議会での質問・討論(詳細)
2018年2月26日

■予算代表質問 (あらき 由美子議員)

経済最優先ではなく、だれもが住みやすい街「よこはま」へ

あらき議員:日本共産党を代表して質問します。まず、予算編成の考え方についてです。

昨年8月に行われた市長選挙の公約で、林市長は、①「子育てしやすいまち・よこはま」②「高齢者にやさしいまち・よこはま」③「日本一女性が働きやすい・働きがいのあるまちづくり」④「災害に強いまち・ひと・地域づくり」⑤「より強靭で活気あふれる横浜の経済・産業の実現で、だれもがどこでも働きやすい職場の実現」を掲げていました。この選挙公約と今回の施政方針とを比較すると、①力強い経済成長と文化芸術創造都市の実現 ②花と緑にあふれる環境先進都市 ③超高齢社会への挑戦 ④人が、企業が集い躍動するまちづくり ⑤未来を創る多様な人づくり ⑥未来を創る強靭な都市づくり、となっています。

選挙公約にあった①番目の「子育てしやすいまち」という文言が見当たらず、新たな中期計画でも戦略の1番は、力強い経済成長となっています。市長の市政に対する優先順位が、人から経済優先に変わったように思いますが、その理由を伺います。

林市長:あらき議員の御質問にお答え申し上げます。予算編成の考え方について御質問頂きました。

新たな中期計画での子育てしやすい街の位置づけについてですが子育て支援は市長就任以来、特に力を入れて取り組んでおりまして将来も継続していくものでございます。新たな中期計画の基本的な方向では子育て支援についても未来を創る多様な人づくりに位置付けておりまして、将来にわたり安心して子供を生み育てる環境づくりを進めます。さらに駅周辺や住宅地の魅力向上などのまちづくり施策とも連動させて子育てしやすい街を実現してまいります。

大型公共事業優先の市債発行を見直し、市民の暮らしに関わる施設整備費こそ増やせ

あらき議員:一般会計の予算規模は1兆7,300億円で前年度比5%増となり、市長は、「平成30年度は、横浜市を将来にわたり明るい希望に満ちた都市にするため、新たな中期計画を策定します。この計画初年度の歩みを確実に踏み出すための予算を取りまとめました」としています。

その横浜市を将来にわたり明るい希望に満ちた都市にするとして、施設整備費は対前年度比で3割も増額し、新市庁舎整備費325億円、高速環状横浜道路346億円、国際コンテナ戦略港湾など港湾整備に103億円、山下ふ頭再開発62億円など大型公共事業に大盤振る舞いをしています。

大型公共事業を実行し経済を活性化させるという手法は、安倍自公政権が行っている手法そのままです。さらに、2020の東京オリンピック・パラリンピックまでに新市庁舎や横浜環状道路北西線を完成するというのは、自民党市議団からの要望に沿ったものです。

市民にとって豊かさを実感できるまちづくりのためには、地方自治の本旨にもとづき、住民本位の予算となることが必要です。具体的には、市民要望の高い災害対策のための崖防災や身近な公共施設の長寿命化の予算、市営住宅や養護老人ホームなどの高齢者のための住まいの予算、そしてスクールゾーンや歩道の整備などの身近な公共事業の予算こそ増やすべきです。

しかし、これらの切実な市民要望の予算は188億円に過ぎず、先にあげた4つの大型公共事業836億円の予算額と比較して差がありすぎます。

市民要望の高い身近な暮らしに関わる施設整備費こそ増やし、大型公共事業優先の市債発行は見直すべきと考えますが、市長の見解を伺います。

林市長:施設整備費や市債発行についてですが、将来にわたって都市の活動を支える基盤の整備、市民の皆様に身近な行政サービスを提供する施設の整備、防災・減災の強化などをバランスよく進めることが必要です。引き続き、安全安心の市民生活の実現に向けて財源を適切に配分・活用しながら、しっかりと取り組んでまいります。

第2質問

あらき議員:施設等整備費を新市庁舎や横浜高速環状道路などの大型公共事業整備に特化したため、一般財源も増え、その増額分は、127億円です。その増額分を捻出するために、1176件の事業を見直しし、116億円を捻出しています。その見直しした事業は、国民健康保険事業費会計の繰り出し金18億円、放課後児童クラブ事業の1億9千万円、職員の退職手当の引き下げ9億円などです。

しかも局の中で見直しをした件数のトップは健康福祉局の130件で、効果額は26億円です。この数字からみても、市民の暮らしを守るべき事業にしわ寄せをしていると市長は思わないのでしょうか、見解を伺います。国民年金だけで生活している人や、ダブルワーク・トリプルワークをして子育てしている母子家庭や低所得世帯の方たちにこそ、市長がおっしゃる市民の暮らしを支えることが必要です。貧困に苦しむ方たちにこそ、制度の拡充や負担軽減策がこれほど求められている時はありません。この方たちに対する施策は十分だと思っているのか、この点についての市長の見解を伺います。

林市長:只今の、あらき議員の御質問にお答え申し上げたいと思います。私は今、この横浜市の予算編成の責任者として、先生方の御意見・議論も頂き、職員とともに作り上げてご提案しているところでございますけども、この予算配分等々について、もうこれでいいのかという御質問には、全くいいとは思っておりません。これ、どこの要するに部門に対しても、決して満足はしていません。しかし、それは本当に税収が厳しいからですね。横浜市、こういう基礎自治体の中にあって、373万人の方を要するにおまもりする中で、決して潤沢な予算ではないんですね。だから、もしもっと予算はどうなんですかという、私が一人の人間として考えさせて頂ければ、いやもっと付けたいところ沢山あるんです。ただし、これは皆さんがもう市民の方が汗を流しながら、働いてくれた成果・対価をお預かりしてますから、本当にきちっとした、今出来ることの最善の配分をしていって、必ずそれが市民生活の皆さまにとって良いものであるようにという、ベストのものを考え抜いている訳です。ですから、施設整備費に、非常に堅いちょっと失礼な言い方ですが、力が入って、他の方の例えば健康福祉局なんか一番シワ寄せがいってるんじゃないかという、そんなことはございません。別に、どこのを削ってどうしようとかじゃないんですね。ですから、内部経費116億円生み出したとか、無駄なって失礼ですけど、事業の見直し等そういう経費を見直すことが必要なことでございまして、無理矢理シワ寄せをするために、やってることではございませんので、私もそういう内容については把握しておりまして、本当に市民の皆さまがお困りになる、それはお困りになる皆さん誰も OK だっていう方はいらっしゃらないかもしれないけど、今、最善の中でやっておりますから、そこは御理解賜りたいというふうに思います。そしてこの施設整備費等ですね、この市債発行のあり方で四年間でバランスとプライマリーバランス、それから市債発行のバランス等々いろいろ取っていくという御話も、これはもうあらゆる手法を通して、持続的に横浜市が落ちていかないようにという考えでございます。ですから、ここで申し上げたいのは、なにかどこかの予算を持ってきてこっちに付けるとか、そんな考えではございません。今、全体最適という言い方だと思いますけども、大型公共事業っていうのはやっぱり大事です。これがやっぱり今の国際的にも、横浜市の実際感の中で、横浜市は、特に道路事業等・交通網等で遅れをきたしてるのは、私は間違いないと思いますし、特に北西線に代表されるような事業は必要だと思っております。

大企業への大幅な規制緩和ではなく、住民の福祉の増進を図れ

あらき議員:人や企業を呼び込むとして、横浜駅きた西口鶴屋地区のグローバル企業向け超高層マンションでは国家戦略特区等による規制緩和で容積率500%を850%に増やす、神奈川区の東高島駅北地区・港北箕輪町2丁目地区地区計画などは区プランで決まっていた計画を無視して、高さ制限などを大幅に変えて規制緩和をする、栄区上郷では、市街化調整区域を市街化区域へと線引きを変更して開発を可能とさせるなど、これらの規制緩和や変更は、企業に儲けさせるためとして、至れり尽くせりです。また、カジノを含むIRについては白紙としていますが、撤回をしていません。

安倍政権の「世界で一番企業が活躍しやすい国を目指す」という国策に沿ったと言わざるを得ないこれらの政策は、「住民の福祉の増進を図る」とする地方自治体の目的とは相いれないものだと考えますが、市長の認識を伺います。

林市長:規制緩和による開発が地方自治体の目的とは相いれないとの御指摘ですが、地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本としておりまして、市民の皆様の幸せな暮らしを確保していく使命があります。生産年齢人口が減少する中、都市の活力を維持し、市民の皆様の安全安心をお守りするためにも、企業誘致をはじめとした市内経済活性化を力強くすすめ財政基盤の強化を図っていく必要があります。

企業を惹きつける街づくり・MICEによる交流人口の拡大より、子育て世代に選ばれる「横浜」へ

あらき議員:市長は、次の世代へ「横浜」をつなぐためには、人や企業を惹きつける街づくりを進め、人口の社会増の維持や、積極的な企業誘致、観光・MICEなどによる交流人口の拡大を図る必要があるとしています。

流出人口が流入人口を上回っている理由の一つとして、子育て世代の負担が横浜では大きいことが考えられます。いまだに中学校給食は実施せず、小児医療費無料化は所得制限があり一部負担金もある。さらに共働き世代での保育料の高さや学童クラブでの負担も大きいとなれば、同じ市民税を払っているのだから、子どもへの施策が手厚い自治体を子育て世代が選ぶのは当然です。

横須賀市では4月から年収360万円未満の世帯を対象に、幼稚園と保育所の保育料を無償化し、子育て世代の支援を厚くしています。小児医療費の無料化では、全国の1741市区町村の傾向として、通院の所得制限なしが1432、自己負担なしが1054、となっています。横浜市は所得制限と自己負担の点でも全国の流れから遅れています。

市長は子育て世帯を流出させないための施策は十分行っている、と認識していらっしゃるのかどうか伺います。

林市長:子育て世帯を流出させないための政策についてですが、妊娠期からの切れ目のない支援・待機児童対策・放課後の居場所づくりをはじめ、子育て・医療・福祉・教育など、あらゆる分野で継続して取り組みを継続させていきます。また身近なところで、文化芸術や花と緑に触れ合う環境を整えるなど、子育て世代にとって、暮らしやすいまちづくりを進めてまいります。

地方自治体の役割として、早急に郊外部の公共交通機関確保を

あらき議員:誰もが「住みたい」「住み続けたい」と思える郊外部には、高齢者が多く住んでいる傾向にあります。買い物や通院などで困難さを増す地域住民にとって、公共交通機関としてのバス等の移動手段は必要不可欠です。このような地域に向けて、地域交通サポート事業の機能強化が求められています。

この事業は、坂道が多い横浜市では、既存バス停から自宅までが遠い地域やバス路線がない交通空白地帯等に限定し、地域住民の方々が集まって地域交通の導入に向けて取組むことを目的とし、地域の主体的な取組みがスムーズに進むように、地域交通の導入に至るまでの地域活動に対して様々な支援を行う事業です。現在までに29件の要望が出され、そのうち16件が運行されています。残りの13件が実現されないのは、この制度は採算が取れる路線でなければならないこと、また市の補助金を入れて走らせるという方法は認めていないことから、実現を断念しているケースもあります。地域住民や民間からの援助ばかりが強調され、採算が取れないために実現できない状況では、ますます郊外部は疲弊するばかりです。

地方自治体だからこそ、その町に住み続けている人に対し、税金をどのように再配分をし利便性を保っていくのか、まさに公共交通のあり方が問われています。郊外部での足の確保対策に、どう責任を持つのか、市長の見解を伺います。

林市長:郊外部での移動手段の確保ですが、これまでも、路線バスの維持や利用促進につながる取り組み・地域交通サポート事業による地域への支援などを進めてきました。今後は、これらに加えてよりきめ細かいサービスを可能とするために、タクシー事業者と連携した取り組みや多様な主体による交通サービスの提供など、郊外部の移動手段の確保に向けた取り組みを進めていきます。

利用者の生活の悪化を加速させる生活保護基準の引き下げは中止せよ

あらき議員:次に貧困対策と格差是正について伺います。

政府の生活扶助基準の見直しにより、最大5%削減され、その総額は年間210億円、扶助費が下がる世帯は67%と言われています。

ここで生活保護制度を利用している42歳 男性の例を紹介します。高卒で警備会社で働き始め、5日連続夜勤その後日勤で働くという日もあった。夜勤の日は仮眠が取れるが、寝ている上の部屋で他の人が麻雀などをして大声で騒ぐため眠れない、上司や先輩からのパワハラは日常茶飯時あり、21歳で辞め、派遣会社に就職し、横浜港などで働いた。派遣会社で働いた際、安全靴の支給もなく、木の枠をばらす仕事では足に釘が刺さる、鉄を切る作業ではその破片が顔に刺さるなどのケガをし、派遣会社に報告しても、2000円の手当しか出ない。休むと次の仕事がもらえなくなり、収入が減るので、我慢して働いた。川崎のふ頭に駅からマイクロバスで30分ほど行ったところで降ろされ、仕事中に発熱したため帰宅したいと派遣会社に連絡すると、マイクロバスは出せないと言われ、タクシー代もないので、駅まで寒い中2時間歩いた。過酷な労働条件の下、日雇いのみで生計を立てるため、常に不安がありストレスがたまる。そのため食事をまともに食べられず、空腹を満たすことを優先するため、炭水化物を主に口にしていた。その結果、糖尿病になり、足の指先がしびれ、抹消神経に痛みが走るため歩行困難となり、派遣の登録もできなくなり、生活保護を利用するようになった。生活保護を利用してから、生活の不安がなく過ごせるようになったが、今でも水光熱費は切り詰め、食費も底値のものを買っている。今現在、野菜が高騰しているため、それが痛く、電化製品が壊れたら買い替えるだけの余裕は今でもない。

現時点においても、日々の生活を大変な思いで生活保護を利用している方たちに、さらなる引き下げは生活保護利用者の生活の悪化を加速させることになります。そこで、まず、政府に対し生活保護基準の引き下げ中止を求めますが、市長の考えはどうでしょうか。

また、2013年度の生活保護基準の引き下げにより、就学援助制度に影響がでないように文部科学省から自治体は配慮すべきと通達していたにもかかわらず、市長は就学援助制度に2014年度から適用し、約1000人を対象外としました。当時、横浜市と同じ対応をしたのは、文部科学省の調査によると全国1768自治体のうち4%しかなく、圧倒的に少数でした。今後、政府が生活保護基準の引き下げを強行した場合に、低所得で苦しむ市民を守るため、就学援助制度をはじめとした市の事業に影響が及ばないようにすることを、改めて市長に求めますが、あわせて見解を伺います。

林市長:貧困対策と格差是正について、御質問頂きました。生活保護基準の見直しについてですが、詳細については国から示されておりませんが、お子さんがいる世帯を中心に増額となる世帯もあると聞いておりまして、今後もその動向に注視してまいります。生活保護基準の引き下げに伴う影響については、就学援助制度をはじめ、それぞれの事業の趣旨や目的・実態を十分に考慮しながら、国の基本的な考え方を踏まえて出来る限り、その影響が及ばないように対応をしてまいります。

生活に困った方へ確実に生活保護制度がつながるように、保護申請権を保障せよ

あらき議員:日本の生活保護の捕捉率は、専門の研究者の推計で、だいたい2割程度にとどまっていると言われ、諸外国と比べてもきわめて低い原因について、専門の研究者らは「三つの原因」を指摘しています。

第一に、「スティグマ」といわれる“生活保護は恥だ”という意識や、生活保護に対する「バッシング」から、生活保護を申請することをためらってしまう。

第二は、自分が生活保護を利用できることを知らない方が多い。年金があったらダメ、働いていたらダメ、持ち家があったらダメ、などと誤解している方が多い。これは制度の周知不足が招いていることです。

第三に、勇気をもって役所の窓口に行っても、間違った説明で追い返される。いわゆる「水際作戦」が依然として横行していることです。

生活保護は恥だという認識を持たせないために、法律の名称を「生活保障法」に変えること、国民の権利であることを明らかにし、制度の広報・周知を法律で義務づけることなどを、わが党は国会で提案をしています。

そこで横浜市として、生活に困った方が確実に制度につながるようにするために、生活保護の相談では、まず申請用紙を渡すことが大事です。申請権を保障する上で、そのように対応しているか伺います。

林市長:生活保護の御相談についてですが、生活保護制度は複雑な制度であるために、丁寧に説明をさせて頂いて、御理解を頂いた上で申請して頂くことが、大事だと考えております。その上で、申請の意思のある方に対しては、速やかに申請書をお渡し致します。

低所得世帯に対する支援策を手だてし、貧困と格差の是正に取り組むべき

あらき議員:貧困と格差を是正するために、低所得世帯に対する支援策も重要です。

政府の新年度予算では、医療・介護、生活保護などの社会保障費の「自然増」分1300億円を削り、安倍自公政権の6年間で1.6兆円にも大幅に削減する一方で、軍事費は6年連続の増額、5兆1911億円とし、17年度補正予算案でも2345億円が追加され、その突出ぶりは異常です。

「格差と貧困」の是正を求める国民の声に背を向け、富裕層の金融所得への優遇税制を聖域としています。このような政府の予算方針のもと、市民の暮らしをまもる自治体としては、低所得世帯に対しできる限りの手だてをすることが求められています。

65歳以上75歳未満で夫婦ともに国民年金で満額支給の方は、年間一人あたり77万9300円で生活しています。国民年金以外に収入等が無い場合は、市民税非課税となり、介護保険料は今回の改定で年29760円、国民健康保険料は26180円となります。年間約78万円からこれらの額を引くと、72万円で、月の生活費は一人あたり6万円です。国民健康保険料と介護保険料の値上げ額をそれぞれ合わせると、年間約2千円です。低所得者にとっては、2千円上がるというのは負担です。

市の試算では、国民健康保険料と介護保険料のこれ以上の減額はないとしていますが、蓄えがあるならまだしも、国民年金のみしかない夫婦世帯では、医療や介護が必要となった際、生活が困難になるのは目に見えています。市独自で所得の低い世帯については、国民健康保険料と介護保険料の負担が増えることのないよう現行のままで据え置くことは、一般会計からの繰り入れ金と介護保険給付費準備基金積立金の取り崩しを若干増やせばできることです。そのように対応する考えはないか伺います。

林市長:低所得世帯の保険料についてですが、これまでも低所得世帯に対し、さまざまな負担緩和策を実施しておりますが、高齢化に伴いまして給付費が増加する中で、持続可能な制度とするために、低所得世帯においても一定の負担増をお願いしております。その上で個別の世帯状況により、保険料のお支払いが困難な場合には、減免などの対応を行っております。

母子家庭も安心して受けられる就学援助、成績要件を問わない給付型奨学金制度の創設へ

あらき議員:子育てしている母子家庭への施策についても伺います。

平成28年度の国民生活基礎調査による「児童のいる世帯」の平均所得額708万円に対し、児童のいる母子家庭は295万円と、非常に低くなっています。母子家庭の子どもたちは、塾に通うことや、習い事などは思うようにできません。ましてや、高校・大学・専門学校など、進学したいと思っても、この低い所得では、進学そのものを諦めるか、多額のローンを組むしかありません。

新年度予算において、こどもの貧困対策として、自立に向けた生活・学習支援では、寄り添い型学習支援などの箇所数を増やした3200万円の増額のみです。高校卒業は就職するにあたっても最低条件になっています。就学援助は高校では適用されないことから、母子家庭でも安心して高校に通い卒業できるようにするために、札幌市の特別奨学金や相模原市、名古屋市、神戸市の給付型奨学金のように、市独自の低所得者を対象とした成績要件を問わない奨学金制度を創設する考えはないか、教育長に伺います。

岡田教育長:貧困対策と格差是正について、御質問頂きました。成績要件を問わない奨学金制度の創設などについてですが、現在国や県において成績を要件としない就学支援金や学費補助金・就学給付金などについて、見直しが行われています。国や県の動向を注視しながら、給付型の本市高校奨学金制度について応募要件などについて、一部見直しを検討していきたいと考えております。以上、ご答弁申し上げました。

安倍首相の発言と行動は、世界の平和への流れに逆行している

あらき議員:最後に平和事業について伺います。

現在、冬季オリンピックが開催され、各国選手や応援をしている方たちが、お互いの健闘を称え励ましている姿に感動をおぼえます。そこには、国境はありません。わが党は、韓国と北朝鮮による約2年ぶりの南北高官級会談が開かれ、平昌(ピョンチャン)オリンピックへの北朝鮮代表団の派遣、軍事当局間の会談の開催などで合意したことを歓迎しています。この一歩が、破滅をもたらす戦争を回避し、地域の緊張緩和、朝鮮半島の非核化につながることを、強く期待するものです。また、どんな困難があろうと「対話による平和的解決」こそ唯一の方策です。2月10日にはソウルの大統領府で文在寅(ムン・ジェイン)韓国大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の妹の金与正(キム・ヨジョン)党中央委員会第一副部長や金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常任委員長らが会談し、北朝鮮側は文大統領の訪朝を要請しました。

一方、安倍首相は、2月9日に平昌で行われた日韓首脳会談で、こうした動きを「北朝鮮のほほえみ外交に目を奪われてはならない」と否定的な見方を示しました。しかし、こうした見方は北朝鮮の核・ミサイル問題の解決からみても重大な誤りです。北朝鮮の核・ミサイル開発の根源には朝鮮戦争に伴う南北の分断があるからです。むしろ、安倍首相の「対話のための対話では意味がない」との発言に象徴される「圧力一辺倒」の姿勢が、北朝鮮の核・ミサイル問題に立ち向かう上で不可欠な関係各国の団結を阻害しています。さらに安倍首相は、毎年2月から3月に実施される米韓合同軍事演習がオリンピック後に延期されたことに関して、「演習は予定通り進めることが重要」と主張し、これに対して韓国大統領府高官は10日、文大統領が「わが国の主権の問題であり、内政に関する問題だ」と不快感を示したことを明らかにしています。平和祭典に行って軍事行動をけしかける安倍首相の言動は異常すぎます。

25日の平昌オリンピック閉会後、朝鮮半島情勢は激動を迎える可能性があります。アメリカ側には、「ブラッディー・ノーズ(鼻血)作戦」と呼ばれる北朝鮮への“限定的”先制攻撃の選択肢が浮上し、これは全面的な核戦争に発展する危険もあり、アメリカ政府内でも可否をめぐって意見が一致していません。延期された米韓合同演習の実施も焦点となります。通例、3月から4月にかけて実動演習「フォール・イーグル」と指揮所演習「キー・リゾルブ」が行われ、在日米軍も大挙して参加しています。同時に、文大統領訪朝の選択肢も浮上し、対話の流れが一気に加速する可能性もあります。こうした動きの全体をとらえず、「圧力一辺倒」路線に固執するなら、日本は置いてきぼりになるのは目に見えています。

このような、激動の時だからこそ、対話を重視し、都市間交流を広げることが必要です。まちがってもアメリカ、トランプ大統領の言う「ブラッディー・ノーズ作戦」と呼ばれる北朝鮮への“限定的”先制攻撃に日本政府が支援するようなことはあってはなりません。

このような世界の平和への流れに逆行する発言を安倍首相が繰り返すことについて、外交・安保は国の専権事項だから、何も言わないという姿勢では平和は保てません。市長は安倍首相のこれらの発言と行動について、同じだと考えているのか、あるいは危険だと思っているのか、見解を伺います。

林市長:平和事業の取り組みについて、御質問頂きました。首相の御発言と行動に対する見解ですが、私も基礎自治体の長と致しまして、発言そして行動しております。今回、あらき議員が御話しなさってる首相の御発言と行動に対することですが、これは日本国の総理大臣として、世界の中において外交活動を懸命にやられておりますし、今、平昌冬季五輪を一つのきっかけとして、平和を希求しようとする各国のいろいろな思いがある中で、総理も日本国の代表として、そういう御立場で御発言をなさってるのかと思いますので、私は基礎自治体の長として、今、首相の御発言に対してなにかと申し上げるということはございません。いずれにしても、この平昌の冬季五輪、素晴らしい結果を日本にももたらしておりますけれども、本当にこれをきっかけに、世界平和をやはり希求していくべきことだろうというふうに思います。

市長はヒバクシャ署名にサインを、平和事業を全市民規模で実施へ

あらき議員:122ヶ国が核兵器廃絶の署名に賛同する動きを作り、ノーベル平和賞を受賞したICANの事務局長が日本を訪問し、安倍首相に会いに来ました。しかし首相は都合がつかないと拒否し、被ばく者をはじめ、核兵器廃絶の運動を推進してきた世界中の人たちに背を向けています。市長もいまだに被爆者署名に応じていないことは大変残念です。

2月3日、国際局主催の国際平和講演会が開催され「核兵器のない世界の実現に向けた市民社会の役割」のテーマで、公益財団法人広島平和文化センター理事長小溝泰義さんが話をされ、私は聞き入りました。その内容は、「核兵器のない世界を作るために、広島・長崎で被爆された方たちが、アメリカを恨むのではなく、この先、同じ苦しみを2度と次の世代に味あわせてはならない、だからこそ核兵器はなくさなければならないと身体を張って訴え続けてきたこと、そしてその運動をささえてきた市民社会があるからだ。核兵器を持たないと平和が保てないという考えの人や国もある。小溝さんはそういう方たちに会うたびに、核兵器によって被爆者がどんなに苦労してきたかその実態についてせつせつと話をしてきました。事実を伝える努力を続けること、広島の平和記念資料館にきてその実態を見てもらうことで、核兵器の必要性を主張していた人の考えが少しずつ変わる。その働きかけが、時間はかかるが大事なことなのだ」と。

私は、この講演を企画した国際局の取り組みはとてもよかったと思っています。小溝さんいわく、時間はかかるが、核兵器のない世界の実現に向けた市民社会の役割は、ICANの運動からみても大きい、だからこそ、意見の違う人たちと対話をすることが大事だと。

国際港都として、日本最大の政令都市として、また、政令市長会の会長都市として都市間交流をはじめ、本市における平和事業に多くの市民が参加できるようにすることが重要です。さらに予算を拡充し、平和事業を全市民規模で実施する考えはないか、市長の見解を伺います。

林市長:平和啓発事業の予算を拡充し、全市民的規模で実施することについての見解でございますが、横浜市は、平和の大切さを考える講演会やパネル展示などを実施するにとどまらず、市民の皆様が開催する平和関連イベントの支援などを行っております。今、あらき議員が核廃絶の話、本当に悲惨な核の有り様というか、もう本当にあってはならないということを仰っているんですが、唯一の被爆国として、これはもう本当にどなたも同じ思いだということを思います。古溝氏の講演会、ちょっと私は伺っておりませんけど、大変、先生が仰ったように、感銘したものであるということは伺っておりまして、これも国際局は色々な議論がある中でだと思うんですけども、本当に基本的に、核兵器がない世の中を目指すということに変わりはございません。どちらもどちらの国もどちらの自治体だって、考えている訳でございますね。そういうことでこういう機会で、平和の大切さ・核廃絶の必要性ということも入れて、市民の皆様に対して啓発運動の一環として、催しをしたということだと思いますので、市民の皆様が開催する平和関連イベントの支援などを行っておりますから、こういう啓発事業については、引き続き続けてまいりたいと思います。


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