市政ニュース ・ 視察報告
2019年7月30日

名古屋市を視察 敬老パス、国保料独自控除、中学校給食について

日本共産党横浜市議団名古屋市視察報告

2019.7.26.名古屋市視察.12019.7.26.名古屋市視察 (4)

日時 2019年7月26日(金)

参加者 白井正子(副団長)、大貫憲夫、河治民夫、みわ智恵美、北谷まり、宇佐美さやかの6議員と政務活動員2名

【視察目的】

⓵敬老パス制度の適用対象交通機関の拡大について

⓶国民健康保険料算定の際での市独自の控除制度について

⓷名古屋方式の中学校給食(中学校スクールランチ)について・・・以上3点を調査し、横浜市の同類の各事業・施策の充実に資する。

視察内容 テーマごとに各担当者から説明を受け、質疑応答でさらに理解を深める、座学方式となった。時間の関係で、現場調査は割愛しました。市当局の説明の後、日本共産党名古屋市議団と懇談し、各テーマについての所見、態度を聴取・交流しました。

1)敬老パス

・対象:65歳以上

・使用できる主な交通機関:市営バス、市営地下鉄

民間バスは近郊都市と結ぶ路線で、使用できない。

市は、JR・私鉄に対象を広げる方向性で今年度中に実施方法を決めるとしています。

新たに必要な予算額は年9億円と試算しています。この9億円をねん出するために、利用限度額を新たに設けることを当局は明言しています。

・一部負担金:1000円、3000円、5000円

*横浜市により対象が5歳若く、一部負担金も低廉である。

・交付数:33万人(2017年度)横浜市40万

・予算:143億円(2017年度、一般会計1.2兆円の1.2%)

*横浜市の予算額は115億円(2018年度、一般会計1.7兆円の0.67%)です。一般会計に占める割合を見ても、名古屋市がこの事業に多くの予算を投じていることが明らかです。

・敬老パスはICカード化されています。2017年3月~2018年2月の敬老パス利用状況が資料で示されました。一人当たりの年間利用回数は210.7回、100回以下が5割、101~200回17%です。

名古屋市敬老パス

*横浜市の利用者アンケート集計でのバス月25回(年換算300回)、地下鉄月7回(年換算84回)と比較すると、利用状況は約半分である。

・敬老パス効果の検証を2012年に実施・・㈱日本能率協会総合研究所に委託

*報告書の一部抜粋

⓵外出率が3割アップで社会参加向上⓶外出一回当たり1400歩増で健康増進⓷使った予算(121億円)の2.5倍の直接経済効果(316億円)⓸自家用車利用抑制で年間6500トンのCO2削減

*市当局からは、この報告書はICカード化前の調査であり、いまでは参考資料として扱っているとの注釈があった。しかし、効果を数値化した貴重なデータである事実は隠せません。この事実を知った市民は、敬老パス事業に一定の税金を投入することに納得するはずです。横浜市でも実施するよう強く求めていく必要があります。

2)国民健康保険料独自控除

名古屋市は、政令の改正に伴い、2013年度より国保料の算定基準を市民税から総収入に変更しました。名古屋市は、この変更で、多人数世帯と障害者・寡婦(夫)本人と障害者扶養家族の保険料が二倍以上も引きあがることを避けるために、総収入から市独自の所得控除を行うことをしました。

横浜市も同様に算定方式を変更しましたが、激変緩和の経過措置にとどまり、このような子育て世帯、障害者世帯への配慮はしませんでした。多くの子育て世帯が保険料の大幅引き上げに悲鳴を上げるなか、党横浜市議団は、2013年8月に名古屋市のような恒久的措置として独自の所得控除の創設をするよう林市長に申し入れました。横浜市は2014年度より子どもの数に応じた一定額(16歳未満33万円、19歳未満12万円)を控除する仕組みを導入しています。

・所得控除の額

ア 多人数世帯 住民税の配偶者控除・扶養控除(33万円)に替わるものとして、扶養家族1人につき33万円を控除する

イ 障害者・寡婦(夫)本人 障害者等に係る住民税非課税限度額(125万円)と基礎控除額(33万円)との差額の92万円を控除する

ウ 障害者を扶養 障害者控除に替わるものとして、障害者の扶養家族1人につき、53万円を控除する。

・独自の所得控除の効果(2012年度試算)

増加率が2倍以上となる世帯が7000から2000へ、1.6~2倍未満となる世帯は31000から9000へと大幅に減少

・財源 保険料の枠内

*保険料引き下げ財源が保険料の枠内という点は評価に値しないが、障害者世帯を対象としているところが横浜市より優れていると云えます。横浜市も倣うよう働きかけを続けます。

3)中学校スクールランチ

・内容 デリバリー給食として実施しているが、弁当との併用を認め、複数メニューからの選択、食事にふさわしい場(ランチルーム)の確保の3点が特徴である。

・実施時期 1998年度から全校で実施、現在111校中110校で実施 1校は自校調理方式

・食費 1食280円(食材料購入費相当分)別に牛乳代約54円/本を徴収

・メニュー「おいしく・楽しく・バランスよく」教育委員会が作成、メニューの種類はランチルームでの会食メニュー2種類、ランチルーム以外に会食メニュー2種類の合計4種類を毎日用意している。

・利用率(喫食率)の目標と実績

目標は60%、実績は2018年度58.4%、17年度58.6%、16年度58.7%、15年度58.7%、14年度59%と微減していることを担当課長は大変気にかけておられました。

・ランチルーム 食事にふさわしい場として、生徒が楽しくくつろぎのある雰囲気で会食できるようにテーブル、椅子、壁、照明などに工夫を凝らしたランチルームを確保し、施設規模としてはランチルームと配膳室を合わせて4教室分(原則)を整備・確保している。整備費用は一校当たり1.2億円。

ランチルームの整備効果は、ランチルームメニューの高い喫食率(2018年度68.8%)で実証されている。教室で会食するボックスメニューは53.3%(2018年度)にとどまる。

・管理システム プリペードカード方式による食費の徴収から予約、食数の把握等一括して処理するシステムを導入

・予約方法 マークシート予約方式を原則としている。1か月分の予約をマークシートに記入し、期日までに現金又はランチカードを添えて申し込む。調理業者が予約の登録と食券の発券を行う。ほかに券売機予約方式。

スクールランチ

*デリバリー給食のあり方として工夫を凝らしていることは事実であり、名古屋市の子ども達への思いやりを示す実例として受け止めた。その限りでは横浜市も学ぶことが必要である。自校調理方式での中学校給食実現にむけて全力をあげることを改めて表明し、視察報告とします。

文責 足立信昭(随行者 政務活動員)


新着情報

過去記事一覧

PAGE TOP