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■反対討論 かわじ民夫議員(2018.10.4)

かわじ議員:かわじ民夫です。日本共産党を代表し、討論を行います。

最初は、市第20号議案、横浜市中期4か年計画2018~2021の策定についてです。議案は横浜市で重点的に推進する、今後4年間の計画です。
地方自治法は地方自治体の使命について、「地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする」と規定しています。市政の方向性はこの立場に立って進めるべきであり、本計画にはその点で大きな問題点があります。

カジノ誘致を認めることにつながる計画は認められない

第一は、カジノです。計画には「統合型リゾート(IR)については国の動向を見据え、検討」と素案から一文字の変更もないものです。
去る7月20日、参院本会議にて、国内で初めて民営賭博を実施するカジノ実施法が、自民党、公明党等の賛成で成立。同法は、安倍首相が「日本の成長戦略の目玉」と位置付ける、カジノを中核とする統合型リゾート(IR)の開設のため刑法の賭博罪の例外としてカジノを解禁するものです。
ギャンブル依存症の拡大、多重債務問題、青少年への悪影響、反社会的勢力の介入、風俗の悪化など国民生活に大きな影響を与えるとして、日本弁護士連合会など、幅広い市民団体が強い反対の声を上げています。カジノ実施法の成立後の世論調査では7割前後がカジノ反対です。
また、本市の中期計画素案のパブリックコメントでは総数2129通の意見があり、その20.3%、433件がカジノ・統合型リゾート(IR)に関する意見で、その内、否定的なものが407件(90.4%)です。カジノへの「白紙状態」とする市長の態度は、本市が検討・誘致とした場合のつじつま合わせではありませんか。中期計画を認めることは、カジノ誘致を認めることに繋がるものだと、わが党は判断しています。

なぜ多くの市民が求める中学校給食実施を計画に盛り込まないのか

第二は中学校給食についてです。全国の自治体の92%が実施している中学校給食は、市民の大きな要求です。素案パブリックコメントでは中学校給食に関する意見は326件、意見総数の15.3%を占め、その内中学校給食を求める意見は309件、94.8%です。しかし計画には一切反映していません。
この間、市長は中学校給食について「多額の費用がかる」「スペースがない」との答弁を繰り返しています。しかし、財政面では大型開発を後回しにし、学校へのエアコン設置のように計画的に進めれば十分可能です。スペースも余裕ある小学校の調理室を利用する親子方式等で、始めることは可能です。

問題は中学校給食実施を固辞し、子ども達からは選ばれてないハマ弁に固執していることです。
この間、喫食率を上げるとして公費を投入し値段を下げ、予備数を見込んだ当日注文も可能とする制度改善が図られましたが、生徒の喫食率は7月は1.9%、9月2.0%と依然低い状態です。その結果、利用されない弁当の廃棄という不名誉な結果です。

教育長は「ハマ弁の目的は共働き世帯の増加や就労形態の多様化など、社会の状況の変化から弁当つくりが難しい場合があるなどの課題に対して、栄養バランスのとれたぬくもりのある昼食を提供することで中学校昼食の充実を図ること。昼食の用意が困難な生徒に対する配慮も検討し、ハマ弁による昼食の用意が困難な生徒への支援を開始した」としていますが、「喫食率が低い中で事業目的を十分に果たせているとは言えない」と答弁しています。
今、まさに必要なのは「どの子にも栄養バランスのとれたぬくもりのある昼食を提供できる中学校給食」を実施することです。

アベノミクスの忠実な執行計画であり、市民要望が置き去りにされている

第三は中期計画全体が自民党政治アベノミクスの忠実な執行計画だということです。
その一は、企業立地助成制度です。計画では、戦略的な企業誘致を進め、市内企業の事業機会や雇用の場の拡大を図るとしています。
しかし、これまで2017年に行われた本市経済局と横浜商工会議所による特別調査では、市内大企業による市内企業からの年間の仕入れ比率はゼロが27.6%、1~15%が51.7%、計89.3%です。企業誘致に置き換えれば、横浜への立地よって、その企業は単体として利益を上げたとしても、市内企業への事業機会は拡大につながっていないことを示しています。
その事実として研究・開発型施設や本社機能の集積が、横浜市内企業の事業拡大や市内経済との経済循環を起こしていません。
戦略的な企業誘致を進めるとするならば、本市経済の中枢である中小企業への付加価値を高める企業を中心に狙いを定め、大企業に依存した企業誘致は改め、地域経済好循環システムを構築するべきです。

その二は、国家戦略特区を活用した再開発です。横浜駅きた西口鶴屋地区に高さ180m、44階建ての外国人向け超高層ビルを、東急・相鉄などが建設するとしています。
日本初の国家戦略特区法に基づく国家戦略住宅整備事業で、容積率を大幅緩和し、市・国の巨額な補助金を充てるもので、アベノミクスの成長戦略の柱に位置付けられたものです。

その三は、都心臨海部や新横浜都心等の大型開発です。高速道路や、巨大岸壁を設置する大型港湾整備。国際ビジネス・MICE形成の拠点として、巨費を投入する計画となっていることです。

更に「関内・関外地区の活性化の推進」施策とする現市庁舎街区活用事業も問題です。これまで、歴史的建造物として評価される現市庁舎の建物を、「保存・活用を基本」とする市長の方針にも反して、「解体再整備の提案も公平に評価する」「事業者の自由度を向上させるため、適正な価格で事業者に譲渡します」と大転換する方針を打ち出しています。
これはまさに市民の貴重な財産を開発事業者に差し出すに等しい計画となるもので、認めるわけにはいきません。

特養ホーム待機期間の短縮、市営住宅新設を示さない計画は認められない

第四は市民の福祉や暮らしに関わる政策についてです。
その一は、特別養護老人ホームの整備事業についてです。計画原案では特別養護老人ホームの整備量を年間600床に倍増するとしていますが、入所までの待ち月数は12か月のままで、短縮していません。待機者は4,000人以上です。せめて半年で入所できるよう、整備量を更に増やし、必要な介護職員の確保・定着に本市が責任を持もつべきです。

その二は、「市営住宅の再生」事業についてです。市営住宅の管理戸数は現状水準を維持する計画としていますが、現在の市営住宅応募倍率は平均14倍程度です。低所得で住宅に困窮する世帯が10万を超え、市営住宅の需要は、現在の管理戸数を大きく超えています。
「住宅は足りているので市営住宅の管理戸数は現状維持」との住政審答申に固執し、新規建設の方向性のない計画は認められません。

みどり税を応能負担も開発事業者負担も検討せずに延長することは、認められない。

次は市第23号議案 横浜みどり税条例の一部改正についてです。
緑の保全・創造の財源として、継続すべきとの市税制調査会の答申を受けて、みどり税を継続するものです。この条例の改正で今後5年間、136億円の税収を見込んでいます。問題は、個人市民税の所得階層では、課税所得金額200万円以下の納税者が約6割を占め、特に65歳以上の年金収入のみの単身世帯では月額13万円の方等、低所得層に年額900円の負担を強いることです。
安倍政権による社会保障の改悪で国民健康保険料・介護保険料の負担が重く、貧困と格差が広がっています。応能負担の検討も、大規模開発業者への負担を求める検討もなく、市民の所得に関係なく、一律にみどり税の負担を求めることは納得できません。

市民の切実な願いを反映した請願は採択を

次は請願第5号 小児医療費助成の拡充についてです。請願はこどもの医療費助成の拡充と一部負担金の廃止を求めるものです。小児医療費については、本来国が無料化制度を創設すべきですが、それがない現状では地方自治体が責任をもって行うべきです。
全国では84%の自治体が所得制限なし、75%の自治体が一部負担金なしで、実施しています。本市では、来年4月から対象年齢が中学3年まで拡大となりますが、どの子も平等に必要な受診機会が確保されるよう、所得制限と一部負担金の廃止が必要です。

次は請願第6号 請願の趣旨と各会派の賛否をヨコハマ議会だよりに掲載することについてです。現在、議会での請願審議結果を一般メディアは報じず、市民のほとんどが知りえません。議員の議会対応は、市民の選挙権行使の際の重要な判断情報の一部です。
よって、請願についても市長提出の議案と同様に、その趣旨と各会派の賛否結果をヨコハマ議会だよりに掲載を求めるのは当然の要求であり、採択すべです。

次は、請願第7号 所得税法第56条廃止の意見書を国に提出することを求める請願についてです。
所得税法第56条は「事業主の配偶者とその家族がその事業に従事した時、対価の支払いは必要経費に算入しない」としており、家族従業者に対して社会保障や行政手続き等で不利益を与え、事業の世代継承の障害になっています。

この間、2015年に閣議決定された第4次男女共同参画基本法には「家族従業者の実態を踏まえ、女性のはたしている役割が適正に評価されるよう税制等の制度の在り方を検討する」としています。現在、意見書提出自治体は神奈川県内で3自治体、全国では10県議会499自治体です。
また、世界の主要国では家族従業者の働き分を必要経費と認め、2016年、国連では「家族経営における女性の労働を認めるよう、所得税法の見直しの検討」を日本政府に勧告しています。よって「個人の尊厳」「両性の平等」という立場から、本市会も国への意見書を提出すべきです。

最後は請願第8号 保育所園庭の代替地として利用されている公園の環境向上等についてです。
請願は民間保育所の認可条件にある「屋外遊技場に変わるべき場所の名称及び面積」において、当該公園にトイレや手洗い場の設置、砂場から小動物の排泄物やガラス等の危険物の除去、公園利用のための保育士の加配を求めるものです。

現在、市内に686園の保育園があり、その内、258園、4割近くが園庭緩和をしています。横浜市は緩和を認める際、事業者に代替の公園やトイレの確認をもとめています。
しかし同じ公園を複数の園が代替公園として登録していても、その実態を確認さえせず、申請公園だけを使うわけでないことを承知しているのに、公園にトイレや水場があるかないかを園の自己責任にしています。そもそも、なぜ保育園の園庭に国が面積基準を定めているのか、それは良好な保育実践に必要な基準だからです。
横浜市が緩和を認める以上、良好な保育実践としての代替手段は市の責任で整備すべきであり、本請願は採択すべきであること述べ、討論を終わります。