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■議案関連質問 (白井 まさ子)

生活保護利用者の保護費をピンハネするような貧困ビジネスに市がお墨付きを与えるな

白井議員:日本共産党を代表して、4件の議案について質問します。            
市第79号議案 横浜市無料低額宿泊所の設備及び運営の基準に関する条例の制定についてです。市内には届け出が必要とされている無料低額宿泊所が、12事業者により44施設あり、施設規模は5人から120人まで、さまざまで、10月1日時点で1456人の定員に1235人の利用があり、入所者の9割は生活保護利用者と聞いています。
中には、飯場として使用していた建物の中の6畳部屋をベニヤ板で間仕切りし、天井まで届いていない間仕切りのみのスペースを一人分としている劣悪な施設があります。手すり付きのベッド使う、介護が必要な人もいます。ある入所者から見せてもらった入所利用契約書には、契約期間1年で自動更新,利用料は月9万7000円で、その内訳は居室設備使用料として5万2000円、食費3万8000円、水光熱費7000円となっています。3畳一間で住宅扶助費上限の5万2000円、それに加えて冬季暖房費2500円となっています。保護費支給日に区役所前で待ち構えている事業者が、その場で集金している実態もあります。手元に残るのは2万円だけです。無料低額宿泊所といっても、無料でもなければ、処遇からして低額でもなく、まさに貧困ビジネスとなっている実態があります。

生活保護利用でありながら、住宅扶助、生活扶助に見合う施設・サービス提供がなく劣悪な処遇を受けている現状があることは問題だと思いますが、市長としてはどう認識しておられるのか伺います。

林市長:白井議員のご質問にお答え申し上げます。市第79号議案についてご質問いただきました。利用者の処遇に対する認識についてですが、本市では従来から施設備運営の基準について、独自のガイドラインを用いて事業者を指導してきました。現在届出がされている施設については概ねガイドラインに沿った運営がされていると判断しています。

白井議員:国で居室など設備や運営の最低基準が設けられましたが、その基準はほとんど現状に近いものです。結果として貧困ビジネスに国が、お墨付きを与えるものとして、日本共産党は反対しました。この、国の最低基準にもとづき制定するとする今回の条例案では、「各居室の間仕切壁は、天井まで達していること」と規定していますが、猶予期間が設けられ、実質3年間野放しです。居室の床面積は4畳半以上と規定していますが、「当分の間、施設の利用に供することができる」とされ、改善計画さえ出せば現状追認です。

浴室は、現状でシャワーしかないところがあり、条例で「サービスの提供に支障がないときは、設備の一部を設けないことができる」と規定しますから、浴槽なしでも、認めることになります。食事は「提供する場合は、適切な時間に提供しなければならない」という規定であり、炊事設備・食堂はなくていいことになります。現状で毎日、弁当のところもあり、今後も認めることになります。利用料として規定する項目に、食事提供に要する費用・居室使用料・共益費・光熱水費・日用品・基本サービス費・日常生活支援サービス費があり、また、金銭管理については、「管理することを妨げない」とあり、これでは、これまで通りの保護費丸ごととられることを容認するものです。

条例案は法と同様に、利用者に対する施設の劣悪な処遇を市が追認するどころか、お墨付きを与えるものとなり、施設が生活保護利用者の恒久的受け皿となってしまうことは問題です。見解を伺います。

林市長:生活保護利用者の恒久的な受け皿になるとのことですが無料低額宿泊所は一時的な居所であり、定期的に施設と各ケースワーカーとが、ご本人の状況や希望を踏まえて支援の方針を確認、共有します。その上でアパート生活への移行など自立に向けた具体的な支援を行ってまいります。

白井議員:そもそも、こういった施設が存在していること自体が問題です。住まいは人権の観点から、民間アパートへの本格的な入居サポート、市営住宅、特別養護老人ホーム、養護老人ホームの増設、市が生活保護利用者の住居確保に責任を持つなど、公としてやるべき居住支援の拡充に転換すべきです。見解を伺います。

林市長:公的に住居支援の拡充をすべきとのことですが、住居を失った方に対しては、一時的な居所として生活自立支援施設「はまかぜ」のご利用を勧めていますが、御本人の選択で無料低額宿泊所を利用する方もいます。住まいの確保については引き続きアパート等への転居の支援を行うとともに、住宅セーフティネット制度の活用など福祉部門と住宅部門が連携して取り組んでいます。

【第二質問】

白井議員:79号議案で無料低額宿泊所は、ガイドラインに沿った運営がされているというお答えでしたけれども、伺いましたのは、その運営による実態をどのように認識しておられるのか、あまりにも処遇の悪い実態を私たちは認識しておりますが、市長の認識を伺っておりますので、お答えをお願いいたします。

林市長: ご質問にお答え申し上げます。実態の認識についてでございますが、先ほどもご答弁申し上げたように、ガイドラインには概ね適合していまして、一部充たしていない施設があることは認識はしています。今、改善計画等を提出してもらっているところでございまして、しかし一時的な居所ということなので、生活保護ワーカーが支援していますけれども、ご指摘、ご心配なさってますので当然ながら我々もこれ以上に施設と連携してこのような状況を改善していくということでございます。

民間業者へのあまりに安い市有地売却は市民の財産を失うもの

白井議員:市第89号議案 緑区十日市場町所在市有土地の処分についてです。      緑区の十日市場ヒルタウン内の市有地を、マンションを建設する事業者へ㎡単価15万円で売却するものです。売却価格を決定するにあたって、市が鑑定を依頼したA社は㎡単価15万9000円、B社は18万3000円としました。本市が鑑定会社に求めた「通常の正常価格と公募内容を土地の利用制限とした場合の価格との格差率」は、A社は減価率5%、B社は減価率15%の減額が相当としました。この単価をもとに財産評価審議会が㎡単価15万円としたことで、今回の販売価格となりました。

今回売却される当該地「十日市場センター地区22街区」は、十日市場ヒルタウン内の中心にあり、JR十日市場駅から徒歩4分の好立地です。公示価格は公共事業の売買にも活用される基準となるものですが、当該地からさらに300m離れた標準地での公示価格は20万8000円と公表されています。マンション建設にあたり条件を付けているにしても、この標準地での価格と近いものになるはず、というのが市民感覚ではないでしょうか。今回の売却に先行して同じく条件付き売却された隣接地の20街区は㎡単価16万円で、すでに分譲マンションが建ち販売中です。販売にあたり「「環境未来都市横浜」が推進するモデル事業として横浜市による事業者公募によって選定された事業です」「生活支援施設としてコンビニ・民間学童保育あり」「お客様満足度として「環境未来都市横浜」」が推進する将来性が高く評価された」と条件付きをむしろ売りにしています。

今回の22街区に付けている条件は、「子育て世帯が暮らし続けられる住環境の提供」など3つのテーマと6つのコンセプトの反映、建築物のエネルギー性能の向上などで、事業者は子育て支援施設、地域交流施設を付けたマンションを建設するものです。こういった条件付き売却ですから、事業者への一定の負荷があることは否定しません。その負荷の最たるものは子育て支援施設と地域交流施設の整備です。しかし事業者のプランでは、その施設の面積は811㎡で延べ床面積のわずか3.4%にしかすぎません。原価率15%の根拠はどこにも見当たりません。開発事業者はこの子育て支援施設と地域交流施設を販売活動の目玉にしようとしています。減価という方式はこの事業を見る限り全く必要のないものです。面積1万㎡の土地ですから、㎡単価5万円の差は、価格で5億円の差となります。行き過ぎた開発事業者優遇による市民の財産の喪失にあたるのではないかと考えます。見解を伺います。

林市長:市第89号議案についてご質問いただきました。土地の売却価格が安いとのことですが、横浜市公有財産規則に基づき不動産鑑定を実施し、附属機関である横浜市財産評価審議会での審議を経て適正に土地売却価格を決定しました。

白井議員:今回売却する市有地に接して市営住宅十日市場ヒルタウンがあります。ここ1~2年の市営住宅十日市場ヒルタウンの応募倍率は一般世帯向けで4.7倍から9.9倍、子育て世帯優遇で6倍から7倍です。市内全体の市営住宅の応募倍率は高いにもかかわらず、民間住宅は余っていることを理由に頑なに市営住宅を建てない方針があるため、市営住宅の建て替えに伴って生じた余剰地を民間マンション用地として一定の条件をつけて売却する方式の第1号となるものです。今回の22街区には子育て世帯を呼び込むとしていますが、市営住宅を建て、子育て世帯を優遇すれば可能なはずです。今後、野庭団地、洋光台団地など他の市営住宅も大規模再生が予定されています。住宅の高層化で生じた余剰地は市民の財産です。市民の財産がこのような売却をされてはたまりません。

民間事業者の開発に提供するのでなく、新たな市営住宅の建設用地として活用するよう、民間売却から市営住宅建設へ方針を転換すべきと考えます。見解を伺います。

林市長:新たな市営住宅用地として活用すべきとのことですが、横浜市住宅政策審議会では将来の人口及び世帯の収入推計などから中長期的に公営住宅の入居資格がある世帯数は大きく変わらないと、想定され現在の供給量を維持する必要があるとの答申を頂いています。本市としては各団地の建て替えに合わせて現在の市営住宅戸数を確保しながらバリアフリー化など住環境の向上に取り組みます。

【第二質問】

白井議員:89号議案の市営住宅用地の売却額にしても108号議案の高速道路の工事費にしても、適正だとおっしゃいましたけれども安過ぎの限度、高過ぎの限度を超えていると思います。地方財政法は予算の執行に関して第4条第1項で「地方公共団体の経費は、その目的を達成するための必要且つ最少の限度をこえて、これを支出してはならない」としています。地方自治法も同じで第2条第14項「地方公共団体は、その事務を処理するにあたっては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない」と定めて、公金支出の必要最小限の原則を旨としています。これは自治運営の基本です。

市営住宅の土地は、市民の財産を安く売りすぎ、高速道路事業は、市民の税金から高く払い過ぎ、これでは市民のくらしの予算がますます圧迫されて、認めるわけにはいきません。安すぎ、高すぎを改めるお考えはないのか、改めて伺います。

林市長:十日市場の土地処分の土地価格を減額しているのではないかというご質問でございますが、先ほどご答弁申し上げて、公有財産規則に基づいて不動産鑑定を実施して、付属機関である横浜市財産評価審議会での審議を経て、適正に土地売却決定しましたとお答えしておりますが、もう少し詳しくお話しさせていただきます。街区が不整形で高低差もあることや、街区内に残存するガードレールやアスファルト舗装等の工作物の撤去の他、事業者を募る公募要項で街づくりに3つのテーマを設定していることが不動産鑑定において土地の価格に影響しているということです。不動産鑑定は実際の取引事例を基に周辺地価との比較も行った上で評価をされております。

同じ工事なのに不可解な高速横浜環状北西線建設工事契約金額の差は市として縮めるべき

白井議員:市第108号議案 高速横浜環状北西線シールドトンネル建設工事委託契約の変更についてです。東名高速道路と第三京浜道路を結ぶ延長7.1kmの横浜北西線の内、3.9kmのトンネル部分について、並行する上り線と下り線の2本のトンネル工事を本市と本市が委託した首都高速道路が、それぞれ工事を行いました。本市は安藤ハザマグループに発注しています。両者が同じ区間同じ規格の工事を行ったのですから、委託する分、増える事務費を除けば、工事費はほぼ同額になることが想定されましたが、現実は大きな開きが生じています。首都高委託施工分は随意契約で当初457億円でした。

今回の議案は、最終清算として、建設発生土の関連工事への活用及び処分先の一部変更により21億円の減額として、436億円とするものです。日本共産党市議団は議会で再三、横浜市施工の工事金額に近づけるよう求めてきたところです。今回、減額できたことは、横浜市が首都高への交渉に頑張った片鱗が伺えます。

しかし、市施工分との開きは52億円にも及んでいます。ここまで開いた要因を検証してみると、両者の当初の契約額に大きな差があったためです。先行して契約した首都高委託施工分457億円に対し、市直接施工分として市が競争入札で決定したのは360億円。この時、なんと97億円もの開きがありました。委託施工によって必要となる事務費は最大20億円前後です。実質的にも77億円の開きです。随意契約での契約額がいかに実勢価格から遊離していたかを示すものです。

今回21億円の減額にとどまれば、52億円もの開きを残したままとなり、本当に財政状況のきびしさに真剣に向き合う気があるならば、これでよしとせず、更なる減額を求めるべきではないでしょうか、見解を伺います。

林市長:市第108号議案についていただきました。首都高に対しさらなる減額を求めるべきとのことですが、これまで共同事業者である首都高速道路株式会社に対してあらゆる機会を通じてコスト縮減を働きかけた結果、約20億円の縮減が実現し最終契約金額として確定いたします。

白井議員:今回のような随意契約となる場合では、金額を客観的な目でチェックする仕組みの導入が必要と考えますが、見解を伺います。

林市長:随意契約の金額をチェックする仕組みを作るべきとのことですが、契約金額は国等の積算基準に基づき算出されたものであり、適正であると考えています。

第108号議案高速横浜環状北西線工事の契約金額でございますけども、これはもう先ほどご答弁申し上げた通りございまして、国等の基準で適切に算出されたものでございます。

台風15・19号被害住宅の修繕支援を教訓に市として独自制度創設し今後への備えを

白井議員:市第110号議案 一般会計補正予算 住宅改修緊急支援事業についてです。本市の台風15号19号による災害に、国の被災者生活再建支援制度が適用となりましたが、制度に該当しない半壊や一部損壊の世帯では、修理費が重くのしかかってきている現状を聞いており、日本共産党市議団として住宅被害に対する支援に万全を期し、市民生活の再建の支援を最優先することを、市長へ申し入れし、要望してきたところです。

今回の補正予算は、国の交付金を活用し半壊・一部損壊の被害件数1800件を想定し、屋根・外壁・柱等の補修工事費の2割、上限30万円を、すでに工事完了したものも含めて9月9日以降に着手した工事に補助するものです。

実際の被害世帯の状況を聞いています。病気療養中の老夫婦と非正規の息子さん世帯では、屋根が飛び半壊認定。火災保険には入っておらず、200万円の費用を知人から借りたそうです。また、無年金の夫とパートの妻の70代夫婦世帯では、屋根が飛び半壊認定。火災保険から60万円おりましたが、225万の見積もりですから、165万円の負担となります。70代夫婦世帯では、屋根がはがれても、一部損壊にならず、火災保険もなく120万円かけて修理したそうです。こういった世帯に寄り添うには、今回の上限30万円の補助制度ではあまりにも不十分です。市独自の上乗せ支援が必要と考えますが、どうでしょうか。

林市長:市第110号議案についてご質問いただきました。市独自の上乗せについてですが、国の交付金を活用していることから、国の基準に沿ったものとしています。被災された方々の一日も早い生活の再建に向けてしっかりと支援をしていきます。

白井議員:京都市では、市独自の被災者住宅再建等支援金制度が既にあり、半壊には145万円まで、一部損壊と床上浸水には45万円までで、ハウスクリーニングや家財の修理・買い替え経費を対象とする定額5万円の基礎支援金があり、対象とするのは地震、豪雨、台風などでの災害で、今後発生する災害も想定した制度です。一方、本市の今回の制度は、台風15号と19号による被害だけに限定されており、対象とする災害においても不十分さがあります。京都市のような制度創設に向けて検討すべきと考えます。見解を伺います。

林市長:市独自の制度の創設についてですが、国は被災者生活再建支援制度や災害救助法による支援など、様々な支援制度について適宜見直しを図っています。これらを踏まえ必要に応じて対応してまいります。