申し入れ等
2019年11月28日

台風・豪雨など自然災害から命をまもるための事前避難に関する対策を強化することについての申し入れ

2019年11月28日

横浜市長 林 文子 様

日本共産党横浜市会議員団

団長 荒木 由美子

東日本を中心に甚大な被害をもたらした台風19号の襲来により、多摩川では越水まであと十数センチのところまで水位があがり、氾濫という重大な事態が起きる一歩手前のところまで鶴見区住民に危険が迫っていました。全市での崖崩れ・土砂流出発生件数は12件で、相模原市緑区のような大規模な土砂災害で人命を失うことはありませんでした。

本市は、台風19号で、避難勧告を61,484世帯、125,203人に発令し、開所された避難所数は163か所で、避難所に移動した人は8,893人で7%でした。鶴見区内では、多摩川が氾濫危険水位を超えたために区内5万1千世帯、10万人を超える区民に避難勧告を出しています。しかし、実際の避難者は約2800人にとどまっています。開所された避難所は、災害の危険が切迫した場合における緊急の避難場所となる指定緊急避難場所となります。被災者が一定期間滞在する指定避難所ではありません。

この避難者数はあまりにも少ないと言わざるをえません。なぜこの程度なのか行政としての検証と自己分析が不可欠です。鶴見区の避難所開設数は34か所、避難勧告10万人全員を受け入れれば、一か所当たり3千人となります。このことから避難所数が不足していたことは明らかです。また、有効な周知手段として全国的に設置が進んでいる防災スピーカーは横浜市では一部河川流域で始まったばかりで、今回多くの住民に避難勧告を発した鶴見区内では津波用以外は未設置で、災害情報伝達手段に不備があることが改めて明るみになりました。

避難場所が安心して避難できる場所としての条件を整えているかも住民目線からチェックが必要です。神奈川区役所は、高潮浸水による避難勧告を1488世帯、2976人に発し、任意の避難所として小・中6校、ケアプラザ1、地区センター1合計8か所開設しました。結果は、287人の避難と聞いています。ここは、任意の避難所であり、食料・毛布は用意していない、自宅から持参を、駐車所はありませんと区役所のホームページで知らせています。これでは自宅を選んでしまう方が多くなるのも当然です。多くの小・中学校は地域防災拠点に指定され、毛布等を保管しており、一時的な避難者への貸し出しは可能です。グランドを駐車場として使用することもできます。神奈川区の対応は住民に寄り添ったものとは到底言えません。高齢者世帯や子どもをかかえる世帯にとっては、大雨警報などが解除されるまでの一時的とはいえ、プライバシーが配慮され安心して過ごせる場所でないと避難を躊躇してしまうことになり、何らかの対策が求められています。

国は、市町村に対して、災害時に自力で逃げるのが難しい高齢者や障害者を避難行動の支援が必要な要援護者として避難先や手順を定めた「個別支援計画」の作成を求めています。総務省消防庁調査(2018年6月現在)では、全国市町村の14%が全員分の個別支援計画を策定し、43%が一部作成済み、44%が全く作成していないとなっています。横浜市は全く作成していません。19号台風では、自宅で浸水により亡くなるケースが高齢者の犠牲者数のなかで最も多く、足腰が弱く、自力避難の難しい高齢者の命をどう守るのかが私たちの前に突き付けられました。本市においても、要援護者の避難状況がどうであったかの実態把握も欠かせません。

以上述べたように、19号台風への対応のなかで避難所と避難のあり方について様々な課題が浮き彫りとなり、行政として改善すべき点が明確となりました。

当面、下記の通り改善をし、施策拡充されるよう要望します。

1、指定緊急避難場所の設置数は災害特性と対象数に照らして定めること。

2、生活必需品の配備、地域防災拠点等の備蓄庫の活用など指定緊急避難場所の環境改善を抜本的にはかること。

3、現行の防災スピーカーの設置計画を見直し、洪水ハザードマップ、土砂災害ハザードマップ内の河川流域、地域等に設置すること。

4、避難行動の支援が必要な要援護者の「個別支援計画」作成にただちにとりかかること。


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