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■連合審査(古谷やすひこ)

◆古谷委員 日本共産党、古谷靖彦です。

鶴見区で起きた虐待事件について質問します。

今、連日のように全国各地で深刻な虐待事例が起こり、今回の事件がかすんでしまうかのような状況になっています。今回は、大やけどを負った3歳の児童が自宅に放置された状態で発見されました。発見時には、やけどを負った部分にはラップが巻かれているだけで衣服を身につけておらず、紙オムツだけの状態で布団に横たわっていたという状況です。幸い命に別状はないと聞いていますが、発見がおくれていれば最悪の事態になっていたかもしれません。今回のケースでは虐待の兆候を初めから把握をしていて、現場の職員たちも一定の対応はしたのだと思っています。しかし、助けられなかった、どうして助けられなかったのか、どうしたら防げたのかを伺っていきたいと思います。

昨年5月に他県から転入した際に、前住地の自治体から要保護児童として支援依頼を区は受けています。区は初めの受け入れの段階で虐待のリスクについてどう認識していたのか、伺います。

◎荒木田副市長 他都市から居所不明になる可能性がある要保護児童として引き継ぎを受けております。身体的虐待の兆候はその時点ではありませんでしたけれども、ネグレクトや心理的虐待につながる可能性はあるというふうに認識し、その時点ではございますが、高いリスクではないものの、引き続き要保護児童として支援を開始するということにいたしました。

◆古谷委員 虐待の認識は当初からあったということです。昨年の6月に前住居地からの支援依頼に基づいて所内会議を開いて、鶴見区役所はこの5歳と3歳の2人を要保護児童として支援することとしています。法では要保護児童とはどのような定義なのかか、そして、会議ではどう評価してどう対応すると決めたのか、伺います。

◎齋藤こども青少年局長 要保護児童の定義でございますけれども、児童福祉法第6条の3、第8項では、要保護児童は「保護者のない児童又は保護者に監護させることが不適当であると認められる児童」とされております。

済みません、失礼しました。区の会議での対応方針ということでございます。失礼いたしました。きょうだいともに要保護児童として支援を行うことと決定いたしまして、具体的には保育所への入所による見守り支援をしていくという方針でございました。しかし、結果といたしまして、お2人のうちお兄さんのほうは保育所入所がかないましたけれども、妹のほうは保育所のあきがございませんで、入所には至ってございません。

◆古谷委員 ネグレクトの可能性があるとしていたにもかかわらず、そこの時点でなかなかその対応方針もどうだったのかと思います。その後、昨年の11月5日に中央児童相談所が親族から電話相談を受けています。この通報を児童相談所は虐待通報だと受けとめたのでしょうか。

◎齋藤こども青少年局長 他都市からの支援依頼を受けまして、区として方針を決めております。そのときの評価ですけれども、居所不明になる可能性があるため、引き続き要保護児童として支援を開始するということといたしております。

◆古谷委員 本来であれば、虐待との受けとめがあったのであれば、48時間以内に目視で子供の確認をすることになっているというふうに思います。実際に会ったのは1週間後ということです。児童相談所の運営指針ではどうすることになっているのでしょうか。

◎齋藤こども青少年局長 児童相談所の運営指針では、安全確認としては、児童相談所の職員または児童相談所が依頼したものによりまして、子供を直接目視することを基本とするということになってございます。今回のケースについては、これにのっとりまして、児童相談所は区や保育所から情報収集を行っております。その結果として、保育所の登園状況等をもちまして安全確認を行ったものでございます。

◆古谷委員 登園していたのはお兄ちゃんだけです。本児童は含まれていません。ここも問題だと思っています。11月30日に、このときは今までの住居地ではなく交際相手宅で面接をしています。鶴見区への転居当初は親族と一緒に4人で暮らしていました。その半年後に同居の親族から虐待通報が入り、児童相談所の介入ということになりました。その後すぐに住居地を移動し始めたということになります。そして12月は一切連絡がとれていない、保育園も休みが続いている。リスクが高まっている、急迫している事態だと捉えるべきだったと思います。なぜ児童相談所はかかわりをやめたのか、伺います。

◎齋藤こども青少年局長 この時点で児童相談所と区は協議を行った上で、区が引き続き主体となって養育支援を行うべき事案と判断したということでございます。なお、この段階でも、状況変化があった場合については、児童相談所が再びかかわるということも同時に双方で確認をしてございます。対応について問題がなかったとは考えてございますが、このような事態になりましたことを踏まえまして、今後しっかりと検証もしていきたいというふうには考えております。

◆古谷委員 この点も非常に大きな問題だと思っています。区が2月12日にその後重点アプローチをするのだといって、改めて連絡をとるということを決めています。実際にはその後全く連絡をとれておらず、3月4日に5歳のお兄ちゃんが近所に駆け込んで、大やけどを負った本児童を発見するということに至っています。ここも非常に悔やまれる対応です。結果的には、決めた対応方針が実行されていなかったのは何が要因なのか、伺います。

◎齋藤こども青少年局長 この際に重点的にアプローチをするというふうに決定してございまして、区としては継続的に電話等で接触を試みていたというふうに聞いてございます。親族とは連絡がとれたところでございますが、結果的に母や交際相手とは接触ができなかったということでございます。この辺の詳細につきましても、今後の検証の中できちんと確認をしていきたいというふうに思っております。

◆古谷委員 この経過の中で、保育園も重要な役割を担っているというふうに思っています。きちんと情報の共有をされていたのかというのが疑問です。初めの段階から区は保育園に見守りを依頼しています。昨年の12月に登園しなくなって、結局、事件が発覚するまで登園していないわけです。区に連絡をしたのは登園をしなくなってから1カ月を経過しています。保育園側が要保護児童だという認識をどこまで持っていたのかというのが疑問です。

そこで伺いますが、区は園に見守りを依頼した際、どういう内容をどういう方法で依頼したのか、伺います。

◎齋藤こども青少年局長 保育所の入所に当たりまして、連絡なく登園をしてこない場合や気になる養育状況があれば、区役所に連絡するように区役所から依頼してございます。また、保育所に入所した兄ではなくて、妹の様子なども母や親族から保育所のほうで聞き取っていただけるようにということで依頼をしてございます。

◆古谷委員 ここも非常に問題だと思います。この事案の経過をたどると、この御家族が鶴見区に転入してから事件が発覚するまでの10カ月の間、まともに面接ができているのは、児童相談所がかかわった2回だけです。その後も結局さまざまな働きかけはされてはいますが、まともに会えてはいません。児童相談所も慢性的な人手不足の中で虐待リスクは低いと判断して、今回のケースを区の対応に引き継いでしまったのかもしれません。しかし、本来の法の定義では、先ほど局長が述べたように、要保護児童というのは保護者に監護させることが不適当であると認められる児童でありますから、児童相談所の対応ではなかったのかというふうに思います。要支援児童は自治体、つまり本市で言えば区役所の対応に当たるのではないかと思います。横浜市の基準では、要支援でない要保護児童まで区任せになってしまったことが、今回の3歳の女の子を救えなかった原因の一つではないかと思いますが、局長、伺います。

◎齋藤こども青少年局長 本件に関しましては、児童相談所がかかわる前から区役所で見守りを中心として地域でかかわりを持ってございました。児童相談所で虐待通告を受けまして調査をした中でも、結果として、区と協議をした中でかかわりを継続していくということを決めましたので、結果的には児童相談所としてのかかわりを終えているというようなことでございまして、この判断については、その時点では適切であったというふうには思っております。いずれにしましても詳細についてまた一つ一つ検証はしてまいりたいというふうには思っております。

◆古谷委員 適切だったら何が間違っていたのですか。(「そうだ」と呼ぶ者あり)

◎齋藤こども青少年局長 本件のケースの場合、このような状況におきましては、区役所のほうで継続的に見守りをしてきたということの中で、児童相談所のほうに虐待の通告がありました。それについて児童相談所でも調査をした結果として、最終的に、今継続的に区でやっているものを引き続きやっていこうということで、双方で確認をした上で、区のほうの見守りということで終結をさせていただいたということでございます。

◆古谷委員 何で今の時点で間違っていなかったと言えるのですか。(「そうだ。根拠がない」と呼ぶ者あり)

◎齋藤こども青少年局長 いろいろなケースを児童相談所、それから区役所双方でかかわりながらやっているものがございます。そういうものの中で一つ一つ個別に、いろいろなケースが違ってございますので、これについてはそれぞれの状況において判断していくということになろうかと思いますので、一律的な基準は特にはございませんが、本件に関して言えば、その段階での状況としてはこういう判断が出たということについては、私としては問題がなかったのではないかと思っておりますが、結果的にはこのようなことになりましたので、しっかりとその部分も含めて今後検証いたしまして、対応について必要なものがあれば検討していきたいとは考えております。

◆古谷委員 検証が必要だということは、つまり、何か問題があったということをしっかり検証していただきたいと思います。先日出された監査報告書の中にも児童相談所の人手不足の問題が指摘されています。児童福祉司等職員の増加を図っていますが、虐待通報の増加に伴い正規職員の業務量も多くなっていて、職員不足でアルバイト常時雇用で補っている現状が指摘されています。子供たちを守る最前線の現場が人手不足でアルバイト頼みになっていることについて至急解消するべきだと思いますが、市長、伺います。

◎林市長 包括外部監査で、アルバイトは児童福祉司の補助等、多様な補助業務を担っていると、これも記載されておりますが、このように児童相談所では補助的な役割を担って、正規職員が虐待対応に専任できるような体制となっております。また、児童相談所の人員については、法定基準を上回る児童福祉司の配置を行っています。しかし、このような事件、本当に残念で悔しい、まことに痛ましい事件がございましたので、今後もさらに適切な体制が整えられるように検討してまいります。

◆古谷委員 また、同じ監査報告書の中には、児童相談所の児童福祉司の平均の経験年数、3.3年で半数が3年以下ということが指摘をされています。市は長期的なキャリア形成のためには人事異動が必要だとして、窓口部門、事業部門、管理部門等への異なる分野への移動も積極的に行っているということですが、この方針で本当にいいのでしょうか。本市の児童相談所の最前線を担う児童福祉司の半数が経験年数3年未満の状況についてどう評価されているのか、伺います。

◎林市長 ここ3年間で児童福祉司は約1.35倍に増員しているわけでございますが、委員がおっしゃるとおりに児童福祉司としての経験年数が非常に、だから、採用しているので余計に浅いということ、これは非常に問題だと思っていまして、人材育成をしっかりやらねばならないというふうに考えております。

そして、児童相談所の児童福祉司ですが、全て専門職である社会福祉職を任用しています。そのため専門職としての基礎的な知識、援助技術や能力等は身につけています。しかし、今もお話をしましたけれども、経験の浅い職員が増加しているので、児童福祉分野のスキルや経験値が上がるように、人材育成やスーパーバイズなどを充実するとともに、異動サイクルの長期化にも取り組んでいます。ですから、今の状況で十分だとは考えておりません。

◆古谷委員 これもぜひ見直すべきだと思います。児童相談所の設置数も足りないのではないかと私は思っています。横浜市で4カ所しかない。それぞれの一時保護所も今満杯の状況。今回の鶴見区の事例では、南区にある中央児童相談所が担当しています。現場に近い区が対応することになったようですが、私は、児童相談所の増設、横浜で必要だと思います。子供たちを守るために児童相談所の増設計画を持つべきだと思いますがどうか、伺います。

◎林市長 委員は当然ながら御承知と思います、西部児童相談所の再整備、中央児童相談所の環境改善を進めて相談支援体制の強化を図っています。国の基準を踏まえた児童福祉司の増員も含めて、引き続き4児童相談所体制で児童虐待の対応を適切に行ってまいります。

◆古谷委員 足りているという認識なのでしょうか。

◎林市長 足りているということに対して、常にいつも完全ですということは申し上げられません。だから、委員がおっしゃるように余裕があるような体制にできればいいと思いますけれども、現段階での市の考え方としては、今の4児童相談所体制で児童虐待の対応を適切に行ってまいります。

◆古谷委員 余裕があるなどという状況ではとてもないと思いますし、現場からは悲鳴が上がっていると思います。今回のケースは、区の虐待対応のチームが主に担当しています。今回問題点は指摘をさせてもらいましたが、区の担当者の対応が全くやっていなかったとは私は思っていません。しかし、余りにも仕事量が多かった中で、さまざまな兆候を見逃してしまったのではないかと思います。今回のケースは、要保護児童への対応としては比較的軽度のケースで、ここまで重篤な結果になってしまいました。そうなると、同じようなリスクを抱えた児童、市全体で要保護児童、要支援児童を合わせてどのぐらいいるのか、伺います。

◎齋藤こども青少年局長 平成30年3月末の時点でございますけれども、要保護児童は3980人、要支援児童は1741人でございますが、要支援児童に関しては、養育支援が必要な今回のような児童だけではなくて、児童相談所で対応しております非行児童の数も含めた数として1741人という数字で我々は把握してございます。

◆古谷委員 要保護児童、要支援児童、非常に多くの人数、5000人を超えているということです。それに対して、児童相談所の児童福祉司は109人と聞いています。来年度ふやすようですが、区の虐待対応チームの社会福祉職は84人と聞いています。もちろんチームには他の職種も若干いますが、主には児童福祉司と社会福祉士で対応するということになっています。5000人を超える方々に対して193人の対応はこれで足りているのでしょうか。

◎林市長 区と児童相談所はそれぞれ役割が異なっております。一概に要保護児童等の人数だけで職員を配置しているものではございません。区役所では平成26年度から虐待対応調整チームを18区に設置し、体制強化してまいりました。ただ、委員の今の御意見がございますので、すぐということはお答えできません、平成31年度の中でできるということはお答えできませんけれども、やはり今回のこともあってしっかり検証して現場の声も聞きながら、さらに現場の方も安心して働けるような環境づくりの方向に進めていこうとは思っております。

◆古谷委員 鶴見区の今回対応された虐待の対応のチームは6人の社会福祉職です。6人の社会福祉職の方が421名の要保護児童と116人の要支援児童を抱えていることです。しかもその対応件数は、年々右肩上がりにふえている。区の虐待対応チームが発足した平成26年と比較すれば3年後の平成29年では市全体では倍の件数に膨れ上がっています。鶴見区はさらに多くて、平成26年度97件だったものが3年後には288件、3倍にふえています。しかも、これに対応する社会福祉士は専任ではありません。虐待対応の社会福祉士の職員さんは、母子父子自立支援にかかわる需給業務や、また、障害児支援の支給判定にかかわる業務など兼務の体制です。市長、このように激増している虐待対応なのですが、虐待対応の最前線にいる区の担当者が兼務の体制、これで本当にいいのでしょうか。専任の体制にすべきだし、人員増は確実にやっていただきたいと思います。市長が今の現状に危機感を持たれているのであれば、子供たちを守る立場で至急対応するべきだと思いますがどうか、伺います。

◎林市長 委員のおっしゃることを本当に私は理解しております。区役所では、平成30年度には担当係長5人、職員4人を配置いたしまして、平成31年度でございますけれども、担当係長を3人増員してきました。しかし、今おっしゃったように本当に激増しているというような状態でございますので、平成31年度もしっかりと現場とも意見交換をして対応していきながら、課題があれば体制についてもしっかり検討してまいります。ただ、申しわけございません。平成31年度に関しては今のところすぐさま取り組むことはできませんけれども、少しお待ちいただければと思います。

◆古谷委員 虐待を受けている子供は待つことができないというふうに思います。なぜできないのでしょうか。また被害が起きないと、この体制を検討することはできないのでしょうか、市長、伺います。

◎林市長 今、担当している現場の職員、それからもちろん担当の係の方たちと一度また議論させていただいて、今ある体制の中でどこまでできるのかということをもう一度話をしてみたいと思います。ただ、今の段階では、申しわけございません。予算編成でやはりきちんとした配分も私もさせていただいたと思いますし、財政面で惜しむわけではございません。ただ、福祉とか医療、子育て支援にはかなりかけておりますし、児童虐待についても心をかけているつもりでございますので、今回、平成31年度についてはこの体制でやらせていただいて、その後、平成31年度の半ばであるとか、平成32年度に向かって、しっかりまた検証してまいりたいと思います。(「補正を組めばいいじゃないですか」と呼ぶ者あり)

◆古谷委員 そのようなことを言っている間に助けられなかったらどうするのですか、市長。それは本当に非常に冷たい回答だというふうに思います。同じようなリスクを抱えている要保護児童が3700人も横浜市内でいらっしゃいます。それを救えなかったらどうするのですか、責任をとるのですか。

◎林市長 今申し上げましたけれども、これから今回の事象をしっかり反省材料として、今ある現場の仕事をしている人たちによく考えてもらって、もう本当に相当慎重にやらないと、いろいろな角度で検討しないとこういう事象が起きてきたのだということ、これは私は、区役所の人も児童相談所の人も私の何倍もつらい思いをしていると思うのです。私自身も最高の上司として非常に反省をしております。ですから、そういうことでしっかりとやらせていただきますので、決してこれでいいということではございません。ただ、今の状況では、私自身の判断ということを申し上げております。

◆古谷委員 少なくとも現場では悲鳴が上がっているのです。兼務の体制だけでも至急解消すべきことを求めて、質問を終えます。(「そのとおり」と呼ぶ者あり)