議会での質問・討論(詳細)
2018年5月22日

北谷 まり議員(保土ヶ谷区選出)が議案関連質問

学童保育は、国・県の補助金増があっても

市費削減したら拡充にならない

北谷議員:北谷まりです。日本共産党を代表し、市第4号議案、市第5号議案、市第6号議案、市第7号議案、市第11号議案及び市第12号議案について、質問いたします。まず、市第4号議案、横浜市放課後児童健全育成事業の設備及び運営の基準に関する条例の一部改正についてです。本議案は放課後児童支援員の資格要件を拡大するとして、新たに「5年以上放課後児童健全育成事業に従事した者であって、市長が適当と認めたもの」が加わります。これは厚生労働省令に沿ったものです。市内の指導員からは、放課後児童支援員の基礎資格をゆるめることについては、質の低下につながることを心配する声があがっています。その一方で、10年以上の経験がありながら、高卒でないために正規の放課後児童支援員になれない実例も聞いています。今回の措置でこの方が救済されることは喜ばしいことです。しかし、5年以上の経験といっても、フルタイムとパートタイムでは実経験期間には、大きな違いがあります。現条例にある2年以上という経験年数という規定も同じことが言えます。この際、週単位などの勤務時間数の基準を設けるべきです。放課後児童クラブの質の保障と支援員の地位向上のためには、経験年数の内容について、規則を設け規定すべきと考えますが、見解をうかがいます。

林市長:北谷議員のご質問にお答え申しあげます。市第4号議案について、ご質問いただきました。放課後支援員の経験年数の中身を規定すべきとのことですが、国の省令において、高等学校卒業者等について、放課後児童健全育成事業に従事した場合には、年数以外の要件を求めておらず、本市の条例も同様の規定としています。その為、高校を卒業してない方の要件を条例に規定するにあたっても、高等学校卒業者等と同様の扱いと致します。

北谷議員:支援員には、経験や専門性が求められているにもかかわらず、それに見合った処遇がされていません。横浜学童保育連絡協議会による2015年の勤続年数調査では、3年未満の支援員が増え、5年から15年の支援員が減少しているとのことです。中堅支援員が退職するのは経済的理由からで、結婚して子どもができた時点で将来への不安からの転職、子どもの小学校入学に合わせ、生活のために給与の高い民間企業学童に転職した事例を聞いています。それまで、やりがいを感じ情熱を持って働いていた支援員を失うことは、子どもたちや保護者にとって大きな痛手です。また、人員不足によって現場の勤務実態は、長時間労働に加え、休暇もとれないような事態が生じ悪循環となっています。これまでの処遇改善策では不十分です。2018年度、放課後児童クラブ事業には国・県から2億7千万円の補助金が増額されました。人件費を増額して処遇改善を図り、支援員が安定して長く働けるようにするチャンスでありました。しかし、横浜市は1億9千万円の一般財源を削減しています。国費・県費が増えたからと一般財源を削減するのは、あまりにも現状を見ていないと言わざるを得ません。支援員の定着は保育の質を保障するものであり、安定的な運営と質の向上、保護者の負担軽減を図るためにも、財政支援を抜本的に引き上げるべきです。一般財源を削減したのは、支援員の確保・育成支援という重要課題を解決する意思がないことの表れであると考えますが、見解を伺います。

林市長:放課後児童クラブ事業の一般財源を見直したことについてですが、財政状況が厳しい中、国費・県費をしっかり確保した上で、事業費全体を増加し事業を行う為の必要額を確保いたしました。

北谷議員:支援員の確保と定着を図るための財政支援として、基本給補助の増額と勤続給補助の増額を行うべきと考えますが、見解を伺います。

林市長:放課後児童クラブに従事する方の更なる処遇改善についてですが、29年度の国の制度化と同時に本市においても、放課後児童支援員の経験等に応じた処遇改善費補助制度を創設し、30年度には一定規模のクラブに対する基本補助額を増額しました。厳しい財政状況を踏まえ、本市が取り組むべき施策の優先順位をつけながら、予算編成に努めてまいります。

簡易宿所の安全と設備基準を保持し、玄関帳場を必置とせよ

北谷議員:次に、市第5号議案、旅館業法施行条例の一部改正についてです。旅館業法等の一部改正に伴う関係規定の整備として、玄関帳場について、宿泊者名簿の正確な記載、鍵の受け渡し、宿泊者以外の者の出入りの状況の確認が可能なICTなどの設備を設け、緊急時における迅速な対応を可能とするICTなどの設備の両方を設ければ、玄関帳場を設けなくて良いとすることなどです。緊急時の対応策が何も示されないまま、このような条例が提案されること自体問題です。横浜市では、平成29年11月1日現在、寿地区の簡易宿所の利用者数は5,728人で、約5,000人超が生活保護利用者です。この地域の主な住民は単身高齢の男性です。住生活基本計画では、最低住居水準は25平方メートル、畳9畳の広さが定められていますが、簡易宿所は住宅ではないため、客室総数の2分の1以上は5平方メートルでよいとされています。3畳一間、約5平方メートルの客室が終の棲家になっているのが実態です。現場を見ていれば、このような条例提案はできないはずです。党市議団はこれまでにも簡易宿所を見せていただきました。外観はきれいなマンションのようでしたが、客室は3畳一間で押し入れはありません。トイレと洗面所は共同、シャワー室と洗濯室は有料です。現条例では、客室の基準に、寝具を収納する押し入れ又はこれに類する収納設備を設けることとしていますが、現実は条例に違反している実態があります。議案では、この押し入れの規定を削除しました。条例に定めてあっても、守られていない現状を認めるというもので、人の住まいとして言語道断です。また、客室の窓は、「客室面積の10分の1以上の開口部面積を有する」との現行の規定が、「採光上有効な」に置き換えられ、この基準でよしとなれば、陽のあたらない不健康で非衛生的な客室となることは明らかです。現状でさえも、非現実的な、とても住まいとは言えない環境なのに、なぜこれ以上の悪化を認めるのでしょうか。そして、客室にトイレと洗面所はありませんから、トイレと洗面所は全員が共同で利用します。現行の条例では、トイレと洗面所は、それぞれに、客室の床面積の合計が100㎡を超える場合は5以上などの規定が定められていますが、改正案は、洗面所の規定は削除、トイレは「適当な数」です。衛生的な環境を保つには、客室、トイレ、洗面所など、設備の数値基準の規定は残すべきと考えますが、見解を伺います。

林市長:簡易宿所については、設備の数値基準を残すべきとのことですが、これまでは、洗面所の給水栓の数等について、施設の規模により設置数を定めていました。今回の条例改正では、宿泊者の需要を満たすことができる数等に変更するものであり、宿泊者の利便性は確保できると考えております。

北谷議員:昨年、寿町についての党市議団の質疑に対し、市長は、「ご本人がアパート等への転居を希望する場合は、転居先の確保や、定着援助など自立に向けた支援を行っています。一方、寿町にはアパートでの生活を希望しない方や困難な方も多いため、施設において健康面や交流をサポートするなどの政策を進めていきます」と答え、市長も簡易宿所が実質的な住まいになっていることを認めています。旅館業法改正の機会をとらえ、福祉の向上の見地から寿町の課題を再考するべきにもかかわらず、このような事態を放置してきたこと、劣悪な環境をさらに悪化させることは許されません。市営住宅を建設し、低所得者のための住宅を確保すべきです。住居がなく、やむを得ず簡易宿所を住まいとしている方々が大勢おられるのですから、安全は守られなければなりません。ところが提案では、玄関帳場について、ICTなどの代替設備を設置すればなくてもよく、施設への出入りの状況が常に鮮明な画像で確認できる場合は、玄関帳場から1,000m以内に位置する複数の簡易宿所で、玄関帳場を共有できるとなっています。これを認めれば、施設ごとの管理者がいなくなります。火事などが起きた場合、無人になることで発生するリスクが増大することは、住民の高齢化などから、容易に想像することができます。安全面からも施設ごとの管理者は不可欠であり、玄関帳場は現状通り必置とすべきと考えますが、見解を伺います。

林市長:簡易宿所については、玄関帳場は必置とすべきとのことですが、法改正により、玄関帳場の代替設備が認められる条件として、宿泊者の確認や緊急時の迅速な対応ができることとされました。法令等に合わせた基準を設けることによりまして、玄関帳場と同様な安全確保ができると考えております。

住民軽視の告示判断に、市民への説明責任を市長はどう果たすのか

北谷議員:市第6号議案 横浜市地区計画の区域内における建築物等の制限に関する条例の一部改正についてです。栄上郷猿田地区開発計画は、全体面積の約3割にあたる、約9.5ヘクタールを市街化区域に編入して、住宅地、商業地を開発するもので、多くの貴重な緑地が失われることになります。この計画については、昨年1月17日に開催された広聴会で、11万もの反対署名に代表される開発反対の声が、賛成を上回って表明されました。そこでは、開発行為は自然を壊すもの、谷戸の埋め立て造成は液状化など災害リスクが高いなど、多数の反対意見が出されました。都市計画案に対する意見書は約17,000件も寄せられ、賛否が半々に分かれました。今年1月15日に開催された都市計画審議会では、複数の大学教授から、「崖地を造成して戸建て住宅とする部分は、計画改定の余地があるのではないか」「市街化編入する政策的な意義が弱い。提案があれば全て認める性質のものでもない」など、計画を問題視する意見が出されました。議決にあたり、会長から「これについては明快に反対とおっしゃった方もいらっしゃいましたので、採決をとりたいと思います」と発言がありました。結果は、反対5名、是認19名と傍聴者から聞いています。このような経過を見れば、住民合意が形成されていない上に専門家から見ても問題ある、開発計画であることは明らかです。また、地盤の専門家が宅地にしてはいけないとしている典型的な場所であるにもかかわらず、災害の未然防止対策の上で一番重要な基本的事項について、市は調査をしていないことが明らかになっています。市長は、都市計画審議会で挙手による採決という異例な方法で議決されたことについて、あらためて市長自ら判断もせずに、粛々と告示しました。再検討や差し戻しなどが可能であったはずです。このような姿勢は、住民軽視であると言わざるを得ません。市長が告示の判断に至ったことについて、市民に対して説明責任をどう果たすのかうかがいます。

林市長:栄上郷町猿田地区の都市計画についてですが、平成26年に事業者より都市計画提案を受け、説明会や公聴会、意見書の受付など市民の皆さまからご意見を頂きながら、街づくりとの整合や環境への配慮、防災や利便性など、様々な観点から検討をおこなってきました。本年1月の都市計画審議会では、これらの点を踏まえてご議論いただき可決され、3月に都市計画の決定の告示を致しました。

子どもたちの安全な学習環境を犠牲にするマンション建設計画は変更を求めよ

北谷議員:市第7号議案 横浜市立学校条例の一部改正についてです。東急東横線の日吉駅と綱島駅の中間にあたる港北区箕輪町で、大規模な中高層マンション建設を行う野村不動産から横浜市が取得した土地に、横浜市が小学校を整備するとして、提案されているものです。同地での開発計画は地区計画として決定されましたが、区民の総意で策定された都市計画マスタープラン港北区プランに適合していないことは、党市議団が指摘したとおりで、住民合意も形成されないままになっています。横浜市都市美対策審議会景観審査部会では、このマンション建設計画に対して「小学校があるということで、圧迫感がないような、子どもたちが学習する場として伸びやかな雰囲気が出るような配慮を」などの意見が委員から出されています。しかし、地区計画では、全くこの指摘が無視されています。全体として、建物の壁面の位置について、建物が31mを超える場合、31m以上の階は、20m後退させています。しかし、学校用地に接するところは、この規定を外しています。この結果、学校の北側には境界線から5mのところに高さ60mの巨大マンションが建つことになります。あまりにもこどもたちの学習環境を犠牲にするものです。安心して学べる環境を整備するのは、市の責任です。学校北側のマンション壁面を、高さ31m超部分は、地区計画区域内と同様、境界線より20m以上後退させること、校舎の屋上プールが、外部から見えないようにすることなど、市は事業者に設計変更を求めるべきです。見解をうかがいます。

林市長:開発事業者に設計変更を求めるべきとのことですが、箕輪町二丁目地区の開発は、集合住宅はじめ保育所や地域交流施設などが、学校予定地と一体的に計画されています。学校予定地と隣接する部分には、地区計画で、壁面の位置の制限や歩行者用通路の確保等を定めておりまして、子どもたちの良好な学習環境に配慮した内容としている為、設計変更を求める必要は無いと考えています。

北谷議員:市が学校用地として野村不動産から取得した土地は、約9,700平方メートルで、取得額は約40億円です。土地の価格を決めるのは、横浜市財産評価審議会ですが、非公開のため、価格が適正かどうか、市民は検証する方法がありません。財産評価審議会の前に行われた不動産鑑定は、綱島街道に接した約19,700平方メートルの土地を対象としているため、学校用地の部分のみを対象にした場合と、土地の価格を決める条件が違ってきます。また、学校用地の区域には、地下構造物があるため、さらに不利な条件の土地となります。将来的にこの土地を横浜市が売却することになった場合、取得価格よりも不利な条件となることが危惧されます。今回の学校建設は、開発に伴う児童増に対応するものでもあります。横浜市が学校建設に責任を負うのは当然のことです。その費用は約84億円と聞いています。大変な市民負担です。学校建設によって、野村不動産が開発する町の商品価値が上がるのは確実です。こうしたことから、企業に社会的責任として、事業費の一部負担を求める仕組みづくりの検討が必要と考えますが、見解を伺います。

林市長:開発事業者に応分の負担を求めるべきとのことですが、開発事業者に対しては、横浜市開発調整条例により、その規模に応じて、周辺の方々も利用できる公園・広場や遊水地など公共物の提供を規定しています。また、特に大規模な開発計画では、全庁的な土地利用や総合調整会議を設置し、構想段階から保育所整備や学校用地の確保など、地域の状況に応じて協力を要請しています。

上郷森の家は補助金を継続し、市民ふれあいの公的施設としての存続を

北谷議員:最後は市第11号議案 横浜市上郷・森の家の指定管理者の指定 及び市第12号議案 上郷・森の家改修運営事業契約の締結についてです。上郷フォレストPFI株式会社を指定管理者として定め、設計、改修、工事管理、維持管理、修繕および運営の契約を締結するものです。上郷・森の家は、学校の体験学習をはじめ、長年にわたり市民に利用されてきた公の施設です。平成28年度、体験学習の利用は165校の学校、16,482人です。体験学習のシーズンである5月から11月の部屋稼働率は8割以上、特に6月、7月は9割以上となっています。年間33,000人以上が宿泊利用、水着を着用する温浴施設である、バーデゾーンは約30,000人が利用しています。利用者アンケートでは、フロントの対応、大浴場、食事について、利用者の約8割が満足しています。現行の宿泊料金は夕食・朝食込で最高11,150円ですが、市民は1,000円の割引があります。食事なしであれば、5,500円からの料金が設定されています。低廉な料金で利用できるのは、公の施設として運営費の一部に公費投入してきたからです。平成28年度の収支は、人件費、運営管理費その他、自主事業費として、支出は約2億6千万円です。収入のうち、料金収入は約1億5千万円で、市の補助金が1億1千万円あります。改修後の料金は、上限とはいえ、どれも値上げが見込まれる設定です。宿泊は15,000円に、温浴施設は、現行500円が2,000円に、バーベキュー場は、現行10時~16時の利用で平日1,500円が、なんと1時間につき800円に。駐車場は、普通車の平日利用では1時間まで無料で、1時間100円ですが、これを30分につき300円、などとあります。このような料金設定は民間のリゾート施設と何ら変わりありません。今回の指定にあたり、指定管理料はゼロと聞いています。指定管理者は利用料金収入で施設運営をすることになります。民間のノウハウを発揮するにしても、運営経費の削減も、集客増も限界があります。事業者は現行料金体系で採算をとることは、容易ではありません。早晩、料金の値上げは避けられません。それでは、公の施設としての役割を放棄することになります。森の家を平成4年に開設した目的は、宿泊等の機会を通じて、市民に横浜の貴重な自然に触れることのできる環境の中で、様々な体験、青少年の健全育成、相互交流及び学びの場を提供することにより、ふるさと意識及び連帯感の醸成を図ることです。この目的を忘れてはなりません。市民が利用しやすい低廉な料金を維持すれば、経費が上回るのは自然なことで、運営に横浜市が責任を持つのは当然です。これまで市は補助金を投入して責任を果たしてきました。これまでと同様に青少年の健全育成、市民のふれあい交流のための公の施設としての役割を果たすためには、補助金を入れて現行の利用条件を維持できるようにすべきです。見解を伺います。以上で終わります。

林市長:補助金を入れ、利用料金を維持すべきとのことですが、事業者は独自の判断で利用料金の値上げなどをおこなうことはできず、利用料金の変更は事業契約書によって、予め市の承認が必要となります。本市では、提案された計画内容の実施について、モニタリングなどをおこない、しっかりと確認してまいります。以上、北谷議員のご質問にご答弁申し上げました。


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