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■政策局 白井 まさ子議員

横浜市大の目指すべき改革はあくまで憲法に即したものである必要がある

白井議員:日本共産党を代表して質問します。よろしくお願いします。
はじめに横浜市立大学の学部再編と教職員体制についてです。横浜市立大学については、2005年の公立大学法人化以降、本市が立てる6年間の中期目標の達成に向けて、大学法人が6年間の中期計画を策定するしくみになっています。大学法人が策定した、今回の第3期中期計画では、学部の再編が行われます。2005年に、以前の3つの学部を1つにして「国際総合科学部」を設置しました。時代の変化に柔軟に対応するためということでした。今回、それをなくして3つの学部が新設されます。
国際総合科学部という名称では受験生にも、そして企業にも学習内容や専門性がわかりずらいという理由からだと聞いているのですけれども、ほぼ、2005年の法人化以前に戻ることになります。中期目標達成のために、大学法人が学部を再編するわけですが、本市の第3期中期目標のどの規定に沿って具体化したものでしょうか、伺います。

寺岡大学担当理事:中期目標の第3、大学の教育研究等の質の向上に関する目標の中で、急速に進む時代の変化や学生の多様なニーズに対応するため、社会ニーズに応えることができる教育組織について検討進めるよう指示をしております。

白井議員:その部分は、データサイエンス学部新設のことだと思うのですけれども、国際総合科学部をなくして3つに再編、これに関しては中期目標上の記載がないように思います。以前の3学部にほぼ戻るというこのことは、2005年に3学部を廃止して「国際総合科学部」を設置したという、学部のあり方が不適切であったと言えると思うのです。大学が国際総合科学部を設置したのは、本市が立てた第1期の中期目標の、大学の基本的な目標である、「実践的な国際教養大学」という記載に沿ったものでした。

国際教養大学という理念、大学像を具現化した国際総合科学部、これをなくすということは、本市の基本目標そのものが誤っていたと認めるべきだと思うのです。大学関係者の反対を押し切って強行されたこの市大の改革、破綻だと受け止めますけれども見解を伺いたいと思います。

小林政策局局長:今回の国際総合科学部の再編につきましては、決して旧来のご指摘の部分に戻るということではなくて、私どもがご議決を頂きました中期目標に沿って先程、理事が答弁したような趣旨の基に大学側が計画したということでございます。
そもそも国際総合科学部は、2005年度にそれまでの商学部、国際文化学部、理学部、を統合いたしまして、領域横断的で実践的な教養教育の提供や一体的なマネジメントを行う教育運営体制の構築などの成果をあげております。今回の学部再編にあたりましては、学部を統合したことによる成果は生かしながらも学習内容や専門性をわかりやすくしていくものでございます。ご指摘された実践的な国際教養大学を目指すと言ったことには変わりはございません。

白井議員:国際総合科学部が存在していれば、理念の具体化だと理解できるのですけれども、なくしてもその理念は存在しているのだと言われても、それに沿った学部はなくなるわけですから、そこが理解できないということです。
それでは、第3期中期目標で、「教職員が一体となって教育を実践するため、教職員協働型の教育推進体制を整備する」としていて、評価をしているところですが、大学法人が策定の第3期中期計画ではどのように具体化されているのか、伺います。

小林政策局局長:教職員協働型の教育推進体制とは、従来の教員組織、事務職員組織といった職制で分けるのではなく、教員と職員が協働して課題解決に取り組む体制のことでございます。中期計画における具体的な取り組みといたしましては、授業方法、内容を改善向上させる取り組みや職能開発のための取り組み、そのほかキャリア教育の充実を図ることを検討してまいります。

白井議員:計画では教員の所属、組織である学術院を見直し、教職員協働で教育の質を向上する体制強化を図るとしているのですけれども、法人化以前は学部ごとに置かれている、教授会による自治体制となっていましたけれども、法人化の際に教授会が弱体化されました。教授会について大学法人は3期計画ではどう位置づけているのか説明お願いします。

寺岡大学担当理事:大学の計画の中には具体的な教授会という記載はございませんが、大学の運営上、教育の質を向上させるための教員組織であると考えております。

白井議員:大学における教授会の役割というのは学校教育法で規定をしています。2014年に法改正がありました。この改正法では教授会をどのように位置づけているのか、伺います。

寺岡大学担当理事:2015年4月1日の法改正によりまして、教授会は必置の機関であること、最終的な決定権は学長にあること、学長が学生の入学、卒業および課程の修了、学位の授与、その他学長が定めた教育研究に関する重要な事項について決定を行うにあたり教授会が意見を述べること、教授会は専門的な観点から教育研究に関する事項を審議する機関であり、学長の求めに応じ意見を述べることができると位置づけられております。

白井議員:それでは市立大学の学則では、教授会をどのように位置づけているのか説明してください。

寺岡大学担当理事:学則におきまして教授会は各学部に置くこととしておりまして、入学、進級、卒業、休学、復学、退学など学生の身分およびその他学部教育に関する事項を審議事項としております。そのほか、先ほど申し上げました法で規定する教授会の役割につきましては、市大におきましては教授会以外にも教育研究審議会、学術院、および人事委員会が担っております。

白井議員:教授会ということで見てみますと、権限を比較して見ますと、市大の学則には学位の授与はなくて、また学部教育に関しても学部運営会議から付与されたものと限定をされていまして、法よりも権限が限定されているのが、今聞いてわかったのですけれども、改定法よりも権限が限定されているということは、違法状態ではないかと思います。解消は必要ですが見解を伺います。

小林政策局局長:学校教育法で規定されている教授会の役割につきましては、先程大学担当理事からも申し上げましたけれども、横浜市立大学の場合は大学全体としては担保されまして問題はないと考えてございます。また、法改正の趣旨を解説した文部科学省の通知によれば、教授会は必ずしも学部単位で置かなければならないものではなく、全教員から構成される、全学教授会や教育課程編成委員会、教育人事委員会など機能別に組織される教授会など多様のあり方が考えられると、いうふうにしてございます。教授会以外の組織が権限を担うということは問題ないと考えております。

白井議員:全体としては担保されているのだと言われるのですけれども、定款や学則を見ても、そして今の説明を聞いても組織がどうなっているのか、法で規定された教授会の権限が市大ではどのようになっているか、理解に苦しむところなのです。市民から見てわかるようにして頂きたいと思います。

日本弁護士連合会は2014年に学校教育法及び国立大学法人法の一部改正は、大学教授会の役割を教育研究の領域に限定するとして反対を表明しました。それによれば、社会の変化にともなって大学改革の必要が生じたとしても、目指すべき改革はあくまで憲法の規定する大原則に即したものである必要があると。大学は教育機関としては第一義的には人格の完成を目指して、また教育機関としては、研究機関としては深く真理を探求して新たな知見を創造することを目的として行われるべきであるとしています。大学の学則では教授会の権限が改悪された法にすら届いていません。大学の発展のために今期において改善されることを期待をいたしまして、次に移りたいと思います。

池子米軍住宅建設事業、市の要望を国は1年半も放置、建設事業も進展せず

白井議員:続いて米軍根岸住宅と池子住宅についてです。
米軍根岸住宅地区は、中区・磯子区・南区におよび、42.9ヘクタールの土地に385戸の住宅などの施設があります。政策局が2016年6月に発行した「横浜市と米軍基地」によれば、「根岸住宅地区では、2015年12月に、米軍人、軍属及び家族等の米軍関係居住者がすべて退去した」となっています。そこで、市は居住者退去の事実をどのように確認したのか伺います。

青木基地担当理事:根岸住宅地区の状況を踏まえまして、国や米軍に確認したところ

2015年12月に米軍関係の居住者が退去したと聞いております。

白井議員:居住者全員退去したということは、住んでいない、使用していないということですから、根岸住宅は必要がなくなったととらえるべきですが、局長どうなのでしょうか。

小林政策局局長:根岸住宅地区につきましては2004年に返還方針が合意されている施設、区域でございますので本市といたしましては、これまでも市民の皆様、市会、行政が一体となって早期全面返還を求めて来てございます。引き続き粘り強く取り組んでまいります。

白井議員:移設するという日米合意があることは承知しているのですけれども、本市として、根岸住宅という施設そのものを見た場合に、すでに必要がなくなった施設だととらえるべきですが、どうでしょうか。

小林政策局局長:現在住んでいる方は確かにいないと先ほど理事が申し上げたように聞いてございますけれども、一部まだ施設については、例えば消防関係の部署ですとか、その他あるいは管理区域をする部分とか、完全にいなくなったとは言っておりません、認識しておりません。横浜市としては返還については先ほど申し上げました通り、粘り強く取り組んでまいりますけれども、必要があるかないかについては国として判断するべきことと思っております。

白井議員:2004年に、日米間で返還の方針が合意されていて、日米地位協定第2条の3では、米軍が「使用する施設及び区域は、必要でなくなった時は、いつでも日本に返還しなければならない」としています。根岸住宅は使用していないという事実があって、この事実は、必要となくなったと見るべきですから、本市から、国に対して、施設と区域の返還を求めるべきですが、見解を伺います。

小林政策局局長:本市といたしましては、2004年に返還合意がされた施設でございますので、これまでもやってございますけれども、今後も引き続き早期全面返還を求めて対応してまいります。

白井議員:米軍が、根岸住宅を使用していない事実は確定しています。一方で、国は、根岸住宅の移設先として、金沢区の36ヘクタールの池子地区に家族住宅を建設する計画を持っています。建設費用を日本が負担する、この計画が実行されれば、豊かな緑が壊されることになります。国の計画に対し、本市は、協議に応じる方針をもって、これまでやり取りを続けてきました。直近の国と市の対応状況はどうなのか、伺います。

青木担当理事:2014年6月に国から家族住宅171戸の基本配置計画案が示されました。その後本市および地元は4回に渡る説明を受け、地元要望として特に強い改変面積のさらなる縮減、工事中および供用後の交通対策などを含む8項目からなる要請書を2015年9月に市長名で国へ提出いたしました。

白井議員:本市から要請した内容というのは、住宅を建てるにあたっては、主に、改変面積を縮小することを求めたのであって、計画の大転換を求めているわけではないですから、国が住宅建設をどんどん進めていきたいという考えであれば、もうすでに回答が来てもいいはずだと思います。いまだに回答が来ていないということは、住宅建設を進める必要に迫られているわけではない、と見えますし、そう見るべきだと思うのです。
国が池子住宅建設計画に関連してどんな予算をつけているのか明らかにしたいと思うのですけれども、基本配置計画で171戸の住宅というのは、マンションではなくて、2階建てタイプの連なるタイプが35棟、小学校、幼稚園、体育館、25メートルプールなどですけれども、この配置で、2015年度の国の予算の内容と執行状況はどうなのかを説明お願いします。

青木担当理事:国の2015年度予算につきましては、根岸住宅地区の返還に伴う建物等の移設工事、環境影響評価および基本設計の調査設計の経費といたしまして、約1億7,900万円が計上されております。執行状況といたしましては国は2016年3月に基本設計と環境影響評価の委託業務の契約の締結をしております。なお、委託業務の具体的な進捗につきましては、国からの協議がないため本市では把握しておりません。

白井議員:協議がない、言われてないから把握していないということで執行していないということだと思います。計画地の現状は豊かな緑であって、本市にとって大変貴重なものです。貴重な緑を壊してまで作る住宅の必要度が国から示されていません。
根岸住宅は、すでに2015年に全員退去しており、入居先がなく困っている状況は聞こえてきていません。まさに、全員退去の事実が米軍にとって住宅はこと足りていることを物語っています。住宅を必要としていないわけです。1年半も国から音沙汰がないという事実も、米軍にとって、こと足りている、必要としていない、ですから、本市は国の協議に応じるという方針をやめるべきだと思います。主張して、終わります。