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学校、通学路等のブロック塀の安全対策についての緊急申し入れ

2018年7月5日

横浜市長 林 文子様

                              日本共産党横浜市議団

                               団長 荒木 由美子

 6月18日に発生した大阪北部地震で小学校のブロック塀が倒れ、小学生が犠牲となる痛ましい事故は、高槻市教育委員会が認めているように人災そのもので、救えた命だったのです。行政ふくめて大人社会の責任が鋭く問われている問題です。ブロック塀は、1978年の宮城沖地震によって、その危険性が露呈し、設置基準が強化されていました。40年経った今でも、いまだに基準に適合しないものがどれだけあるのかさえ把握されていないという実態は、国の無責任さの表れであり、驚くばかりです。

 横浜市教育委員会は、6月20日に学校長あてに「学校のブロック塀等の安全点検について」、6月21日には小学校長等あてに「通学路上のブロック塀等の安全確認について」と二つの調査依頼を発出しています。ともに建築士等専門職員の配置はなく学校まかせで、前者は6月29日、後者は7月20日までを報告期限としています。学校のブロック塀の調査結果の市民への発表は昨日7月4日でした。市内509校中59校で建築基準法違反のブロック塀等が確認されました。しかし、調査項目には鉄筋の配筋状況はなく、調査は不備と云わざるを得ません。横須賀市は市内46小学校の通学路のブロック塀の緊急調査結果を21日に発表、相模原市は、小中学校のブロック塀の点検結果発表を25日に行い、川崎市は、学校敷地内のブロック塀の校数を確定し、22日から27日の予定で建築士資格を有する職員を配置して、現地調査を行っています。これらの都市と比べると横浜市の対応の不適切さと遅れは歴然としており、所管する教育委員会が国の指示を受けての後手の手打ちであり、子どもの安全といのちをおろそかにしているのではとの疑念は拭えません。

 政府の地震調査委員会が先ほど公表した2018年度版全国地震動予測地図によると横浜市における30年以内に震度6弱以上の地震が起きる確率は82%と、全国県庁所在地別で千葉市の85%についで高くなっています。横浜市は、どこの都市より切迫感と緊張感をもった対応が求められていることを認識しなければなりません。この点で6月22日に塀の安全点検啓発、7月3日に相談窓口を市のホームページに掲載されたこと、市の公共建築物を対象に調査されたことは評価できます。国においては、7月3日の参院厚生労働委員会で、児童福祉施設や保育所のブロック塀については塀の造り直しを目的とするなら国の交付金が活用できること、介護・障害施設は対応を検討すると厚労相が述べています。

 今回改めてその危険性が明らかになったブロック塀の安全対策については以下の措置が必要と考えます。検討のうえ早急に実施されるよう申し入れるものです。

1、学校のブロック塀については、鉄筋の配筋状況を追加調査すること。

2、学校の基準不適合ブロック塀については、安全確保のために、接近禁止の応急措置を直ちにとること。あわせて、撤去するか、基準に適合したブロック塀に改修又はフェンスに切り替えること。

3、通学路上のブロック塀の点検は小学校まかせではなく、教育委員会のイニシアチブで民間の専門家の協力も得て、建築士資格を有する市職員の配置など建築局、道路局、区役所、土木事務所など関係部局との一体体制で行うこと。調査体制を強化して、調査期間を大幅に短縮すること。結果公表は市民啓発のためにも中間報告含めて可及的速やかに行うこと。

4、通学路上にある危険なブロック塀の所有者には市の責任で個別に伝え、撤去・改善を要請すること。

5、民有地での撤去・改善をスムーズに行うために、現行の「まちの避難経路」危険ブロック塀等改善事業の周知徹底を図るとともに、重点対策地域・対策地域の幅員4m以上の道路沿いという制限をなくし、市内全域の通学路も含め道路に面したブロック塀すべてに適用するよう改訂を行うこと。あわせて、補助率・金額も引き上げること。

6、保育園、幼稚園、介護・医療・福祉施設のブロック塀も早急に専門家を入れた調査・点検を行い、必要な安全化をはかること。その確実な実施のために国の交付金も活用して、民間施設の危険なブロック塀の撤去・改善への助成制度を市として創設すること。