議会での質問・討論(詳細)
2020年11月27日

■「議案関連質問(給料条例関係)」 あらき由美子 11月27日(金曜日)

林市長:私は日本共産党を代表し、市第56号議案 横浜市職員に対する期末手当及び勤勉手当に関する条例の一部改正について市長に質問いたします。

今回の条例改正は、市の人事委員会から、昨年8月から本年7月までの民間企業における特別給・賞与の支給の状況調査等を6月29日から7月31日に実施した結果、市内民間事業所従業員の特別給の支給実績は、年間で所定給与月額の4.47月に相当しており、現行の本市職員の期末・勤勉手当の年間支給額4.50月より0.03月分下回っていることから、民間との均衡を図るため、0.05月引き下げるべきとの勧告に沿ったものです。その影響は市職員32,945人に及び、平均年齢40.5歳で試算すると約1万9千円の減額となります。今回は新型コロナウイルスの影響が少ない時期での民間給与との比較なので一時金のみの0.05月の減額にとどまっていますが、心配なのは来年で、新型コロナの影響により、基本給が大きく下がることが予測されます。

また、新型コロナ感染症が増え続けている今日、その影響は労働者に留まるものではありません。市内中小・小規模事業者は、営業そのものが成り立たななくなるという危機に立たされています。営業されている事業者はもちろん、民間の病院や医院などの医療従事者なども新型コロナ感染症による影響を受け、存続そのものが危ぶまれているところも少なくないと市医師会等から聞いています。これら新型コロナの感染症が増え続けている現状から、市長は国へ交付金等の増額を要望しているとのことですが、十分とは言えません。引き続き、それぞれの実態に合わせた対応が即刻できるよう、この際、強く要望するものです。

今回の条例改正により、今年度から制度化された会計年度任用職員 5000人への一時金も、同様に引き下げされ、その額は平均して年間9000円と聞いています。

しかし、「会計年度任用職員」は、基本給は市職員と比較して低く抑えられ、平均月額は18万円で何年働いても退職金は出ません。本市職員と同様に市民サービスの担い手として働いている会計年度任用職員は、もともと低い賃金の上に一時金も引き下げることについて、到底認めることはできません。せめてその差額を埋めるために、横浜市会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例を改正し、一時金が減額とならないようにすべきと考えますが、市長の見解を伺います。

厚生労働省は先月の自殺した人数について年代別の情報を24日公表し、女性の20代と40代が去年の同じ時期と比較して2倍以上に増えていることがわかり「新型コロナウイルスの影響が長期化する中で、仕事や育児などの悩みが深刻化している可能性があり、ひとりで悩みを抱え込まずに相談してほしい」と呼びかけています。新型コロナウィルスの影響で仕事がなくなり、生活ができなくなっている人たちが増えている今こそ、国や自治体が積極的に支援をすることを強く求めるものです。

新型コロナの感染が拡大した4月、対応にあたっていた職員の3人に一人が過労死ラインを超える時間外勤務をしていたと新聞で報道されています。市の労務課によるとダイヤモンドプリンセスが横浜港に入港し、市内で初めての感染者が確認された2月から担当職員の残業が急増し、残業がピークを迎えたのは、第一波が襲った4、5月で応援を含む職員1人あたりの平均は4月は67時間、5月は68.9時間だった。残業時間が最長だった人は、4月で217時間、5月で173時間に達したとのことで、健康安全課はその後も人員を増員はしていますが、新型コロナが収束せず、感染者が増え続けている現在、その対応に追われていることに変わりはありません。

また、南区の福祉保健課の実態は、11月20日時点の報告で一週間での感染者が71人も増え、その対応に追われています。感染者の報告があると、濃厚接触者を特定、追跡するための聞き取りをし、その状況でPCR検査や入院の調整をするなど、実務に追われています。区の担当は保健師4人係長1人、そして他の課からの応援が1日1人から2人が入っていますが、この体制では超過勤務をしてもその日で終わらないため、人材派遣から看護師を平日1.5人依頼して、対応していると聞きました。それでも夕方から、濃厚接触者の報告があると、また忙しくなり、土日も出勤するので、代休の消化もできない状況だと聞いています。このような状態がずっと続いていることから、職員の疲弊は相当なものと推測できます。 感染経路や疫学調査などに対応し、過労死ラインを超え時間外勤務になっている健康安全課をはじめ、区福祉保健課職員の増員は待ったなしです。

そのほかにも、新型コロナの影響で外出規制や在宅ワークになったことで、家庭ゴミの量が増え、ごみ収集職員の仕事が増えています。また、消防職員をはじめ介護や保育など人とかかわる職員は、施設内の消毒業務などの実務労働や精神的負担も増えています。教職員も同じです。市民の命と暮らしを守るために最前線で働く職員の一時金を、今回の提案で一律に引き下げることは、問題です。

日本赤十字社医療センターが、今年の4月から5月にかけて、約2000人を対象に、新型コロナウィルスの患者の対応にあたった医療従事者の精神面への影響について調査を行った結果、医師や看護師など3割近くがうつ状態になっていたと報告されています。医療従事者にとって、新型コロナウイルスと向き合うことがどれほどストレスになっているかが、わかります。

また、このような実態から、国の制度として、医療従事者に対し慰労金が支払われることになり、市大附属病院や市民病院なども申請をしているとのことですが、支給は来年以降とのことです。今回の一時金減額の改正案は、市大附属病院や市民病院などの医療従事者にも影響すると聞いています。病院や診療所などで働く約17万人が加入する日本医療労働組合連合会(医労連)は26日までに、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、医療機関の4割超が看護師らの年末賞与を昨年の冬より引き下げたとする調査結果が報道されています。

医療の最前線で必死に働いている当事者からすれば、民間医療機関も同様で、一時金の一律減額は納得できるものではありません。この点についての市長の見解を伺い私の質問といたします。

林市長:荒木議員の御質問にお答え申し上げます。
市第56号議案について御質問いただきました。
会計年度任用職員の一時金が減額とならないように条例を改正すべきとのことですが、会計年度任用職員の期末手当については、国と同様に常勤職員に適用される制度を基本としております。従前の非常勤嘱託職員と正規職員が同様の支給月数としていたこと等を踏まえ、今年度から導入した会計年度任用職員についても正規職員と同様の支給月数としております。
一時金を一律に減額する改正は行うべきではないとのことですが、医療従事者のこの間の使命感と責任感に基づいた働きぶりには私としても心から感銘し、そして感謝をしています。一方で、官民を取り巻く厳しい社会経済情勢も踏まえました期末手当については、人事委員会勧告を尊重し、改定を行うべきと考えています。
以上、荒木議員の御質問に御答弁申し上げました。

あらき議員:お答えをいただきました市長の答弁について再度質問させていただきます。
まず、会計年度任用職員の一時金カットについてです。
地方自治法上は、勧告があったにせよ国と同様の扱いをすると言っているだけで、その裁量権は市長にあります。市長が本当に会計年度任用職員の今の現状の本給の低さを鑑みて国と追随することが正しいという判断に至った経緯、御本人の意思でどう判断されたのか、明確にお答えください。
続いて、医療従事者をはじめとする市職員の働き方改革についてです。
今回の一時金減額について、本当に最前線で働いている職員たちを応援するのであれば、これも同様に人事院勧告そのままを規定するのではなく、現場の声も24日の対策本部会議で市長は聞いているはずです。最前線で頑張っている職員を応援する意味でも減額措置をしないことは、これも地方自治法上では明記をされている、人事院勧告に従うことはそれは努力義務であって、市長の判断ではその点を改善することは余地はあるはずです。そのこともきちんと審議をされたのか、この2点について明確にお答えをください。

林市長:ただいまの荒木議員の御質問にお答え申し上げます。
昨今のこのコロナ禍での状況、もう議員も十分御承知だと思いますけれども、いわゆる事業者さんの苦闘、そして飲食店等、大変お客様が減って苦しんでいらっしゃいます。それに対しても横浜市としては何とかお支えするために、先生方も御承知のような政策をやっているところでございますけれども、今回はいわゆる現状のコロナ禍で経済的に苦しむ人たちの状況、それも民間の大変ボーナスの少ないところがたくさんあるわけでございます。それに基づいた人事院勧告でございますから、私としてもこの勧告を考えまして、私の意思としても、今回は減額という人事院勧告に従おうと考えたわけでございますから、しっかりと考慮した上での決断でございます。
以上、御答弁申し上げました。


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