議会での質問・討論(詳細)
2020年9月4日

議案関連質問 白井まさ子 2020.9.3

小児医療費の所得制限と一部負担金の撤廃を

白井議員:日本共産党を代表して、8件の議案について質問します。

まず、市第28号議案 小児の医療費助成に関する条例の一部改正についてです。本市の小児医療費助成制度は、1歳以上中額3年生まで全年齢に所得制限がかかっており、今回、1・2歳児分のみ所得制限を外すとしています。市の資料によれば、県内の33市町村のうち16自治体、20の政令市のうち13市には所得制限はありません。横浜市の現状は決して誇れるものではありません。そもそも市民は所得に応じて納税いているわけですから、どの子も等しく利用できる制度であることが本来の姿です。

子育て世代への支援は少子化対策の重要な柱であり、現役世代の定住策にもなるものです。所得の高い低いで差別することは、少子化対策にも、都市の活性化策にも逆行するものです。

これまで、制度の充実を求めてきた際には、できない理由として、持続可能な制度とするためと説明がありました。所得制限を設けていない自治体で制度が持続不可能となったということも聞いていません。財政的に他都市でできて本市でできない理由はありません。所得制限は全年齢で撤廃することを思い切って決断すべきです。その決意があるかどうか伺います。

城副市長:3歳以上の子どもの所得制限を撤廃しない理由ですが、1.2歳児は、医療機関に受診する機会も多く、医療費も高いため保護者の負担が大きい状況にあります。限られた財源の中で拡充を図るには、より重点的に対応すべきと考え、今回1.2歳児の所得制限をなくすこととしたものでございます。

 

白井議員:今回、1・2歳児は全員が助成の対象になります。新たに対象となる約1万人は、今まで2割負担ですが、無料とはならず500円までの一部負担金を払うことになります。実質的に1割負担に相当します。医療費の一部負担は応益負担であり、コスト意識喚起のためという考えに基づいているものですが、社会福祉の施策にはそぐわない考え方です。無料で安心して受診できるということは早期発見につながりますから、安易な受診が増えると問題視するには及びません。それは、兵庫県保険医協会の調査で2019年3月に発表していることから、明らかです。

兵庫県内18か所すべての休日・夜間応急診療所の受診者数を6年間経年で調査した結果、子ども医療費無料化の自治体が広がっても受診者数は増えていませんでした。「子どもの医療費を無料化しても“安易な受診”は増えない」としています。

本市が真に子育て世代を応援するならば、慢性的な病気を持つ子の受診頻度が高い実態や、500円の負担は決して軽くない子育て世帯の生活状況を踏まえて、小4以上も含めて500円までの一部負担金はやめることです、見解を伺います。

林市長:本人負担は止めるべきとのことですが、厳しい財政状況の中、持続可能な制度とするため、平成29年の制度拡充時以降、新たに対象となった方には、一部負担金を導入してきました。こうした経過をふまえ、今回制度拡充により、新たに対象となる方も一部負担を引き続き求めることにいたしました。

 

リニア残土受け入れの新本牧ふ頭建設は見直しを

白井議員:次は、市第40号~45号議案 新本牧ふ頭建設工事請負契約の締結です。 

新本牧ふ頭は、本牧ふ頭を延長させて、コンテナターミナルとロジスティック施設からなる新たな物流拠点を整備するもので、建設発生土を受け入れる機能も担うとされています。ふ頭全体の内、市施工のロジスティック施設用の約38㌶が第1期地区として昨年から事業化されており、今回、護岸工事、地盤改良工事の請負契約に至ったものです。

新本牧ふ頭の新設が盛り込まれた2014年の横浜港港湾計画書では、「国際コンテナ戦略港湾として、基幹航路の維持・拡大、近海航路の更なる拡充に向けて、コンテナ船の大型化やアジアを中心とした世界の貨物量の増加などの海運動向に的確に対応」とあり、世界の貨物量の増加とコンテナ船の大型化に対応して港を整備する、港を整備すれば船は来るもの、この考えで計画されました。

しかし、コロナ禍により、世界中の企業が世界的に展開している海外生産拠点とサプライチェーンを国内にシフトする動きが強まり、国際的コンテナ物流に激変がおこっています。先日、ホンダ自動車がイギリス工場を閉鎖し日本国内での製造に切り替えると発表しています。GDPの伸び率をもとにした、コンテナ貨物量は右肩上がりで増えるという、これまでの予測も不確かなものとなっています。

新型コロナの影響で落ち込んだコンテナ貨物量の今後の動向も見通せない中で、新本牧ふ頭の必要性については再考すべきと思いますが、見解を伺います。

林市長:新本牧ふ頭の必要性についてですが、横浜港はコロナ禍におきましても、コンテナ取扱量が対前年比で約10㌫減にとどまっておりまして、市民の皆さんの生活必需品等を取り扱う重要なインフラです。

また、5月には北米欧州等の基幹航路、4航路が相次いで開設いたしました。大水深バースが必要な超大型船も就航しました。今後、経済を回復させていく為にも、我が国の物流を支える施設として新本牧ふ頭は重要です。

 

白井議員:新たな建設発生土の受け皿となる約900万立方㍍の内、JR東海のリニア中央新幹線の品川・相模原間の建設発生土を約600万立方㍍受け入れる協定のもと、2021年秋口から受け入れを可能とする工事ですから、結果的に、国民から、本市がリニア新幹線整備の促進役を担っているとみられることになります。しかし、国民の中では、リニア計画そのものに対する根本的な疑義は払しょくされていません。自然や住環境破壊の問題、超高速で地下を走る安全性の疑問、地震など大規模災害時に乗客の避難の仕組みなど懸念の声が絶えません。リニア開業に伴い東海道新幹線の新横浜駅に停車するのぞみが減便になるなど利便性の低下の問題もあります。

今回、新型コロナの影響で東海道新幹線の輸送量が大幅に落ちこみ、今後も人口減少やリモートワークが進む中、持ち直すことは難しいと言われ、JR東海はリニアの建設費を賄えるのかという重大問題に直面しています。コロナ時代に逆行する巨大開発の失敗のツケが回されるのは国民です。本市が、国民的合意のないリニア新幹線整備の推進役となるという国民からの批判の声に対して、市長はどうお応えになるのか、伺います。

林市長:リニア中央新幹線の整備との関係についてですが、新本牧ふ頭は首都圏区間の発生土の埋め立てに有効活用するものです。この区間については、沿線自治体の意見を踏まえて、環境影響評価等の法令に基づく手続きが適切に実施されたと認識しています。新本牧ふ頭は、横浜港の将来を担う新たな物流拠点として着実に整備を推進していきます。

 

コロナ対策補正予算案関連

医療・福祉・保育現場などでPCR検査の拡大を

白井議員:次に市第52号議案 一般会計補正予算に関連して伺います。

PCR検査についてです。今回の補正予算には、行政検査としてPCR検査を実施した医療機関へ月10万円から30万円までの支援金支給、帰国者・接触者外来を設置している医療機関に外来患者受け入れ件数に応じた一人2万円の支援金支給など、PCR検査数の伸びにつながる支援メニューがありますが、検査対象は、あくまでも感染が疑われる人としています。

しかし、この間、国でも自治体でもPCR検査の対象を拡げる流れが出ています。

国では、8月7日、厚労省事務連絡で「現に感染が発生した店舗等に限らず、地域の関係者を幅広く検査することが可能」とし、検査対象を点から面でとらえる方向が打ち出され、8月18日通知のコロナQ&A改訂版で「医療施設、高齢者施設に勤務する人、入院入所者に幅広く検査をしていただくことは可能」とし、行政検査の範囲を、感染者が出た施設は全員対象、感染者が多発している保健所管内の施設は感染者が出ずとも入居者・職員が対象となるとしています。

8月28日、国で、夏から秋、冬の到来を見据えた今後のコロナ対策が決定され、検査能力を抜本的に拡充することが示されました。冬までにインフルエンザとの同時検査が可能となるよう、1日20万件の検査体制を目指す。特に重症化リスクの高い方がいる高齢者施設や病院で、地域の感染状況などを考慮し、職員に定期的に一斉検査を行うとしています。

地方自治体も動いています。世田谷区は、対象を症状のある人、濃厚接触者とした従来型検査の拡充に加えて、対象を介護事業者職員、保育園幼稚園職員、特養入所予定者とした検査の実施を示しています。これまでの発症例に介護や保育の現場が多かったとし、8月18日通知による行政検査と位置付けて、人との接触を避けられない職員に実施するとしています。 

千代田区は、介護を担う職員の緊張感も限界との考えで、7月から介護施設新入居者を対象に、また8月から介護施設等の職員全員を対象に3カ月ごとの定期検査を始めています。

本市でも、従来型検査にとどまらず、「人との接触機会が多く感染伝播リスクの高い医療、福祉、保育、学校などの関係者を優先にPCR検査を始める」方針を新たに打ち出し、実施する必要があると考えますが、見解を伺います。

城副市長:PCR検査の社会的検査をはじめる方針を打ち出す必要についてですが、社会的検査はクラスターの防止を狙いとするものです。本市ではクラスター発生のおそれがある場合は、有症状者や濃厚接触者に限らない検査の取り組みとして、濃厚接触者に加え、無症状であっても必要と思われる周囲の方に対して、検査を広く実施しております。なお今後は、28日に発表された国を検査拡充の考え方を踏まえ、国の動向を注視しながら検討を進めてまいります。

 

白井議員:本市では、より身近な場所でPCR行政検査が受けられるようにと、8カ所まで増やしたPCRセンターの箇所数をさらに増やし、クリニックなどでより多くの採取ができるよう、支援金を支給するなど行われますが、市内の医療機関のうち、採取か所として登録されているのは約500か所ありますが、登録はあっても、そのすべてで採取を行っているわけではありません。行政検査が必要と判断されても、すぐに身近な場所で採取できる状況にない現状において、さらに感染伝播リスクの高い人への検査へ対象を広げるには、採取方法の検討も必要です。国は予備費を使って、PCR検査の対象拡大の方向を出していますが、実施が地方自治体任せとならないよう、国の責任で予算付けがされるよう、国へ求めるべきです。見解を伺います。

城副市長:PCR検査実施予算を国へ求めることについてですが、本市では順次PCR検査体制の拡充や、積極的なクラスター対策を進めてまいりました。これらに関し、7月3日には緊急包括支援交付金の対象事業拡充指定都市への直接配分、大都市の機能強化など、国に対して提案要望を行っております。引き続き、国県とも連携し、対策に取り組んでまいります。

 

医療機関への財政支援を

白井議員:次に全医療機関への財政支援についてです。

日本病院会・全日本病院協会・日本医療法人協会の3団体による4月、5月、6月の経営状況調査では、コロナ患者を受け入れた病院は6月も10%を超える大幅赤字が継続し、受け入れていない病院も対前年比で経営状況悪化、4分の1を超える病院で夏季賞与を減額支給、6月の1病院あたりの赤字額も利益率も4・5月より悪化したことが、明らかになっています。

市立3病院の入院・外来患者数は、外出自粛明けから増えてはいるものの、7月は前年同月比で10%以上の落ち込みを見ると、多くの医療機関も同様と言えます。

新型コロナの影響で減収となっている、すべての医療機関に、国の責任で、減収補てん、医療従事者の処遇改善、危険手当の支給、心身のケアのための思い切った財政支援が必要です。しかし、実質的な減収補てん制度はなく、現場で歓迎され期待されている医療従事者への20万円までの慰労金は、まだ届いていません。

本市は5月29日、指定都市市長会として国へ、外来患者の減少等により経営状況が悪化している医療機関への財政的支援を提言し、7月29日、県へ、コロナ患者を受け入れていない医療機関においても、入院・外来患者の減少等による厳しい経営状況を踏まえさらなる財政支援を県市一体となって国へ要望することを求めたことは承知しています。

神奈川県医師会長は、8月25日の神奈川新聞単独インタビューで、感染の長期化とともに県内の医療機関は患者離れが続き経営状況が悪化しているとし、公的支援が乏しい状況が今後も続けば医療崩壊が起きると危機感を表明されています。横浜市医師会からは、8月末で閉院したところがあり、今後半年、1年でもっと出てくるのではないかと聞いています。

本市として、患者離れとなっている医療機関の経営状況を把握し、国の責任で、医療機関の減収を補てんするなど、財政投入することを強く求め、同時に、今回の、MICE誘致・開催支援事業に関する予算のカット、財政調整基金への積み増しストップ、2020年度本予算の更なる組み替えで財源を捻出し、医療機関の経営環境改善につながる本市独自の支援に振り向けるべきと考えます。見解を伺います。

林市長:医療機関への財政支援を実施すべきとのことですが、本市では新型コロナウイルス感染症患者を受け入れている医療機関の支援に取り組んでおります。9月補正予算でも必要な予算を計上し、支援の強化を行います。また、コロナ患者の受け入れがない医療機関でも入院外来患者の減少等により経営が厳しい状況にあることは十分に把握しています。これは全国的な課題でして、国としての対応が必要なため、既に指定都市市長会の提言等の機会を捉えて国へ要望してまいります。白井先生もこのことについての言及して頂きましたけど、本当に先生と同じ考えです。これは1基礎自治体では、どうしても財政的に難しゅうございますから、もう是非ともですね、国としての対応が必要でございます。ですから、更に県と一緒に国に財政措置を要請してくということでございます。

 

学習保障と少人数学級の拡大を

白井議員:次の学習保障についてです。

新しい生活様式が広がっても、学校の教室内では、子どもたちは身体的距離を保つことができない密集を強いられています。なんらかのコロナ感染症を理由として欠席している児童生徒がいることについての把握はされていますが、その人数については、特に調査は行われていません。

名古屋市教育委員会は夏休み市立明けに小中学校全校に対してコロナに関連する欠席者の調査を開始し、3日間で小学生は延べ1,296人、中学生はのべ311人と発表しています。欠席している子どもの学習権を保障するための手立てをとるためにも、本市でもどのくらいいるのか把握が必要です。新型コロナ感染症を理由に登校しないことを選択した子どもたちは何人いるのか伺います。

鯉渕教育長:新型コロナウイルス感染症の流行を理由として登校しないことを選択した生徒数ですが、感染への不安を理由に欠席している児童生徒は、全市での調査は実施しておりませんが、6月の学校再開以降、定期的に各区から小中学校一校ずつ抽出し、欠席している児童生徒数を把握しております。直近では、9月1日に調査をしており、36校で24名、一校あたり0.7名が感染への不安を理由に欠席しています。

 

白井議員:新型コロナの予防のために求められている2㍍程度の身体的距離の確保は、学校の教室内も同様のはずですが、現行の小中学校の学校規模は、小1小2は35人まで、小3以上は40人までとなっており、それは確保できていません。20人程度で身体的距離も確保しての授業ができるようにするのが本来のあり方であり、それは国の責務です。

7月3日、全国知事会など3団体が現行の40人学級ではコロナ感染防止は困難として、少人数学級実現に向け教員の確保に取り組むよう文科大臣に要望し、7月20日、政府の教育再生実行会議で、文科大臣は、普通教室に身体的距離を確保しながら40台の机を並べることはできないと指摘し、「新たな感染症が起きた時に40人学級は無理だ」「少人数学級を目指すべきだ」と語り、文科大臣として学級編成見直しの必要性に踏み込みました。

福岡市では、新型コロナ対策関連の9月の補正予算の中に、教室での密集を避けるため、2021年度に小中学校全校全学年で35人以下学級を暫定実施する際に不足する308の教室等を整備するとして、4億6,000万円計上しています。人口増の地域もある中、全校で増やす計画ですから、本市でもできないことではありません。ようやく始まった国の少人数学級の議論をリードするうえでも、全国最大の政令市として独自予算で率先して少人数学級を実施すべきではないでしょうか、見解を伺います。

鯉渕教育長:独自予算で少人数学級を実施すべきとのことですが、本市では一律に少人数の学級編成をするのではなく、算数や数学などで習熟度に応じたきめ細かな少人数指導ができるよう、各学校に1人から3人の教員を配置しています。仮に全学年で35人以下学級を実施した場合、教員約600人、人件費約48億円が必要であり、また、教室の確保も大きな課題となります。本市のみでこの課題を解決することは難しく、国に対して要望していきます。

ご質問の中で、文科大臣の発言に言及されておりますが、文科大臣の発言は文部科学省としての方針ではなく、大臣個人としての見解と聞いております。私も少人数学級の実施は、児童生徒の身体的距離が確保できるという点で感染症対策として一定の効果はあると考えますが、人材や人件費の確保、教室の整備など様々な課題がありますので、国と協議して参ります。

また、6月補正予算で追加配置した非常勤講師等を活用し、少人数でのきめ細かな指導を進めてまいります。

また、福岡市の事例への言及がございましたが、福岡市ではほとんど空き教室を活用するとのことですが、本市では子どもの数は減っておりますが、個別支援級の増加で必要な教室数は減っておりません。学級規模の引き下げは、人材の確保、毎年の人件費の確保、教室の整備など様々な課題があり、本市のみでは解決が難しいと考えております。

 

市民利用施設の利用料減免を

白井議員:地区センター・公会堂など市民利用施設の利用料金減免についてです。

地区センターでは、コロナ感染防止対策として 国のイベント開催制限目安を参考に、7月から会議室の利用人数を半分に制限しているため、一人当たりの使用料負担は実質値上げとなっています。利用にあたって各団体は、消毒液、マイクをふき取る濡れテッシュなど新たな出費もあります。利用料金を減免してほしいと要望を聞いており、もっともな要求です。半額にすることで、市の負担がそれほど増えるものではありません。

今後当分の間、今までのような利用はできないわけですから、市民に寄り添い市民活動を応援する立場から地区センター・公会堂など市民利用施設の利用料金を減免することを提案し、見解を伺います。

小林副市長:地区センター公会堂などの市民利用施設での利用料金の減免措置についてですが、本市では市民利用施設について、市民の皆様が利用するにあたり、従来から適切な利用料金設定を行っており、コロナ禍の中では施設利用の際の安全確保のため、利用条件に制限を設けています。ご利用の皆様には、こうした条件や利用料金等についてご理解をいただいていると考えておりますので、現段階ではそうした措置は考えてございません。


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