議会での質問・討論(詳細)
2010年6月23日

【2010年第2回定例会】「議案等に対する反対討論」 関美恵子

市民活動の場を閉じる鶴見中央集会所の廃止

私は、日本共産党を代表し、8件の議案、3件の請願不採択について反対討論を行います。

はじめに、市第6号議案のうち鶴見会館内に設置されている横浜市鶴見中央集会所を廃止することについてです。
鶴見中央集会所の利用者数は、過去5年間の推移でも順調にのびており、2005年度4万9234人だったのが2009年度は5万7347人と約8000人増加し、利用者団体登録数も06年度の100団体から2010年度は110団体に増え、市民活動を支える重要な施設になっていることがわかります。
また、体育館が設置されていることで、ジャンル別登録数はスポーツが17団体と最も多く、体育館使用が考えられるダンス・舞踊・太極拳・親子体操を含めると全体の約4割にもなります。
閉館後は、鶴見駅東口に開館するコミュニティーハウスを市は紹介しておりますが、体育館はなく、利用者の多くが活動場所を失うことになります。
市民活動は元気な市民力の証です。代替施設も示さず、市民活動の場を閉じることに、同意できません。

経費削減最優先の指定管理者の同一化

次に、市第7号、9号議案は、青葉公会堂と青葉スポーツセンター、及び栄公会堂と栄スポーツセンターを、それぞれ同一の指定管理者で管理させる提案です。
設置目的が違う公の施設を同一の指定管理者に管理させることについては、本市の指定管理者ガイドラインでも、条例の原則ではなく例外規定であるとして、各条例において施設の設置目的を「最も効果的に達成することができるもの」を指定管理者とするとし、慎重さを求めています。
複合施設とはいえ、公会堂は単なる市民利用施設ではなく、災害時における重要な役割を課された施設であり、スポーツセンターは、専門的な知識や技が求められる施設で、設置目的に大きな違いがあります。
「指定管理者の一元化によって設置目的が損なわれるのではないか」とのわが党の質問にも、市長は一元化が最も効果的とする根拠を何ら示されておらず、人件費等の経費の削減効果を最優先した提案といわざるを得ません。

海釣り3施設の指定管理者の同一化は市内業者の参入を減らす

市第15号議案の場合は、同種施設である大黒・磯子・本牧の海釣り3施設を同一の指定管理者に管理させるというものです。
2010年度の海釣り3施設の外部委託予定表によると、横浜港ターミナル運営協会が指定管理者である大黒海釣り施設は10業務が、同じく磯子海釣り施設では5業務が全て市内業者に委託予定となっていますが、イオンディライト株式会社が指定管理者である本牧海釣り施設では6業務のうち4業務までが市外業者への委託になっています。
同一の指定管理者に変更することで、外部委託業者数は確実に減る上に、イオンディライトのように市外業者の参入の拡大も考えられ、このことは横浜市中小企業振興基本条例の目的に反します。
また、全都道府県・政令指定都市で初の取組として、この3月に発表された「横浜市補助金等の交付に関する規則」を一部改正した目的は、厳しい状況にある市内経済・市内事業者の下支えに役立てるとして、100万円以上の事業などは市内事業者に発注することを原則とするものでした。今回の措置は、その目的にも反します。

問題多いPFI事業、地元中小企業の参入も困難に

次に、市第22号、25号、31号議案は、戸塚駅西口第1地区第二種市街地再開発事業に伴う公益施設整備事業をPFI事業で行うため、約169億322万3000円で、特定目的会社であるアートプレックス戸塚株式会社と契約を締結し、合わせて、戸塚区民文化センター及び戸塚区総合庁舎駐車場の指定管理者にアートプレックス戸塚株式会社を指定しようとするものです。
PFI事業は、特定目的会社が設計・建設・維持管理・運営まで一貫して行うため、施設の機能性・サービスの向上が望めるとしています。
しかし、今年3月に出された横浜市PFI事業審査委員会の公益施設整備事業審査講評のまとめでは、区民文化センターのホールと多目的スペースの位置関係等による音響・振動の影響等やホールのバックヤードの使い勝手について配慮や工夫が必要であること、舞台機構での予防保全管理の具体化が必要であること、駐車場の運営時間について区民文化センターの搬出等を考慮すること、1階の中央管理室、地下1階の第2自転車駐車場管理室からの目視による監視に関しては死角を生じないよう工夫が望まれる等、課題がいくつも指摘されています。なかでも、ホールの音響・振動の影響等は、施設にとって致命傷になりかねない問題です。ところが、契約の締結後に改善されるのか明確な保障はありません。
また、最優秀提案の入札価格をもとにしたバリューフォーマネー評価は、直工ベースとの比較で16.7%PFIの方が安くなるとしていますが、市の財政負担は支払いが長期にわたり、その間の景気変動に影響され、終わってみないとどうだったのかわからないものです。しかも、市債とは異なる「かくれ借金」として市の財政の透明性に逆行するものです。
加えて、特定目的会社の代表企業は、三菱UFJリース株式会社、構成員の筆頭は鹿島建設株式会社横浜支店と、大手金融機関・ゼネコン中心です。PFI手法による事業を続ける限り、地元中小企業の参入は困難です。中小企業の振興をうたう横浜市中小企業振興基本条例の趣旨に反するといわざるを得ません。

なぜ駐車場設置の条例化を直ちにやらないのか

次に、市第12号議案、横浜市技能文化会館条例の一部改正は、横浜市技能文化会館の駐車場を公の施設として条例に規定し、駐車場利用料収入を利用料金収入として位置づけ、2011年4月から施行するというものです。
問題は、2006年4月、株式会社ファンケルホームライフを指定管理者にした際、駐車場を普通財産のままで管理・運営をさせてきたことです。この点では、市長は「公の施設として条例上規定されていなかったにもかかわらず、指定管理者業務の範囲としていたことは、地方自治法に照らし不適切であった」と答弁されました。
しかし、2006年当時、駐車場の一部が教育文化センターの駐車場であることを承知で駐車場利用料金収入を会館の管理運営全体の収入とし、指定管理者制度導入の目的である市費の負担軽減や市民サービスの向上を図ろうとしたと答弁されたことは、自己弁護であり、本当に反省されているのか大いに疑問です。
3年間も駐車場が普通財産のまま、指定管理者に管理されるという異常な状態が続き、昨年4月にやっと行政財産に変更され、「公の施設」の形を整えたにもかかわらず、駐車場設置を条例に明記する手続きをとらないまま、駐車料金を徴収していました。このことも問題ですが、条例の施行は次期指定管理業務の開始に合わせ、2011年度としています。ファンケルホームライフの指定管理中になぜ施行しないのか、市長からは条例施行を先送りする明確な理由は述べられておらず、不明のまま同意する訳にはいきません。

国待ちにせず1日も早く子宮頸がん予防ワクチン接種の公費助成を

次に、請願第1号、4号は、「子宮頸がん予防ワクチン接種の公費助成」等を求めたもので、新日本婦人の会神奈川県本部他121団体1425人等から提出されたものです。
子宮頸がんは、日本の20歳代の女性では、乳がんを抜いて発症率が一番高いがんですが、ワクチンで予防できる唯一のがんです。国は、咋年10月にワクチンを承認し、12月に発売を開始していますが、ワクチンの対象は10歳代の女性で3回の接種で4万円から6万円の全額が自己負担です。
ワクチン接種への公費助成を求める声が高まり、今年の4月段階で早くも政令市名古屋市など36自治体が市町村レベルで助成を実施していることが報道され、その後東京都・山梨県、千葉のいすみ市、県下では鎌倉市が公費助成を発表するなど、急速に広がっています。
ワクチンの安全性については、WHОのワクチンの安全性に関する世界諮問委員会が、2007年ワクチンの安全性に問題はないとの結論を出しています。
有効期間についても、社団法人日本産婦人科学会は、3回の接種で抗体価の推移による予測から15年から20年であるとしています。
本市が、国待ちにせず、1日も早く公費助成にふみきるためにも請願を採択し、議会として決意を示すことは重要です。
また、請願第4号は国の助成制度も求めており、「コンクリートより人を」とする現政権に、地方から声をあげない理由はありません。

一律最低賃金制は世界の流れ、中小企業支援策の拡充・強化等を

最後に、請願第3号は、横浜労働組合総連合他65団体が、最低賃金法の抜本改正と安定雇用の創出とあわせ、中小企業支援策の拡充・強化等を国に求める意見書の提出方についてです。
日本の最低賃金は、最も高い水準にある神奈川県でも時間額789円で、実質生活保護水準以下の低さです。その平均は、09年度時間額713円で、先進国比較で最低になっています。
政府は、地域間で生活費の格差があるから全国一律最低賃金制は採用できないとしているようですが、日本の最低生計費の地域間格差は、労働総研、全労連の生計費調査によると、東北地方の最低生計費は、25歳単身男性で23万1421円、首都圏は20歳代単身者で23万3801円となり、地方では自家用車が必需品となるためほとんどかわらず、政府の主張に根拠はありません。世界各国は、生活費の格差是正と一体のものとして国一律最低賃金制を導入しており、生活費の格差を理由にする考え方こそ問題です。
日本の雇用の8割近くを提供し、日本経済を土台で支える中小企業において、倒産・廃業の進行により衰退しては、全国一律最低賃金制も活かされません。内需型産業に切り替える等、中小企業支援策の拡充・強化は賃金助成の直接支援とあわせ、大前提です。
請願の趣旨に沿い、意見書を提出することを求め、私の討論を終わります。


新着情報

過去記事一覧

PAGE TOP