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■「追加議案関連質問」 古谷やすひこ議員2017年3月14日

◎質問と答弁は次の通りです。なお、実際には、質問と答弁がそれぞれ一括して行われました。

医療的ケアの必要な障害児が、安心して通えるよう看護師配置の促進を

古谷議員:古谷やすひこです。党を代表して上程された追加議案について市長に質問いたします。
 まず、市第159号議案「横浜市指定通所支援の事業等の人員、設備、運営等の基準に関する条例の一部改正」についてです。放課後等デイサービス事業は、学校通学中の障害児に対し、放課後や夏休み等の長期休暇中において、単に放課後等の居場所を提供するだけでなく、生活能力向上のための訓練等を実施し、障害児の自立を促進する施設です。
 2016年5月15日付の日経新聞によれば「障害児預かり不正相次ぐ」として「障害の特性を理解していない業者が営利目的で参入し十分なサービスが行っていない例が増えている」との報道がありました。
 そこで本市の市内放課後等デイサービス事業所の実態をどう把握しているのか伺います。

林市長:市内放課後等デイサービス事業の実態ですが、利用する児童一人ひとりにふさわしい支援を地域密着して行うなど質の高いサービスを提供している事業所がある一方、課題がある事業所もあります。数の増加とともに事業者の支援の質に差が出てきている状況です

古谷議員:本市では2014年に放課後等デイサービス事業所職員によるわいせつ事件が起こり、逮捕起訴されました。その後「知的障害があるため発覚しにくいだろうと思った自己中心的で悪質な犯行である」「被害を受けた女児は健全な育成が阻害され、親が被った心労・苦痛も甚大である」と有罪判決が出されました。この後、本市は市内事業所に対して「トイレや送迎時の介助は同性介助で」と要請しています。その後、同性介助ができるような現場になったのか、伺います。

林市長:トイレや送迎時に同姓介助ができる現場になったのかとのことですが、虐待防止の観点から同姓による介助を原則とするよう、全事業者を対象とした集団指導を行っています。また事業所で行う実施指導においても、個別に同様の対応を行っています。

古谷議員:2016年3月に発表した本市の「放課後等デイサービスガイドライン」によれば、本事業は「単なる預かり事業」ではなく、子どもに対して生活能力を向上させ、保護者や関連機関への専門的支援を行う役割を担うものである。さらに、事業所内の支援で完結するのでなく地域の障害児福祉の推進を図る役割を求めていますというように、このガイドラインで目指している放課後等デイサービスの基本的役割については概ね賛同します。しかし、この役割を実際に果たしてもらうための人員体制や面積基準を示すべきと思いますが、見解を伺います。

林市長:人員体制や施設の面積基準を示すべきとのことですが、今回国において、配置基準についての変更はありませんが、資格要件が改正されました。また面積の基準はありませんが、適切なサービスが提供できるよう指導訓練室及び必要な設備等を備えることを求めています。今回改正した基準で運営を行い、状況を見守って参ります。

古谷議員:今までは資格のない人でも従事できたわけですが先ほど指摘したような事件や事故が起こり、今回の改正にあるように資格要件を引き上げて本事業の質を上げようとすることは賛成します。しかし、今までの「資格なし」から「障害福祉サービス経験者2年以上」「児童福祉事業経験2年以上」としているようですが、これをもって「良し」とするのは不十分です。今回の改正にとどまることなく、さらに資格要件を上げて、本事業の質を上げるべきだと思いますが、伺います。

林市長:事業の質を上げるためには、さらに資格要件を厳しくすべきとのことですが、今回資格要件の改正がなされましたので、これに適用できるようしっかり指導して参ります。

古谷議員:本事業は、対象児童には医療的ケアの必要な児童も当然含まれますが、職員体制の中には、看護師は明確には位置付けられておらず、実際、市内事業所で看護師を配置して重症心身障害児を受け入れているのは、219か所中、たった5か所に過ぎません。教育委員会では小学校に医療的ケアができる看護師を配置を新年度から実施します。同様に、放課後等デイサービスにも医療的ケアの必要な児童も安心して通えるように看護師の配置をより促進すべきと思うがどうか伺います。

林市長:医療的ケアの必要な児童に対応するため、看護師の配置を促進すべきとのことですが、医療的ケアを必要とする子どもの放課後の支援場を確保することは、課題と考えています。
 看護師の配置が必要である重症心身障害児を対象とする事業所を拡充できるよう、関係する法人に働きかけてまいります。

古谷議員:市内事業所は、5年前には34か所だったものが今では219か所と激増しています。国の資料によれば、この放課後等デイサービスは、利用者・事業者とも大幅に増え続けており、その一方で利潤を追求し支援の質が低い事業所や適切でない支援を行う事業所が増えていると、指摘されています。
 実際、本市でも事故報告、苦情・通報報告は激増しています。2014年には93か所の事業所のうち、事故報告は5件だったものが、2016年には219か所の事業所のうち、事故報告は70件と増えており、早急な対応が必要です。
 そのためには事業所が適正に業務が行われているのかどうかの監査の体制の充実が必要です。本市の監査体制は、2012年は4名の体制から始まりその頃の対象は18事業所、2015年には5名の体制になり、対象は99事業所と大幅に増えました。現在はその5名の監査体制のままで、対象事業所は219か所とさらに増えています。来年度は7名の体制になるとは聞いていますが、求められる質を担保したり、事業所の爆発的な増え方にはとても対応できているとは思えません。障害を持つ子どもたちが安心して過ごせる場所をよりよくするためにも、監査体制、抜本的な増員による強化が必要だと考えますが、見解を伺います。

林市長:監査体制の抜本的な増員が必要とのことですが、増加する事業者への指導強化するために、これまでも人員体制を拡充してまいりました。平成29年度は2名増員して、実施指導の回数を増やし、サービスの質の向上につながるよう取組んでいきます。

障害者を食いものにする悪質な事業所をなくす手立てを

古谷議員:次に、市第160号議案「横浜市指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備、運営等の基準に関する条例及び横浜市障害福祉サービス事業の設備及び運営の基準に関する条例の一部改正」について伺います。
 就労継続支援A型事業は、障害者が雇用契約を結んで就労訓練を受ける事業です。障害者が自立した社会生活を営むことができるように就労に必要な知識・能力の向上を図るための必要な訓練を行う、障害者の就労に関する重要な事業です。雇用契約に基づく就労を実現するためには、雇用契約の必要のない授産的な活動を行うB型事業に比べて、障害者に対する福祉的支援だけではなく、最低賃金以上を確保するという観点からのマネージメント能力や営業活動など高い支援能力が求められているにもかかわらず、報酬単価はA型もB型も同じで、これは、国に対しても改善を求めるべきだと思います。
 今回の改正は、不適切な運営を行っている事業所に対する規制を明確にするためにとしていますが、本市での不適切な運営を行っている事業所がないのか認識を伺います。

林市長:就労継続支援 A型事業所の運営ですが、定期的に実施している実施指導においては、改正する条例の基準に、直ちに抵触する不適切な事業所は見受けられませんが、今後改めて各事業所から条例改正部分に関する書類の提出を求めるなど、一層の確認に努めてまいります。

古谷議員:本事業についてかねてから不適切な運営を行っている事業所があることを国からも指摘をされています。事業所が利用者と雇用契約を結ぶと、就労時間に関係なく利用者一人当たり7,000円から8,000円の給付費が一日分、事業者に支払われることになります。報道によれば、利用者の意思を無視して短時間の雇用契約を結び、その支給される給付金との差額を取得することを目的とする悪質な事業者もおり、貧弱な設備と人員体制で事業が行われているということであります。そういう事業所では、障害者が働きたいという思いに応えるようにはなっておらず、本来の障害者の就労意欲や就労継続の支援は、置き去りにされています。
 今回の改正趣旨を実現しようとするためには、実施指導体制の充実が必要ではないかと思います。現状では、実施指導は4年に一度と聞いていますが、先ほどのような障害者の思いを踏みにじり食いものにしているような事業者をなくすためにも、現状の監査の頻度や体制を見直すべきと思いますが見解を伺います。

林市長:実地指導の頻度や体制についてですが、事業者の事業所に対して、具体的な助言や指導を行うにあたっては、実際に本市職員が事業所を訪れ、関係書類の確認やヒアリングを実施することが大変重要であるため、本市としても実地指導に力を入れて取り組んでおります。今後の事業所を利用される方々がより適切なサービスを受けられるように、職員のスキルアップや効率的な指導手法を取り入れるなど、効果的な指導を行っていきます。

古谷議員:本市の就労継続支援A型事業の設置か所数について、現在26か所です。
 しかし他都市に比べて非常に設置数が少ない。大阪市で145か所、札幌市で121か所、名古屋市では104か所の設置数となっています。先ほど指摘したような質を担保しつつも、設置か所数がもっと増やすような施策をうつべきと思いますが、どうか伺います。

林市長:就労継続支援 A型の設置数についてですが、就労継続支援 A型への希望は必ずしも多くありませんが、一般就労から障害者施設への通所まで障害者の皆様のニーズとのバランスを十分に考慮しながら、必要な施設の設置に向けて取組んでまいります。