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神奈川県の最低賃金は、国の目安に従うことなく、時給1,000円以上とすること等を求める申し入れ

2018年7月31日

神奈川地方最低賃金審議会長 盛 誠吾 様
神奈川労働局長 三浦 宏二 様

日本共産党横浜市会議員団

団 長 あらき 由美子

貴職に置かれましては、賃金をはじめ労働時間や雇用など労働条件の向上にご尽力いただいていることに敬意を表します。

中央最低賃金審議会(最賃審)は、2018年度の最低賃金(時給)について、全国平均で26円引き上げて、時給874円にする目安を厚生労働相に答申しました。全国平均26円の引き上げは、安倍政権の掲げる「年率3%程度」にそったもので、生活保障にはほど遠いものです。今回の最賃審の答申によって最高額東京と最低額の高知など8県の格差は221円から225円へさらに広がるなど都道府県間の格差が拡大され、労働者への都市部集中をもたらし、地方の疲弊に拍車がかかることが憂慮されます。「いますぐどこでも時給1000円」を実現することは、日本経済全体の健全な成長にとって緊急の課題です。地方の審議会での格差是正にむけた議論を期待するとともに、各県ごとにランク分けして格差をつける制度をやめて全国一律制度を確立することが急務です。

神奈川県の目安は、27円引き上げであり、時給983円となります。この目安額をもとに、神奈川地方最低賃金審議会で神奈川県の最低賃金額が決定されます。横浜市会では、6月6日の本会議において、国への神奈川県最低賃金改定等に関する意見書を全会一致で採決しています。意見書では、「平成29年度の神奈川県最低賃金の水準は956円であり、この水準を年収換算すると約199万円余りであり、極めて低位な水準と言わざるを得ない」としています。最賃審から神奈川県の目安として示された27円引き上げでは、「極めて低位な水準」を解決するものでないことは明らかです。神奈川県では最賃審の目安に17円上乗せすれば1000円が実現できます。この1000円も、世界の主要国の最低賃金、フランス1326円、ドイツ1201円、アメリカ・カリフォルニア1525円からするとささやかなものと言えます。全国労働組合総連合は全国各地の最低生計費調査でどこでも1500円程度必要なことを明らかにしています。最低賃金の引き上げは、神奈川県下の労働者約400万人のうちの10%近く40万人前後の労働者の賃金を直接押し上げる効果があると云われています。そしてこの神奈川県内では、6年余にわたって憲法25条の生存権と最低賃金制との関係性を先駆的に問うた最賃裁判のたたかいがありました。最賃審の答申は、国民の願いとは大きくかけ離れています。神奈川最低賃金審議会が最賃審の答申に沿うことなく、こうした現実を踏まえた審議と答申をされることを多くの県民、横浜市民が期待しています。

貴職に置かれましては、神奈川の労働者の生活実態をベースにした審議を下記の通り行われることを横浜市会で全会一致の意見書の採決に関わった立場から要望するものです。

1、最低賃金を 時給1,000円以上にするとともに、1,500円を目指す方向を打ち出すこと。

2、引き上げに伴う負担を軽減するために、中小企業支援策の拡充を国に求めること。

3、国に対し全国一律最低賃金制を導入するよう求めること。