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■国際局(かわじ民夫)

かわじ議員:かわじ民夫です。日本共産党を代表し、質問します。委員長、スライド許可をお願いいたします。

貧弱な平和推進事業費の拡充を

かわじ議員:まず、それでは、国際平和の位置付けと役割についてです。
 横浜市は昨年、国際局を創設し、今年2月に横浜市国際戦略を策定し議決しました。議決後初めての決算特別委員会ですので、その基本的な考え方、特に国際平和について質問していきたいと思います。
 横浜国際戦略の目的では「より強力かつ効果的に国際事業を推進していくことが期待されている」としています。そして、国際事業の一つに国際平和への貢献があります。そこで、本市の国際戦略における国際事業とはどのような事業をさすのか、また、国際平和をどのように位置付けているのか、伺います。

関山国際局長:国際戦略に関しては、都市間連携や国際協力、多文化共生などの国際局事業にとどまらず、世界とともに成長する横浜の実現に向けた各局統括本部の事業を広く国際事業と捉えております。国際平和の位置付けにつきましては、横浜市国際戦略第2章、時代を開く自治体外交におきまして、昭和62年の国際連合からピースメッセンジャー都市の称号が与えられたことを踏まえ、本市が国際都市として発展していく中で、相互理解を促進し、国際平和に寄与していくと位置付けております。

かわじ議員:国際平和をどのように発信していくんですか。

関山国際局長:国際平和を発信していくということはですね、ただいま申し上げましたとおり、ピースメッセンジャー都市に指定をされた、その時の横浜市として位置付けた、あるいは背景というものがございます。それは、ただいま申し上げましたとおり、横浜市は都市連携や国際協力、そして多文化共生などの幅広い事業を各局・区あわせて一体となって事業展開をしながら、それによって国際平和、それから平和と繁栄についてアピールをしていくという考え方であります。

かわじ議員:国際平和としての明確な位置付けが、私は弱いのじゃないかなと思います。
国際局スライド1 それでは、スライドをご覧ください。
 これ(スライド1)は、2006年3月に策定され、2007年6月に改定された横浜市海外都市との都市間交流指針の表紙です。副題に「世界の平和と発展に貢献する都市をめざして」とあります。
 (スライド2)そこに示された都市間交流ビジョン達成のフロー図です。平和に関する取り組みを赤線で囲みました。国際協力・平和事業が柱に据えられ、「アジアの平和と発展に貢献する都市」を中期目標に位置付け、「世界の平和と発展に貢献する都市」を長期目標としています。
国際局スライド2 
 これ(スライド3)は、2016年2月に議決された横浜市国際戦略に示された国際事業を推進する意義です。国際平和の文言が添え物にあるだけで、国際平和の事業がイメージできません。
国際局スライド3 
 国際局の資料によれば、国際平和推進事業関連予算では、横浜市海外都市との都市間交流指針が策定された2007年が363万円、横浜市国際戦略が策定された2016年度は27万1,000円です。2016年は2007年の金額ベースで7.5%に後退です。なぜ、こんなに予算が少なくなったのですか。

関山国際局長:横浜市といたしましては、まず、ただいまスライドでご紹介いただいたように、まさに、かねてから一貫して幅広い国際事業を展開することで、世界の平和と繁栄に貢献していくということで位置付けております。そして、予算でございますが、こちらの方は、いろいろその事業の組み方なども影響していると思っております。

かわじ議員:よくわかりませんね。
 国際戦略では、国際事業を推進する意義について、本市が都市として持続的に成長していくための投資としています。経済的な国際交流戦略が中心で、国際平和の位置付けが大きく後退しています。ピースメッセンジャー都市の称号にふさわしく、国際平和の位置付けを高めるべきと思いますが、再度伺います。

関山国際局長:ピースメッセンジャーにつきましてはご説明をさせていただきますけれども。1987年、昭和62年に国連から認定を受けたわけですけれども、その際の国連からの認定理由は、その前年の国際平和年に、横浜市が横浜市の国際事業を展開したということに関して、それを理由に送られたものでございます。ですので、その昭和62年、認定を受けた際も、横浜市はその幅広い国際事業を今後も展開していく、その意気込みをメッセージとして公表をしております。現在もそのとおり実施をしております。

かわじ議員:国際局が設立されたのに、逆に国際平和の推進事業が後退する、懸念しています。
 質問する前に、もう回答を述べられたので、質問、次に行きます。
 ピースメッセンジャー都市が、都市の称号が、本市には、都市の国際平和が背景にあったことが、今、局長の話の中にあったと思います。やはり、国際平和の事業をやっていたから、だからそうした称号が与えられたものだと思います。
 横浜市国際戦略が議決される際、市長は本会議答弁で、「ピースメッセンジャー都市として、また平和市長会議の一員として、平和啓発事業、都市間交流や国際協力を通じ、国際平和の実現に向けた取り組みを行い、世界にアピールしていく」と述べています。この間の平和啓発事業はどんなものがあったのか、これからどのようなことを考えているのか、伺います。

関山国際局長:国際機関や市民団体のみなさまとの連携によりまして、平和啓発に向けた事業を進めております。27年度の主なものといたしましては、毎年開催をいたしております横浜国際フェスタでの国際平和をテーマにしたピーアール、国連UNHCR協会、国連難民高等弁務官事務所でございますけれども、このUNHCR協会の国連難民支援キャンペーンへの協力等がございました。また、市民のみなさまが実施をする国際平和美術展や国際平和映像祭では、メッセージや賞の授与などで貢献をいたしました。

かわじ議員:それでは、2015年度の国際平和推進事業の決算額と事業内容を説明してください。

赤岡副局長:局長からご答弁させていただいましたように、国際平和に関連した事業は、地球規模の課題解決に取り組む国際機関、国連機関への支援ですとか、諸々の事業を通じて、平和に貢献していくという事業がございます。
 先生のおっしゃる国際平和推進事業というくくりの事務費的な事業についての決算額を申し上げますと、そこの部分の決算額は5万7,600円でございまして、これは「横浜国際フェスタ2015年」のブース出店によって本市の取り組み等をご紹介したものでございます。

かわじ議員:予算では27万1,000円とありましたが、その違いは何でしょうか。

赤岡副局長:この差につきましてですね、ピースメッセンジャー都市に横浜市はなっておりまして、国際協会というものに加入してございます。毎年の負担金というものがございます。それを予算計上させていただいておりますけども、27年度は協会側のご都合で請求の事務が滞ったそうでございまして、私どもとしてはその部分が不用になったというのが主なものでございます。

かわじ議員:参加費の納入が遅れたっていうことですね。

横浜市の平和推進事業予算は川崎市の1/8、藤沢市の1/53

かわじ議員:それでは、もう一回スライドをご覧ください。
 これ(スライド4)は、神奈川県が作成した県内の非核宣言自治体の2015年度非核・平和関連施策一覧から予算額を抜粋したものです。横浜市会は1970年12月に平和都市宣言に関する決議を、そして1984年10月には非核兵器平和都市宣言に関する決議を行っています。
国際局スライド4 予算額は、そこに出ている予算額は人口規模や予算規模などいっさい無視した、予算額そのものの比較です。表の左上の赤字が横浜市で、27万1,000円です。川崎市は213万円、横浜市はその8分の1です。相模原市355万円で、横浜市はその13分の1、藤沢市の1,400万円で、横浜市の53倍です。
 このスライド(スライド5)は、表をグラフにしたものです。人口規模や予算規模を加味したら横浜市の非核・平和予算規模が一層貧弱になることがわかります。
国際局スライド5 
 1,400万円の藤沢市では、「平和の輪を広げる実行委員会事業」で小・中・高生を対象に平和学習・長崎派遣事業、小学生と保護者を対象にした「親子記者・広島派遣事業」などを取り組み、隣の川崎市では平和啓発事業が213万円、平和館事業運営費、この表にはないんですけども、7,830万円とのことです。それぞれの自治体が非核・平和を宣言し、市民に平和啓発をアピールしています。
 県内自治体と比較してみると、ピースメッセンジャー都市の称号を付与されている横浜市の非核・平和事業がかすんできます。あまりにも恥ずかしい状況です。平和に関する決議を2回行っている議会を軽視しているとも言えます。
 そこで、議会決議を尊重し、市民への平和アピールを強め、国際平和事業を強く発信し、ピースメッセンジャー都市としての役割を果たすためにも、国際平和や平和推進事業の位置付けを高めるべきと思いますが、いかがでしょうか。

関山国際局長:多彩な姉妹友好都市交流、地球的規模の課題解決に向けた活動を行っている国際機関の誘致・支援などの実績が認められまして、国際連合からピースメッセンジャー都市の称号を受けた事実がございます。この経緯を踏まえ、国際交流、国際協力などの国際事業に取り組む、それが横浜の、いえ、世界の平和と繁栄に貢献していく。この考えのもと、今後も取り組みを引き続き強力に進めてまいります。

かわじ議員:これまでの話を聞いていると、ピースメッセンジャー都市という言葉が何回も出てくるんですけども、国際平和っていうことの活動よりも、どちらかというと国際協力っていうことが前面に出て、国際平和はその後景にやられているように感じます。
 国際平和事業の推進・強化は、ピースメッセンジャー都市の称号を与えられている本市の責務だと思います。そこで、本市も、日本非核宣言自治体協議会への加盟、広島・長崎市主催の平和式典や原水爆禁止世界大会への市民代表の派遣、また横浜大空襲の5月29日を「平和の日」に設定するとか、市庁舎に非核都市宣言のポールの表示や平和推進事業を積極的に展開するなど、事業を拡充すべきだと思うが、どうでしょうか。

関山国際局長:国際事業全般につきましては拡充の方向で国際局としては考えていきたいというふうに思っております。
 そして、ただいまのご質問の冒頭にございました非核宣言などの話につきましては、本市は世界の都市が連携し、2020年までに核兵器廃絶を目指す平和市長会議の一員として、広島市や長崎市と連携しながら活動をしております。これまで一貫して核実験を実施した国への抗議も行ってまいりました。引き続き、各都市と協力をしながら、核兵器の廃絶には、それに向けて取り組んでまいりたいと思っております。

かわじ議員:ピースメッセンジャー都市の称号が与えられ、付与された都市です。あまりにも寂しい平和推進事業について、市民はやっぱりがっかりしていると思います。そういう意味では、やはりこの位置付けを強めるべきではないかと思うんですが、副市長の見解を伺いたいと思います。

渡辺副市長:今回、というか、今年の1月に議決をしていただきました国際戦略におきましても、もちろん横浜市は国際平和に貢献をしていくということは明確に打ち出しをしておりますし、今、国際局長がご答弁いたしましたとおり、北朝鮮の核実験あるいはミサイル発射などに対しては毅然たる態度で強く抗議もしております。
 それから、これ一部私の私見も入るかもしれませんが、第二次世界大戦後の平和を脅かすリスクというものは、イデオロギーといったようなものもあったと思いますが、東西冷戦に代表されるようなですね。ただ、今はやはり世界の平和を犯す、脅かすリスクというのは大変複雑化をしていると思います。地域間紛争であるとか、宗教の問題であるとか、またその背景にはいろんな地域で、たとえば経済的な格差があって、都市環境が悪くて、どこかのエリアで不満が高まって、それが地域間紛争、民族間紛争につながるといったような面もあると思います。
 そうした点では、やはり、横浜市が、たとえばWFP(国連世界食糧計画)のようなものを誘致をして、横浜に立地をされて、そこに支援をすることで、世界の飢餓について協力をする、あるいはY-PORT事業で横浜が戦後乗り越えてきた課題を市内の企業の方と一緒にそうした新興国の深刻な都市課題についてしっかり協力をしていくこと、こうしたことも全て新しい時代の国際平和を脅かすリスクを少なくするためにきわめて大事な予算であるというふうに思っています。従って、このグラフがどういう基準でこれ分類されたか、私わかりませんけれども、けっして横浜市がそういう点で劣っているとか、非常に姿勢が弱まったとか、そういうことではないというふうに思っております。

かわじ議員:私は都市間交流そのものが平和に逆行しているっていうふうな、けっしてそういう立場ではないんです。そういうものももちろんやりながら、かつて一定の規模の事業をやっていたのが、なぜこんなに少なくなったのか、これはやっぱり額面からみたら、そこに現れているんじゃないか。思います。

外国人にとって暮らしやすいまちづくりを

かわじ議員:次は、外国人にとって暮らしやすいまちづくりについてです。
 国際局は国際的なまちづくりを目指し、在外外国人にとって暮らしやすいまちづくりのために、在外外国人の意識調査やニーズを把握するためにアンケート調査を実施したわけですが、結果をどのように受け止め、また対応してきたのか、伺います。

関山国際局長:平成25年度に実施をいたしました横浜市外国人意識調査では、外国人による地域社会活動への参加意欲が高い、最も困っていることは日本語の不自由さで、その学習意欲が高い、東日本大震災では母語による情報の不足が最も不安だったといった状況が明らかになりました。
 調査結果は、横浜市国際交流協会YOKEとともに実施する日本語学習支援事業の推進や、災害時における外国語対応の充実に向けた取り組みなどに生かしております。また、さまざまな施策を検討する際の基礎的な情報としても活用をしております。

かわじ議員:これは、特異な例かもしれませんが、私の地元の友人が「いやな思いをした、あまりにもひどい」という訴えをしました。友人の奥さんは中国人です。友人は、健康診断している医療機関に「妻が中国人なので配慮してほしい」と言ったにもかかわらず、レントゲン検査では双方が相当苦労したらしく、終了後、医師から「来年はもう来なくていいから」と言われ、妻は「あまりにもひどい、これが中国人に対する態度だね」と、怒りを述べていたとのことです。そして、受けた感情が母国の人達に否定的に伝わることを憂いていました。
 外国人にとって暮らしやすいまちづくりを目指している中で、ちょっとしたことが否定的な風評になったらということを懸念しています。見解をお聞かせ下さい。

関山国際局長:外国人の社会生活の様々な場面におけるコミュニケーションについて、多様な角度からの支援が必要になっているということは認識をしております。日本語学習の支援、あるいは通訳ボランティアのみなさんの協力、生活情報の多言語化、こうしたことにこれまでも取り組んでまいりました。今後も引き続き取り組むとともに、そのピーアールにはさらに力を入れていく必要があるというふうに考えております。