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■討論 宇佐美さやか議員 2020年12月17日

日本共産党を代表し、水第4号議案、市第87号から市第89号議案、及び、市第91号議案、92号議案、98号議案に反対の立場、市第67号に賛成、そして、請願第52号から第58号まで7件の不採択に反対の立場から討論を行います。

コロナ禍で水道料金の値上げを強行するな

はじめに、水第4号議案 横浜市水道条例の一部改正及び、請願第56号についてです。

水道施設の更新・耐震化のために増大する費用を市民に負担させるため、水道料金を平均改定率12%として、値上げする議案です。

現在、本市も新型コロナの第三波が襲来し、市民のみなさんは、引き続き手洗い、うがいをこまめに行う必要があります。この行動は、主に水道水を使わなければできないことです。全国ではコロナ禍により約4分の1の世帯が収入減に苦しんでいます。とくに自営業者の生業が深刻です。そんな時期に値上げすることは、市民生活を増々苦しめることになり、到底受け入れることはできません。

他都市は、コロナ禍で仕事が減り、収入が少なくなる市民のために水道料金の減免措置を拡充しています。

神奈川県秦野市では、本市同様の水道事業自体の苦しい現状を訴えながらも「休校や外出自粛により家計の負担は増え、店舗の営業自粛や企業の倒産や自営業者の廃業が続けば、水道水の需要も減少することにつながり、将来における私たちの経営にも悪い影響を与えかねません」として、本年6月から9月までの期間で、水道料金の一部を減免しています。そして、本市同様、2021年に水道料金の引き上げを予定していましたが、少なくとも1年以上延期することを市長が表明しています。

水道事業は、どこの都市も同じ様に、水道施設、設備、管路の更新・耐震化は待ったなしの状況ではありますが、今、感染拡大防止のために頑張っている市民の命と生業を守る立場で、多くの自治体が免除・減免の措置などを行っているのですから、本市も、その立場に立つべきです。それすら行わないで、値上げを強行することは、住民の福祉増進をはかるための地方自治体の存在意義の否定であり認められません。

請願第56号は、水道料金の福祉減免制度を拡充し、低所得者、生活困窮世帯の負担を軽減してほしい。医療・介護、社会福祉事業者を対象とした減免制度を創設してほしい。個人・小規模事業者に対する負担軽減策を講じてほしいと切望しています。この請願は、水道料金の値上げによる市民生活への打撃を非常に危惧していることから出されたものです。この請願を採択し、市民生活を支援する態度を各議員が表すことを求めます。

本市は、水道事業の独立採算制にとらわれていますが、これを規定している『地方公営企業法』は、高度経済成長期には、有効だったのかも知れませんが、これから人口減少時代をむかえるとして、水道事業を縮小していく時代になっており、その根拠が成り立たなくなっています。

地方公営企業法第17条の3「一般会計からの補助ができる」この規定にそって、水道インフラ更新に一般会計からの全面的な繰り入れを行うことを多くの市民が賛同し歓迎するはずです。考えを改めることを強く要望します。

不安定雇用を広げる指定管理者制度は問題

次は、指定管理者の指定に関する市第87号から89号及び、91号、92号までの5件の議案についてです。我が党は、指定管理者制度は、指定期間が設けられていることから、そこで働く方々の雇用は、期限付きとなり、不安定雇用になることが必然であることから反対しております。

横浜市生活自立支援施設はまかぜや横浜市スポーツ医科学センターなどの5施設は、利用者一人ひとりに寄り添い対応できる専門的知識と経験を必要とする施設です。しかし、指定期間は他の施設と変わらない5年としています。あまりにも短すぎます。これでは、事業者は安心して運営することができません。そこで働く方々も同じです。もっと事業者を信頼するべきと考えます。

横浜版GOTOは直ちに中止し、直接支援に振り替えよ

次は、市第98号議案 令和2年度横浜市一般会計補正予算 (第4号)についてです。予算化された施策は、1件を除いては、不十分さはあるものの、市民と関係者にとって必要なものであり、賛成です。問題の1件は、市内観光とMICE復興支援事業、いわゆる横浜版『GoToトラベル事業』への2億円の予算計上です。その内容は、助成付き日帰り旅行商品の企画・販売や宿泊旅行商品へのクーポン付与による横浜への旅行需要喚起を継続し、引き続き、市内観光・MICE事業者を支援するため補助金を追加するというものです。12月14日、菅首相は「GoToトラベル事業を今月28日から1月11日まで全国一斉に停止」と表明しました。4日の議案関連質疑で、市長は「今後、感染拡大により旅行の制限等が必要な場合は、国の運用変更に合わせて柔軟に対応」と答弁しました。文化観光局は、国にあわせて商品の販売を止めると聞いていますが、人の移動を人為的に促す事業は、感染拡大防止に反することから、この事業を中止し、市内の観光業、ホテル・旅館業を営む中小企業・個人事業者などへ直接支給することを求めます。

中学校給食は、みんなが食べられる学校調理方式で設計を

次は、市第67号議案 横浜市学校給食費の管理に関する条例の一部改正です。2021年4月から中学校給食を実施し、その給食費の上限を1日あたり330円にするというものです。

学校給食法に基づいた中学校給食の実施であり、それ自体は、市民要望に沿うものです。しかしデリバリー給食でスタートを切ることに対し、20%、最大でも30%という喫食率目標について市民合意は得られていません。

12月4日の議案関連質疑で「公平性の観点から全員喫食にすべき」という我が党の質問に対し鯉渕教育長は「全校実施が唯一可能な選択制のデリバリー型給食を実施。この方式は、希望する全生徒が利用できる仕組みになっている。公平性は担保されている」と答弁していますが。喫食率20%、最大でも30%しか対応できない、つまり全生徒分を作ることができないのを承知で「全生徒が利用できる」と言っていること自体、認識を間違えていると言わざるを得ません。70%の生徒は、食べられないという現実をしっかり認識してください。そして「30%の供給体制では、給食法の趣旨と矛盾しているがどうか」という質問には「学校給食法の実施基準は、努力目標」と、答弁しました。努力目標とは「努力しなければならない」という意味で「努力しなくてもいい」という意味ではありません。大阪市や堺市のように、全員喫食こそ今日的な給食であり、市民要望に叶うものとの立場に市長、教育長が立たれることを改めて強く求めます。

請願第54号は、市立中学校で学校給食法に基づいた給食の実施をと訴えています。現実的な要望であり、横浜の中学生のためを思えば、不採択にする理由は無いと考えることから、採択することを求めます。

市民の切実な声である請願の採択を

請願第52号は、市防災計画において、想定地震を変更し、それに伴う変更内容を周知するようもとめるものです。横浜市が防災計画で想定するのは、「元禄型関東地震」です。一方、神奈川県は、元禄型より震度が大きい「大正型関東地震」を想定しています。本市の想定では、適切な防災計画とはなりません。より被害の大きかった「大正型関東地震」を想定して、対策を講じることに対して、反対する理由は、ないはずです。採択していただきたいと思います。

請願第53号は、少人数学級の拡大についてです。国の制度として、少人数学級の機運が高まっている今だからこそ、少人数学級を早期に全学年で実施することを求める請願に、他の会派のみなさんの賛同を求めます。

請願第55号は、小学校給食の充実と直営存続についてです。本市の子どもたちの健やかな体と心の成長を望むのであれば、採択していただきたいと、思います。

請願第57号は、保育・子育て支援施策の拡充等についての請願です。コロナ禍でも子どもたちの命を守り、より良い保育環境を提供するために保育士のみなさんは、毎日大変なご苦労をされておられます。この請願の内容を多くの議員に理解していただき、採択してくださることを求めます。

保育環境で言えば、市立保育所を民間移管していることを、私たちは、問題だと考えています。市外や県外の法人となると、監査が及びません。先日記者発表された資料には、4園示されており、法人所在地が、青森県、宮崎県、熊本県と県外の法人が並んでいます。県内は、1法人のみとなっているのが現実です。市内法人が手をあげない状況においては、これ以上の民間移管をやめるよう強く求めます。

IRカジノを市民・議会軽視で押し進めることは絶対に認められない

請願第58号は、カジノ誘致に反対してほしいという請願です。

そもそも横浜市が進めようとしているIRカジノ誘致について、かねがね市長は市民に丁寧に説明すると、言っておられましたが、実際は、丁寧とは程遠いのが実態です。先日の都市整備局の常任委員会の事前説明においては報告事項としてIR統合型リゾート推進の取組についてとありながらA4、1枚の紙が出されました。市民に代わって調査を行おうとしても情報が何もありません。一方で、県などとの協議会では実施方針、募集要項、また、選定委員会では募集及び選定に関する事項が説明され、審議されていす。私たちは、外部の方々に示されたであろう実施方針・募集要項についても議会に知らせるべきと繰り返し求めました。やっと資料が出されたのが12月11日の常任委員会の前日の夕方でした。委員会では、1日だけでは、審議が不十分として14日にも委員会が開催されました。ここで、明らかにされたことと言えば、事業者選定に関しては、相変わらずブラックボックスで、誘致のためのインフラ・ライフラインの整備について、本市の負担も不透明、スケジュールも不透明、しかも、議決を得ない報告というかたちで粛々と準備をしていくという酷い進め方となっています。こんな進め方を絶対に許すわけにはいきません。

カジノ誘致を勝手に決めた市長に対して「勝手に決めるな」と声をあげた市民は、9月4日から11月4日まで「カジノ誘致の是非を問う住民投票条例制定」を求める署名に取組み、2か月間で法定必要署名数の3倍以上の20万筆を超える署名が集まりました。各区の選挙管理委員会で精査され、19万3193筆の有効署名数があったことが新聞で報道されました。私たちは、横浜の住民自治と民主主義を守るために声をあげたみなさんとともに頑張り続ける決意を表明し、討論を終わります。