議会での質問・討論(詳細)
2010年3月9日

【2010年度予算特別委員会】「健康福祉局」 中島文雄

実態を無視した待機者算定や特養ホーム整備計画

中島議員:日本共産党の中島文雄です。健康福祉局の予算に関連していくつか伺いたいと思うんですが、最初は、特別養護老人ホームの整備計画についてであります。
 私先日、予算関連質問で、いかに本市のこの特別養護老人ホームの入所待ち数の設定の仕方、これが実態に即さないで低くしているのか、この問題点を質しましたが、答弁は私の具体的な指摘や改善提案について、一顧だにしない、こういう内容なものでした。そこで改めて伺いますけどね、本市でとっている入所待ち数の考え方、あるいはそれに基づく整備計画の考え方、伺います。

立花健康福祉局長:本市では、在宅の入所待ち者数を公表しておりますけれども、21年度の10月1日現在で4641人。比較的重度である要介護度3以上の方は3487人となっております。このうち、必要性緊急性の高い方は約70%というふうになっております。
 整備計画の考え方ですけども、要介護度3以上で必要性緊急性の高い入所待ち者が概ね1年以内に入所できるという整備水準を目標にしまして、年間900床の整備を進めてまいりました。23年度以降は、この入所の目標水準を維持するために年間300床の整備を行ってまいります。

中島議員:ここでいわれている要介護度3以上、あるいは在宅、そういう制限を設けて、なおかつ0.7がけと。これは担当者に聞いても、横浜独自の横浜方式の考え方だといわれているんですね。そこで伺いますけど、本市がとっている特別養護老人ホームの入退所指針でうたう入所基準、説明して下さい。

立花健康福祉局長:入所の必要性の高い方が早めに入所できるように、申込者の状況等を総合的に判断する基準項目を設けて点数化しておりまして、点数の高い方から優先的入所をしていただいております。基準項目の配点は、要介護度の高い順に最高30点、家族等の介護を要する方の状況に応じて最高40点、それから申込者の在宅サービスの利用状況に応じて最高10点等々、合計100点となっております。

中島議員:いま説明されたように、ここでは入所に当たって要介護度3以上だけっていう規定はないんですね。要介護度2でもあるいは1でも、一人暮らしや介護者の状況、考慮されるものになっているんですね。この指針を無視した算定基準が、いまの先ほど説明にあった考え方なんですよ。これは待機者を少なく算定する、姑息な手段ではないかというふうに指摘を受けるのは当然だと思うんですが、いかがですか。

立花健康福祉局長:国では、特別養護老人ホームについて、要介護度4以上の入所者の割合を26年度に70%以上とするというふうにしておりまして、この考え方からしまして、特養ホームを主に重度の要介護者に対応する施設というふうに位置づけております。このこともありまして、整備目標を定める上で、本市においては要介護度3以上の在宅の入所申込者を必要性緊急性が高い方として、整備計画に反映させ、整備を進めております。

中島議員:まったく介護保険制度が10年以上たつのに、この結果がいまになって明らかになっているんですね。大場副市長、介護保険制度でも、要介護1以上、これは入所可能できる。これが保険制度の契約なんですね。要介護3未満でも、介護者の状況等によって特養に入らなければ在宅で暮らせないっていう人、たくさんおられるんですね。やっぱり、要介護3以上っていうのは、これやはり取り払うべきだというふうに私思うんですが、副市長としてどうですか。

大場副市長:いまお話ありましたけども、要介護度1・2の方の入所に対応するということになれば、当然整備数を増やすということになりますけれども、保険料全体への影響という問題もありますし、また介護職員の確保等いろいろ課題も多いということは、ぜひご認識いただけるかと思います。

中島議員:これ、説明にならないですね。これ、後ほど論議したいと思うんですが。
 老健等で入所しながら、特別養護老人ホームの入所待ちをされている本人や家族が、3ヶ月ごとに新しい施設を探すって、大変な苦労されているのを、やっぱり局長も副市長もご存知かどうかと、私思うんですね。市の調査でも、入所申し込まされている圧倒的多数の人は、在宅者だけじゃないんですよ。そういう点からしても、在宅者だけに限定する、この待機者の選定についても問題だと思うんですが、いかがですか。

立花健康福祉局長:老健などほかの施設の入所者はすでに当該施設で介護を受けているわけですね。このため十分な介護が受けられない在宅の方を入所の必要性緊急性が高い方というふうにとらえまして、そうした方々が概ね1年以内に入所できる整備を目標としているものでございます。

中島議員:実態を本当に把握されていないんですね。どんな思いで特別養護老人ホームを待機されているかという人たちの気持ちになってくださいよ。百歩譲って、本市で低く見積もっている待機者、1年以内に入れるということ、これお考えでしょうけども、これ22年度末にこういうことできるっていうわけですね。現在どれくらい待ってられる方、どのくらい期間待っていられる方おられるか、期間について局長つかんでおられますか。

立花健康福祉局長:個々にみればいろいろあると思いますけれども、これはいま申し上げたのはあくまで整備計画上の数字でございます。

中島議員:こういうの机上の空論というんじゃなくて意図的な空論なんですね。本市のこういう低い入所待ち数、算定でも、いままでずっとそういう中で、毎年900床整備してきたけども、減るどころか増えているんですね、待機者が。これを2011年度から、先ほどあったように900床から300床に減らすというのは、何の根拠もないというふうに思うんですね。私は先日もいいましたけども、もうしばらく整備を進めてから判断するのが介護保険者として当然だと思うんですが、この300床に減らす計画見直すべきだと思うんですが、いかがですか。

立花健康福祉局長:22年度末で、整備の目標水準に達するということから、23年から26年度までは要介護認定者の伸びを考慮しまして、年間300床というのを必要な整備量として設定をしております。

中島議員:ぜひ、やっぱりこの点は不十分だということを認めたうえで、いまできないことはこういうことあるけども、検討するというぐらい気持ちがあっても当然だと思うんですが、大場副市長どうですか。

大場副市長:いま立花局長お答えしたとおりでございます。
中島議員:本当に実態を無視した点については、本当にこれからも改善を求めたいというふうに思います。

「将来あんしん施策」は「手当」廃止の転換策であり、看板倒れは許されない

 次に、障害者福祉の将来あんしん施策についてです。
 この施策は、従来の在宅心身障害者手当、障害の程度によって年額6万円、3万5000円、2万5000円を廃止して、その転換策として、新年度からスタートするものです。だからこそ、障害者や家族を裏切っては絶対ならないと思うんです。
 そこで伺いますが、現年度の在宅手当の市費実績は18億3000万円だったにもかかわらず、あんしん施策の市費分が12億7000万円と5.5億円も減額されています。経費の節減が目的ではなかったのかという指摘、こういうことについてはどうお答えになりますか。

立花健康福祉局長:いまのご質問は一般財源のことをおっしゃっているんだと思いますが、たいへん厳しい財政状況の中ですけれども、障害がある方やご家族が本当に望んでいることは何なのかと、そしてそれを実現するために必要な事業費の確保に努めたわけでございます。その上で、持続可能な施策となるよう、国費県費が導入できるものについては積極的に導入を図ったということでございます。

中島議員:次に、あんしん施策の予算が非常に分かりにくいという問題も指摘したいと思うんですね。約20項目の事業の中には、新規もあれば従来からやってきたものの部分の拡充もあるわけですね。しかし、予算書、概要みると、自立支援アシスタント派遣だけを前年度実績として、差引き17億円の予算増額、こういう示し方しているんですね。従来施策の拡充部分はすべて前年度実績とすべきだと思うんです。そういうことをしないと、予算の増額分を大きく見せてしまうような、こういう手立てじゃないかというふうに指摘を受けるんですが、どうですか。

立花健康福祉局長:厳しい財政状況の中ですから、必要なもの、それを増額するというのはなかなか難しいことでございます。そういうことも含めて、拡充、増額、それから新規を含めて、予算というふうに計上しております。

中島議員:予算の計上の仕方をいってるわけで、財政状況の厳しさを指摘しているわけじゃなくて、わかりやすい施策ということが大事なんです。
 あんしん施策をスタートさせるには、各障害者団体等の要望を受け入れたというふうになっています。初年度19億円、先ほどの一般財源、市費は12.7億円の予算は、18.3億円の手当打ち切りの転換策として、私、率直に不十分さをここで指摘したいというふうに思うんです。同時に、20項目にわたる事業は、今後財政的な拡充等の対応が問われるものばかりでありますね。看板倒れは許されませんが、事業の推進に向けた基本姿勢を伺います。

立花健康福祉局長:今後の施策は、みなさん方が本当に期待して待ち望んでいた施策でありまして、その過程においては80回というその多くの話し合いを経てつくられたものでございます。そして、これまでこの施策の策定にかかわってきた障害のある方あるいはその家族、障害者団体、支援者の方々から、行政がここまで努力してくれたんだから、これからは自分たちがこの施策を動かしていくと、あるいは自分たちでできることは積極的に行いたい、少しでもいい施策になるようにこれからも行政と一緒に考えたいという、そういう力強い言葉をいただいておりまして、私としても、本当にこの施策の実行に全力をあげて取り組んでいかなければならいというふうに思っております。

中島議員:このあんしん施策で一点だけ後退した部分があるので、ちょっと確認をしておきたいんですが、精神障害者生活支援センターについて、18区中で未整備の瀬谷区と鶴見区は来年度・再来年度の開所に向けた整備が進められておりますけども、唯一中区の整備が見送られている点なんです。その理由と今後の整備計画をお答えください。
立花健康福祉局長:精神障害者の生活支援センターは17区についてはすでに整備済みでありまして、もしくは事業に着手している状況です。まあおっしゃるとおり、中区については、厳しい財政状況の中で今回は整備費の予算計上を見送らざるを得ませんでしたけれども、早期建設の期待は承知しておりますので、引き続き進めてまいります。

「はまかぜ」の緊急一次宿泊施設としての機能強化を

中島議員:次に、ホームレス支援事業についてです。
 最初に、市内でのホームレスの実態調査について、3年間の結果を報告して下さい。

岸村生活福祉部長:ホームレスの実態に関する全国調査でございますが、これは平成19年以降毎年1月に実施をいたしておりますが、本市におきましては19年度は661人、20年度は649人、21年は697人と確認をされております。

中島議員:本市ホームレス自立支援施設「はまかぜ」の入所状況は現在どうなっているのか、報告して下さい。

岸村生活福祉部長:入所数でございますが、日々変動しておりまして、定員は226名でございますが、概ね160人から180人の方が入所しております。

中島議員:「はまかぜ」は、自立支援と緊急一時宿泊という二つの事業を行っています。入所者が退所した後の状況、これが問題ですけども、「はまかぜ」の退所者数と退所後の生活状況はどうなっていますか。

岸村生活福祉部長:平成20年度は1年間で延べ1396人の方が退所されておりまして、その退所後の状況ですが、概ね4とおりの状況に分かれると考えております。一つ目は、就労された方は308人、生活保護の受給などで居所を確定した方が355人、病気で入院したり他の施設の入所した方が252人、さらには自らの意思で退所した方が481人で、その中には再び屋外生活に戻ってしまったという可能性の高い方も含まれております。

中島議員:就労とか生保とか入院、この成果評価しますけれども、再びまた戻ってしまった、この対策についてはどう考えていますか。

岸村生活福祉部長:本市ではホームレスからの脱却を支援するための事業のひとつとして、「はまかぜ」への入所を促す巡回相談を市内全域を対象に実施をしております。しかし、「はまかぜ」に入所しても、すぐに退所をしてしまう方や、巡回相談員との関わりを拒む方もいるということのために、相談に際しては単に「はまかぜ」への入所を勧めるだけでなく、信頼関係を築く粘り強い働きかけを行っているところでございます。今後も、区福祉保健センターなど関係機関との連携のもと、ホームレスからの脱却に向けて、一人ひとりの状況を見極めながら、支援に取り組んでまいりたいと考えております。

中島議員:引き続き深刻な雇用や失業のもとで、職と住居を失ってしまっている人、本当に増えています。緊急で一時的な宿泊場所の提供が強く求められているんですが、その点では「はまかぜ」の二つの仕事のうち、緊急一時入所の役割強化について、検討されている問題がありましたらば、ご報告下さい。

岸村生活福祉部長:お答えさせていただきます。「はまかぜ」には、ホームレスから脱却し、就労による自立を支援する役割と、それから失業などで住居を失い、屋外での生活になってしまった方の緊急一時的な宿泊場所としての役割がございます。226人の定員のうち、その半数強を緊急一時的な宿泊場所にあてておりまして、緊急的な入所をきっかけとしまして、その後の継続的な自立支援につなげる重要な場と考えております。従いまして、今後速やかに入所できるよう、必要な入所枠の確保に努めてまいります。

中島議員:私、緊急一次宿泊施設として、「はまかぜ」たいへん役割、期待しているんです。ぜひ緊急一次宿泊の機能を強化していただきたいということを要望して、質問を終わります。


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