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横浜市の2017年度予算案の発表にあたって

2017年1月31日
日本共産党横浜市会議員団
団 長 大貫 憲夫

 林文子市長は1月31日、2017年度横浜市予算案を発表しました。本年8月には市長選挙が行われます。しかし、予算は骨格予算としていません。新市長の裁量発揮の余地はありません。
 一般会計は1兆6,459億円(前年度比8.7%増)、特別会計と企業会計の全会計総計で3兆5,709億円(純計2兆8,605億円)です。一般会計の増額は、県費負担教職員本市移管(1,510億円)によるものです。  
大型公共事業では高速道路333億円、国際コンテナ戦略港湾63億円、新市庁舎64億円を投じます。歳入では、個人市民税、給与所得の納税者増で60億円増の3,003億円、一方、法人市民税は、企業収益の減少により62億円減の501億円です。アベノミクスの破たんは、横浜経済でも免れません。
 党市議団が取り上げ市民の声と運動のひろがりのなかで実現した市民要求は、子ども貧困対策としての「子ども食堂」創設支援・寄り添い型学習・生活支援事業の拡充、学童保育クラブの分割・移転か所数の増加、日本語支援拠点施設の開設、防災ベッド・シェルター補助数の引き上げ、地域防災拠点での炊き出し機材等の更新、がん検診個別勧奨数の大幅増、区役所での困難を抱える若者相談体制の拡充などです。
林市長は「いじめ対策や通学路の安全対策、子どもの貧困など喫緊の課題への対応や、将来を見据えた投資もしっかり行う」としています。「国が推進する一億総活躍社会の実現などの取組と緊密に連携」と明言しているように、アベノミクスの地方における忠実な実行者を地で行っています。
 安倍政権は、国際競争力の名のもと、地方自治体に、大企業のもうけのための大型開発と「規制緩和」を押し付ける一方で、住民の福祉とくらしの破壊、学校など公共施設の廃止・集約化、公共施設整備と運営の民間依存をすすめ、地域経済の低迷に拍車をかける政策を実行しています。この政策の横浜市政への一つ一つの表れに対して正面から対決して、市民とともに転換を勝ち取るために党市議団は、全力を尽くします。以下予算案の特徴の一部を挙げます。
●子ども・子育て支援では、保育所等の新規整備数は3,042人枠です。その内、認可保育所整備は、1,655人です。国の対策として、保育士の賃金がアップします。学童保育所は、4か所新設、分割移転支援は33か所、支援員処遇改善が国策で図られます。小4から小6に拡大した小児医療費助成(通院)は前年度比9億円増の101億円です。
●教育では、教職員定数の決定権限が県から市に移管します。新年度定数は16,142人で、国の法定定数(市試算)15,860人を329人上回っています。現在、小1、2で実施されている35人学級の拡大はありません。移管に伴い、教職員給与水準が低下しないよう監視が求められます。中学校での横浜型配達弁当(ハマ弁)の全校実施に、5億円投じます。市教委は2割の生徒が注文すると試算していますが、前年度の実績(12校、7月分)は、1.1%の喫食率に留まっています。横浜市立大学への運営交付金は前年度比1億円減の125億円です。
●福祉では、特別養護老人ホーム整備は、着工300床、継続300床と例年並みです。相模原市の山ゆり園の事件をうけた対応として、184か所の障害者施設にカメラ等設置の防犯対策として1.5億円充てます。市民要望の多い国民健康保険料、介護保険料、医療費の減免拡充は前進がありません。
●中小企業・雇用では、中小企業融資事業の融資枠は前年と同額の1,400億円。MM21地区等への誘致企業への助成金は26億円。商店街振興策は増額したとはいえ2.5 億円足らずで、置かれた窮状を打開するには不十分です。横浜駅西口で外国人向けの高層ビル整備事業3億円など特区推進事業には、総額7億円を投じます。
●施設整備費では、新市庁舎、高速道路、港湾などの大型開発事業のまい進ぶりが際立っています。老朽化が進行している公共施設の保全・更新への戦略的対応は欠如しています。有力なカジノ誘致先とされている山下ふ頭の再開発を推進します。特別会計として133億円計上しています。前年度と同額の0.1億円でカジノをふくむIRを継続検討します。
 市営住宅など公的住宅提供は、前年度比2億円減の22億円です。子育て世帯向け賃貸住宅は187戸新規認定で家賃補助は521戸となるものの、市営住宅の新規建設はゼロです。新たな課題として急浮上している大規模団地の再生については、再生モデル構築に向けた検討を行います。
●地球温暖化対策は総額70億円、温暖化対策統括本部予算は6億円で、ともに前年度並みです。新年度で、地球温暖化対策実行計画の改定が行われます。パリ協定に則した計画となるよう市民運動と世論の高まりが急務です。
●焦眉の課題のうち、通学路等の安全対策では、前年度比6億円増の23億円、いじめ防止対策では、チーフスクールソーシャルワーカー4人、学校カウンセラー2名増員等に6千万円をそれぞれ充てます。
●職員定数は、県費負担教職員の本市移管に伴う教職員数を除くと28,562人で、前年度比で79人増です。民営化では、市立保育所2園の民間移管、市立保育所2園も給食調理業務と3校の学校給食調理業務を民間委託します。
 日本共産党市議団は、2月1日から始まる予算市会において、市民との共同の輪をひろげ、市民むけ施策が前進するよう積極的な提案を行い、予算組み替え提案をふくめ全力をあげる決意です。