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■討論 【みわ智恵美】 2020年9月16日

日本共産党を代表し、市第28号議案、市第52号議案には賛成し、市第40~45号議案には反対の立場から、また、請願第39号、40、41、42、43、44号については採択すべきとの立場から討論します。まず、市第52号議案令和2年度横浜市一般会計補正予算第3号です。

今回の補正予算では、コロナ感染症対策として、より多くの市民が身近な場所でPCR検査を受けられるよう、検査を実施する診療所等に助成金を出す事業をはじめ、中小企業の「新しい生活様式」対応支援事業、修学旅行支援事業では、行事中止に伴い発生しているキャンセル料の公費負担など盛り込まれており、確実な実施が望まれます。

ただ、コロナ対策以外の事業補正で、中学校給食準備事業がありますが、横浜市が初めて学校給食法に則った中学校給食実施については、見過ごすことができない点があります。

来年度から横浜市は、工場でつくった弁当を配達する選択制デリバリー型給食を始めますが、私たちは、全国では、学校調理方式等の全員喫食の給食に切りかえる事例が続いていることを、繰り返し述べてきました。しかも、学校給食でありながら、市教育委員会は喫食率目標を2割とし、最大で3割の生徒への供給しか見込まれないとしています。

文部科学省告示の「学校給食実施基準」の第一条に「学校給食は、これを実施する学校においては、当該学校に在学する全ての児童又は生徒に対し実施されるものとする」となっていることは、教育長も議会の場で述べられました。

学校給食は、食に関する指導において「生きた教材」として活用され、みんなで一緒に同じものを食べて、食事の重要性、心身の健康、食品を選択する能力、食生活が自然の恩恵の上に成り立っていることへの感謝の心、社会性、食文化などに関する資質・能力が育成されることを目指しています。横浜市においても、中学校給食へと舵を切る今こそ、全員喫食の学校調理方式へと本格的に舵を切られることを要望いたします。

次に、コロナ感染症拡大への対応についてですが、私たち党市議団が、「世田谷方式」にならって、「誰でも」「どこでも」「何度でも」無料で検査が受けられるようにと申し入れを行った際、横浜市は、「感染拡大が起こってしまった時に、重症化のリスクが高い高齢者施設や学校、保育園などの対応に集中している。人も金も限られており、PCR検査体制を強化することが効果的なのか考えている。地域を指定してローラーをかけるようなやり方は現実的ではない」と答えられました。

しかし、コロナの抑え込みに成功している国は、大量検査と陽性感染者の保護を実行しています。

それは新型コロナウイルス感染症が、発症前でも感染能力があると分かっているからです。いかに無症状の感染者を早い段階で捕捉して保護・隔離していくかが市中での感染蔓延を防ぐカギです。

現在、横浜市では、小学校や保育所などでクラスターが発生し、全国的な第二波の収束傾向とは異なっており、コロナ感染症対策の抜本的な転換が求められています。ですから、学校などでの感染が確認された場合は、その地域に検査体勢を集中的に強化して、感染拡大防止に取り組むことが必要ではないでしょうか。

そして、医療・介護・福祉施設などでの徹底検査ができるよう、国にも更なる財源を求めて進めるべきです。

また、県内の医療機関からは、コロナパンデミックは、患者離れが続き経営状況が悪化していて、公的支援が乏しい状況が続けば医療崩壊が起きると繰り返し危機感が表明されています。市長は、コロナ患者の受け入れがない医療機関でも経営が厳しい状況にあることは十分に把握していると述べられました。

今回、第二次補正予算に続いて財源として本予算に踏み込んでいますが、十分とは言えません。

今後インフルエンザの流行時期も重なる中では、第四次のコロナ対策補正を組むことと考えますが、横浜市として財源をさらに生み出して、取り組んでいくことが求められています。

林市長は、9月2日の定例記者会見で、我が党が「断念・中止・見直し」を求めている「IRカジノ誘致・新たな劇場建設・上瀬谷跡地利用」などの関連予算の減額の可能性について、状況をみながら減額できるならばしたいと「担当者に言っている」と答えられました。

コロナ禍で、国も基本方針を出せないカジノIR誘致、オペラ・バレエのニーズ調査抜きに強力に進められている新国立劇場並みの新劇場建設の暴挙、相鉄が運営しようとした上瀬谷跡地のテーマパークの相手側が撤退という事態の中で、これらにつぎ込んでいる人員や予算の在り方は見直されて当然です。担当者まかせではなく、市長ご自身が決断されるべきです。

市第28号議案 小児の医療費助成に関する条例の一部改正は、本市の小児医療費助成制度のうち、1・2歳児分のみ所得制限を外し、一部負担金が1回500円徴収されるものです。一部ではありますが、所得制限を外すという方向に本市が足を踏み出したことは評価できるものです。

市民は所得に応じて納税していますが、受けるサービスに差があってはなりません。そもそも、所得制限は公平性を欠くものです。

また、一部負担金については、市長は、相変わらず「厳しい財政状況の中、持続可能な制度とするため」と繰り返していますが、横浜市だけが特別に財政状況が厳しい状況にあるわけではありません。本市が真に子育て世代を応援するならば、慢性的な病気を持つ子どもの受診頻度が高い実態や、500円の負担は決して軽くない子育て世帯の生活状況を踏まえるべきです。

本市の小児医療費助成制度の対象年齢全ての所得制限を撤廃し、18歳まで拡大すること、現在の小4以上も含めて 500円までの一部負担金はやめる方向へと進むことを強く求めます。請願第42号は「小児医療費助成の拡充について」ですが、今述べた理由により採択すべきと考えます。

次は、リニア残土受け入れのための市第40号~45号議案の新本牧ふ頭建設工事請負契約の締結についてです。 

市長は、新本牧ふ頭は、横浜港の将来を担う新たな物流拠点として着実に整備を推進するとのことですが、データを何も示すことなく、港をつくれば船が来るだろうというのは願望で、さらに巨額を投じて建設するということは問題です。冷静に考えるべき時ではありませんか。

リニア中央新幹線の整備との関係について問われた市長は、「首都圏区間の発生土の埋め立てに有効活用するもの。環境影響評価等の法令に基づく手続きが 適切に実施されたと認識しています」と述べ、問題となっている、自然・住環境破壊や、超高速で地下を走る安全性の疑問、地震など大規模災害時の乗客の避難の仕組みなどの懸念の声が全く耳に入っていないかのようです。

また、リニア開業に伴い東海道新幹線の新横浜駅に停車するのぞみが 減便になるなど、市民の利便性の低下の問題も他人事です。国民的合意のないリニア新幹線整備の建設発生土を受け入れる協定となっており、認めることはできません。

次は、請願についてです。

まず、請願第39号は、「カジノIR誘致計画の撤回及びカジノに依存しない新たな事業計画の策定について」です。

市民からの請願の主旨を受け止めて不採択ではなく採択すべきです。

請願第40号は「上郷開発に関わる安全問題の検証について」です。市民は、上郷開発の結果、発生する水害の頻度と規模が増大するのではないかと心配をしているのです。

改めて検証をすることが求められており採択すべきです。

請願第41号は「敬老特別乗車証制度の見直しの凍結」についてです。

「敬老パスあり方検討会」は、現在の敬老乗車証制度の見直しにあたって、バス事業者に 重い負担を強いている現状の解消を求める答申を出しました。

しかし、コロナ禍は、市民、高齢者の生活を直撃し、外出自粛、通院・介護自粛などにより、高齢者の敬老パス利用は減少・変化しています。ですから、高齢者の生活が日常に戻り、公共交通機関や敬老パスの利用が平常化されるまで、とりあえず2021年10月に予定している「敬老パス制度」の見直しを凍結して、当面、現状の制度を維持することを求める市民の請願は当然のことであり、採択すべきです。

請願第43号は、常任委員会では全会派賛成で採択されている「学童保育(放課後児童クラブ)における安全・安心な居場所の充実に向けての請願」についてです。

新型コロナウイルス感染症の状況下で、229カ所の学童保育ではどこも懸命にこどもたちの放課後の安全安心に取り組んでいますが、その中で、5カ所の学童保育所では、今年度中に耐震化の基準適合に向けた取り組みが完了しなければ、2021年度からの運営費補助が受けられなくなるかもしれない不安に苦しんでいます。

現実的には、横浜市内における家賃は明らかに地域によって違いがあるにもかかわらず、一律15万円の家賃補助が上限です。

これがネックのひとつとなって移転は困難を極めているのです。

今回、横浜市は、放課後キッズクラブ事業の質の向上に向けて取り組むとしています。これまでキッズクラブでは、留守家庭児童への「生活の場」を提供し健全な育成を図ることが、十分できていなかったとして、支援を強化するとしています。

まさに、留守家庭児童に「生活の場」を提供し、健全な育成を図ってきたのが学童保育です。

この「生活の場」が危機に瀕しているのですから、学童保育の継続に市として責任をもち、移転が実施できるようにするべきです。

請願第44号は「建設技能者の育成強化のための施策等について」ですが、この請願も、常任委員会で全会派の賛成によって採択されました。請願では、近年、若年入職者の減少が続いており、近い将来には住宅建設のみならずインフラの整備や、頻発する台風や震災など災害への対応が困難となり、市民生活に対してきわめて深刻な事態が予想されることを訴え、事態の抜本的な改善に向けて3つの要望が出されています。

建設労働者の賃金・労務単価の引き上げなどで、技能者の就労環境の改善や安定した生活基盤の確保につなげること、建築大工等の育成の支援をはかること、外国人や女性の就労環境の改善も求めています。

また、建設アスベスト被害の根絶に取り組むとともに、「建設アスベスト被害者救済基金」の創設など、被害者の救済を図る施策の推進を求めています。

どれも、横浜市内地域の経済の発展と 市民生活の安全安心な暮らしを支える建設技能者の育成と持続可能な建設産業強化のためであり、議会としても市政の重要課題として取り組んでいく必要があると思います。

以上で討論を終わります。