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■討論 かわじ民夫 2020年7月7日

かわじ民夫です。日本共産党を代表し、1件の議案に賛成、3件の議案に反対、10件の請願の不採択に反対し討論を行います。

まず、市第25号議案、令和2年度横浜市一般会計補正予算案・第2号と関連する請願についてです。
党市議団は、この間、新型コロナウイルス感染の影響について、市内の小規模・中小企業、介護の現場、医療関係者を訪問し、話を聞き要望をまとめました。国の政策ではPCR検査体制をはじめ、医療・介護や教育、中小企業への社会的弱者に対する支援等では「大穴があり、支援の届くスピードが遅い」ものであり、それをカバーする立場での予算編成を求めてきました。ところが、市の第二次補正予算案は第一次補正予算と同様に国の予算の範囲内に留まるもので、市民の願いに必要な施策が打てない不十分なものです。しかし、予算計上された施策自体は必要なものであり、早期に実施に移されることを期待して、議案には賛同するものです。賛成に当たって、その問題点を指摘します。第3次補正予算を速やかに編成し、そこに反映されることを強く要望するものです。

第二波に備え、必要なPCR検査体制の構築を

まず、医療にかかわってです。
最初にPCR検査についてです。横浜市のめざすPCR検査体制は、最大一日当たり1,100件の予定です。しかし、政府の諮問委員である小林慶一郎東京財団政策研究所主幹等が出された緊急提言には、「経済・社会活動の回復と両立する『積極的な感染防止戦略』を明確に示す必要がある」として、「今年の11月までにPCR検査の能力を1日当たり20万件に強化すべき」としています。横浜市にこの提言の基準を当てはめると6,000件であり、第3次補正で大幅な上乗せが必須です。また、本市はPCR検査を200か所で整備しますが、施設整備に係る補助は上限100万円です。整備費も賄えず、人件費も持ち出しになり、医療機関に負担を強いるもので、更なる上積みが不可欠です。

医療、介護現場からのSOSに行政と議会は応えよ

介護現場では、感染を恐れて利用者の減少や感染症対策の財政負担で大変です。事業継続上の危機が迫っています。ひっ迫状況は医療も深刻です。請願第33号・神奈川県医療労働組合連合会から提出の「新型コロナウィルス禍の影響から、医療・介護労働者の雇用と生活を守るため、財政支援の強化を求める請願」では、「コロナ対応の最前線で働く医療・介護労働者は、感染不安を抱えながら、24時間体制での衛生材料や医療機器不足の中で、患者・利用者の命と健康を守り続けています」とあり、そして「外来患者減や健康診断の中止等で収益が落ち込み、『定期昇給の見送り夏季一時金引き下げ、正規休業指示による基本給削減等、経営努力だけでは限界、労働者が痛みを被る事態』であるとして、市の独自支援を求めています。医療施設やそこで働く労働者に対する市独自の支援がなければ医療体制は維持できず、責任が果たせず、市民の安心は保証できません。しかし、第二次補正予算では、コロナ患者を受け入れた医療機関への支援にとどまり、一般病院への財政支援はありません。最前線で奮闘されている現場の切実な要請に市長も議会も応えるべきです。

子ども達を感染から守るために、少人数授業の実施を

次は子どもたちや学校現場への対応についてです。
学校が安心の学びの場となるための取り組みが必要であり、3密回避が求められます。身体的距離が確保できる20人程度の授業が本来の姿です。また、教室の消毒業務や教員のPCR検査等、教職員の負担軽減と健康管理策も急務です。しかし教育委員会は、座席の間隔を空ける配置・マスク着用・手洗いの励行・換気対策をするだけです。文部科学省からは、現状の感染動向であれば1㍍程度の間隔で良いとしているが、40人学級では、それすら無理です。この点では、特に国の責任が鋭く問われています。現状の40人学級に基づく教職員配置・教室数・面積では、3密対策は有名無実です。全国知事会・全国市長会・全国市町村会の地方3団体は3日、現在の小中学校の40人学級では新型コロナウィルスの感染予防ができないとして、文科相に少人数学級の実現を求める緊急提言を手渡しました。最大の政令指定都市の横浜からこそ、抜本的改善を国に強く求めるべきです。

市内経済を支える中小企業者へ更なる支援を

次は市内経済を支える中小企業・小規模事業者への支援についてです。

市の今回の補正は、資金繰りを安定させた上で新しい生活様式に対応するための設備投資の支援を行うとして無担保無保証の融資制度の拡充を打ち出したとしています。すれはそれとして必要です。しかし、今、それどこではありません。経営基盤の弱い小規模事業者にとっては生き伸びることに必死という事態です。融資を受ける前に手当がなければ廃業せざるを得ない状況です。

第一次補正では商店街加盟店に対する10万円を限度とする間接補助がされました。同じ市内の事業者を排除するのはあまりにも不平等です。国の持続化給付金で漏れたすべての商店や小規模事業者に一律の10万円を支給している県内では川崎市や相模原市のように、本市も同様、いや、それ以上の支援金を支給し地域経済を大切にする本市の姿勢を示すべきです。

カジノなど不要事業やめコロナ対策に予算を組み替えよ

早急に第3次補正予算と臨時会の開催を

補正予算の最後は財源についてです。
党市議団は市長への申し入れに際し、「求められている施策を実行するにあたり、国の交付金だけでは賄えないことが見込まれることから、市民が望んでいないIRカジノの推進、新劇場整備、クルーズ船受け入れなど不要不急事業を盛り込んだ2020年度本予算の組み換えを行い、財源を補てんすることを求めました。
しかし補正予算は東京オリンピック・パラリンビック関連、客船寄港促進事業等、13.2億円の減額補正をし、財源ねん出したものの、市民から見て不要不急の事業である、IR・カジノや、大劇場については予定通り進めるとしています。しかし、市長の、「市政全体のバランスが重要、予定通りカジノを進める」との答弁は、コロナの影響を直視せず時間がたてば経済も社会も元に戻ると思い込んでおられるように感じます。コロナ前の認識と変わらずでいいのでしょうか。
請願26号は、カジノIR事業計画の見直しとカジノ誘致関連予算の組み替えを求め、請願30号は、カジノ誘致の撤回と、IRカジノ関連予算は新型コロナウィルス対策に使うよう求めています。IRカジノが横浜市の財政に対して「年820~1200億円の改善効果」があると市長は誇示していますが、横浜への参入最有力とされていた米大手カジノ事業者ラスベガス・サンズの「日本参入を断念」は、感染症の流行の前に3密ビジネスであるカジノの弱さが露呈したものです。市財政への寄与の見直しを含めて事業計画の見直しを求めることは当然です。そのうえで、見直された事業計画での「市民説明会」を全行政区で行うことも当然であり、コロナ禍の先行きが不透明な中での、当面の対策として、今年度のカジノ誘致関連事業予算の組み替えか執行停止は当然です。委員会での質疑の中で、全ての会派から、到底スケジュール通りにはできないのでは、との懸念の声が出された事実からも、請願の趣旨は、もっともであり採択すべきです。

また、本市の2次補正予算にたいし、国からの臨時交付金は189億円あり、111億円は新たな施策ができるものです。早急に第3次補正予算を編成し、臨時議会を招集すべきです。

コロナ前の過大規模計画を基にした国際園芸博覧会を粛々と進めることは認められない

市第13号議案は、国際園芸博覧会招致検討委員会の担当・所管を政策局から都市整備局に改めるものです。事業は具体的作業へと進んできています。入場者数1500万人、有料入場者1000万人をあて込んだ事業構想が、大赤字を出したY150の二の舞になりはしないかと、疑問視されています。本会議質疑で「コロナと共にある今後の国際園芸博覧会が入場者規模を1500万人以上とした『基本構想』を見直すべきとの質問に、市長は「withコロナという中で、日本の経済活動自体も経済界の在り方も変わっていかなければならない」と述べています。であるなら、政策局から具体的な街づくりをする都市整備局への委員会所管替えは時期尚早で、政策局での基本構想の改定を先行すべきです。

パシフィコノースの赤字を市民に被せることは認められない

市第24号議案は、みなとみらい21中央地区20街区での展示ホール等整備事業の契約金額を減額するもので、これ自体は、所要の手続きであり、当然の措置です。問題は、この事業が、コロナ禍により将来の市民負担増を招くリスクを膨らませていることです。

展示ホール等の管理運営を行うのは、第3セクターの㈱横浜国際平和会議場・パシフィコ横浜で、20年間の運営権を90億円で横浜市から取得します。この90億円は会場使用料で賄います。この会場使用料がコロナ禍により、長期にわたって、当初見込みを達成できないことは明らかです。その結果、パシフィコ横浜が、経営危機に陥る危険が大変大きくなっています。パシフィコ横浜が経営危機となれば、責任は本市となり、最終的には、市民負担となるもので、その要因となる新たなMICE施設整備は賛同できません。

リニア新幹線建設残土を受け入れる新本牧ふ頭整備に市負担200億円は認められない

市第21号議案は新本牧ふ頭建設工事請負契約の締結です。
新本牧ふ頭建設工事は総事業費2300億円で、市の負担分がおおむね800億円程度です。今回の第1期地区の工事では900億円の事業費のうち、JR東海からリニア中央新幹線の残土を受け入れるとして600億円を負担してもらい、国が100億円、市の負担は200億円になるものです。わが党は、この巨大事業は国主導の戦略港湾整備であり、今、必要な大型公共事業ではないとの立場です。また、JR東海が進めているリニア中央新幹線建設の静岡県内でのトンネル工事が引き起こす大井川の流水減少にJR東海がまともな対策を示さず、県知事が準備工事すら認めていません。建設残土受け入れを既成事実化することは到底容認でききません。

水道料金値上げ計画の凍結を求める請願の採択を

次は請願についてです。
請願第16号は横浜市社会保障推進協議会からの「医療機関及び介護・福祉事業所が支払う水道料金の減額・免除をもとめる請願」、請願第31号は横浜市民団体連絡会からの「水道料金の値上げを凍結し、再検討を求める請願」です。
コロナ禍の中で、市民の暮らしをはじめ、命を守る福祉の事業所では、事業の継続さえままならない中で、水道料金の引き上げは、さらに大きな負担を強いるものです。藁にもすがりたい状況にある厳しい市民や事業所への支援の手を差し伸べようとしない姿勢は看過できません。コロナ禍の中で、施設整備の老朽化対策のための財源は一般財源を振り当てるなどして対応すべきです。

上郷開発 事業者と行政の責任を明確にすることを求める請願は採択を

請願第27号は上郷開発事業の適正な開発許可審査についてです。
請願は、上郷開発に伴う「周辺住宅地の利便性の低下と限界集落化の加速」「開発計画地の地盤災害」「河川の下流部における水害の増大」などの社会経済的諸問題について企業に社会的責任を果たさせるべく、また、市が「行政の市民の生命・財産の保全義務」を果たすよう求めるものです。今年もすでに起きており、毎年のように繰り返されるご豪雨災害などの状況を見てもこれまで通りの判断ではなく、検証にあたっては、専門家に託すことも求めるもので、いづれも当然であり請願は採択すべきことを述べ、討論を終わります。(4480)