議会での質問・討論(詳細)
2010年2月25日

【2010年第1回定例会】「予算関連質問」 中島文雄

※実際には、質問と答弁がそれぞれ一括して行われましたが、わかりやすいように、対応する質疑と答弁を交互に記載しました。

待機者の実態に即して特別養護老人ホームの整備計画を見直せ

中島議員:私は、日本共産党を代表し、2010年度予算議案に関連して、林市長に伺います。
 国民の暮らしはいま、底なしの悪化を続けています。地域経済の土台を支える中小企業の年間倒産件数は、2009年に1万3000件を超え、毎月1万人規模の雇用が奪われる状況が続いています。加えて、自公政権が実施した社会保障費削減路線が、医療・介護・福祉に大きな「傷跡」を残しています。
 市長は予算案の発表にあたって、「格差の拡大や雇用の不安定化で市民生活は様々な課題に直面」している、「財政状況が厳しくても、必要な市民サービスはしっかり提供していく」と、表明されました。
 私の最初の質問は、特別養護老人ホームの整備についてです。
 厚生労働省調査でも待機者が38万人を超え、施設不足が大きな問題になっています。
 私は、鶴見区にある2か所の特養「新鶴見ホーム」と「やまゆりホーム」に問い合わせしました。それぞれ定員が214人のところに992人、80人のところに638人の方が、入所待ちの状態でした。待機者の実態について、まず市長の所感を伺います。
 本市は、昨年10月1日現在、3487人の待機者としていますけども、その内容は、「要介護度3以上」に限定し、しかも「自宅での待機者数」だけの数値であります。
 しかし、健康福祉局が2008年11月に行った、特別養護老人ホーム入所申込者に対する調査では、「自宅での待機者」はわずか3割程度で、他は病院や老健等に入りながら、特別養護老人ホームへの入所待ちの方々が圧倒的であります。本市の待機者数の数値はごまかしとしか言わざるを得ません。「自宅での待機者」に限定することなく、実態に即した待機者数を算定し、整備計画を策定すべきですが、見解を求めます。
 中期5か年計画等では、特別養護老人ホームを毎年900床整備してきましたが、待機者は減少に至っていません。にもかかわらず、2011年度からは、年900床を300床に、3分の1も減らす計画は、あまりに実態を無視したものです。少なくても次期5か年計画の5年間は、今までどおり年900床の整備を計画すべきですが、明確な答弁を求めます。
 2005年10月の介護保険制度の改悪により、介護施設で食費や居住費が全額自己負担化とされ、市内平均では特養老人ホームのユニット型個室は1か月約16万円、従来型多床室でも約9万円にのぼります。市の調査で、約半数の入所希望者が経済的な理由で、多床室型の入所を希望しています。市はユニット型個室だけでなく、要望の強い多床室も合わせて整備を進めるべきです。答弁を求めます。
 また、市の調査結果では、「現在の住まいの近くにある施設」への希望が6割以上を占めています。今後の整備計画にあたって「地域偏在の解消」を打ち出しておりますけども、その実態と整備方針を伺います。

林市長:中島議員のご質問にお答え申し上げます。
 特別養護老人ホームの整備についてご質問いただきました。
 入所申込者の実態についてですが、多くの方々が入所の申し込みをされているは承知しております。入所申し込みの方々は介護力や緊急性など個別に見ますと、それぞれ異なる状況にありますので、これを踏まえて対応していく必要があると考えています。
 実態に即した入所申込者数により、整備計画を策定すべきとのことについてですが、特別養護老人ホームの入所を申し込まれている方の中には、介護老人保健施設など他の施設で介護を受けている方や、将来に備えて申し込みをされている方なども多くいらっしゃいます。このため、特別養護老人ホームの整備については、必要性、緊急性が高く、十分な介護が受けられない方が、概ね1年以内に入所できる整備量を目標として、計画を立てています。
 年間の整備計画数についてですが、本市では22年度末で、申し込みから概ね1年以内に入所できるという目標の水準に達します。このため、23年度以降は、要介護認定者の伸びを考慮の上、この水準を維持していくために必要な整備量として、年間300床と設定したものでございます。
 4人部屋などの多床室の整備についてですが、現在本市の入所定員の6割以上が多床室であること、個室の方が入所者のプライバシーの配慮や快適な居住環境の向上を図れること、国もユニット型個室の整備を基本としていることなどから、ユニット型個室を基本として整備を進めています。なお、22年10月から入所者の負担を軽減するため、一定の基準を満たす方を対象に、ユニット型の個室の施設居住費の一部を助成する制度を実施する予定です。
 立地場所の地域偏在についてですが、特別養護老人ホームは民間の社会福祉法人による整備を基本としていますので、安価でまとまった土地が取得しやすい郊外の市街化調整区域に施設が集中しています。そこで、21年度の募集では、比較的施設が集中している地域を整備対象からはずしています。また、施設の少ない鶴見区や南区において、市が保有している土地を貸与して整備するなど、地域偏在の改善に努めております。

「市民の命綱」国保証の取り上げをやめよ

中島議員:質問の第2は、国民健康保険事業についてです。
 倒産や失業の増大等により、国保加入約56万世帯のうち11万世帯、約20%が、保険料の滞納を余儀なくされ、しかも年間所得200万円以下が52.3%、所得不明層を含め、70%以上が生活保護基準並の世帯です。この実態について市長の見解を伺います。
 昨年10月1日現在で、滞納を理由に正規保険証を取上げられた世帯は、資格証明書3万6680世帯、短期保険証4万8708世帯で、加入世帯全体の15%以上にのぼっています。国民健康保険は市民の「命綱」です。厚生労働省事務連絡での「医療を受ける必要の申出」による保険証交付や、「資格証明書の発行時点での特別な事情の把握」を厳格に行い、資格証明書を極力発行しないよう改善すべきですが、答弁を求めます。
保険証を取上げられた「無保険」の世帯が、必要な医療を受けられずに命を落とす悲劇が社会問題となっています。全国での世論と運動が反映し、保険証の取上げが減少しています。しかし横浜市では2002年度以降を見ても減少どころか増加しており、国保証取り上げの異常さが浮き彫りになっています。これでよしとされるのか、市長の見解を伺います。
 市長に提案いたしますが、区役所窓口との接触が実現し、生活再建を前提とした「分納」等の約束ができた時点で、ただちに保険証を交付するシステムに改善すること。このような市民に対する信頼こそ、滞納を減らし、国保料の収納率を引上げていく確かな対応ではありませんか。答弁を求めます。
 “子どもの「無保険」をなくそう”との国民世論と運動で、国の制度として2009年度から中学生までの「資格証明書の交付中止」が実現をいたしました。そして今年7月からは、高校生世代まで拡充することが予定されています。すでに県内でも大和市などで実施しているように、滞納世帯であっても高校生への保険証交付を、国の制度改正を待たずに実施すべきです。市長の英断を求めます。
 所得減少世帯や低所得者世帯の保険料減免件数は、2008年度でそれぞれ年間わずか4400世帯、7800世帯です。他都市の状況や深刻な失業・倒産等の実態を反映したものとは到底なっていません。丁寧な減免制度の周知徹底と、低所得者への負担軽減策を講じるべきですが、いかがでしょうか。
 滞納世帯に対する預金や生命保険などの差押件数は、12月現在1742件に達し、一昨年の2倍を超える状況です。差押は「手っ取り早い滞納処分」とのそしりは免れません。「ぬくもりある現場目線」と言われる市長として改善策を検討すべきです。いかがでしょうか。
 国民健康保険料の値上げが提案されています。年間給与358万円のサラリーマン夫婦と子供の3人の暮らしで27万3130円と、前年に比べ約1万9000円の値上げにもなります。国に調整交付金の全額交付を求めると同時に、それが実現するまで、現在5.5%の市一般会計繰入金を1977年当時の8%に引き上げ、保険料負担軽減を行うべきですが、答弁を求めます。

林市長:国民健康保険事業についてご質問をいただきました。
 滞納世帯数の状況についてですが、ご指摘のとおり、滞納世帯数は11万世帯前後で推移しており、これは加入世帯の約20%にあたりますが、この割合は全国とほぼ同じ状況です。なお、20年度の後期高齢者医療制度の創設に伴い、国民健康保険の加入世帯数は減少していますが、滞納世帯数には大きな変化は生じていません。これは従来から国保の滞納者の年齢層が60歳代以下が中心となっていることによるものです。
 資格証明書の交付についてですが、国民健康保険は加入しているみなさんで支え合う制度であり、保険料負担の公平性を確保するという観点から資格証明書を交付しています。なお、障害のある方で、公費負担医療を受けておられる方や、中学校卒業までのお子さんなどについては、資格証明書の交付対象とはせず、被保険者証を交付しています。
 本市の資格証明書などの発行数の推移についてですが、年度による変動はありますが、本市の増減の傾向としては、全国と同じような推移となっています。本市では従来から保険料の納付が滞っている方に対しては、区の窓口で十分に事情をお聞きし、保険料の減免や分割の納付など、所帯の状況に応じたきめ細かな対応に努めています。
 窓口で分納のお約束した時点で資格証明書を解除すべきとのご意見についてですが、本市としては原則として一定の期間約束が守られていることを確認できた時点で資格証明書を解除することが適切であると考えています。
 高校生世代を資格証明書の交付対象から除外する時期についてですが、現在国会において資格証明書の交付対象から高校生世代を除外する国民健康保険法の改正案が審議されています。この法案では7月からの実施が予定されていますが、本市としましてはできるだけ早く実施できるよう、準備を進めていきたいと考えています。
 低所得者層に対する保険料の負担軽減についてですが、本市ではこれまでも条例に基づき、個々の世帯の状況に応じた保険料の負担軽減を行うなど、きめ細かな対応に努めています。22年度は、こうした対応に加え、国が法令を改正し、勤め先の倒産や解雇等により失業した方の保険料負担を軽減する新たな制度の創設が予定されています。
 差し押さえにあたっての窓口の対応についてですが、各区では、保険料を滞納している方に対して文書や電話あるいは訪問など、納付を促すためのさまざまな手段をとっています。また、窓口の相談などで、納付が困難な状況が確認できた方には、保険料の減免や分割での納付など、個々の世帯の状況に応じて、きめ細かに対応しています。その上で、一定の財産をお持ちでありながら、適切な納付をしていただけない方などに対しては、債権の保全を図るため、やむを得ず財産の差し押さえを実施しています。
 市費繰入額の増額についてですが、本市では国保の加入者の保険料負担を緩和するため、毎年多額の市費を一般会計から繰り入れしています。22年度の予算案でも国保会計に対する一般会計繰入金のうち、法定の繰入金のほか、前年度を5億円上回る約92億円を保険料の負担緩和にあてています。

花月園競輪場の跡地利用は地域住民の要望に基づいて

中島議員:最後に、鶴見区にある花月園競輪場の廃止に関わって、質問します。
 神奈川県競輪組合は、約66億円の累積赤字や債務を抱える中で、本年度末をもって花月園競輪事業の廃止を決定しました。神奈川県、横須賀市と並んで本市は、競輪組合の構成団体であり、今後の対応について重大な責任を負っています。競輪事業の見直し方針について、この場を通じ、市民に明らかにして下さい。
  競輪場敷地約4ヘクタールを含め、駐車場や旧花月園こどもセンター等を加えた県有地は7ヘクタール以上におよびます。すでに昨年12月に、神奈川県から、林文子市長宛に「当該県有地の取得意志の有無」について本市に照会があったようですが、この内容および現在どういう対応をされているのか、伺います。
 本市の対応の如何によっては、県として民間のマンション業者等開発業者に売却も選択肢にあるとの危惧を感じております。花月園競輪場周辺は、鶴見区内6か所の一つに指定されている広域避難場所であり、戦後は東洋一の遊園地等、歴史ある土地であります。地元自治会をはじめ多くの住民から、緑や自然を生かした公園、競輪場施設を活用したスポーツ広場や公益施設等、跡地活用を要望する声が広がっています。これらの要望を受け止め、神奈川県への働きかけと同時に、本市として跡地活用について早急に検討されることを私からも改めて要請しますが、見解を伺います。
 廃止後の4月以降、焦眉の問題として、子育て支援サークルなど20団体以上が利用登録し、活発に使用されている県所有の花月園こどもセンター等の施設や、敷地内の生活道路が今後どうなるのかも心配が広がっています。利用者の皆さんが、県競輪組合に要望し、担当者から「当面、4月以降も従前通り利用できる」との意向が示されています。本市としても、住民が安心して引き続き使用できるよう県に要請すべきですが、答弁を伺って、私の質問を終わります。

林市長:花月園競輪場の閉鎖後の対応について、ご質問いただきました。
 競輪事業見直し方針の内容についてですが、競輪事業は平成10年より、神奈川県、横須賀市、本市を構成団体とする一部事務組合を設置し、経営改善に努めてきましたが、売上の減少などにより、多額の累積赤字を計上するに至りました。そこで、このたびの見直し方針では、まず立地上の制約から収益改善が難しい花月園競輪場を本年3月31日で廃止し、今後は川崎、小田原競輪場の借り上げによる競輪開催の継続に特化することにしました。その上で、大きなレースの開催、および競輪進行法人への交付金猶予制度の活用により、累積債務の圧縮を図るものです。
 跡地利用についての神奈川県への対応ですが、花月園競輪場の廃止決定に伴い、県からは昨年12月に横浜市の土地取得の有無について照会をいただきました。神奈川県に対しましては土地の権利関係など基礎情報の提供をお願いすると同時に、協議の継続を求めています。
 花月園競輪場の廃止の跡地の検討ですが、ほぼ全体の土地を所有している神奈川県に対して、地域のみなさまの声を伝えるとともに、広域避難場所として指定されている経緯などを踏まえ、土地利用の方向性について検討し、神奈川県と協議を進めていきます。
 地域住民の利用および生活道路の開放について継続すべきとのことですが、現在神奈川県が地域のみなさまに対して集会所、体育館などの施設を開放しており、また、競輪所敷地内が通り抜け可能となっています。競輪場閉鎖後のこれらの利用については、地域のみなさまからのご要望を踏まえ、引き続き所有者である県と協議をしてまいります。
 以上、お答え申し上げました。


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