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2018年度教科書展示会の在り方について改善を求める緊急申し入れ

2018年6月8日

横浜市教育長 鯉渕信也 様

日本共産党横浜市会議員団

団長 荒木由美子

 本年の教科書展示会では、2019年度~20年度使用の中学校道徳教科書が展示されています。道徳の教科化は、小学校が2018年度から、中学校が2019年度から実施です。日本共産党は、道徳教育については、憲法の理念に沿った市民道徳を育む教育とすることを願っています。近代市民社会の道徳は、個人の尊厳と人権を互いに尊重することをベースに成り立っていることから、上から「こうあるべきだ」と押し付けることになる道徳の教科化には反対です。

 文科省は、教科書展示会の開始時期は6月15日、及び期間を14日間と告示し、そして3月30日付の初等中等教育局教科書課長通知では、教科書展示会について「教育関係者の教科書研究の便宜を図り、一般公開を通じて、地域住民等の多くの方々に教科書に触れていただくための取組」と位置付けています。

 党市議団は、展示会開催の初日6月4日に会場の中央図書館を訪れ、道徳教科書を閲覧しました。

 中央図書館玄関付近には、展示会場を案内する標識等は見当たりませんでした。道徳教科書のコーナーは中学教科書コーナーの一角に設けられており、見分けるのに苦労しました。中央図書館には、椅子・机が用意されていましたが、立ち見せざるを得ない会場もあると聞いています。教科書は、各社1冊しかなく、閲覧は順番待ちとなりました。これは、21部という教科書見本数上限部数を文科省が定めているためです。

 感想を書くアンケート用紙は、受け付けに置かれているだけで、係員からの手渡しはありませんでした。A5のアンケート用紙は「ご意見・ご感想をお書きください。今後の展示会運営の参考にさせていただきます」とあり、運営に関する意見しか求めていないかのような表記となっています。教科書の内容への意見については、別のチラシでわざわざ各発行者にと案内しています。

 以上述べた展示会の在り方は、従前とまったく同じです。ここには、多くの市民、教員の声をくみ取って、子ども達にとって最良の教科書を選ぼうという教育委員会の姿勢を見ることはできません。改善が必要と考えます。

 本年の横浜市での展示会の実施か所は、法定会場(教科書センター)5か所、臨時会場13か所の一区一会場でいずれも図書館です。法定会場は14日間、臨時会場は5日間です。展示時間は10時~18時半(土日月17時)となっています。18時半までの展示時間と臨時会場の土日は一回しかなく、教員が参加しやすい条件とはいえません。3月6日の文科省教科書課長通知では、一層利用しやすい環境づくりとして、教科書センターでの常設展示や移動展示の拡充を求めています。

 実施か所についても本市の場合は、例年通りです。国の通知に沿った拡充が求められています。

 昨年の小学校道徳教科書が展示された教科書展示会の参加者は教員44人、市民は千人以上と聞いています。市民の関心の高さを示しています。以上の経過と実情を踏まえ、下記の点について、至急の改善・拡充を要望します。

 

1、図書館入り口に教科書展示会会場の看板、案内図等を掲示すること

2、展示会会場では、今年採択される中学道徳教科書などについては、独立したコーナーを設けることやその表示をするなどわかりやすくすること

3、道徳教科書の展示部数は工夫をこらして増やすこと。あわせて、国に上限部数の引き上げを求めること

4、アンケート用紙は係員が入場者に手渡しすること

5、アンケート用紙は、記入制限をせず自由記述、もしくは、運営に関すること、教科書への感想・意見、その他とすること。また、意見を寄せる3組織を記したチラシは廃止すること。

6、アンケートに寄せられた意見・感想は、展示会運営の参考にするだけでなく、教育委員全員に提示すること

7、アンケートに寄せられた意見・感想は公開すること

8、常設展示、移動展示、展示期間・時間の延長など教員が参加できる対策を講じること

9、すべての展示会場で、机・椅子を備えること