議会での質問・討論(詳細)
2017年3月1日

■こども青少年局(北谷まり)

子育て支援施策は現場の声を十分に反映させるべき

北谷議員:北谷まりです。日本共産党を代表して質問いたします。
 昨年3月、「横浜市子どもの貧困対策に関する計画」が策定されましたが、策定にあたり、党市議団は、23項目の提案・要望を行いました。2017年度予算案では、要望した施策が実現したものもありますが、市として取り組みを加速化していくことが必要であると考えます。一層推進するため、保育・教育現場の声、関係団体などの声をしっかりと聞き、それらを十分に反映した取り組みを展開するべきと考えますが、局長の見解を伺います。

田中こども青少年局長:平成27年度は、横浜の子どもの貧困の実態把握のため支援者のヒヤリングを行うとともに、保育教育関係者や支援団体、学識、経験者などによる連絡会を設置し、ご意見を頂きながら計画を策定してまいりした。平成28年度は、「こども食堂」等の地域の取組みについて、実態調査を行うとともに支援団体等による計画推進のために会議を開催しております。今後もこの会議を活用するなど、引き続き現場のご意見を頂きながら取組みを進めてまいります。

北谷議員:副市長に伺いたいのですけれども、報道によりますと、東京都の子どもの生活実態調査で、生活困難層にいる子どもの割合が、約20%にのぼるとしています。調査を都と連携して行った首都大学東京の阿部彩教授は「2割の層をターゲットにした支援策を考えないといけない」と指摘しています。
 本市調査では、貧困線を下回る水準で生活する子どもの割合は7.7%で、約4万4,000人としていますが、本市でも、生活困難層にいる子どもは2割とみて、約11万4,000人と推計されます。認識を改めるべきと考えますが、見解を伺います。

柏崎副市長:今ご紹介あった論文について私は承知をしておりませんので、つまびらかに申し上げることはできませんけれども、色々な判断の考え方、その基準の捉え方、そういったものがあるんだろうと思います。そういう意味では、我々もそういった知見はしっかり高めていきたいと思っております。

北谷議員:それでは、支援を必要とする全ての子どもたちに、支援が届くべきとの立場から、質問してまいります。
 2017年度は「支援につなげるための仕組づくり」として2つの事業がスタートしますが、予算額と事業内容を伺います。

田中こども青少年局長:地域における子どもの居場づくりサポートモデル事業の予算額は、653万7,000円です。事業内容は区社会福祉協議会が団体等の相談内容に合わせて情報提供や人材紹介等を幅ひろく行います。また一定のエリア対象として、区社会福祉協議会が中心となり立ち上げなど継続的に支援します。これらの取組みをふまえて、効果的な方策をまとめてまいります。

「こども食堂」に支援が必要な子どもをつなげ、運営補助金など直接的な支援を

北谷議員:では、いわゆる子ども食堂について質問いたします。「子どもの貧困対策に関する計画」策定にあたっての、党市議団の「民間が行っている無料塾や食事提供等を行っている居場所への支援を行うこと」との要望が、一部実現したものと認識しておりますが、さらなる拡充が必要であることは、明白です。
 こどもの貧困対策の計画策定で行ったアンケートでは、「子どもだけでごはんを食べることがあるか」との問いに「よくある」「ときどきある」と答えているのは、ひとり親世帯では46・3%、貧困線以下の世帯では36%との結果。
 また、「必要な食料が買えないことがあったか」との問いに「よくある」「ときどきある」と答えているのは、ひとり親世帯では16.6%、貧困線以下の世帯では19.0%との結果が出ています。この結果から、子どもの食事を取り巻く状況は深刻であり、劣悪な条件にある子どもの食生活は、すぐにでも改善されなければならないと考えますが、認識を伺います。

田中こども青少年局長:子どもの食を取巻く環境についての課題は、経済的な理由によるもののほか、個食や栄養バランスの偏りなど、様々であると認識しております。国や県等々、それぞれの役割分担により様々な課題に対して取組むことが必要と考えております。

北谷議員:地域の方々による、いわゆる「こども食堂」が、市内で39か所運営されていると聞いておりますけれども、利用者の人数はどのくらいなのでしょうか。

島田総務部長:いわゆる「こども食堂」は、地域の団体やNPO法人、企業など多様な担い手によりまして自主的な活動として、広く様々な形で実施・展開されております。本市として現在これらの利用人数は把握しておりません。

北谷議員:提供されている食事数も把握されてないということでしょうか。

田中こども青少年局長:はい。おっしゃる通りです。

北谷議員:まずは、現状を把握する必要があると思います。そして、少なくとも、現在活動している「こども食堂」に、支援が必要な子どもをつなげるべきです。また、運営に補助金を交付するなど、既存の「こども食堂」に直接的な支援をすべきではないかと考えますが、見解を伺います。

田中こども青少年局長:いわゆる「こども食堂」の取組みは、活動の機運が盛り上がっております。支援にあたっては団体の主体性を尊重し、地域の特性をふまえた柔軟な支援が必要であると考えております。「こども食堂」の立ち上げや継続にあたっては、担い手、食材、場所の確保、団体化・ネットワーク作りなどの課題があります。モデル事業ではこれらの課題への必要な対応を検討し、取組みを通じて効果的な方策を検証してまいります。

北谷議員:2区のモデル事業と並行して、現在、支援を必要としている子ども食堂に対しては、すぐにでも支援すべきです。大和市では、初期経費と運営経費の補助を、補正予算を組んで2016年度予算で実施しています。こどもの成長は待ってくれません。そして子どもたちが失う時間は2度と戻りません。迅速な対応をお願いします。

ひきこもり対策は、訪問相談などで多くの若者を支援につなげるべき

北谷議員:次に「区役所におけるひきこもり等の専門相談の実施」について、質問いたします。
 「計画」策定にあたっての、党市議団の「地域ユースプラザを全区に設置すること」との要望には程遠いものがありますが、施策の前進であると認識しています。
 調査によりますと、先ほどもお話でましたけれども、少なくとも、若年無業者5万7,000人、 ひきこもり状態の若者8,000人と推計されています。
 これまで、支援につながった若者はどれくらいなのか、伺います。

藤沼青少年部長:本市の若者自立支援機関であります青少年相談センターと地域ユースプラザと若者サポートステーション、それと横浜型若者自立塾を合わせた3年間の実利用者数でお答えしたいと思いますが、平成25年度は4,040人、平成26年が4,240人、平成27年度は3,736人となっております。ただ、この実人数と言いましても、年度をまたいでそのまま継続して支援が継続したり、あるいは、他の支援機関、4つあるそれぞれを同時に利用していたりすることもありますので、この人数がそのままつながった人数というふうにはならない状況でございます。

北谷議員:2017年度、新たに地域ユースプラザ職員を定期的に派遣し、区役所に専門相談の窓口を設置することになりましたが、どれくらいの若者が新たに支援につながると考えているのか、伺います。

藤沼青少年部長:今回は、五月以降に実施する予定で、全18区で月二回、各回に3コマ3件の相談を実施するという予定でおりますので、最大ですと年間で1,188件のご相談に対応できるわけでございます。その枠を活用して多くの方が支援につながるように取組んでいきたいと考えております。

北谷議員:地域ユースプラザには、心理相談担当職員が配置されていまして、相談したくても相談できなかった人にとっては、区役所という身近なところでアクセスできるようになることは、一歩を踏み出す機会につながると思います。しかし、相談に来るのをただ待っているだけでいいのでしょうか。区役所での相談から支援につながるのは、ごく一部に限られます。アウトリーチ、訪問相談などを行い、より多くの若者を支援につなげるべきと考えますが、見解を伺います。

田中こども青少年局長:この相談にあたりましては、区役所が対応しております中で家庭訪問等を行う中で、必要あればこの専門相談などもご紹介してまいります。また、青少年センター等に来所することが困難な方に対しては、ご相談をお受けしているご家族やご本人の意向を留意した上で、相談センターの相談員がご家庭を家庭訪問して、面接などを行っているところでございます。新たにはじめるユースプラザの職員の区派遣により区役所に関係機関、対象者の方とつながることで、関係機関と連携して多くの方を支援につなげていきたいと考えております。

北谷議員:困難を抱える若者への支援は、まだまだ不十分です。総合的な支援の拡充を求めます。

学童保育への運営費・家賃補助の更なる拡充を

北谷議員:次は、放課後児童クラブについてです。
 党市議団は、あらゆる機会をとらえて放課後児童クラブへの支援の拡充を求めており、「子どもの貧困対策に関する計画」策定にあたっては、「学童保育への運営費補助・家賃補助の大幅増額をすること」との要望を出しております。
 まず、2017年度予算案で拡充されたことは何か、伺います。

田中こども青少年局長:平成29年度予算案では、障害児の受け入れを推進するための補助や、放課後児童支援員の勤続年数や研修実績などに応じて処遇改善を図るための補助、それから耐震化が必要な放課後児童クラブの移転を促進するための補助、これらを拡充しております。

北谷議員:放課後児童クラブで働く職員には、児童や保護者との継続的なかかわりの中で信頼関係を築いていくため、経験や専門性が求められているにもかかわらず、それに見合った処遇がされてきませんでした。
 放課後児童支援員の勤続年数や研修実績などに応じた処遇改善の内容について、詳しく説明お願いします。

藤沼青少年部長:まず、放課後児童支援員としての資格を有する方には、月額1万円、また、概ね、その方の中で5年以上の経験があって専門の研修を終了した方には、月額2万円、それから概ね10年以上の経験があり、事業所長的な立場にある方には、月額約3万円、それぞれ処遇改善が行われるという内容になっております。

北谷議員:この基準は、国で定められた基準だと思いますけれども、この国で定められた基準で良しとせず、市独自に上乗せをすべきと考えますけれども、いかがでしょうか。

田中こども青少年局長:今回、国の方から全体の処遇改善の中で、こういったことが示されたところでございます。この国の財源を活用して、まずはこの処遇改善を進めていきたいと考えております。

北谷議員:放課後児童支援員の勤務実態は、長時間労働に加え、休暇も取れないような事態が生じています。子どもの安全を守る要の職員が、劣悪な労働環境に追いやられることは、子どもの安全を脅かす最大の原因ではないでしょうか。人件費を増額して、職員が安定して長く働けるようにするべきと考えますが、いかがでしょうか。

田中こども青少年局長:平成28年度では、常勤職員の賃金として、年額5万4,000円以上の処遇改善が図られるよう、基本補助額を増額したところでございます。平成29年度予算案では、これに加えて勤続年数や経験に応じた処遇改善を行うための費用を計上しております。賃金等の改善により、職員の意欲とやりがいを向上させるものであり、人材確保につながると考えております。

北谷議員:そうはおっしゃいましても、現実は、現場は、綱渡りのような状況で、休みも取れない、風邪を引いたらどうしよう。そういう状況があるんですけど、それで良いと思っておられますか。

田中こども青少年局長:先ほどご答弁申し上げましたように、国の方で今回、処遇改善されましたので、まずはその財源を活用して、本市でも処遇改善を進めていきたいと考えております。

北谷議員:ぜひ処遇改善については、更なる検討をお願いしたいと思います。
 次に減免制度について伺います。横浜市では、市民税所得割非課税世帯と生活保護世帯に対して、保育料を月2,500円減免する制度を設けています。児童クラブ利用の約1万人に対して、264人が対象と聞いています。しかし、就学援助を受けている割合から見ても、あまりにも低いと思います。何らかの改善が必要と思いますけれども、いかがでしょうか。

藤沼青少年部長:今先生おっしゃったように本市では、放課後児童クラブが、市民税所得割を非課税の場合、生活保護世帯等である場合に、減免行っている場合に、児童一人あたり月額2,500円をクラブに対して補助しております。それぞれの放課後児童クラブが、それぞれ運営主体として、利用者と利用契約を行って、こういった対応をしております。それに対する補助でございますので、その対応内容につきましては、各クラブが行っているという状況がございます。その中で、補助を引き続きさせていただきたいと思っております。

北谷議員:2,500円の減免では、平均利用額1万7,000円という負担の重さは、ほぼ、そのまま残るわけです。経済的な理由で、児童クラブを利用したくても利用できない家庭もあると聞いております。減免する額を増やして、保護者の負担を減らすべきと考えますけど、いかがでしょうか。

田中こども青少年局長:この減免制度は、国の制度に保護者の減免制度がない中で、本市が独自で行っているところでございます。そういう意味では、国に対しては、これまでも低所得世帯の利用料減免等の制度の創設を求めてきており、引き続き要望していきたいと考えております。

北谷議員:改めて、額も含めて使い勝手のいい制度としていただきますよう、要望いたします。

児童虐待防止に向けて児童心理司の体制強化を

北谷議員:次は、児童虐待防止への取り組みの充実について伺います。
 児童福祉法の改正をふまえ、2016年10月より児童相談所の体制が強化されました。国は、虐待の相談や指導に当たる児童福祉士の配置基準を見直し、児童福祉司と児童心理司を増員していますが、その理由と、児童心理司の配置基準を設けた理由は何か、伺います。

細野児童相談所統括担当部長:児童福祉司については、児童虐待発生時の迅速的確な対応確保するため、児童福祉法の改正において、配置標準が見直されるものです。児童心理司については、虐待等により、心に傷を負った児童へのカウンセリング等の充実を図るため、児童相談所への配置を児童福祉法で新たに規定した上で、国の通知である児童相談所運営指針の中で、配置の考え方を定め、増員を目指すものとされています。

北谷議員:指針による配置基準はどういったものでしょうか

細野児童相談所統括担当部長:現在、20人の児童心理司を配置しておりますが、児童福祉司の配置基準人数の経過処置をふまえて、国の数値である児童相談所運営指針により試算した場合、平成29年4月では45人となります。

北谷議員:現在のお話を整理しますと、児童心理司の方が、現在いるけれども、指針に基づいた人数は45人だということでよろしいのですね。
 本市では、児童虐待把握件数は2014年度の1年間で1,000件を超えておりまして、複雑・困難なケースも増加しています。そして、虐待を受けた子どもの心のケアは、長期間にわたり専門的なケアが必要です。
 児童心理司の配置は、少なくとも指針を満たすよう、早急に行うべきと考えますけれども、見解を伺います。

田中こども青少年局長:児童心理司の配置につきましては、国の通知である児童相談所運営指針より示されたものであり、法令に基づくものではございませんが、今後も体制については検討してまいります。

北谷議員:児童心理司も、虐待予防、再発防止の要としてたいへん重要です。増やしていだだきますようお願いしたいと思います。また、夜間対応も増えていることから、夜間対応の充実、例えば、現在の宿直体制を夜勤とすることなども検討していただき、体制強化をはかり児童虐待防止への取り組みをさらに充実するよう要望したします。

DV加害者更生プログラムの策定を国に求め、被害者の安全確保と暴力のない社会を

北谷議員:最後に、DV対策のうち、加害者更生プログラムについて伺います。
 本市では、DV被害者等が安全で安心した生活を送ることができるよう、支援を行っております。被害者支援の一環として、加害者更生プログラムを実施している民間団体に対し、運営費の補助をしています。
 現在、日本ではDV加害者に対する法的な枠組みとしては、保護命令しかなく、裁判所命令による加害者プログラム実施は、先進国の多くで行われていますが、日本では行われていません。欧米、アジアの多くの国では公的枠組みのもとに加害者プログラムは施行されています。
 まず、本市が助成している「加害者更生プログラム」の内容と意義を教えてください。

細野児童虐待・DV対策担当部長:プログラムでは、参加者本人が、暴力を容認していないか、相手を暴力で支配しようとしていないかという自分自身を振り返り、怒りの行動を抑制していくことを学びます。プログラムを通して、自分も相手も尊重する考え方を学び、行動の変化を促すことを目的としています。グループワークを中心に、面談などを実施しております。

北谷議員:実績はどのようになってますでしょうか。

細野児童虐待・DV対策担当部長:27年度の加害者公正プログラムの実績ですが、参加した方の延べ人数は、681人です。

北谷議員:参加者数が少ないのではないかなと思いますけれども、加害者プログラムを推進していく上での課題は何か、伺います。

田中こども青少年局長:加害者公正プログラムの課題や今後のあり方等については、平成28年3月に国が調査研究報告書をまとめております。これによりますと、今後期待する取組みとして、加害者プログラムの実施にかかる基準やマニュアルの策定、人材育成などの必要性が示されております。本市としても今後、国の動向を見守りつつ、民間団体と連携しながら、取組んでいきたいと考えております。

北谷議員:補助額なんですけど、額はいくらでしょうか。

細野児童虐待・DV対策担当部長:予算額で83万2,000円となっております。

北谷議員:被害者の安全確保とともに、暴力のない社会を目指すためも、しっかりと引き続き取り組んでいただきたいと思います。そして公的な枠組みの策定を国に求めていただくことを要望したいと思います。このプログラムですね、働きかける相手は加害者でありながら、真のクライアントは、被害者であるという特殊な構造となっていまして、被害者の安全のためにもぜひこのプログラムの推進をお願いしたいと思います。


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