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■「反対討論」 宇佐美さやか議員(2017.12.19)

宇佐美:宇佐美さやかです。日本共産党を代表し、今定例会に提出された6件の議案と、5件の請願の不採決に対して反対討論をいたします。

新市庁舎1.2階は、商業施設中心ではなく市民利用スペースをメインに

宇佐美:まず、市第59号議案 横浜市市庁舎商業施設の運営に関する条例の制定についてです。
新市庁舎整備基本計画の「整備基本方針」にある、「市民への情報提供、相談、案内機能の充実」は1・2階を中心に整備するべきです。市長は、「建築や開発に関する初期相談や情報提供を行う窓口を設けます」と答弁していますが、1・2階での商業施設部分の面積約3000平方メートルに対し、市民協働スペースは390平方メートルで、建築や開発に関する初期相談や情報提供を行う窓口は170平方メートルです。これらの面積からしても、商業施設に力点を置いていることは、明らかです。

また、市民協働スペースを現在活用している桜木町の市民活動支援センターより縮小した理由は「各区の活動センターを充実させてきているとから」と言っていますが、この市民協働スペースこそ現在の活動支援センターより広さや什器を充実させ、市民利用の活性化につなげることこそが必要です。

商業施設がメインの整備は、市民の理解を得られるとは思えません。計画自体の見直しを求めます。

入江町公園プールを廃止し、子安小プールに市民利用を代替させることは子ども市民両方に不利益をもたらすものだ

宇佐美:次は、市第61号議案 横浜市立子安小学校のプール使用料条例の制定と関連する市第71号議案 横浜市公園条例の一部改正についてです。

入江町公園プールが71号議案によって廃止されてしまいます。子安小学校のプール使用料の条例を制定しなければならなくなった背景は、2015年10月に策定された「プール及び野外活動施設等の見直しに係る方針」があり、学校プールに公園プールを統合・集約する第一号になるというものです。

子安小学校の現校舎から、近い入江町公園プールを廃止し、移転新築される子安小学校のプールを、市民利用できるようにするという計画です。

しかし、この集約によって、入江町公園プールでは、年間平均51日間市民解放されていたものが、44日間と減らされます。

さらに、空と緑を眺めながら、広いプールサイドで横になることや、25mプールの他に子ども用のプールと赤ちゃんも入れる、ビニールプールも用意されている環境から、子ども用のプールは、独立したものはなく、25mプールをL字型にして、一部を幼児用として水深を浅くするだけです。面積は、132平方メートルから40平方メートルと大幅に縮小されます。これは明らかに市民サービスの低下でしかありません。

また、71号議案は、入江町公園プールの廃止だけでなく、都市公園法の改正に伴い、必要な規定を定めるものです。その内容は、民間に公園内のレストランやコンビニなどの収益施設を認める代わりに、公園使用料を財源に公園路や広場等の整備をする民間事業者を公募するものです。そして民間事業者へのインセンティブとして、収益施設の設置期間を通常10年から20年に延長し、建ぺい率は通常の2%から最大12%にまで緩和するものです。

7.4ヘクタールの山下公園を対象にした場合、民間事業者に最大8880平方メートルまで施設の設置を認めるものです。

公園の設置目的は、人々のレクリエーションの空間、良好な都市景観の形成、都市環境の改善、都市の防災性の向上、生物多様性の確保、交流空間の提供等にあります。今回の措置は、公園の設置目的や市民の利便性の後退につながるもので、賛成できません。

市長や議員など特別職の期末手当を市職員の期末手当引き上げに準じて引上げることは、市民理解を得られない。

宇佐美:次は、市第64号議案 横浜市職員に対する期末手当及び勤勉手当に関する条例の一部改正についてです。

期末・勤勉手当について、他都市の条例を調べたところ、期末手当の額を本市のように一般職職員・市長と議員を1つの条例でまとめている自治体は20政令市のなかで、本市だけで、他都市は分けています。

一般職職員の賃金は生活保障、生存権に関わる賃金で、議員の任務に対する報酬に勤勉手当を連動させる根拠は全くありません。市民のくらしは、賃金の目減りや年金の相次ぐ引き下げ、社会保障費の負担増が続いています。

市長は、「条例改正の考えはない」と本会議で答弁されていますが、私たちは「一般職の例による」という提案方法を変え、市長等と議員とそれぞれ3つに分けて提案し、それぞれに審議できるようにすることが望ましいと考えます。

これまで、党市議団は、一般職の期末手当引き上げに着目して、同種の条例 改正には、賛成してきました。しかし、今回他都市の調査結果では、市長がその気になれば改善できることがわかりました。議員の場合は、個別に審査するべきであり、その限りで同条例改正には、反対です。

市長も教育長も必要性を認めている教育文化センターは廃止せず、現在地の関内で建て直しを

宇佐美:次は、市第78号議案 横浜市教育文化センター条例の一部改正についてです。

市長は、5日の本会議で「教育文化センターは必要で早期に検討を進めていきたい」と答弁されました。本当に早期に検討していく考えがあるのでしたら、元の場所で建て替えをし、これまであった機能を全て戻せばいいと考えます。

建て替え場所をしめさずに現センターの施設廃止の提案は、売却を求める大会派からの声があったとはいえ、余りにも無責任で、認める訳にはいきません。

マンション・建売住宅の水道加入金半減の、恩恵を受けるのは開発事業者だけ

宇佐美:次に、水第3号議案 家事用の専用給水装置の工事を行う等の場合の暫定の水道利用加入金を定める条例の一部改正についてです。

これまで、市内在住3年以上で、新築の注文住宅を購入した市民である場合は、給水装置の新設工事を行う際の加入金額である162,000円を81,000円に減額する現市民適用制度が利用できましたが、建売や共同住宅の購入者には、適用されないことから、不公平感を解消することを目的に条例を改正するということです。

しかし、実際には、この加入金は、建設業者や不動産業者が建設前に支払い、販売価格に含まれているのが一般的です。

何よりも問題なのは、今後も、施設や管路などの耐震化・更新に巨額の費用がかかるにも関わらず、12億円の減収となることです。水道局にとっては大きな痛手となることは明らかで、最終的には、市民に水道料金の値上げとしてのしかかるのではないかと危惧しています。

本来でしたら、値下げになることは、喜ばしいのですが、大手の建設業者や 大手の不動産会社が建設費用を削減できるだけのことを、水道局が痛い思いをしてまでやる必要は、ないと考えます。

さらに、横浜水道長期ビジョンにも中期経営計画にも書かれていないようなことを、大会派からの「水道加入金の廃止について」などという要望を受け入れて行うことは、行政運営への市民の信頼感を削ぐものと云わざるをえません。

約29万筆が集まった学童保育の充実・発展を求める請願を採択すべき

宇佐美:次は、請願についてです。

請願第6号「学童保育の充実・発展について」の請願項目の一つ目は「ひとり親世帯・多子世帯への利用料減免制度を市の単独事業として実施してほしい」というもので、このことの必要性は、本市も認めていて同主旨を国に対して要望しています。必要性を認めているのですから、その実現までに市としての単独事業として実施することは当然のことです。

請願項目の二つ目は、施設家賃補助の増額を求めたものですが、施設補助を受けている学童の4割が補助額を超過した物件を借りざるを得ない実態からみて、もう少し家賃相場の実態に合わせて、補助額引き上げを求めることも、当然です。さらに、今年度35カ所分の移転費用が計上されていますが、現時点でも6カ所程度しか移転に着手しておらず、このまま期限までに移転が、実現できなければ基準適合させるために、児童受け入れ人数を減らさざるを得ません。そうなれば子ども・子育て支援計画で2019年度に約1万人を学童保育に入所させるとする、本市が掲げた目標も、このままでは達成が困難になります。そこで、今回要望されている家賃補助の増額は、市が目標としている学童の量を満たすという公益にもかないます。よって、約29万筆の本請願については、委員会の不採択に反対し、あらためて採択するよう呼びかけます。

中学校給食実施という時代の要請に、市長と市会はいつまで背をむけるのか

宇佐美:次は、請願第11号 横浜市中学校における給食の実施についてです。

請願の理由にあるように、神奈川県の中学校給食の実施率が最下位なのは、本市が実施していないことで足を引っ張っているからです。ハマ弁の喫食率も僅か1%そこそこにとどまっています。文科省の発表によれば2016年度の公立中学校の給食実施率は90%を超えていました。いつまで時代の要請と社会の流れに市長と市会は、背をむけるのですか。ハマ弁に更なる公費投入という道ではなく、本市の中学校で学校給食法に基づいた給食の実施を求める本請願こそ、採択することを呼びかけます。

週刊誌報道された横浜市議「不倫スキャンダル」の疑惑解明を

求める請願は、議会の品位回復のためにも採択すべき

宇佐美:次は、請願第12号と第13号 市会議員の疑惑解明のための調査特別委員会の設置等についてです。

本件は、11月半ばに週刊誌やテレビなどで報道された横浜市会議員の「不倫スキャンダル」疑惑について、その疑惑の解明などを求めるものです。それぞれの請願について、請願趣旨をそのまま読めば一般市民から本請願が提出されるのも、よく理解できます。

12月12日に市会運営委員会の場で、この請願についての審査が行われました。

審査の前に、それぞれの会派のみなさんは、たった2人の市民の直接傍聴を「スペースがない」や「モニターやインターネットでの傍聴を」などとおっしゃって拒否したことは、スペースもあることからその理由は成り立ちません。

各会派の請願に対する意見は「議会外における議員個人の行動については、議員自らが責任をもつものであり、議会が議員個人の行動に関与すべきでない」として「一連の経緯の中で、一定の責任をとっている」と、辞職を求める必要はないということでした。

議員は、個人的なことであれば、倫理的なことから一切解放されて、何をしてもいいものなのでしょうか、議会基本条例の倫理規定に照らしてどうであったか、事実関係の究明こそ、市民は求めているのであり、潔癖であるなら、本人たちがそのことを公の場で表明するべきです。一連の経緯の中で一定の責任をとっているというその根拠を示すことこそ、必要です。以上の理由から、請願の採択を求めます。

保育士や保護者の切実な願いを受け止めよ

請願の最後は、第14号です。保育・子育て支援策の充実等についてです。請願項目は、①待機児童数と保留児童数をもとにした保育所増設計画を ②障害児や要支援児童、虐待児童の対応について早期に適切な手だてを受けられるよう、関係機関との連携や手続の簡潔化を ③近隣の公園使用を条件に認可を行った保育所が利用する公園の整備や管理、利用時の保育士加算など保育環境改善を ④保育士が安心して働き続けられる賃金の保障を ⑤保育料の引き下げ、兄弟が同じ保育園に通えるような措置をとるなど保護者負担の軽減を ⑥民営化計画は廃止など、全7項目です。

これらは、どれも本市の保育事業を支える、保育士や保護者の切実な願いです。議員のみなさん、この願いに応えようではありませんか。
以上で討論を終わります。