- 日本共産党 横浜市会議員団 - http://www.jcp-yokohama.com -

■健康福祉局(白井まさ子)

社会福祉法人ハートフル記念会への監査を強めよ

白井議員:日本共産党を代表して、ついて質問します。
社会福祉法人ハートフル記念会の指導監査についてです。法人の経緯ですが、1989年に、川崎市内に設立、特養・有料老人ホームなどの介護施設の運営、訪問介護・デイサービスなどの事業をしてきました。2014年には、横浜市都筑区見花山に旧法人名で医科と歯科のクリニックを開設、翌2015年に法人名をハートフル記念会に変更です。2016年に法人本部を川崎市内から横浜市内に移しています。法人監査の所轄庁が法改正で県から本市となりました。
現在、法人ホームページ上で理事長は「介護・在宅医療・看取りを行っている。介護・医療の両面から心溢れるサービスを実現したい」と述べていますが、2010年、現理事長就任以来の実態は、こうです。
2011年、特定の職員に減給・配転を強行、労働組合による救済申し立てで、神奈川県労働委員会が不当労働行為を認定し、中央労働委員会、地裁、高裁、最高裁の判断を経て、複数の職員への法人の不当労働行為が確定し、救済命令を出しました。しかし、理事長は命令に従わず、職員の出勤停止・施設内立ち入り禁止を続けています。
横浜地裁川崎支部は今年4月に、法人が市民から借りた3,300万円超を返還するよう、判決を命じました。しかし、理事長は、融資はなかったとして、巨額な供託金を積み、執行を停止させています。不正常な労使関係など異常な法人運営で、公費の不適切使用や利用者へのサービス提供に支障が出ていないかが大変、危惧されます。
そこで、伺います。2017年3月1日、労働組合が市長あてに提出した要請書を受け取っていると思います。その内容はどういうものでしょうか。

斉藤副局長:全国福祉保育労働組合神奈川県本部などから、市長宛に要望書要請書が出ています。その内容は、ハートフル記念会に対する監査状況について明らかにすること、神奈川県や川崎市と連携した調査や指導を実施すること、中央労働委員会の救済命令が出た職員の職場復帰への指導をすること、労働争議の速やかな解決に向けた指導実施すること、理事長や理事会及び評議員会に対する措置を講ずることの5項目について、要請を受けています。

白井議員:では、要請事項にどう対応してきたのか、伺います。

斉藤副局長:労働紛争については、対応はできませんが、29年の3月6日に社会福祉法関係法令に基づいた法人監査を実施しています。3点の指摘をしています。その内容は、会計間で費用を振り替えた場合は、年度内に補填をすること、経理規程で定めた額を超える場合の競争入札の実施及び随意契約時の稟議書の作成、それから100万円を超える契約についての契約書の作成ということを指摘しています。

白井議員:その指摘の2つめのことですが、契約に関わる事です。監査の拠り所としたのは、「社会福祉法人における入札契約等の取扱いについて」という国の通知の「社援施第7号」でいいでしょうか。

斉藤副局長:国から出されている「社援施第7号」に基づいて監査を実施しています。

白井議員:第7号通知では、各法人の行う契約は公平性・透明性の確保に十分留意をすることとして、契約価格が100万円を超える場合は競争入札するよう示していますが、今回、100万円を超えているのに随意契約としていたのは何件だったのでしょうか。

斉藤副局長:2件でした。

白井議員:契約業者選定にあたっては、稟議書等を作成して、この理由を明確にすることと指摘していますから、この2件については、稟議書がなかったということになります。設備管理委託や事務管理委託と聞いていますが、理事会で議決されたものではなく、理事長が単独で契約したとみていいのでしょうか。

斉藤副局長:随意契約の2件については、稟議書が作成されていませんでした。

白井議員:理事長が単独で契約したことがわかります。また、通知では、価格による随意契約は2社以上の業者から見積もりを徴し比較するなど適正な価格を客観的に判断することとしていますが、見積もりはとっていたのでしょうか。

斉藤副局長:見積もりについては、随意契約を実施にあたり、必要に応じて聴取して稟議書に添付すると、そういうものですが、本件については稟議書そのものがなかったということで、そのことを指摘しています。見積書は確認していません。

白井議員: 必要となる競争入札をやっていない、契約書もない。理事会の議決もない。当然、見積り合わせもせず随意契約していることが想定されます。通知が示している「適正な価格を客観的に判断すること」に、明らかに違反しているわけです。
法人の異常な労使関係が6年も続き、出資金関係の裁判も続くことに伴い、法人本部の資金から、裁判費用や供託金が出されているわけですが、介護報酬や医療報酬などの公金が多くを占める法人収入からのこれらの支出は、違法でないにしても、サービス提供に伴う支出ではないことは、はっきりとしています。利用者から見ると、いわゆる「目的外使用」であり、市民理解は得られないと考えますが、市として傍観していていいのでしょうか。

斉藤副局長:この法人は労使関係などの訴訟案件を抱えていますが、それらの裁判費用は、法人の訴訟行為に対する費用として理事会の承認を経ており、不適切な支出とは言えません。

白井議員:市民から見ると、そうだと言うことです。今回の監査で、明らかに違反がありながら、改善報告を求めない、単なる指摘にとどめています。3月29日、厚労省は改正社会福祉法に沿って、新しい通知を発出しました。社会福祉法改正は、経営組織ガバナンスの強化、事業運営の透明性向上、財務規律の強化等を図るためでした。この通知は工事・物品以外で100万円を超えた随意契約は、これまでの2社以上から3社以上の業者から見積もりをとることを求めています。
今年度の監査については、指摘事項を繰り返させない覚悟が必要です。速やかに指導監査を実施し、改善されるまで指導を徹底すべきと考えますが、鯉渕局長の見解を伺います。

鯉渕局長:28年度に実施した指導監査結果を踏まえて、改善状況を確認するため本年度も昨年度に引き続き法人指導監査を実施します。法人の運営や経営状態について、社会福祉法関係法令及び指導監査ガイドラインに基づき確認し、改善すべき事項があれば指導を引き継ぎ行っていきます。

白井議員:それでは、本市で開設しているクリニックの人員体制についてです。法人のホームページでは、都筑区見花山に「ふれあいの丘クリニック在宅療養支援診療所」と「ホワイトデンタルふれあいの丘クリニック」を置いているとなっています。2014年のクリニックの開設にあたって、法人は開設届出書を市にだしています。届け出上の人員体制はどのようになっているのか、伺います。

鯉渕局長:開設者間の申請や届出の内容ですが、診療所の人員体制として、医師1名、歯科医師1名、看護師1名、その他事務1名の合計4名となっています。

白井議員:では、現状の医師や看護師の配置状況や雇用形態など人員体制がどのようになっているか、把握はできているのでしょうか。 

鯉渕局長:医療法上、法人が開設する診療所の従業者の変更は、届出事項になっていません。ただ現状の人員体制については、この度確認をしています。診療所に確認したところ、常勤医師2名、内科と歯科、その他に非常勤医師が8名、看護師1名、事務2名となっています。

白井議員:法人の見花山拠点の2016年度の資金収支計算書を見てみました。収入は、介護保険事業収入が約5千万円、医療事業収入が約1億9千万円、合計で約2億4千万円です。主な支出は、人件費約9千万円、事務費1億7千万円です。約3千万円の赤字です。問題は、9千万円の人件費の内訳で職員給料は170万円のみ、非常勤職員給与がほとんどです。
フルタイムで働く正規職員はゼロではないですか。届け出では4人となっていて、先ほど実態をうかがいました。給料を見ると正規職員は実質的にゼロで、診療所が運営されているわけです。クリニックの人員体制について、先ほどの数はありましたが、実態調査をする必要がありませんか。伺います。

鯉渕局長:届出行為という性格上、定期的な実施調査はしていません。しかし、医療法の違反や、事件事故につながる可能性があるなど、特段の情報があれば実施調査をするとなっています。

白井議員:1.7億円の事務費のうち、ほとんどが業務委託費です。調査する仕組みになっていないとしても、開設許可を出した責任のある立場として、4人体制と給料170万円の関係、また、1億9千万円の医療収入と1億5千万円の業務委託費の関係など、適切な医療提供が行われているか本市が人員体制を把握する必要があります。
それでは、副市長に伺います。神奈川県労働委員会は8月4日に、当該の職員を出勤させ、生活相談員の主任業務に従事させるよう勧告しました。8月8日、市長あて要請書も提出されています。それは、法人が速やかに勧告に従うよう、本市として強く指導するよう求めています。また、これだけ多くの疑義が持たれ、行政委員会や司法の決定に背を向ける法人経営が、利用者や職員にどれほど不利益が及ぶすかはかり知れません。本市の医療や介護の質を低下させないためにも、健康福祉局の監査課の分掌事項とする「社会福祉法人の監査、その他の指導及び監督」「社会福祉法人の改善命令、業務停止命令、役員解職の勧告及び解散命令」の権限をフルに行使して、本市の医療や介護の質を低下させないためにも、横浜市として改善にあたるべきと思いますが、見解を伺います。

柏崎副市長:社会福祉法人については、法人の運営体制や経営状態について、社会福祉法、関係法令及び指導監査ガイドラインに基づき監査を実施して、改善すべき事項があればこれまでも指導を行っていますし、今後もきちんと指導を行っていきます。また、医療機関という側面については、医療法に基づく違反の疑いがある場合には、立入検査を実施し必要に応じて指導等の対応を行うなど医療安全の確保に努めてまいります。

白井議員: 当該法人運営の改善に力を注いでいただくことを強く要望して、質問を終わります。