明し、埋立事業を推進するものです。
 この周辺では、土地区画整理組合準備会によって約7.5ヘクタールの街区で地区区画整理事業再開発計画が進行中です。その計画の中心は、日本貨物鉄道と三井不動産による、約2.7ヘクタールの土地を利用した49階建高さ185メートルの超高層マンション3棟、約2,000戸の建設計画です。
 2003年に策定された「神奈川区まちづくりプラン」は、概ね20年後を見据えた神奈川区におけるまちづくり方針を示しており、複合市街地の工業・流通業務地の整備方針として「工場や物流倉庫など操業環境の維持を図る。土地利用転換に際しては、計画的な再整備を行い、新たな産業の集積を促進する」と明記しています。東高島駅北地区は、この工業・流通業務地に指定されています。
 さらにこのプランでは、同地区は「新たなまちづくりを検討する地区」に指定され、その方向性として「地区や周辺の環境資源を活かすまちづくりを図ると共に、周辺の開発に連動した段階的なまちづくりを進めます」とされています。 
 マンション建設事業は、プランがいう集積を図る「新たな産業」ではありません。また、貴重な運河を埋め立てることは「環境資源」を「活かす」のではなく、「壊す」ことです。今回の運河埋め立ては、市民と行政が協働で作り上げた神奈川区プランを無視した計画であることは明白です。市長の見解を伺います。
 同マンション計画の敷地の約3分の1が運河埋立地です。市による埋立事業はマンション用地を提供するためといっても過言ではなく、大企業に巨額な利益をもたらす開発に便宜を与えるだけです。横浜市が埋め立てるのは、この運河とほぼ同じ面積を有する運河につながる河川域をも埋め立てて、宅地化します。
 運河や川を市の事業として埋め立て、民間巨大資本に住宅用地として提供するこの計画のどこに公益性があるのでしょうか。市長の見解を伺い、第1回目の質問といたします。

林市長:市第52号議案について、ご質問いただきました。
 東高島駅北地区の計画と区マスタープランの整合についてですが、当地区は15年12月に策定した同プランで新たなまちづくりを検討する地区に位置付けられております。それを受けた16年3月の東神奈川臨海部周辺地区再編整備計画においては、就業、居住空間が融和し、運河などの親水空間を含む魅力的な複合都市空間の形成を図るとしておりまして、これらの計画にもとづいて進めています。
 市施工で埋め立てを行う理由についてですが、土地区画整理事業と埋立事業を一体的に進めることで、埋め立てた土地を地区内の道路や公園、横浜駅周辺地区の浸水対策としての雨水排出ポンプ場、多言語環境を備えた医療施設用地などに活用いたしますので、公共公益性が十分にあると考えております。
 残りの質問については、教育長より答弁させていただきます。