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2010年度第1回定例会(予算市会)をおえて

                            2010年3月26日
                            日本共産党横浜市議団
                            団長  大貫 憲夫

 2月16日開催の横浜市会第1回定例会は、本日、市長が提出した10年度一般会計予算案をはじめとした予算関連議案すべてが自民、公明、民主などの賛成多数で可決され、閉会。賛成会派で、賛成討論をしなかったのは、民主党ヨコハマ会だけでした。中小企業振興条例の自公民案や、新教育委員などの人事案件、核廃絶取り組み強化を国に求める意見書などは、全会一致で採択されました。
 日本共産党は、予算案について、子育て支援策拡充、市債増発など財政再建至上主義からの脱却、現場重視など中田前市長路線とちがった部分は認めるものの、国際ハブ港湾構想、高速道路、横浜駅周辺大改造など従来型大型開発の見直しはなく、林市政を誕生させた市民の要求にはほど遠いものです。最終日に白井正子議員が反対討論に立ち、一般会計予算案など20件に反対しました。

1)党議員の質問の主なテーマと市長等答弁(要約)
(現年度議案質問)
 河治民夫議員は、権利濫用の禁止と開示請求拒否を加える情報公開条例一部改正について、「行政の都合のよい基準になりかねない。何をもって濫用とするかという情報公開にとって根幹を成す部分は、条例にはっきり明記し、議会の議決を得るべき」と主張、情報公開・個人情報保護審査会が「権利濫用の法理は法の一般原則であり、条例に明文の規定がなくても適用できる」としていることや、条例第4条で利用者の責務が定められていることから、条例改正の必要はないのではないかと質問。
 林市長は、開示拒否規定を条例に盛り込むのは行政処分としての性格を明らかにして、行政不服審査の対象となることを明確にするためと答弁。
 市立保育園4園の民間移管では、最近の民間園の深刻な問題例を紹介、市の指導不足を指摘し、これ以上の民間移管はやめ、高い保育の質を示すモデルとして市立保育所の役割を果たすべきと述べました。

(予算代表質問)
 大貫憲夫議員は、敬老パス制度の改悪について、元気な老後をサポートする上で、敬老パスと要介護高齢者施策は車の両輪であり、対立させるべきではないと指摘。敬老パスの市費負担額が他都市と比べて高くないことを示し、横浜環状道路など大型公共事業の凍結・中止を含めて、敬老パスのあり方を考えるべきだと主張。3日の常任委員会が、市提案のスケジュール案は、性急すぎるなどとして、全会一致で撤回要求したことにふれ、市議会の意思を無視して予定通り強行する考えなのか、市長の見解を質しました。
 市長は、大型公共事業を「将来の横浜を元気にするための投資」だとして、厳しい財政状況でも継続して取り組んでいると答弁。負担増は、「厳しい財政状況にあり、議会と相談しながら、2011年10月の実施に向けて取り組んでいきたい」と述べました。
 その他、保育所待機児童解消対策、中学校給食、公契約条例をとりあげました。

(予算関連質問)
 中島文雄議員は、市が特別養護老人ホームの待機者を昨年10月現在で3487人としていることについて、この数は要介護度3以上の自宅での待機者に限定したもの、実際には病院や老健等に入りながらの入所待ちが多いという実態を示しつつ、「実態に即した待機者数を算定し、整備計画を策定すべき」と主張し、これまで毎年900床整備しながら待機者は減少しておらず、2011年度から整備数を年300床に減らす計画は、実態を無視したものだと批判、「次期5か年計画では、今まで通り年900床を整備すべき」だと訴えました。市長は「多くの方が入所の申し込みをされていることは承知している」としながらも、整備目標の見直しには応じませんでした。
 中島議員は、国保は市民の「命綱」であり、資格証明書を極力発行しないように求めるとともに、国保料の値上げを予定している新年度予算で、一般会計から国保会計への繰り入れを増やし、保険料負担を軽減するよう求めました。市長は、保険料負担の公平性を確保する観点から資格証証明書を発行していると改善の姿勢を示さず、いまでも法定の繰入金のほか、前年度を5億円上回る約92億円を保険料負担緩和にあてていると答えました。

(予算特別委員会・総合審査と局別審査、常任委員会)
 総合審査では、関恵美子議員は、市立学校の教員の多忙さを実例を示して説明、まさに異常だと指摘。市の押しつける横浜版学習指導要領などの「改革」メニューに追われ、肝心の授業準備をする時間がないと述べ、メニュー押し付けをやめて教員を増やすよう要求。教育長は、教員の平均残業時間が月34時間で、40年前の約4倍という文部科学省の調査結果から、仕事が多すぎることは認めましたが、教員増は「むずかしい」と答えました。
 横浜市の国保資格証明書交付数は2万8009世帯(1月末時点)。関議員は、身体を壊し働けなくて保険料が払えない男性から市が保険証を取り上げ、資格証を交付しているケースを示し、「接触しようと思えばできる人だった」と批判、「資格証が先じゃなくて、会うことが先」と、資格証を交付する前に市が接触を強めるべきだと主張。市長は「なかなか接触の機会が得られないことでこういうふうになっている」と市の接触が弱いことを追認。
 局別審査では、水道料金徴収業務や地下鉄駅業務の民間委託、指定管理者制度の改善など民営化路線の見直し、MM21地区事業や横浜駅周辺大改造、高速道路など大型開発優先姿勢の転換を求める一方で、切実な市民要望の実現にむけて、予算懇談会等での要望を踏まえ、雇用創出対策、住宅リフォーム助成制度創設、公立全日制高校入学定員、定時制高校入学枠の拡大、公園整備、市職員のメンタルヘルス解決、児童養護施設増設、学童保育拡充、区ごとの経済振興策、特別養護老人ホーム整備計画の見直し、障害者施策拡充、みどり税による緑アップなどで当局を質しました。また、生ごみ収集回数縮減や、火力発電所の大気汚染物質排出疑惑など、市民から寄せられた声も極力とりあげるよう努力しました。

2)予算議会内外のおもな特徴
 会期中に、自由社発行の中学歴史教科書採択を教科書審議会の答申を無視して強行した田村教育長が任期1年残して辞意表明。市長は同意し、代りの教育委員任命承認を議会に求めました。
 議会最終日の審議で、教育委員人事案件で質疑に立った自民党市議は、自由社歴史教科書支持を明言、今回の教育長交代に異議をはさみ、市長と新教育長に「圧力」をかけるという事態は、靖国派の並々ならぬ執念を示すものでした。
 昨年暮れ、広島・長崎両市長からの平和市長会議への加盟要請に対し、林市長は、3月24日に加盟申請を行いました。同様に議会への核兵器廃絶、恒久平和実現の意見書要請も、全会派一致で決議されました。
 自民、民主、公明の3党が共同して、中小企業振興基本条例を突如議案提出。わが団は、大貫議員が質問に立ち、条例に実効性を持たせる立場から、積極的な提案を行いました。答弁にたった自民党市議は、提案を否定しませんでした。この質疑が、同席していた市長と行政側の今後の施策展開に影響を与えることは間違いなく、関係者からも評価を得ました。
 予算議会後も、敬老パス問題の見直し、疲弊する地域経済の再生、市民のくらし支援など市政の重要課題は山積しています。日本共産党横浜市会議員団は、市民のみなさんの運動と結んで、住民要求実現に全力をあげる決意です。