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【2010年度予算特別委員会】「まちづくり調整局」 河治民夫

耐震診断の啓発・耐震改修推進の強化を

河治議員:日本共産党を代表し、質問してまいります。
 最初に、木造住宅耐震事業についてです。
 一昨日のチリの大地震、またハイチの大地震は、改めてその対策の重大さを教えていると思います。さて、阪神淡路大震災から15年が過ぎました。深刻な被害は今でも人々の心に大きな傷を残しています。文科省地震調査研究推進本部は、今後30年以内に横浜市を震度6以上の地震が襲う確率は66.7%と発表しています。横浜市は国の基本方針を踏まえ、2015年度までに住宅の耐震化率90%を目指していますが、耐震改修補助事業として2015年までに4000戸の改修目標とした根拠を説明してください。

立花まちづくり調整局長:平成18年度に策定いたしました横浜市耐震改修促進計画では、平成18年度から27年度までの10年間で住宅の耐震化率を90%にするということを目標にしてございます。この目標達成のために約11万7000戸の耐震化を図る必要がございますが、このうち建て替えなどにより耐震化が図られるものもあることを勘案しまして、補助による耐震改修する住宅を約4000戸というふうにしたわけでございます。

河治議員:取り組みでは、単年度で見ても進捗率は8割です。これまでの取り組みの評価をどのようにしているのか、また8割にとどまっている問題点は何か、伺います。

立花まちづくり調整局長:まず、耐震改修が進まない理由としましては、耐震改修が必要と診断うけたものの、改修助成制度を利用していない方を対象としたアンケート結果では、工事費用に対する資金が不足していること、高齢化による資金負担のなどがあげられております。
 耐震改修の過去5年間の実績は年を追うごとに増えていっていることから、今後耐震率促進のための一層の取り組みを行いまして、計画目標の達成に努めていきたいと考えてございます。

河治議員:耐震化診断との関係ではどうでしょうか。

立花まちづくり調整局長:木造耐震診断の改修実績も増えているわけでございます。
改修にしてもなかなか進まないというのは、いま申し上げたとおりでございますけども、そういう意味でまず診断をしていただくということが大事じゃないかというふうに考えております。

河治議員:取り組みでは診断を受けた住宅のうち約8割が「倒壊の可能性が高い」と判断されていると聞いています。耐震改修を強化し、安全な住宅にしていくためにも、耐震診断が重要とのことですが、これまでの耐震診断の取り組み自身がどうだったのか、伺います。

立花まちづくり調整局長:耐震診断を進める前に、まず制度そのものの広報あるいは積極的な取り組みを進めるうえでのピーアールというものが大事でございます。そういう意味で、本年度は新たな取り組みとしまして、家庭防災員、消防団員、民生委員などに対しましてピーアール、あるいは広報よこはま耐震特別号の全世帯の配布などを行ってきました。今後も市民に必要な情報の提供ができますように、さまざまな広報活動に取り組んでいきたいというふうに考えております。

河治議員:耐震診断改修は安全な住宅への事業ということなんですけども、同時に市内業者の仕事起こしにつながるものだと思います。市内経済への活力と仕事起こしの観点から、地元の建設職人の団体や業界にも働きかけて、ピーアールと同時に、区役所と連携しながら、耐震診断の啓発・診断改修事業に進めていく、強化が求められていると思いますが、どうでしょうか。

立花まちづくり調整局長:本市の補助制度を利用して、耐震改修工事を行う場合には、登録された市内の事業者に限定しております。また、登録事業者に対しましては、改修工事のポイントや事例をまとめたマニュアルを作成して、講習会を開催するなど、事業者の知識・技術力の向上を支援するとともに、出前講座では耐震化の必要性について区役所と連携して地域住民に働きかけております。今後とも、事業者や区役所などと連携した住宅の耐震化に取り組んでまいります。

河治議員:ぜひその取り組みも強化していただきたいと思います。

地元業者への仕事起こしにつながる住宅リフォーム支援事業を

 次に、リフォーム事業についてうかがいます。
 住民が住宅リフォームなど地元業者の仕事をした場合、その経費の一部を自治体が負担する住宅リフォーム制度が注目されています。住民も業者も喜び、地域の経済効果も大きいとのことです。秋田県では3月から「住宅リフォーム緊急支援事業」を実施するとのことです。工事費50万円以上で、県内に本店を置く建設業者に工事を依頼した場合、工事費の10%を補助するというもので、業界団体では「10倍以上の経済効果がある」と評価し、県議会で知事も「直接補助は住宅リフォーム促進に有効な制度」と、答弁です。このように、いま不況の中、職人の仕事が少く、行政自身が市内業者への仕事起こしを真剣に追求していくべきだと思いますが、これにかかわって伺いますが、本市で行われている住宅リフォーム等の支援事業は、どのようなものなのか、伺います。

立花まちづくり調整局長:住宅の防災化あるいはバリアフリー化などを進めるため、住宅金融支援機構などの金融機関から工事資金の融資を受けた場合に、その利子の一部を一定期間補給しているものでございます。現在は、20年度までの申し込み分の利子補給のみを行っているのが現状でございます。

河治議員:予算案ではこの事業を新規募集を20年度で終了したとしていますが、なぜなのか、伺います。

立花まちづくり調整局長:本事業は、財団法人横浜市建築助成公社が住宅融資事業を終了したことを受けまして、その代替施策として18年度に開始し、20年度まで実施してきたものでございます。昨今の財政状況を踏まえまして、事業開始後にバリアフリーや耐震改修などへの各種補助制度が拡充創設されたことにより、今後も新規募集を継続した場合、利子補給額が年々増加し、後年度負担額が多額になることから、新規募集につきましては、中止したものでございます。

河治議員:この事業は2006年から8年度までの実績で105件だと聞いています。仕事起こしの観点からすれば、融資に対する利子補給、これにとどめず、工事に対する一定割合への補助など、こうした拡充こそが求められるというふうに思います。
 実は、市長は2月16日の市政方針演説で、「社会経済情勢が厳しいなかで、その影響を直接受け、本当に苦労しながら仕事に営む方々、そこで働く方々をしっかり支援するために、緊急経済対策を積極的に実施します」、こう述べておられるわけです。であるならば、市内経済活性化の観点から、住宅リフォーム等支援事業に替わる各種補助事業についても、市内業者の仕事起こしにつながるような仕組みを考えていくべきではないかと思いますが、伺います。

立花まちづくり調整局長:各種補助事業の工事の性格あるいは金額などから、市民に身近な市内の事業者が工事を受注しているものと考えております。従いまして、さまざまな補助事業を市民のみなさまに積極的に利用していただくことが重要でございまして、業者選定に条件付けを行うことは、そういう意味で必要がないものと考えております。

河治議員:いま、建設職人の人の「仕事がなくてたいへんだ。わずかな仕事でも、朝早くから埼玉や千葉へ出かける」という話をよく私は聞きます。ですので、本当に市内業者の仕事にするというふうなことでいえば、ここにも力を入れるべきだというふうに思うんです。本市の補助事業がいっそう地元業者の仕事につながるようにすべきだと思いますし、業界のアンケートでも、「リフォームなどの仕事は大手業者よりも地元の業者に頼みたい」、こうした回答です。
 市内の経済活性化の立場から、本市で行っている補助事業について、市内業者が実施する場合は補助率を上げるとかインセンティブを与える仕組みにするとか、街の活力につながる、こうしたことが必要だと思うんですけども、この点については、副市長に伺います。

小松崎副市長:市内事業者になるべく働きいただくと、このことは私どもも肝に銘じている、こういうことでございますけれども、各種の補助事業ということについて、いま先生おっしゃいましたように、市内事業者への発注、その際にインセンティブをというお話でしたけれども、そもそも市内事業者に発注そのものを原則としていくと、そういうお考えについては、先の予算関連質問のなかで市長からのお答えをしておりまして、さまざまな課題はあるけれども改善策は検討していくと、こういうふうにいっているわけでございます。ただ、いま、河治先生がいわれたそのことによってインセンティブを与えるということについては、現時点では考えておりません。

河治議員:ぜひ、やっぱり市内経済の活性化ということを市長もいっているわけですし、その事業が増えるような仕組みを検討していただきたいというふうに思いますし、いますぐでなくとも、今後そうした方向が必要かどうかと思っておられるのか、その辺、もう一回聞きます。

小松崎副市長:現時点では考えておらないというふうにご答弁申し上げました。

築42年のひかりが丘住宅の住戸修繕を急げ

河治議員:次に、市営住宅の修繕事業について伺います。
 ひかりが丘住宅は第一期建設期からすでに42年が経過し、老朽化も進んでおります。住民から「住戸修繕はいつ行われるのか」、こうしたことも聞かれます。
一般的に市営住宅の修繕事業のメニューには、計画修繕事業と、いっそう施設を長持ちさせるための大掛かりな住戸改善事業の2つがあると聞いていますが、それぞれの事業内容について説明してください。

立花まちづくり調整局長:計画修繕は、予防保全として計画的に実施する修繕工事でございまして、外壁の塗装工事、屋上の防水工事、給水管工事、手すり工事などがそれにあたるわけでございます。
 一方、住戸改善事業は、既存住宅の有効活用等長寿命化を図るため、住戸内部を一新しまして、また合わせて室内のバリアフリー化の対応を図るとともに、外壁、屋外、供用部分の改善工事や、エレベーターの設置工事を実施するものでございます。

河治議員:それぞれの計画周期、どういう状況でしょうか。どういうかたちで、何年毎に行うんでしょうか。

立花まちづくり調整局長:たとえば外壁塗装工事につきましては約20年、屋上防水についても20年、給水管については30年を目途に計画的に修繕を行うものでございます。

河治議員:住戸改善事業についてもお答えください。

立花まちづくり調整局長:住戸改善事業につきましては、やはり古い住宅のうち、修繕が必要になったものにつきまして、住居も合わせて一新するということの事業でございます。

河治議員:具体的に年数を言ってください。

立花まちづくり調整局長:そもそも住宅の耐用年数の半分に至っていない住宅に対して、国の補助があるということでございます。

河治議員:ひかりが丘の場合はどういう状況でしょうか。

立花まちづくり調整局長:ひかりが丘は、何年かにわたって建設されておりますので、その長さは長いものは42年、あるいは短いものは18年経過がございます。

河治議員:先ほどの答弁だと、もうすでに行われていなきゃいけなっていうふうに感じるんですが、どうでしょうか。

立花まちづくり調整局長:それはあくまでもひとつの補助基準の目安でございますので、ねばならないわけではございません。

河治議員:それではもう一回再度、ひかりが丘住宅において、それぞれの修繕メニューの実施状況がどういう状況なのか、もう一回述べてください。

立花まちづくり調整局長:計画修繕としましては、平成17年に屋上防水を、平成19年度には外壁の塗装工事を実施しているところでございます。

河治議員:建築されてすでに40年が経過し、本来ならば外壁塗装工事や屋上防水工事、これは20年ごとといわれましたから、もう2回目の実施の時期なんですね。それが、住戸改善事業に重なるからということで、先送りになってきています。この住戸改善事業が、なぜ行われていないのか、伺います。

立花まちづくり調整局長:現在、勝田住宅におきまして、住戸改善をやっているわけでございまして、そういう関係から、まだひかりが丘については実施できていないという状況でございます。

河治議員:財政的な側面ですか。

立花まちづくり調整局長:財政状況もございますし、進行体制の問題もあると考えております。

河治議員:先ほど話があったように、もう70年耐用年数、その半数も満たないなかでやろうとしたら、すでにもう42年がたっているわけですから、そのへんはぜひ検討いただきたいと思うんですが。
 住戸改善事業というのは多額の費用を要しますし、本市の財源確保の方針は、「導入が可能な国費等について積極的に見込む」としており、上飯田団地や勝田住宅の住戸改善事業では国庫補助を前提にして進めてきたと聞いております。公営住宅法では、鉄筋集合住宅などの耐用年数は70年とし、公営住宅等ストックについての国の方針では「全面的改善事業を施行した公営住宅が、当該事業の実施後、概ね30年以上管理する」としています。
 ひかりが丘住宅は第一期建設分の耐用年数の残りはもう28年にしかなっておりません。住戸改善事業が行われるのか、不安を感じ得ません。そこで、ひかりが丘住宅の住戸改善事業の展望について伺います。

立花まちづくり調整局長:これからの住戸改善事業をどう進めていくかということの問題につきましては、先ほど来ご答弁申し上げてますように、平成22年度に住生活基本計画を策定するということ、あるいは本市の中期的計画の策定の検討も行われるわけでございますので、そのなかで他の住宅政策事業と合わせて総合的に検討してまいりたいというふうに考えております。

河治議員:住民から、歩道の段差や根上がり解消とか、バリアフリー対策等さまざまな要求が出されていますし、また、住宅の避難口がなく、消防法違反との指摘もされています。それぞれ区役所や土木事務所、住宅管理課に伝え、改善したものもありますが、二方向避難対策については住戸改善事業と一体で進める、待ってほしいとの回答でした。また、住民は住戸改善事業に期待し、上飯田住宅や勝田住宅へ視察に行ったとも聞いています。
 ひかりが丘住宅の住民は住戸改善事業に期待しているわけですが、局長は住民の思いをどのように受け止めておられるのか、伺います。

立花まちづくり調整局長:いま申し上げましたように、住戸改善事業の進め方につきましては、先ほど申し上げましたように、住生活基本計画の策定のなかでどうやっていくかということを決めていきたいというふうに考えておりますので、それらのなかで検討されるものだというふうに考えております。

河治議員:ひかりが丘団地は高齢化も進んでおりまして、このままいったら町内会・自治会という活動についても支障が起きかねないようなことも聞かれます。市営住宅の空き屋募集ということでいうと、とりわけ低いのがこのひかりが丘住宅なんですね。交通利便性からいえば、相鉄線の鶴ヶ峰駅とか横浜線の中山駅からいっていうふうなことで、決して悪いわけではないんですよ。しかし、子育て世代を含めて、魅力のない住宅という評価になっているようなことも聞かれます。たとえば住民からは「この住宅は洗面所もないし」というふうに嘆いておられます。住戸改善事業の遅れも影響しているのだと思いますけども、再度、このひかりが丘住宅の住戸改善事業の展望について、これもう一回副市長に伺います。

小松崎副市長:いまさまざまやりとりございましたけども、基本的には厳しい財政状況というなかで、いろんなことを解決していかなきゃいけないという状況にあるわけでございます。そのなかで、先ほどのやり取りにもございましたけれども、この住宅団地というものを私ども社会資本として改めてとらえなおしたときに、どういうこれから活かし方ができるのか、そういうなかでお住まいになっている方々の満足につながるような仕組み・仕掛けができるのか、そういったことも含めて、私どもも総合的に考えていきたいというふうに考えております。

河治議員:いずれにしても、住民そのものが期待しておりますし、やはりそういうなかで高齢化も進んでいるわけですし、バリアフリー化と重ねてぜひやっていただきたいことを要望として、終わりにしたいと思います。