議会での質問(詳細)

2010年3月15日

【2010年第1回定例会】議員提出議案「横浜市中小企業振興基本条例の制定について」に対する質問と答弁 大貫憲夫

質問 日本共産党 大貫憲夫議員、答弁 自由民主党 鈴木太郎議員

◎実際には、質問と答弁がそれぞれ一括して行われましたが、わかりやすいように対応する質疑と答弁を交互に記載しました。

大貫議員:私は、日本共産党を代表して、「議第16号議案 横浜市中小企業振興基本条例の制定」について質問します。

中小企業政策を抜本的に変えるために条例化で本市のスタンス示すべき

 中小企業振興基本条例については、わが党としてもかねてよりその制定を歴代の市長に求めてきたものです。今回、議員提案されたことは、ようやく他の会派のみなさんもその必要性を認められたということで、大いに歓迎するものです。
 私は、中小企業振興基本条例は、地方自治体が地域の中小企業を重視し、その振興を行政の柱にしていくことを明確にするために、制定されるものと考えています。
 これまで、本市は、産業や中小企業支援についてはあまり積極的ではありませんでした。中田前市長にいたっては、市内経済は国の経済対策にまかせればよいとして、中小企業が市場から「淘汰」されても自己責任によるものという態度をとっていました。林市長についても、この予算審議の中で明らかになったように、中田前市長の路線と軸を同じくして、横浜経済の振興をエキサイトよこはま22をはじめとするグローバル都市づくり、国際ハブ港整備、横浜環状道路整備や、企業立地促進条例などによる市外からの企業誘致など、外発型の施策に傾斜していることは明らかです。
 確かに、企業誘致を地域産業政策に積極的に位置づけることは必要です。しかし、誘致にあたってのインセンティブが過大であったり、その明確な基準と横浜経済への効果が希薄です。誘致された企業の本市中小企業への経済波及効果を高めるためには、本市に内在する中小企業が受け皿として機能していかなければなりません。そのためにも、中小企業の振興は企業誘致にとって重要な課題です。さらに、立地を求める企業にとって、その企業を支える地域の中小企業の振興が他の金銭的インセンティブより大きな要素をもっています。
 中小企業振興基本条例は、それ自体、政策に対し拘束力を持つものではありませんが、これまでの本市の中小企業政策を抜本的に変えるために必要です。条例制定により、本市自身が中小企業や地域の産業を振興するというスタンスを内外に示し、その連続性を担保する意味が出てきます。
 その立場から、本議会に提案された条例案について、質問させていただきます。
まず、条例案の起草にかかわり、市内中小企業や幅広い中小企業者の声、さらには一般市民、市内大手企業の意見も聞く必要があると思うんですが、どのように行ったのでしょうか。

鈴木議員:提案議員を代表して大貫議員のご質問にお答えしてまいります。
 まず、企業や市民の声についてでありますけれども、我々議員が日常的に行っている政務調査活動や、またわが党におきましてはわが党で行っております政務調査会でのヒアリングなどを通じて、中小企業の振興に関する施策の推進を求める声を数多く聞いております。特に、リーマンショック以後きわめて厳しい経済状況が続くなかでその声は日増しに強くなってきていると感じておりまして、この条例案の提案に至ったものです。

中小企業対策強化は世界の本流

大貫議員:次に、前文について伺います。本市の中小企業と経済を取り巻く状況について正確に認識することは、これからの本市の経済の再建の処方箋をつくるうえで重要です。経済をこれほどまで極めて厳しい状態に追い込んだのは、自公政権が進めてきた強いものが一層強く大きくなることが経済を発展に導き、そのためには弱くて小さいものは市場から退場させるという選択と集中による構造改革路線と、大企業依存型経済に追随する本市経済の体質によるものにほかなりません。同時に、大企業と下請けの不公平な取引が下請け中小企業の疲弊をもたらしました。
 これまでの北米市場などへの海外輸出先行型の弊害を直視し、地域住民のニーズに応える新たな内需拡大こそ、中小企業の積極的な役割であるという位置付けを、前文の中に示す必要があるのではないでしょうか。
 本条例に中小企業の重要性と条例の必要性を明記しなければなりません。条例案では、中小企業を「市内経済を根幹から支え」「地域社会へ貢献するとともに」「大企業を様々な面から補完する存在」と位置づけています。
 1996年OECD経済協力開発機構は、ヨーロッパ連合加盟国のうち12か国を対象にした調査・分析で、中小企業の売り上げ高の伸び率が大企業の売上高の伸び率より高ければ高いほど、翌年のGNP国民総生産の成長率が高く、経済成長の面でも中小企業が先進国経済の主人公であることを実証しています。EUはEU「小企業憲章」を定め、小企業こそ「ヨーロッパ経済の背骨」「雇用の主要な源泉」であり、「ビジネス・アイデアを生み育てる大地」と、ヨーロッパ経済における小企業の地位と役割を明確にしています。また、アメリカ合衆国は1997年に中小企業法を改正し、「国家安全保障と経済的繁栄は、中小企業の現実的能力および潜在的能力が奨励され、発展されることのみによって実現される」と位置づけ、すべての州の金融機関に零細企業に対する融資実績を毎年報告させ、零細企業への融資に熱心な銀行かどうかを実名で公表するといった「地域再投資法」も施行しています。このように、中小企業対策強化は世界の本流です。
 本市においても、中小企業が経済の主役であり、その振興が本市の発展に欠かせないことを明確に前文に位置づける必要があると思いますが、いかがでしょうか。

鈴木議員:外需依存から内需拡大への転換を中小企業の役割として条例に示すことについてですが、ご指摘の点も重要な観点であると考えますが、この条例案ではご指摘の点にとどまらず、市内経済の中核をなす中小企業がその特色を存分に発揮して、いきいきと躍動する横浜を目指すための基本条例として制定しようとするものです。
 中小企業の振興が本市の発展に不可欠であることを明確にすべきとのことですけれども、まさにご指摘のとおりと考えておりまして、その考えを前文のなかで市内経済の持続可能な発展のためには中小企業の意欲的で創造的な活動を支援することが不可欠であると明確に謳っているところでございます。

中小企業振興を市政の重要課題と位置づけよ

大貫議員:次に、第1条についてです。目的について伺います。中小企業振興基本条例の要は、中小企業振興を商工行政のみならず、市政全体の重要な課題として位置付け、市をあげて中小企業の振興を図ることを謳うことです。このことを目的に加えるべきだと考えます。いかがでしょうか。

鈴木議員:次に、条例の目的、第1条ですけれども、こちらに市を挙げて中小企業の振興を図ることを規定すべきとのことについてですけれども、これもまさにご指摘のとおりと考えておりまして、先ほど申し上げました前文のなかでもその主旨を表現しておりますし、また第1条の目的規定におきましても、中小企業の振興に関する施策を総合的に推進し、もって市内経済の発展および市民生活の向上に寄与することを目的とすると明確に規定しているところでございます。

中小企業の実態調査を市の責務として位置づけよ

大貫議員:第3条、市の責務は、本条例の中で極めて重要な部分です。中小企業振興に関わる施策を総合的に策定、実施する義務を課していますが、効果的な施策の策定・実施のためには、市内中小企業の実態や意見を調査し、的確に把握する必要があります。この実態調査を義務として明記する必要があるのではないでしょうか。
 さらに、条例の基本理念を達成させるため、本条例と市全ての施策・事業との整合性をつけることを、市の責務として明記すべきと思います。いかがでしょうか。

鈴木議員:次に、第3条、市の責務についてでございますけれども、市内中小企業の実態調査と中小企業の振興に関する整合性を図ることを市の責務とすべきとのことについてですが、この点につきましては第8条の規定により、毎年中小企業の振興に関する施策の実施状況を市会に報告することとしておりまして、その報告を受けての議論を通じて、ご指摘の点も実現していくことになるものと考えております。

中小企業者の社会的責任とは何か

大貫議員:第4条、市内中小企業の努力の3項で、「中小企業者は社会的責任を自覚し」とあります。「社会的責任」とは法令遵守はもとより、顧客や取引先、地域社会に対する説明責任、環境への配慮、従業員の労働衛生や人権の確保、地域ボランティア活動への参加、雇用の創出、顧客に対する質のよい製品・サービス提供などがあげられると思います。条例案でいう社会的責任とは何を意味するのか、伺いたいと思います。

鈴木議員:第4条の中小企業の社会的責任の意味についてですけれども、市内中小企業者も地域社会を構成する一員である企業市民として、たとえば緊急災害への対応をはじめとする地域貢献を積極的に行う責任があるものと考えております。また、第5条では大企業者等につきましても同様の考え方から社会的責任を自覚することを求めているところであります。

大企業の役割に中小企業・地域振興への協力を盛り込め

大貫議員:第5条、大企業等の役割の中に、大企業は中小企業や下請け企業に対する優越的な地位を濫用することなく、中小企業振興および地域振興へ協力することを盛り込むべきだと思いますが、いかがでしょうか。

鈴木議員:第5条の大企業者等の役割についてでありますけれども、大企業者等の中小企業振興への協力についてですが、ご指摘のとおり基本的にはこれは民間と民間の契約によるものとはいえ、大企業者がその優越的地位を背景に中小企業者を下に見るような対応をとるべきではないと考えておりまして、まさに対等なパートナーとして相互に連携・協力をはかるべきであり、その理念をこの条例でも明確にしているところでございます。

創業促進、中小企業への融資・経営支援の強化体制の明記を

大貫議員:第7条については、施策の基本方針で、現存の事業者に対する施策と同時に、創業の促進と創造的事業の推進や、中小企業への融資や経営支援の体制強化を明記する必要があると考えますが、いかがでしょうか。

鈴木議員:次に、第7条についてでありますけれども、施策の基本方針として創業の促進や中小企業への支援体制への強化を規定すべきことについてですが、もとより新たに創業する中小企業者が増えることにより、市内経済の発展を図るという視点も重要であると考えますが、この条例では近年のたいへんに厳しい経済的社会的環境に耐え、生き残りをかけて日々奮闘している市内中小企業者を支援することがもっともたいせつなことであると考え、この点にポイントをおいた内容となっております。また、支援体制の強化につきましては、第7条に定めました基本方針に基づく施策を実施するにあたって必要な体制づくりも当然行われるものと考えております。

行政区毎に中小企業支援と地域産業政策の策定と体制を

大貫議員:人口367万を超す自治体の総体としての産業振興を支えるためには、行政区ごとに、その地域に見合った経営資源に基づくきめ細かい中小企業支援と地域産業政策を策定し、区役所にその支援体制を置くことを義務付ける必要があると思います。その点についてもお答えください。

鈴木議員:次に、行政区毎の支援体制をおくことについてですが、第3条では「市はこの条例の趣旨にのっとり、中小企業の振興に関する施策を総合的に策定し、および実施しなければならない」と市の責務を規定しておりますので、ご指摘の点につきましても今後具体的な施策の段階におきまして検討されていく課題のひとつになるものと考えております。

大貫議員:また、本市の基本構想、長期総合計画、中期計画、各年度の予算と条例との整合性を図ることも明記すべきだと考えます。いかがでしょうか。

鈴木議員:次に、基本構想、中期計画等とこの条例の整合性を図ることについてですが、この条例は本市の中小企業の振興に関する基本条例でありますので、さまざまな行政計画を立案する際にも当然にこの条例の趣旨を踏まえた検討がなされることになるものと考えております。

大貫議員:さらに、本条例を有効的に機能させるため、一定の期間ごとに市の施策等を検証するための中小企業振興審議会を設置する必要があると思います。その点についてもお答えください。

鈴木議員:最後に、市の施策を検証するための審議会を設置することについてですが、先ほども申し上げましたように、第8条の規定により毎年市会に対し施策の実施状況が報告されますので、その際に市会としてこの条例の趣旨を踏まえた市の施策について十分に検証検討を行い、その後の施策に反映させていくべきであると考えております。
 以上、ご答弁申し上げました。

問題は市長がいかに具体的効果的な政策を立案するか

大貫議員:最後に、今回提案された中小企業振興基本条例が制定された後も、今後の情勢の変化に対応できるものに育てることが必要だと考えます。問題は、条例制定後、市長がいかに具体的にそして効果的な政策を立案するかという問題です。この条例が絵に描いた餅にならないようにいっそうの努力が必要であることを指摘して、私の質問を終わります。

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