議会での質問(詳細)

2010年3月26日

【2010年第1回定例会】「予算反対討論」 白井正子

 私は日本共産党を代表し、2010年度横浜市一般会計他16件の会計予算および3件の予算関連議案に反対し、討論を行います。
 市民生活の大変さが増すばかりの中で、いま市政に求められているのは、市民のくらし、福祉、雇用を支援することです。林文子市長が就任し、初めて編成された2010年度予算で、市税収入の大幅な落ち込みに対応するとして、市債発行の増額や財政調整基金の活用という緊急避難的な対応をされたことは、財政再建至上主義からの脱却として、評価するものです。公約でもあった、プロジェクトチームを作って検討した保育所待機児童解消などの子育て支援や、特殊勤務手当ての復活、長期休暇代替職員を増やすことなど職員を大切にする施策などは評価できますが、全体像としては、林市長を誕生させた市民の要求に応えたものにはなりきれていません。

問題の第1は、大型公共事業への巨費投入が続けられることです。

 緊急避難的対応をせざるを得ないほどの財政見通しの中では、当然大型公共事業は真っ先に見直されて然るべきですが、横浜駅周辺大改造、高速横浜環状道路整備、横浜港を国際ハブ港にするなど3つの大型開発事業に、ほぼ前年度並みの総額152億円の巨費を投じます。中田前市長となんら変わらない姿勢は問題です。
 横浜駅周辺大改造計画「エキサイトよこはま22」は、事業費規模を「民間開発」部分で5000億円、公的な「基盤整備」で3000億円、全体で約8000億円と想定し、西口の再開発に関連するインフラ整備等の検討に入ります。公的基盤整備も、道路や下水道、河川、橋梁等、みなとみらい21地区とは比べものにならないほど莫大な事業費になり、3000億円におさまる保障はありません。年150億円もの基盤整備は市財政の圧迫に繋がります。今後は、防災や安全対策等の最小限の公的基盤整備にとどめて、都市計画決定等の網かけに基づいて、民間の協力を得ながら、時間をかけて、コンパクトな横浜駅周辺のまちづくりを行うべきです。
 横浜港を国際ハブ港にするとしていますが、中国・東南アジアの経済発展に伴い、アジアを中心としたコンテナ物流の流れは大きく変化しています。国際ハブ港化は、大水深岸壁、コンテナターミナルだけでなく高速道路や鉄道整備も平行して迫られ、莫大な資金が必要です。横浜港はすでに基幹航路から外れており、コンテナ扱い量では、すでにハブ港として発展してきた韓国の釜山港に比べ、四分の一に過ぎず、競争する相手とは大きな隔たりがあるのが実態で、ハブ港間の競争から、ハブ港となっている港の活用など、アジアの視点に立って「協調」することを含めた物流政策への転換が必要です。しかも確かな需要予測もないままに巨費を投資することは都市経営の立場からもあってはなりません。

問題の第2は、事業破綻の責任のつけを、市民負担に転嫁していることです。

 本市からの依頼に基づき公共用地の先行取得を行っている土地開発公社が保有する土地を、本市が道路や公園などの公共施設の整備やその代替地として購入して事業に使います。新年度予算では、民間売却予定のみなとみらい21地区旧高島ヤードの土地を市費60億円で購入します。これは、昨今の厳しい経済状況下で公社の土地が売れないため、公社の財政破綻を防ぐため行われたものであり、具体的事業化はなく、イレギュラーなやり方です。その買取費用60億円を、福祉や教育など自治体本来の仕事の財源に充当すべきです。土地民間売却への特別の努力もなく、60億という巨額の税金を投じることは大きな問題です。
 神奈川県・横浜市・川崎市の3公共による、産業廃棄物の中間処理施設「かながわクリーンセンター」の民間売却による損失補償についてですが、3月末をもって財団法人かながわ廃棄物処理事業団の解散に伴い、政策投資銀行への損失補償34億9100万円のうち本市は11億6000万円を負担し、また建設時の補助金・貸付金14億円も消失です。わずか10年で破産した責任は重大です。今後、政策投資銀行への損失補償と合わせ約60億円の負債等の補填に対して、精算にあたっては、県・横浜・川崎市だけがかぶるだけでなく、出資9団体や優先的に廃棄物処理の恩恵を受けた66社の出損企業にも、応分の責任を取らせるべきです。

問題の第3は、市民要望である福祉や医療の拡充に応えていないことです。

 特別養護老人ホームの入所待ち者から深刻な実態が聞かれます。本市公表の入所待ち数は2009年10月1日現在で4641人です。しかし、前市長が算定した第4期介護保険事業計画でこと足れりとして、新規建設を390床に大幅に減らしています。なお、この入所待ち数には介護老人保健施設など施設で待機している人数は含まれておらず、本市独自の算定方法は実態を表したものとはいえません。また、同計画は2011年度からは毎年300床増やすというものですが、深刻な実態にあわせ、市長は計画を見直しもっと増やすべきですが、なされていないところに問題があります。
 国民健康保険料の値上げで、年間給与358万円のサラリーマン夫婦と子どもの3人の暮らしで27万3130円と、前年に比べ約1万9000円の値上げにもなります。2010年度では、国保会計に対する一般会計繰入金のうち、法定の繰入金のほか前年度を5億円上回る約92億円を保険料の負担緩和にあてるとのことですが、市民の暮らし向きが大変なこの時こそ、市費繰り入れをさらに増やし、値上げを中止すべきです。また、2008年度の保険料減免件数は、所得減少世帯が4400世帯、低所得者世帯が7800世帯とわずかです。さらなる周知徹底を図り、減免制度そのものも改善する必要があります。
また、国民健康保険について、保険料滞納を理由に正規の保険証を取り上げられた世帯は、昨年10月1日現在で資格証明書3万6680世帯、短期保険証4万8708世帯で、加入世帯全体の15%以上にのぼっています。市長は、接触の機会を持つために資格証の発行が有効な手段だと言われますが、考え方が逆です。接触して生活実態が確認できるまで、取り上げてはいけないんです。厚生労働大臣も、「支払えるのに支払わないことが証明された人以外には慎重に対応するようお願いしている」と、3月4日国会で答弁されています。昨年末私に相談があった方は、保険料が払えなくなったことで負い目を感じ、市からの通知に連絡できなかったため、結果的に接触がないまま保険証を取り上げられ、3年間受診を控えざるを得なかったそうです。その間難病が進行し、仕事が続けられず、生活保護を受けることとなりました。保険証取り上げが受診抑制を起こしています。死に至る人が出るかもしれない大変な問題です。接触の機会を持つためとしての資格証の発行は行うべきではありません。
 敬老パスの市民負担増が検討されていることについては、議会が値上げスケジュールを撤回したにもかかわらず、市長が2011年10月実施を表明しているのは納得できません。また、介護が必要な人へ財源を振り向けるためとして、敬老パスを使う健康な人に負担を求めるやり方は認められません。高齢者にはその両方が必要なのです。

問題の第4は、官製ワーキングプアと雇用創出対策の貧困さです。

 自治体で働く嘱託・臨時職員や自治体の委託業務・指定管理施設で働く労働者の労働条件が悪化し、年収が200万円以下の労働者、いわゆる官製ワーキングプアが社会的問題になっています。本市では2009年4月1日現在、地区センターなど938施設で指定管理者制度が導入されており、2010年度は多くの施設で2期目の指定が行われます。指定管理施設での労働条件の低下を招かない方策が必要です。市長は、雇用条件や賃金の問題は「基本的に労使間の問題」と放置していますが、それは公共サービス基本法に抵触します。公共サービス基本法第11条で、「国および地方公共団体は、安全かつ良質な公共サービスが適正かつ確実に実施されるようにするため、公共サービスの実施に従事する者の適正な労働条件の確保その他の労働環境の整備に監視、必要な施策を講ずるよう努めるものとする」となっています。努めるのは本市です。
 一方で、デフレ対策としても自治体が賃金下落に歯止めをかけることが求められています。それらを解決する方策として、一定水準以上の賃金や雇用の継続を保障させるために、自治体と受注事業者の間で結ぶ公契約条例の制定が必要です。公契約条例は、全国で始めて千葉県野田市で昨年9月に制定され、今年2月1日から施行されました。川崎市では、2010年中に制定するとしています。本市も制定に向け、踏み出すべきです。
 2009年平均の完全失業率は5.1%と最悪な雇用失業情勢が続き、市内で働く労働者の3分の1が非正規雇用という状況です。労働者派遣法の抜本的な改正が急がれるとともに、仕事確保策や自営業者への直接支援など、深刻な失業・雇用情勢に対応した本市独自の雇用創出対策が急務となっていますが、予算案では国まかせの域にとどまっています。
 本市は、企業立地促進条例で、固定資産税・都市計画税の軽減や建設費助成等を行ってきました。大企業が金額の9割近くの支援金を受けて、新年度も新たに17億円余を投入しようとしています。労働者や中小企業の使い捨てで溜め込んだ大企業の巨額な内部留保の一部を還元して、雇用や中小企業を守る必要性がいわれている中で、企業立地と称して、いつまでも大企業減税あるいは助成等の支援を続けていいのかが問われています。市内雇用創出には、大企業への直接支援ではなく、地元中小企業への直接支援による仕事確保が必要です。企業立地促進条例での新たな申請および認定は中止すべきです。

問題の第5は、教育の問題です。

 2006年策定の横浜教育ビジョンや、2007年の横浜教育ビジョン推進プログラムに沿って、横浜版学習指導要領が策定され、指導資料も配布され、新たな改革メニューが学校現場にいっきに導入されています。小中一貫カリキュラムや1年生からの英語活動や学校マニフェストに基づく学校評価などで、教育委員会が考えた教育内容を、教育委員会が考えた指導方法で指導するよう望んでいるかのようです。教育現場の自主性や創造性発揮という教育の基本が後景に追いやられています。
 また、現場はもともと飽和状態であり、そこに新たなメニューが加われば教員の多忙化に拍車がかかり、30人学級に背を向けた予算では、困難を抱えた子どもへの十分な対応は望めません。

 以上、2010年度予算案に対する意見を申し上げ、私の反対討論を終わります。

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