議会での質問・討論(詳細)
2020年9月8日

■一般質問 宇佐美さやか 2020.9.8

コロナ受け、これまでの都市づくりを根本から見直しを

宇佐美議員:日本共産党を代表し質問します。まず、はじめに林市長の政治姿勢について伺います。

新型コロナウイルス感染症による危機が続いています。さらにアフターコロナにおいても感染症対策が重要な課題となることは必至です。これまでの暮らしのあり方を考え直さなければなりません。横浜市政でも、同様のはずです。これまでの大都市の成長路線をこのまま続けていいのか、中期4か年計画を金科玉条として推進していいのか、点検・検討するべきではありませんか。IR、巨大テーマパーク、新劇場という成長拡大路線を象徴する施策についてもどうするか、立ち止まり、再考する必要があります。そのリーダーシップをとるのが市長です。しかし、市長は、「IRが経済活性化の有効なツールとの考えは変わっていない」と神奈川新聞の取材で答え、劇場は人員体制を強化して構想案の作成にまで迫り、テーマパーク誘致の旧米軍上瀬谷基地跡地開発では新たな交通システムの運行事業者を年度内にも決めるというスピードです。コロナ前の計画のままに今も突き進んでいます。

ここには、ポストコロナ時代の新しい横浜のあるべき姿について、真剣に探求した形跡が見られません。それどころか、9月1日に発表された『令和3年度の予算編成スタートにあたっての市政運営の基本的な考え方』では「最終年度を迎える中期4か年計画に掲げている施策であっても、徹底的に事業を見直し、真に必要なものを見極め事業の休止や延期などを検討してください」と、職員のみなさんにはお願いしておきながら「2027年の国際園芸博覧会やIR(統合型リゾート)の実現に向けた取り組み、新たな劇場の検討など、横浜が将来に渡り成長・発展を続けていくための施策も進めていきます」と、市民が反対の声を上げ続けているIRや市民に知らせもしないで勝手に進めている劇場などの予算は、来年度も、しっかり確保していくということを明記されました。

新型コロナパンデミックによって大型開発・巨大箱物造り、人を呼び寄せる市政のあり方、都市のありかたも変革を迫られているという認識に立つことが、市政のかじ取り役という市長の責務を果たすうえでは、どうしても必要と考えますが、市長の見解を伺います。引き続き、市長が進めている大都市の成長路線の事業について質問してまいります。

林市長:コロナ禍における政策の見直しについてご質問いただきました。

今まで通りの政策を変えていくべきとのことですが、コロナ禍においては、医療提供体制の確保や感染拡大防止対策など、市民の皆様の安全安心の確保や経済改革に向けた対策を引き続き着実に進めていかなければなりません。同時にアフターコロナを見据えて横浜が将来にわたり成長発展を続けていくための政策についてもしっかりと取り組んでいく必要があると考えております。

 

IRカジノ誘致は整備前提が全て崩れた キッパリ断念を

宇佐美議員:はじめに、IR統合型リゾート誘致について伺います。

市長は、昨年の8月22日カジノ誘致を勝手に決断して以来、手を上げている事業者との接触の有無などの情報を全て非公開としていることから、市民が不信感を募らせているなか、安倍政権は、骨太方針2020から『IR』の文言を削除しました。成長戦略の最大の柱と謳っていたIRでしたが、昨年末の秋元司衆院議員のカジノ汚職による逮捕や新型コロナウイルス感染症拡大防止の対応に追われ、基本方針すら策定できずにいます。そこへ来て、秋元議員の再逮捕というニュースが流れ、市民は、ますますIRカジノへの不信感を募らせています。

世界のカジノ事業者には、コロナ禍で様々な動きが起きています。今年5月、ラスベガスサンズが日本から撤退。続いて、8月にウインリゾーツが事実上、横浜から撤退しました。アメリカの事業者が次々と撤退しています。コロナ禍で、真っ先に三密の温床として閉鎖に追い込まれ、収益が全くなくなったことから、どちらも今現在の事業を維持することに精一杯で、日本への進出など、金策の面でも見通しがつかなくなったことでの撤退です。横浜への参入を狙っていた事業者7社で残すは、アジア系のカジノ事業者となります。香港に本社を置くギャラクシーとメルコ、マレーシアに本社を置くゲンティンと日本のパチンコメーカー大手のセガサミー。そして、非公表の一社となります。先に述べた、ギャラクシーとメルコは、中国政府と深い関係にあると指摘されています。両社は、マカオでのカジノライセンスの更新にむけて巨費の投下を強いられています。そして、ゲンティンは、シンガポールのIRへの追加巨大投資とラスベガスへの新規投資で苦しんでいます。横浜にまで進出できる余剰資金があるのか疑問です。

セガサミーは韓国の事業者と合弁で営業している仁川市での施設は、2018年のIR事業の収益が301億円、投資額1,568億円のうち、セガサミーが出したのは332億円です。一兆円規模の投資額の巨大IRの運営実績と資力は持ち合わせていません。残りの非公表の事業者も、コロナ禍で、営業利益が上がらず苦しいことには、変わりないと考えます。

日本型IRについて安倍政権は、基本方針の策定時期すら示していません。事業者との接触規定や感染対策を盛り込むことには、多くの時間は必要ないはずです。策定の大幅な延期は、コロナパンデミックへの対応を優先せざるをえないこと、IR汚職に国民の怒りが収まっていないこと、そしてラスベガスサンズの撤退や大阪への進出が内定している米国のMGMが、国内従業員数の4分の1に相当する1万8千人を解雇した事案に見るように、IR事業の採算性が見込めず、先の見通しが立たないからではないでしょうか。国が当初1月に公表するとしていた基本方針が未だに公表されず、公表の時期すら明示されていないことに対して、その理由についてどのように分析されているのか伺います。そして、区域整備計画の申請時期(2021年1月~7月)について、国は地方自治体と調整するとしていますが、本市が国に対して先送りを求めていない理由は、何か伺います。

平原副市長:基本方針の状況についてですが、国においてはカジノ管理委員会からの指摘を踏まえ、関係行政機関と調整を行いながら手続きが進められていると認識しています。その中では、事業者の接触に関することや、感染症への対応などに関する事項の追加が検討されております。

認定申請期間の延期を国に求めない理由ございますが、認定申請期間についてですが、横浜市の状況は、担当者を通じて随時国と情報共有しております。IRは国家的なプロジェクトであり、国においては、本市を含めた各自治体の状況なども踏まえて申請期間についても適切に対応されると考えております。

宇佐美議員:市長は、昨年末から18区全てをまわり、市民にカジノ誘致について説明するとしていましたが、新型コロナウイルス感染症拡大防止を理由に、残りの6区へ行くことを事実上、中止にしました。そして、コロナ前に行った説明会と何ら変わらない説明を動画で一方的に流しています。本当に市民に理解してほしいのであれば、人数を減らし、説明会の回数を増やせば良いと考えます。上瀬谷跡地開発のアセス住民説明会を8月上旬に瀬谷区と旭区で4回開催し、471人が参加しています。入り口では、手指の消毒をして、公会堂ホールの席を1つ間隔で開けて座り、退場時には、密にならないように、後ろの席から順番に退席していくかたちにしていました。このように工夫をすればやれない理由はありません。今からでも説明会を開催するべきです。どうか伺います。

林市長:市民説明会についてですが、土地区画整理事業の説明会は、1月に実施した説明会での参加実績から十分に対策を講じた開催が可能と判断いたしました。しかし、IRの説明会は、参加人数も多く、十分な対策は困難なため、皆様の安全を最優先に考え、説明動画を作成いたしました。12区まで説明会できましたが、その後ちょっとかなり間が空き、また再開できる見通しが立たなかったために、説明動画の作成に至りました。IRに取り組む必要性や依存症や治安などへの対応について、私自身がご説明し、説明会の内容に近い形で作成いたしました。説明会と同様に、ご理解を深めていただけるものと考えております。

宇佐美議員:今月で『IRカジノを成長戦略の柱』としていた、安倍晋三総理大臣が辞任し、新内閣が決まります。アベ政治の継続を掲げる新内閣のもとで、予断は許されませんが、地方自治体でのIR事業者の募集にかかわるIR基本方針が直ちに策定されるかは、全く不透明です。国としても事業として成り立つかどうか示しきれないIRカジノは誘致を断念するべきと考えます。その考えは、無いのか伺います。

林市長: IRの誘致を断念すべきとのことですが、将来にわたって市民の皆様の暮らしをお守りするためにIRの実現に向けた本格的な検討準備が必要であると考え、予算の議決も頂きながら事業を進めております。現在、国もコロナ対策を徹底しながら、IR整備法に基づき国家プロジェクトとして引き続き基本方針の検討を進めております。IRが長期的な視点でコロナ終息後には、横浜経済の回復を牽引する起爆剤になると考えております。

【第二質問】

宇佐美議員:カジノ誘致について再度伺います。説明会は人数を減らして回数を増やすべきと私は提案しています。再度説明会を行うべきと考えます。伺います。横浜に進出しようとしているカジノ事業者のうち、ラスベガス資本が全て手を引いている現状をどう考えですか、市長は想定外だと思いますが、市長の見解を伺います。

林市長:IRの市民説明会ですけども、私が12区で開催した説明会、それから最後には6区の方には残念ながら申し訳なくできなかったので、DVDで近い形でも説明しましたけど、そういう形では、今現状難しゅうございます。無理だということを申し上げたいと思います。そのかわり、適宜にこれからも市民説明会は、やらせて頂く予定でございますので、状況が進捗したり、逐次、前からご説明しておりますが、また直接市民の方と向き合ってご説明するという、これは私が必ずしも出ていくとは限りませんし、そのお約束はちょっとできませんけども、そういうことは私どもの一緒にやっているIRのチームがご説明できると思います。また副市長が出る機会もあると思いますが、私としては、12区、残念ながらあと6区残りましたけど、こういう言い方は口幅ったいんですけども、丁寧にご説明したという気持ちは今のところ待っております。足りなければですね、今後の説明会で、本当にしっかりご説明するように努力を重ねてまいります。どうぞよろしくお願いします。

それからラスベガスの事業者が撤退したことについて、というご質問でございますが、今、私どもは今回の横浜市がIRをやろうということで、方向性を決めて手を上げたわけですが、それで事業者さんが何社もですね、参画したいと、それやりたいと手を上げていただいておりまして、その方たちが、今のところを撤退しているという事はないんですね。ですから、必ずしも、ラスベガスサンズさんはラスベガスでございますけど、その他を含めましてアメリカも含めて、事業者さんは手を下していないという状況でございます。

 

上瀬谷通信基地跡地の大テーマパーク構想は撤回し、自然を生かした当初計画へ見直しを

宇佐美議員:次は、旧上瀬谷通信施設跡地利用について伺います。

瀬谷区と旭区にまたがる242㌶に及ぶ旧上瀬谷通信施設は、2015年に米軍から返還され、未だに当時利用していた施設などが残っているものの、谷戸と田んぼや畑が残る、市内でも貴重な場所です。

本市が跡地開発事業を進め、広大な自然が残る当該地区を本市と相模鉄道が、地権者の意向・要望として125㌶を使い巨大テーマパークを誘致する計画が進んでいます。年間1,500万人もの集客をめざすために、瀬谷駅から約2キロの距離に鉄道を敷き、新駅を設けることまで計画を立て、先に環境アセスメントに対して市民意見を募集し、説明会を開催しました。私は、8月1日に瀬谷公会堂で開かれた説明会に参加しました。

参加された方々からは「工事中の交通渋滞に対しては、対策ができているのか」「もし、本当に、年間1,500万人も来場すると、渋滞がより一層酷くなる」と、住民のみなさんは、大変危惧しています。この心配はもっともです。東京ディズニーリゾートの実態から見て、土日祝祭日は、1万台の車が押し寄せることが見込まれます。私は、何度も現地へ視察に行っていますが、平日でも当該用地の北側を走る上下一車線の八王子街道は、トラックなどで渋滞しています。八王子街道から保土ヶ谷バイパスに入るための上川井インターチェンジの構造は、渋滞が不可避です。

本市は、更なる渋滞となることを見込み、その対策として八王子街道の拡張整備を計画しています。大渋滞を認識しているということが理解できますが、渋滞が常態化している当該地区に、渋滞を助長させる巨大テーマパークを持ってくる計画自体、間違っています。渋滞解消のために約1.9キロ間を拡張しても、その先では必ず渋滞します。そして道路拡張の事業費は、用地買収と移転補償を含めると数百億円にも及ぶと見込まれます。直ぐに移転に応じる所ばかりとは限らないことから事業期間も、相当時間がかかることが予想されます。そうなると、2027年の国際園芸博覧会の前後としている観光・賑わいゾーンの一部開業にも間に合わないと考えますが、どう考えているのか、伺います。

もう1つ、説明会に参加された方々からは、「たった2キロという距離なのに鉄道。花博が終われば、誰も乗らない」 「当初、LRTとしていたのでは?鉄道を敷くよりもバス路線を充実させてほしい」という声があがりました。もっともなご意見だと思います。上瀬谷ライン事業では、瀬谷駅を起点として、1.9キロは地下式となり、仮称上瀬谷車両基地までの0.7キロは、地上を走行するという計画になっています。約410億円の一大プロジェクトですが、ここには、車両購入費や車両基地の整備費用は、含まれていません。こんなに大掛かりな鉄道を敷いても、国際園芸博覧会が終わり、テーマパークが廃れた時には、負の遺産となることは、明らかです。上瀬谷ラインについては、本格事業化は見送り、国際園芸博覧会用としては、博覧会の費用で賄える簡易な仕様を検討するべきと思いますが、どうか伺います。

平原副市長:土地利用計画に対する渋滞対策についてですが、将来想定される交通需要に対応するため、新たな交通の導入と道路の新設や拡幅整備などを早急に進めることにより、周辺の交通機能強化を図ってまいります。新たな交通の整備についてですが、旧上瀬谷通信施設では国際園芸博覧会の開催が予定されておりますが、博覧会後の街づくりに伴う交通需要を見据え、将来的に持続可能な新たな交通について、新交通システムを想定して導入の検討を行っております。

宇佐美議員:そして、コロナ禍において、人が集まるということを避けなければならない時代になり、年間1,500万人を移動させ、集めることに対して、行政が民間事業者のために、区画整理事業に590億円の事業費、さらに先の道路拡張関連事業費を出そうとしていることも納得できません。民間が運営する巨大テーマパークを誘致するため巨額の市費を投じてまで行う『必要性』とテーマパーク事業者の誘致に失敗や事業の破綻というリスクについての認識を伺います。

平原副市長:テーマパークに税金を投入する必要性とリスクですが、本地区は米軍施設として利用されてきたため、戦後約70年間にわたり、インフラの整備がほとんど行われておりません。この地域にふさわしく、地権者の皆様が望む土地利用の実現のためには、インフラの整備を行っていくことが重要でございます。その事業費につきましては、本市負担のほか、国の補助金や地権者の負担を想定しております。テーマパークの建設費については、民間事業者の負担を想定しております。

宇佐美議員:そして、公有地まで提供し、エネルギーを大量に消費する巨大テーマパーク構想は撤回し、今の自然を活かした農・緑・防災をメインにした計画に見直すべきです。市長は、その立場に立つ気はないのか伺います。

林市長:テーマパークを撤回し、計画を見直すべきとのことですが、今年3月に策定した土地利用基本計画では、テーマパークを核とした複合的な集客施設の立地の他、防災機能の強化や豊かな自然環境を生かした土地利用を位置づけ検討を進めています。都市とみどりや農業のバランスの取れた新たな街づくりを進め、郊外部の活性化拠点を結成して行きます。

【第二質問】

宇佐美議員:テーマパークについて伺います。運営する事業者も決まっていないにも関わらず、1000億円を超える事業を推進するのは順番が滅茶苦茶だと考えますが、市長の認識を伺います。

林市長:テーマパークに1000億という、その順序が違うんじゃないかっていう話でございますが、これは基盤整備にかかる上瀬谷の金額でございますので、テーマパークをこれで実際に作るということではございません。

 

新劇場の建設計画は、必要性についての議論を仕切り直し、立ち止まって見直しを

宇佐美議員:次は、新たな劇場について伺います。

 『横浜市新たな劇場整備検討委員会』の答申を受けて、2つの検討部会が設置され、横浜に劇場を整備するために必要なハード面とソフト面での突っ込んだ論議がされているようですが、この論議で一番大事な視点が欠けています。昨年の第4回定例会で、私は市長に対し劇場の設置には、オペラやバレエの需要がどれだけあるのかの調査が必要と求めましたが、市長は、お答えを避けました。

土地取得に約135億円など巨額の市費が投入されて整備される劇場が本当に多くの市民が利用するのか不確定のまま議論を進めて良いはずがありません。本当にバレエとオペラを横浜で観たいという市民がいるのか調査をするべきと考えますが、どうか伺います。

検討部会では、2,500席の劇場をめざすことが議論されていますが、コロナ禍で人と人との距離を保つためには、相当大きな箱を造らなければなりません。箱を大きくするとなると、音響の面では、地声で舞台に立つ演者さんの声が聞こえるのかということも懸念されます。音響設備が悪ければ、上演団体に選ばれる劇場にはなり得ません。そして、コロナ禍で上演団体の移動が難しく、一層の困難があると予測されます。

検討委員会による整備推進の答申が出たのは、新型コロナの感染拡大の前のことです。新国立劇場と肩を並べる様なアジアの拠点となる劇場をめざすとしたら、数百億円規模の事業費となります。ランニングコストも数十億円となります。コロナ禍によって市財政はより厳しくなるのは、避けられません。

劇場を検討する前提条件が一変した今、その必要性についての議論は仕切り直しすべきです。今、何も急いで劇場を造る必要はありません。コロナの収束が見通せないなか、今一度立ち止まって、考え直すべきです。どうか伺います。

林市長:新たな劇場の整備についてご質問いただきました。バレエやオペラを見たい市民の皆様が、どの程度いるか調査すべきとのことですが、検討に必要な調査として有識者による検討委員会の指導・助言をいただきながら、市民意識調査など既存調査の活用やバレエ・オペラなどの実演団体、各地の劇場へのヒアリングなどを行ってきました。新たな劇場は横浜の恵まれた立地条件から優れたプログラムを継続的に上演することにより、集客できると考えています。

宇佐美先生、大変、どのくらい市民の皆様がバレエやオペラを見たいと思われているか、当然ながら横浜市の税金で、国のご支援をいただくようにずっと話しを進めておりますけども、当然ながら税金を使うということでございますから、市民の皆様にどれだけですね、ご関心があるかということのご質問かと思いますけれども、ご承知のように東京都上野にございます東京文化会館はですね、日本の中で最大限、海外からいわゆる引っ越し講演と言われるオペラやバレエ団がまるごと来た場合にも対応できる、客数もですね、2000席を超えたそういう劇場でございますけれども、必ずしも東京都民の方だけではなく、地方の皆様ですね、そこでしかほとんど見られないということで、海外のオペラ等も含めてですね、沢山の方が、いろんな方たちが東京文化会館にお集まりでございます。そういう意味でも、当然ながら横浜市民の方たちが一番ご覧いただきたいわけでございますけれど、それだけじゃなくて広い範囲で、日本全体の、特に本当に東京に離れた地域でご覧なれない方って、そういうリクエストが多いそうです。私、指定都市市長会の会長を長くやらせていただいてますが、各自治体で持ってらっしゃる劇場のトップの方もそういうことをおっしゃっております。規模は、大きな講演ができないんだっていうことでございますので、そういう意味でも、横浜で考えている劇場はですね、そういった責務も果たせるのではないかと思います。

しかし、そのためには何より一番大事なことは運営でございます。持続的に、要するにしっかりした運営が重要でございますので、そういう意味では、有識者による検討委員会とか、全国各地の劇場等との勉強会は、いろんなご意見伺いながらやってるところでございまして、引き続き、検討を深めていくというとこでございます。

劇場の必要性について今一度考え直すべきとのお話でございますが、今年度の検討委員会を始めるにあたり、まずポストコロナを見据えた新たな劇場整備のあり方について議論が行われました。デジタル技術の導入や劇場同士のつながりの強化、そして観光賑わいの創出による経済再生の貢献、また財政条件をふまえた公費の負担などについて、新たな視点を取りまとめて頂いたところでございます。新たな劇場整備はポストコロナの横浜の成長と発展を支える大切な取り組みとして、引き続き検討を進めてまいります。

【第二質問】

宇佐美議員:新たな劇場について再度伺います。市民意識調査は「コンサートに行く」などでバレエ・オペラではありません。ニーズ調査はしっかりと、バレエとオペラが本当に横浜で見たいかを調査するべきです。先ほども申しましたが、土地取得、建設、運営コストなどに多額の資金を投じることも市長は市民に一切説明していません。ニーズ調査をしない理由と説明をしない理由を合わせて伺います。

林市長:劇場のニーズ調査でが、重ねてお話しさせていただきますけども、オペラとかバレエのニーズがあるのかという、その劇場に行くか行かないかとか、そんなようなニーズ調査っていうのがあったんじゃないかと、直接そこに劇場に行きたいという中に、オペラであるとか、バレエであるとかは入ってないんじゃないかというご質問だとお聞きしました。残念ながら、逆に横浜市はそういう劇場がないということで、本当に東京の方に行かれるんですね。渋谷は再開発が進みまして、シアターコクーンとか、オーチャードとか、東急の文化村っていうのは昔からつくられて、近年ではシアターオーブというミュージカル専門劇場ができました。

ということで、本当にそういったエンターテイメント系であるとか芸術的な催し物というのは、東京に行かないと、ほぼ見られないという状態だと思います。横浜市が持っている劇場は、関内ホールですから、1000席ちょっとですね。あとは、神奈川県民ホール、神奈川芸術劇場KAAT、ここも1000席ちょっとですから、大規模なことはできません。県民ホールっていうのも、本当にいろんなもの、楽しいエンターテイメントも、エンタの催しとかね、そういうこともやれば、本当にバレエをやったりオペラをやったり、もう色々なことを貸し劇場的に県がほぼ運営してるということは、自主公演もたまにありますけど、ということで、横浜は375万人の大都市です。東京に次ぐ大都市ですけど、残念ながら、他の指定都市市長会のお持ちになってる、札幌だとか素晴らしいのをお持ちですけども、そういうのはないんですね。だから、色々な意味で、子ども達の将来を文化芸術の大切さということも、もっともっと皆さんにお伝えしていくべきで、国もですね、今回の横浜市の劇場については、反対ではないんですね。ご賛同いただいて。省庁的には大変、大いに結構ですよいう省庁もあってですね、やってほしいと応援したいと皆さん言ってくださっているところもあります。

引き続き、市民の皆様にご理解を賜れるよう、それから国にも強くお願いしていく、ちょっと私、先生が市民に全く説明してないんじゃないかっていうのは、ちょっと残念な気がしまして、この議場の中で、何度も何度も今お話をしているわけで、ただそれがやっぱり本当に伝わらないというのは、この行政の、市民の皆様にそれをお届けするのは非常に難しいのだなと、改めて、そこは反省材料です。ですから、これからもっともっとこのことをご説明、それから議場の中でもこのようなご質問等々で議論させていただくことによって、皆様に周知をしていって、ご理解を賜りたいと。まだまだ劇場建設というのは相当な時間がかかりますので、そんな気持ちで、今のところは議論を続けさせていただきたいと考えております。

 

5人に1人しか食べられないハマ弁の「給食化」ではなく、みんなが食べられる中学校給食を

宇佐美議員:最後は、中学校給食について伺います。

来年4月から、ハマ弁を給食にするとし、7月から区ごとに事業者を募集し、現在事業者の選定が行われ、事業者を決定したのち、5年間の契約を結ぶと聞いています。問題は、ハマ弁を学校給食にすると言いつつ、目指している喫食率は、当初のハマ弁開始時と同じ20%という低さです。この低さに、子育て真最中の友人から「これでは給食とは言えない」と言われました。たった20%の喫食率でどうやって食育を推進するというのかというのも甚だ疑問です。

8月21日、党市議団として、文部科学省と農林水産省から中学校給食と食育についてのレクチャーを受けました。その際、「横浜が来年4月からハマ弁を給食にすることを決めましたが、20%という喫食率で、5人に1人しか食べられない物を給食と呼ぶのか?」と質問したところ、文科省の担当者は『学校給食実施基準(文科省告示)』の第一条「学校給食は、これを実施する学校においては、当該学校に在学する全ての児童又は生徒に対し実施されるものとする」ということを示し「国としては一部の生徒がというのは、どうかと」全員喫食が一番望ましいと言われました。

全国では、選択制の、デリバリー給食から全員喫食の給食に切りかえる事例が続いています。大阪市に続いて堺市でも、全員喫食の給食が実施されます。お隣の町田市は、現行のデリバリー方式を見直し「新たな給食の提供方式についても検討を始める」と市長が表明。県内の愛川町でも、近くの小学校で調理したものを運ぶ親子方式で全員喫食の給食が9月4日からスタート。大磯町も議会の同意はこれからですが、自校調理方式を町長は提案しています。これらの自治体がデリバリー給食を全員喫食の給食に切りかえた理由は、生徒から選ばれなかった現実を、責任を持って受け止めたからです。

農林水産省が、第4次食育推進基本計画作成にあたって主な論点を示しています。食育については、「学校で提供される給食は、栄養バランスのとれた食事を提供することにより子どもの健康の保持増進を図ることに加え、食に関する指導において「生きた教材」として活用され、子どもたちに、食事の重要性、心身の健康、食品を選択する能力、食生活が自然の恩恵の上に成り立っていることへの感謝の心、社会性、食文化などに関する資質・能力が育成されることが目指されている」と謳われています。お弁当を選ぶか選ばないのかの選択肢しか与えていない本市については、耳の痛い話ではないでしょうか。僅か20%、最大でも30%しか対応できないという、低い喫食率の設定で、本当に生徒に給食を実施していると、胸を張って言えますか、伺います。

林市長:中学校給食についてご質問いただきました。20%の喫食率で給食と言えるのかについてですが、学校給食法では全ての生徒に対し実施されるものと規定していますが、これは努力義務でございまして、地域の実情等を踏まえて、各自治体が判断されるものとされております。昨年のアンケートで選択性が評価されていることや、自ら選択する力を身につけるという食育の観点からも、全員喫食でなく、選択制のデリバリー型給食として実施していきたいと考えております。

宇佐美議員:そして、先に述べた第4次食育推進基本計画作成にあたっての論点の中でも「学校教育全体を通じて食育を推進する必要がある」と『学校給食の充実及び食育の推進』の中に書き込まれています。本市は、中学校給食を実施しても、全員で同じものを摂取していないのですから学校教育全体を通じて食について学ぶことができません。全員喫食の給食でないため保健体育、家庭科での食育は、座学が中心となります。ハマ弁で食育というのでしたら、5人に1人しか食べられないなか、どう教えていく考えなのか伺います。

鯉渕教育長:中学校給食についてご質問いただきました。選択制の給食での食育の考え方ですが、これまでも中学校では、家庭科の授業や保健の授業などの教育活動を通じて、食育を実践しています。加えてデリバリー型給食の実施を契機に、献立を活用した食育指導や、小学校の栄養教諭による食育指導などより一層強化し、食育の更なる推進を図ってまいります。ご質問の中で、自校調理方式や親子方式に切り替えている自治体の紹介がございましたが、令和3年度以降の方向性を検討するにあたりまして、物理的にそうしたことが可能か、私どもも検討した結果、いずれの方式でも実施は困難という結論に至りました。

また、新たにデリバリー方式の給食を導入している自治体もございまして、必ずもデリバリー方式は失敗しているものではないと考えております。


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