議会での質問・討論(詳細)
2017年10月19日

■財政局 (あらき由美子)

自治体の財政を圧迫するやり方を改めるよう、国へ強い働きかけを

あらき議員: 日本共産党代表して質問します。まず、財政見通しについて伺っていきます。市の歳入について、一般会計のうちの約半分は市税で、そのうち個人市民税の占める割合が高いのは横浜市の特徴でもあります。そこで中期4か年計画における歳入で、個人市民税の26年度から28年度の当初予算額と決算額の状況がどうなってるのか伺います。

川崎部長:個人市民税の予算額と決算額ですが、26年度は予算額が2898億円、決算額は予算に比べて13億円増の2911億円、27年度は予算額2922億円に対し、決算額は23億円増の2945億円、28年度は予算額2943億円に対し決算額は37億円増の2980億円となっています。

あらき議員:26年度から28年度までの個人市民税の決算額の伸び率はどうだったのか伺います。

川崎部長:26年度はプラス1.0%の伸び率、27年度はプラス1.2%、28年度はプラス1.2%となっています。

あらき議員:一方で、歳出で伸びが大きいのは扶助費です。26年度から28年度の事業費の額と伸び率はどうなっているのか伺います。

松浦部長:普通会計決算ベースで申し上げますと、26年決算では、3893億円、以降27年度が4100億円、28年度が4351億円で推移しています。前年度と比較した伸び率でいいますと26年度がプラス6.7%、27年度プラス5.3%、28年度プラス6.1%となっています。

あらき議員:今後、次期中期4か年計画を策定するにあたり、法人市民税は国税化の影響を受けているため、増収は期待できません。そういう現状で扶助費の伸びに市税は追いついていませんけれど、今後も厳しい財政状況が想定される中で、市税増収対策として法人市民税を増やすことも必要です。この点どのように対応していくのか伺います。

鈴木局長:急激な高齢化の進展、生産年齢人口減少社会の到来、これは本市を取り巻く、本市だけでなく全ての自治体の状況ですが、大変厳しい状況と認識しています。そうしたなかで、確実に財源を確保しなければ市民生活に寄り添った政策を実現していくことはできないと考えています。子育て支援や仕事と家庭の両立支援など、誰もが暮らしやすく働きやすい都市を目指すとともに、引き続き中小企業支援や積極的な企業誘致に取り組み、人や企業をさらに横浜市に呼び込むこと、これによって経済の活性化、雇用創出につながる財政運営、税収の確保、これらを合わせて行なっていく必要があると考えています。

あらき議員:扶助費を支える上でも、市民税をしっかり確保できるようにすることが大事だと思います。法人市民税の国税化の影響で、この3年間100億円も影響を受けています。この点、国に強く求めていると思いますけど、今後の対応についてどうして行くのか、改めて伺います。

鈴木局長:法人市民税の国税化については、消費税率8%になった時に一段階目ということで、今、お話しがあった影響がありました。再来年の秋に、10%になった時に、もう一段踏み込んでというような形で、具体的な数字もでていますけど、そうなっています。これについては、それに代わる財源をどうするか、とりあえずは法定で決まっていることなので、その法律を撤回しろというところまでは、なかなか言えないのですが、地方財政を考えた時に、その影響どうするかということは、さらに国に対して具体的に要望していかないといけない時期が来ると思っています。

あらき議員:ぜひ影響を受けないように、自治体としても大変な状況になるわけですから、この点を強調していただきたいと思います。
そのほかに歳入では、小児医療費などの一部負担助成を行っている地方自治体に対して国民健康保険に係る国庫負担金の減額調整が行われています。こうした措置に対して市としてはどのような対応しているでしょうか。

鈴木局長:国民健康保険は、これに係る国庫負担金の減額調整については、本市としても受け入れ難いものであり、これまでもこうした措置を廃止するよう強く国に働きかけを行っています。引き続き国に対しては、様々な機会をとらえて粘り強くしっかりと提案要望を行っていきます。

あらき議員:この点、共産党の国会議員も、小児医療費無料化は、国がやるべきもので、減額措置を地方自治体が一生懸命努力してやっているのに行うなんてとんでもないということで、全国的にもその就学前までは、国の方でなんとか調整することになってきたようですけが、今後、市長が小児医療費拡充の年齢も小学校6年まで上げる、さらに中3までとなると、やはりこの財源は非常に大変だと思います。この点、国に対してさらに拡充を求めるのかどうか、改めて柏崎副市長に伺いたいと思います。

柏崎副市長:本来は、医療制度に関しては、全国的な制度というのがべースにあっても、医療の安定的な供給、それを受けることができる、そういう状況になるわけですので、そういう意味では、国が考えるべきだと思っています。一方では、それぞれ地方の事情によって、色々な単独の施策も行っていくということも、我々はやっていかなくてはないという側面もあります。しかし、そういう中で、先ほどから質疑がありましたように、ペナルティのようなものが、本当に妥当なものなのかどうかということに関しては、我々もしっかりと国に申していくことは続けて行きたいと思います。

あらき議員:ぜひ、その点は強調していただきたいと思います。

厳しい財政状況なら、不要不急の大型開発を急ぐな

あらき議員:個人市民税のほかに、市税で増える見込みがある税目にどのようなものがあるのか伺います。

川崎局長:長期的な見通しというものは、不確定な要素が多く、難しいです。そのため30年度の市税収入の見通しを言うと、固定資産税については、地価が上昇している動向などを反映した評価額というもの、あるいは新築、増築、その家屋といったものなどにより30億円程度の増収というものを見込んでいるところです。

あらき議員:それでも30億円程度ということで、来年度予算以降も厳しい状況だということはわかりますが、歳入を増やすために利用料金などの負担増を市民に求めることは避けるべきだと考えます。見解を伺います。

鈴木局長:先程来お答えしておりますけれども、財源確保に向けては、税収の確保、これに向けたものもそうですが、国、県費等の補助金の確保、保有土地を活用した財源の確保など本当に様々なことに取り組んでいかないといけないと思っています。お話にあった利用料金については、負担を増やす、減らすということではなくて、市民負担の公平性という点も踏まえながら、その受益と負担の在り方について、常に検証していく、見極めていくということも財政運営の中で重要な取り組みの一つであると考えています。

あらき議員:敬老パスは、非常に市民に喜ばれている事業で、安易に負担を求めるべきではないと思っています。特に費用対効果という点では、敬老パスはものすごく私は効果が高いと思います。70歳以上の方が、あの寝たきりにならないし、いろんな活発な活動していただいてるという点でも、税収が厳しいからという理由で、安易に料金あげるということはしないように求めておきます。

市内企業が参入できない大型開発を改めよ

あらき議員:次に市債について伺います。市の方針として、一般会計における市債発行を中期的な視点から4か年の市債発行額を第3セクターを除いて6000億円の範囲で活用するという方針で抑えてきたことは承知しています。その一方で、市債発行を抑えるために、PFI事業を推進していくこととしていますが、今後30年度以降に支出がある主な事業と、その総額の予定額はいくらになるのか伺います。

松浦部長:すでに契約した事業については、みなとみらい21中央地区20街区MICE整備事業などで30年度以降の必要予定額は約530億円、また導入手続き中の事業は、横浜文化体育館の再整備事業で、30年度以降の必要定額は、約320億円になっていまして、一般会計全体では30年度以降の必要予定額は、約850億円となっています。

あらき議員:このみなとみらい21地区20街区MICE施設整備事業や横浜文化体育館整備事業は、これだけ財政状況が厳しい中で、今、急いでやるべき事業なのかということを、私たちは何度も議会で取上げてきました。先ほどまで聞いてきたように、今後の市税収入でも厳しい現実がある中で、多額の負担となることは明らかです。この点での見通しどう考えているのか、見解を伺います。

鈴木局長:非常に厳しい財政状況が想定されるということを前提に、我々も考えています。そうした中で、先ほども答弁しましたが、人も企業も活気溢れる魅力的な街であり続ける、そのためには市民や企業の皆様から必要とされた施策、これ着実に推進すると同時に、横浜の未来を見据えた投資もしっかりと行なっていかなければならないと考えています。
財政の健全性の維持、これは大原則になりますけれども、市内経済の活性化、雇用創出、そういった横浜の持続的な成長、これにつなげていくための投資も含めて、様々な政策をバランスよく進める、そうした視点での財政運営が、これからも求められていのではないかと考えています。

あらき議員:お答えいただいた、人も企業もということで、文化体育館再整備備事業では、代表企業は株式会社フジタで、構成員9社のうち、馬淵建設・渡辺組・川本工業の3社が市内企業として建設で入っています。それから、文化体育館の再整備方針として「横浜市中小企業振興基本条例」の趣旨に鑑み、地域経済の活性化に資することにも期待するものである、と提示したから入ってきたということです。それを受けて、株式会社フジタが、建設費の2割以上を市内企業に請け負ってもらうという提案をしたから入ったと、文化観光局から聞いています。
また、MM21中央地区20街区MICE施設整備事業でも、建設で竹中工務店が受けて、小俣組が入っています。どれくらいの金額を受けたのか聞きましたが、わかりませんでした。(小俣組が入ったのは)この事業を整備するにあたり、要求水準書には「地域活性化への配慮の項目で、PFI事業者は、『横浜市中小企業振興基本条例』の趣旨に鑑み、本事業の実施により地域活性化に資するよう努めること」と、この言葉が入っていたからだと言います。でも、どちらの事業に対しても、横浜市側としては、どのくらいの割合とか、あるいは請負額がどのくらいとか全く無くて、努力規定なんですよ。これはもう少しレベル上げて、しっかりと中小企業でもできる仕事あるわけですから、その辺を組み込むことはできると思いますが、この点局長いかがでしょうか。

鈴木局長:今、お話あった通り、我々のPFI手法を採用する際には、中小企業振興基本条例の趣旨を踏まえて取り組むということを前提にしています。具体的にそれぞれの事業において、市内への発注や市内企業の参加の度合いは、その内容については、やはりあの我々としても一定の数字を出してこれをまとめる、遵守するというよりも、事業ごとに内容が異なりますので、やはりその局が内容を見てこの事業であれば、ここまでは市内企業が参加できるのではないかとなど、判断は一義的にはお任せするようにはなると。財政局で、1つの数字でいくというのは、なかなか難しいと考えています。

あらき議員:建設業協会からの要望では、地元建設業者がコンソーシアム、共同事業体に参入可能な方式または、制度を構築していただき、と書いてあります。だから、制度をつくるのは、やはり財政局がつくらない限り努力規定でやってくださいだけで投げたらいかないんですよ。そこは検討できると思います。提案している側から見て、初めて比べられればいいけど、さっき言ったPFIの両事業とも、今回は競争になっていない。提案が1つしかなくて、一つは辞退したりなど。だから、比べようがないんですよ。そういう点でもこの中小企業を頑張って入れていることではプラスに、例えば加点するなどもあると思います。そういうルールはできると思います。いかがですか。

鈴木局長:今、データがありませんが、いろんな意味で様々こういう形で、中小企業振興基本条例に基づく市内活性化につながるように、我々財政局としても研究していきたいと思っています。

あらき議員:ぜひ研究できると思いますからやっていただきたいです。
それから副市長にお聞きします。市長は、再選された直後の9月の施政方針で、「市内企業の99%以上を占める中小企業、地域に根差した商店街の皆様との対話を重ね、実効性の高い支援を行います」と述べています。先ほど法人市民税を確保する上でも中小企業大事だとこの点は一致すると思います。この点でもできると思います。いかがでしょうか

柏崎副市長:最後の、なにができるかということが、ハッキリしなかったですが、もちろんいろいろな形で中小企業のみなさまともご意見を伺いながらやっていくということが大事だと思います。しかしその一方で、ある程度の規模以上の事業になったり、あるいは様々な新しい魅力であったりを展開するためには、事業規模を問わず、様々な提案を我々は受けていく必要があると思います。その兼ね合いの中で、しっかり横浜市の事業を進め、将来に向けた横浜の発展を支える事業も1つ1つやっていかなくてはいけないと思いますので、その点はご理解をいただきたいと思います。

あらき議員:すみません。先ほどは、流れで言うとPFIの事業のことも含めてです。ですから提案することについて、横浜市が積極的に中小企業を加えていくという視点で、ぜひこれからもPFI事業を行うにしても、額があまりにも大きいですから、地元の企業が取れるようなことは考えていただきたいと、重ねて要望しておきます。
次にスライド(①)をご覧いただきたいと思います。
プレゼンテーション1

これは一般財源の中で、特に一般会計の市債の発行額の大きな事業を26年度から28年度の3か年で調べてみました。この中で、常に上位5事業に入ってるのが、国直轄の道路負担金は26年度は48億、27年度は92億円、首都高出資金は26年度は42億円、27年度は56億円、28年度は77億円、北西線整備事業は、27年度は62億円、28年度88億円と、そして港湾整備負担金は、26年度は47億円、27年度52億円、28年度59億円と、どれも増え続けています。これはまさに安倍政権いいなりの施策で増え続けている事業だと思います。この点についての見解、副市長に伺います。

柏崎副市長:いずれの事業も、横浜市にとって必要な事業ということで取り組んでいるわけです。とりわけ、首都高出資金で言えば、横浜市の出資を超えて県も出資をしていますし、国もお金を出しているわけですので、そういう事業の中での事業規模を支える、そういう大きな事業の中で、横浜市の出資金が生かされていると考えるべきだと思っていますし、国直轄事業においても、横浜市が単独で行っているわけではないので、この予算の効果を大いに高めるために、国と連携して進めていく。そういう意味では連携していますが、いずれも横浜市にとって非常に大事な事業を、しっかり財源を確保しながら進めているということだと思います。

あらき議員:ところがですね、これらの事業は市内企業がほとんど取れてないんですよ。大企業を潤しはしますけれど、その収益は県外に流失しています。市内経済の活性化への寄与度は極めて低い。この点について見解、副市長に伺います。

柏崎副市長:ただいまのご質問も、先ほどPFIところで頂いたご質問とも似ているのではないかと思います。同じ側面があろうかと思います。やはり、こう言った国が絡む事業については、やはり非常に大きなその計画ということでもありますし、それぞれやはり担うことができる規模というものはあるわけですけれども、そういうものの中で、どういう事業者が、どういう規模の事業者がそれを担っていくかということに関しては、やはり色々なものの組合せで考えていかざるを得ないと思います。
しかし、そういう中にあっても、先生ご承知のように、これまでも私ども、公共施設事業調整室を中心に、国の様々なこうした事業を行っている機関に働きかけて、市内における事業者がそういうことに参入できるように、この数年間にわたって強く働きかけてきました。国自身にもの要望してきましたので、そういうものを合わせていきながら取組んでいく必要というものは、我々感じていますので、そこは引き続きしっかりやっていきたいと思います。

あらき議員:(スライドの円グラフ内の)ピンクのところを私たち一番注目していて、ピンクは学校施設の整備なんです。こういう学校施設の営繕費こそ、市内企業がやっぱり一番取れる仕事であって、そうなれば法人市民税も結果的に回ってくると考えています。この点は、いかがでしょう

鈴木局長:今、学校営繕と話がありますけども、先ほどから申し上げた通り、公共建築物の保全更新計画の中で、それ全体が、今あるものを大事に使うという中で、それを重視していくということと、とりわけ学校施設、市営住宅については、大事にしてなきゃいけないと考えているということで、ご理解いただければと考えています。

あらき議員:ここは議論が分かれるところで、そういう答えがくると思っていましたが、やはり市債を発行する点でも、事業の中身は大事だと私たちは注目しています。発行額を全体で決めたとしても横浜環状道路などの急がなくてもいい道路負担金や、南本牧ふ頭などの港湾整備などについては、市内企業に寄与しないことは明白です。その額が増えることによって、市内業者ができるやっぱり学校施設営繕費や公園整備などの事業の枠が縮小されることがないように、しっかりと主張しておきます。ぜひ次期計画についても改めてそこは考えていただきたいと思います。

市内業者がやれる施設整備などに予算をつけ、計画的な実施を

あらき議員:最後に公共建築物の保全更新と再編整備方針について伺います。

公共建築物の保全更新計画では、年間850億円必要としながら年間640億円しか出ていない状況であることを、常々私たちは心配し、指摘しています。緊急性、耐久性などそれぞれ施設等の実態を把握しながら保全更新をしている事分かりますが、そもそも保全計画にある850億円を捻出できない中で、公共建築物の再編整備は保全更新計画とどのように関係し、今後進めていく考えなのか伺います。

高木室長:公共建築物の保全更新計画は、学校施設市営住宅などの施設ごとに目標耐用年数を70年以上と定めた長寿命化を目指して、点検、診断、修繕、建て替えに取り組むための実施方針です。今後建て替えを実施する施設については、今回作成する再編整備の方針を踏まえ、多目的化、複合化等を必ず検討していきます。

あらき議員:公共建築物全体について、どういう優先順位で再編整備を進めていくのか。

高木室長:再編整備では、老朽化した施設の建替え等の機会をとらえて進めていきますが、その建替えは目標耐用年数の70年を基本としながら老朽化の度合いや施設に求められる機能確保の状態などを踏まえて判断していきます。既存施設の複合化する場合は、施設の耐用年数の延長や、短縮の可能性も含め地域における施設の最適化が図れるよう検討していきます。

あらき議員:限られた財源の中で、更新できるだけの予算確保できるんでしょうか。

高木室長:公共施設の老朽化の進行、これは市民生活経済活動に密接に関わるものであり、その保全や更新については、優先的に取り組まなければならない課題と認識しています。今後さらに厳しい財政状況が見込まれる中で、計画的に保全更新を進めていくためには、今のうちから財政負担の軽減や平準化に取り組むことが必要になります。

将来の適切な財政面につなげるため、次期中期計画の策定も睨みながら、保全更新費の推計を精査していきたいと考えています。今の段階で、その費用を確保できるかできないかと議論するよりも、やはり推計をしっかりと精査するということを先にやりたいと思います。

あらき議員:先ほど、市債の点でも指摘した通り、私たちは不要不急の大型開発予算をまず切り替えて、市内業者ができる更新のための施設整備予算をつけて計画的に実施する予算にしてほしいと思っています。それがあってこそ、市内企業も潤いますし、法人市民税も結果的に増えると思っていますので、ぜひその点お願いしたいと思います。


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