申し入れ等

2017年12月21日

国際園芸博覧会の基本構想(素案)の見直しを求める日本共産党の見解

2017年12月21日

国際園芸博覧会の基本構想(素案)の見直しを求める日本共産党の見解

日本共産党横浜市会議員団

団長 荒木由美子

 

横浜市は、2026年に旧上瀬谷通信施設での国際園芸博覧会(花博)開催を目指しています。上瀬谷通信施設跡地は242ha(国有地45%、私有地45%、市有地10%=道路)の広大で平坦な首都圏に残された貴重な土地です。この土地利用について、市は郊外部の再生に資する新たな活性化拠点の形成を目指すとしています。そのため、都市基盤整備の促進、国内外の先導的なまちづくりに寄与する、花博の招致検討を進めています。花博基本構想(素案)についての市民意見の募集にあたり、党市議団の見解を述べるものです。

 そもそも国際園芸博覧会は、オランダのハーグ市にある国際園芸家協会(AIPH)が決定し、パリに本部を置く博覧会国際事務局(BIE)が承認する博覧会です。もともと、園芸博は、花や野菜の品評会、見本市という欧州の伝統的なイベントであり、生産者の利益を図り、技術の向上をはかるというAIPHの展開策です。振り返れば、国際博覧会は、1851年のロンドン万博以来、国威発揚の場でした。しかし、近年では、人類共通の課題解決にむけて、先端技術など世界の英知を集め、新たなアイデアを創造・発信する場、多様な文化や価値観を共有し、相互理解を促進する場へと総じて進化しています。横浜市が「花博」誘致希望であれば、その原点に立ち、歴史を踏まえることが必要です。

1) イメージできないメインテーマは見直すこと

メインテーマを「Scenery of Happiness ~幸せを導く風景~豊かさを深める社会への契機・進化に向けて」としていますが、ここからは横浜カラーの花博のイメージが見えてきません。1990年開催の大阪の花博は「自然と人間との共生」、2016年開催のトルコ・アンタルヤの花博は「花と子供達~将来世代のための緑豊かな暮らしを拓く」をメインテーマにしています。これを見ても横浜はあまりにも抽象的すぎます。しかも英語表記が前面です。市民がイメージしやすいよう、日本語で自然、環境、緑の重要性を訴えるものに見直すことが必要です。

2)花博を再開発の手段としないこと

「開催意義と効果」のうち、日本での「視点」としている「国内外の来訪者により観光立国や首都圏の観光MICE(マイス)の推進に貢献」「高水準の情報通信等による次世代の社会環境や第4次・第5次産業革命を先導」は、国策への追随そのものです。上瀬谷の「視点」として「上瀬谷の拠点整備により郊外部の活性化モデルとして圏域振興を牽引」と、「事業展開の考え方」での「郊外部の活性化拠点として上瀬谷の整備と合わせて、存在感のある選ばれる・住み続けられる都市づくり」等は、花博自体の意義にはつながらず、花博そのものから得られる効果とも言えません。花博後の土地利用として都市基盤整備を円滑にすすめるためとの意図が露骨に示されています。花博を再開発の手段とすることに国際的理解は得られません。横浜市が主導するわけですから、国際的イベントであっても、開催費用の一部を負担する373万市民にとって、どういう意義があるかを前面に打ち出すことを求めます。

3)1500万入場者数を既成事実化しないこと

入場者規模は1500万人以上を想定、会場規模は80ha~100ha(国有地)、開催経費として運営・建設費を510億円から600億円と見込んでいます。大阪花博は1990年、大阪市鶴見緑地(105ha)で日本初の国際園芸博覧会として開かれました。入場者数は2300万人。建設・運営費892億円。主な財源は入場料492億円、国費66億円、自治体負担100億円、公営ギャンブル団体寄付100億円、企業寄付88億円です。建設運営費の他に特別会計300億円で諸事業を展開し、その財源に40億円の宝くじ収益金を充当しています。公営ギャンブルと民間資本に大きく依存していることが分かります。

このように大阪花博は、バブル期の開催の恩恵をフルに享受したと云えます。横浜の場合は、2026年開催であり、経済状況は全く読めません。事業企画内容についても市民ニーズ、時代に適合したものになる保証はありません。郊外部の開催であり、交通アクセスは、地下鉄駅が会場内という大阪花博と比べて、悪いのは明白です。しかも、大阪市が、横浜の前年2025年開催の万博誘致には躍起になっています。連続開催によるデメリットも考慮しなければなりません。2009年開催の横浜開国博Y150の有料入場者数実績は目標500万人に対し124万人という悲惨な結果でした。苦い経験を想起すべきです。1500万人を既成事実化して、建設運営費予算を立てることは、Y150の教訓を踏まえないことになり、やってはいけないことです。

4)会場外の関連公共事業は、巨大化を避け、身の丈に合ったものに

大阪花博では、関連公共事業として地下鉄1000億円、道路347億円、公園170億円、下水道162億円など総額1853億円の巨費を要したと聞いています。大阪市財政に多大な影響を及ぼしています。横浜の会場予定地は、相鉄瀬谷駅から約2㎞、環状4号線が貫通しているものの交通アクセスは脆弱です。6か月の開催期間で1500万人の入場数は、一日平均8万2千人となります。この受け入れをスムーズにするには、道路整備、輸送手段の確保、下水道整備など関連公共事業が求められます。市財政への負担は避けられません。市は国費を入れて、関連公共事業の推進を図ろうとしていますが、国費投入の実現性は、国の財政状況から見て極めて不透明と云わざるを得ません。市会会派から導入を求められているLRTは、宇都宮市の事業計画では1キロ当たりの事業費は30億円です。花博用には有効だとしても、公園を中心とした「跡地利用指針」からみると、採算上過大投資と云わざるを得ません。

5)土地利用とまちづくりは市民合意で

  花博誘致にあたっては、返還跡地活用のための基盤整備促進の国費呼び込みを露骨に打ち出した基本構想を改め、これまで瀬谷区役所をはじめ地域連合会や地権者で策定された「米軍施設返還跡地利用指針」等で示されている「広域の防災拠点」「緑を享受する自然リクレーション空間」「都市型農業の振興」と整合性のとれた構想にすべきです。同時に、首都圏に残された貴重な土地の跡地利用やまちづくりについては十分な時間をかけ、地権者をはじめ市民との合意形成を丁寧におこなうことが重要です。

市民にとって意義のある花博開催となるよう、以上の提案・見解を踏まえた素案の見直しを求めるものです。

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