議会での質問・討論(詳細)
2010年3月5日

【2010年度予算特別委員会】「教育委員会」 関美恵子

横浜市の全日制高校進学率は全国最低の神奈川県88.7%より低い87.2%

関議員:日本共産党を代表して、質問させていただきますが、始める前にパネル1枚の使用を委員長に許可願います。(どうぞ)ありがとうございます。
 では、高校入試に関わって伺います。
 公立全日制高校の前期・後期入試が終わり、9492人もの生徒が希望しながら公立全日制への進学の道を閉ざされました。問題は、こうした傾向が強められていることです。
そこで、横浜市の公立中学校卒業予定者の全日制への進学希望者率と進学者率を過去3年間の推移で伺います。

田村教育長:毎年10月に調査を実施しておりまして、これによりますと市立中学校卒業予定者の全日制高校への進学を希望する者の割合でございますが、平成18年が91.3%、19年が90.7%、20年度が91.2%でございます。一方、市立中学校卒業者の全日制高校への実際の進学者の割合ですございますけど、こちらの方は平成18年度が88.3%、平成19年度が87.9%、20年度が87.2%というような数字になっております。

関議員:進学希望者率と進学者率に開きがあり、それも進学者率が低下していくかたちで開きが大きくなっていると思います。2009年度の進学者率は、87.2%ということですが、この数字は全国最低といわれる神奈川県の88.7%より、1.5%も低い数字です。その分、横浜市の生徒は、全日制へ進学がさらに厳しいということを示していると思いますが、こうした状況を教育長はどうみているのか、伺います。

田村教育長:厳しい経済状況の中で、ひとつ私立高校への進学者が減少していること、あるいは多様な進路先を選択をしているとそういった結果などによるものというふうに思われます。

関議員:公立全日制への募集枠については、私学と協議して決めているとも聞いています。ところが、私学の初年度納付金が85万円、学費は公立の7倍ということもあって、いま教育長もちょっと触れられましたけれども、このところの不況の影響から私学への進学希望率は低下傾向を示しておりまして、簡単に私学全日制に生徒が流れるという状況ではありません。2009年度の私学への進学希望率は、わずか10.6%しかいません。大半の生徒・保護者が公立全日制を求めていることがわかります。公私の募集割合を決める根拠が崩れているのではないかと思うのですが、伺います。

田村教育長:神奈川県全体で高校の入学定員計画というのを決めておりまして、関議員がいまちょっとお話でましたけども、神奈川県公私立高等学校設置者会議、これ県知事が主催をする会議でございます。そこで協議をして、決めているということでございます。この協議会の中で、全日制の高等学校の入学定員を中学校卒業者の6割、公立を6割、それから私立を4割というふうに決めております。公私の割合につきましてはこれさまざまな議論があるところは承知をしております。今後の定員経過につきましては、設置者会議の場で協議・検討されていくものというふうに認識をしております。

関議員:ところで、今年度実施した入学者選抜において、市立東高校の募集定員を40人増加したという理由はなんでしょうか。

田村教育長:中学校卒業予定者の増加に伴いまして、県内全体で昨年度より1757人の募集定員の増加を行いました。こうした中で、県と私ども横浜、川崎、横須賀、3市で協議をしました結果、施設状況等勘案しまして、東高校の募集定員を1クラス、40人分増加をしたと、そういった理由でございます。

関議員:増加したということですが、多分自然増分をもって、増加したというふううにいま聞こえたんですけれども、そうした検討を上回って、公立全日制を希望する生徒が増え、その結果9492人という大量の不合格者をだす結果になったと考えられます。全日制の合格枠をもっと上げるべきだったのではないかというふうに、これは結果論ですけれども、思うんですけれども、教育長の見解はどうでしょうか。

田村教育長:さまざまな見方があるんだと思います。

関議員:教育長の見解を聞いたんですけどね。

定時制高校からもはじかれる生徒がいるのは仕組み上の問題

 昨日、定時制、通信制の後期選抜の志願状況が発表されました。定時制は平均競争率が1.2倍と前年の1.1を上回ったという報道でした。それでも、横浜の戸塚高校は2名欠員だったようですけれども、しかし全体の倍率では、定時制からもはじかれる生徒がかなり出ることは目にみえています。
 そもそも、定時制や通信制への希望は、生徒や保護者にとって高いものではありません。ところが、2008年度の調査で、定時制は424人の希望に対し、進学は2.5倍の1056。通信制も希望は483人なのに、進学は2.7倍の1244人になって、生徒が希望しないのに、定時制や通信制しか行き場がなく、そこにどんどんと追いやられている。これは仕組み上の問題で、そうなっていると思うのですけれども、教育長の見解を伺います。

田村教育長:入学者選抜は、県内全体で募集定員ていうのが4万1836人ですね。このうち横浜市立は5%、2200人というようなことでございます。全日制を希望する生徒が多いことは承知はしておりますけれども、それらの問題というのは、先ほど申し上げましたとおり、県知事が主催をする県市の協議会の場でもって、決定をしていくべきということで考えております。

関議員:ぜひ、意見を横浜から発していただくのもやり方かなと思いますので、よろしくお願いします。
 そして、特に、通信制、いわゆる県立修悠館というのがあるんですけれども、そこの募集定員みますと1250人なんですね。大変多いです。現在、生徒4000人の超大規模校になっているというんですね。やり方は自学自習を旨とすることですから、卒業がほとんど、ほとんどというと大げさかもしれませんけれども、大変困難な学校だといわれています。私がもし親でしたら、幸い私の子どももそうじゃなかったんですが、こういうところに子どもを進学させる気にはなりません。はっきりいって。ですから、行き場がないからといって、生徒を追いやることは問題だということを、これもひとつ指摘をしておきます。
 横浜市は、市立高校再編整備計画により、夜間定時を廃止し、3部制の横浜総合高校に統合するとした経緯がこれまでありますが、市立の中学卒業者の2008年度の調査で1056人が定時制に進学しているこの現実。これをここで検証して、分校や分教室の設置や、定時制の復活も含めて、見直すときにきているのではないかというふうにも思うんですね。昼間働いていないという生徒が増えてきたというそういう理由がありましたけれども、見直すべきだと思うふうに思うんですけれども、どうでしょうか。

田村教育長:平成12年に市立高校の定時制の再編を含みます再編整備計画というのを作成をいたしました。それはまさに生徒の多様な学習ニーズや生活スタイルに対応して、そういった計画を作成をしてきたという経過がございます。それと、定員の関係につきましては、先ほどからお答え申し上げているとおり、県全体の中でさまざまな議論が行われ、決定をしていくということになっておりまして、定時制高校の定員についても県全体の定員を勘案し、県教育委員会として横浜市の分については協議決定をしていきます。
 ただ、本市として市立定時制高校の新設や分校、あるいは分教室の設置、これは現在のところ考えておりません。

関議員:大変あふれている状況ね、直視して、もっと見ていただきたいと思います。

川崎市立定時制高校生の4分の1が川崎市外出身者

 それから、先ほどの質問で見直しをいいましたけれども、見直しすべきだと思う根拠に、最近聞いたんですけれども、川崎市が、川崎市立高等学校定時制過程の通学区域の変更を検討しているという問題があります。その検討の内容なんですが、学区を神奈川県内全域から川崎市内全域に変更し、川崎市内中学生の進路保障を優先していくこと、また特例として学区外入学許可限度数8%は確保するというものでした。スケジュール的にはもうパブリックコメントを終結した段階だというふうに思います。また、検討の理由は、市立高等学校定時制過程5校全体での在籍者のうち約4分の1が川崎市外出身者で占められるという状況で、年々その割合は高まりつつあり、その結果、市内在住の生徒が志願しながらも不合格にならざるを得ない状況が生じていることとしています。
そして、次よく聞いていただきたいんですが、その背景として、川崎に隣接する横浜市域に定時制過程高校が設置されていないことが大きいと考えられるということを、川崎市立高等学校定時制過程学区検討会議は報告をしているんですね。
 ちょっとパネルを見ていただきたいんです。(パネルを示す)これは、横浜市域と川崎市域の定時制・通信制の高校の分布図なんですね。それで、黄緑が川崎です。それから青が県です。それから赤、これが横浜です。それから黄色はこれが通信制なんですけれどもね。黒いところがいわゆる空白エリアといいますか。鶴見工業高校があった頃にはそうならなったのかもわかりませんが、徳に鶴見、それから北部の方ですね。ここから川崎に流れていくというのは容易に考えられるというふうに思うんですね。こういう状況です。いまもいいましたけれども、鶴見工業高校があった時には、川崎市までいくこともなかったのかもしれない。このエリアでの進学の困難さが伺われます。
 川崎市での検討が実施された場合、仮に27%を横浜市の生徒と考え、2009年度の在籍数で試算すると85人がはじかれることになります。なんらかの対策が求められているのではないでしょうか。伺います。

田村教育長:川崎の定時制の学区変更は正式にはまだ決定されていないものというふうに承知をしております。定時制については、21年10月の調査では県全体の定時制への進学希望者が1246人ということでございますけど、今年の募集定員は3147人ということで、大幅に上回っています。定時制の定員につきましては、県、横浜、川崎、横須賀の教育委員会に協議して決定をしてまいります。

関議員:ぜひ、検討していただきたいと思います。
 次に、市立金沢高校の「文理特進コース」について伺いますが、競争率が1.8倍と低かったというふうに聞いています。それで、後期選抜では7人の欠員がでたと聞いています。教育委員会が、新たな高等学校教育の推進として、横浜サイエンスフロンティア、中高一貫教育が約束された市立南校において今年実施した選抜における競争率は前年と比べてどうだったのか伺います。

田村教育長:前年とくらべて、南高校は若干下がっているということでございます。サイエンスフロンティア高校も難しいということが敬遠されて、やや受験を手控えた方も多いということで、やや下がっているということでございます。

関議員:時間です。


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