議会での質問・討論(詳細)
2019年10月9日

■健康福祉局 (北谷まり)

◆北谷委員 北谷まりです。日本共産党を代表して質問いたします。
 まず、先日記者発表された介護保険指定事業者の介護報酬不正請求についてです。
 どのような法令違反が行われたのか、御説明ください。
◎松本担当理事兼高齢健康福祉部長 今回の行政処分の違反となる理由ですけれども、3点ございまして、1つ目が、医師の配置が基準では1.4人から1.5人必要でしたが、1.1人以下で基準を下回っていたこと。2点目は、基準を満たさない場合は介護報酬を7割に減額して請求しなければならないところ、加算を含めて満額を受領していたこと。3点目として、監査における虚偽報告です。
◆北谷委員 それに対する行政処分の内容を教えてください。
◎松本担当理事兼高齢健康福祉部長 運営法人に対する処分内容ですが、新規の受け入れ停止を12カ月としました。あわせて、介護保険法の規定に基づき、過去2年間に不正に受領していた介護報酬について、ペナルティーとして40%の加算金を加えて約2億1700万円の返還請求を行いました。また、それ以外に約4億5000万円の不適正な受領分についても自主返納するように求めています。
◆北谷委員 現時点での対応策にとどめることなく、損害賠償請求や刑事告発などの法的措置を講じるべきではありませんか、見解を伺います。
◎田中健康福祉局長 医師の配置基準を満たしていないにもかかわらず、実際には勤務していない医師の勤務表等を提出し、介護報酬を不正に受領していたことから非常に悪質性があると認識しております。刑事告訴等の法的措置も視野に入れて検討してまいります。
◆北谷委員 このような不正行為は医療法人にあるまじきことであり、厳正に対処すべきです。
 次に、加齢性難聴への支援についてです。
 聴覚に障害がある方へはどのような支援制度があるのでしょうか。
◎上條障害福祉部長 障害者総合支援法に基づく補装具費支給事業がございます。原則1割負担で補聴器の購入ができます。対象者は、身体障害者手帳を所有する聴覚障害者等で、具体的には両耳の聴力レベルが70デシベル以上とされています。
◆北谷委員 70デシベル以上というのはどういう状態なのでしょうか。
◎上條障害福祉部長 70デシベル以上というのは、40センチ以上の距離で発せられた言葉が理解し得ないというようなレベルになります。
◆北谷委員 WHOでは中程度難聴の41デシベル以上の場合に補聴器の使用を推奨しています。2017年の国際アルツハイマー病協会会議でランセット国際委員会が認知症の約35%は予防可能な9つの要因により起こると考えられる、その中では難聴が最大のリスク要因であると発表、厚生労働省の介護予防マニュアル改訂版では、社会活動が不活発であることが認知症の発症リスクを上げる、閉じこもりは認知症の発症リスクとなっている可能性があるとした上で、閉じこもりの身体的要因の一つに聴力の低下を挙げています。日本耳鼻咽喉科学会では、加齢による聴力低下があっても早期のうちに補聴器を使用することで聞こえを取り戻すことは可能としています。
 加齢性難聴者が早期に補聴器を使用することの重要性を認識しておられるのか、伺います。
◎田中健康福祉局長 認知症につきましては、難聴が危険因子の一つであるという調査結果があることやWHOにおいて基準の41デシベル以上で補聴器の使用が推奨されていること、委員御指摘の内容については承知をしております。現在、補聴器の使用による認知症の予防効果については国が研究をしているということで認識しております。
◆北谷委員 副市長の御認識はいかがでしょうか。
◎荒木田副市長 田中局長と同じくWHOの見解、それから認知症に対して難聴が危険因子の一つであるということは認識しております。
◆北谷委員 早期に補助器を使用することの重要性に対する認識をぜひ深めていただきたいと思います。日本では補聴器使用率が圧倒的に低く、補聴器の普及を進める上での一番の課題は金額が高いことです。購入費用を助成していますのは千葉県浦安市など19自治体、補聴器を現物支給しているのは東京都新宿区など6自治体、都道府県では東京都と群馬県が補助制度、茨城県が支援制度を設けています。第7期横浜市高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画の基本目標に、ポジティブ・エイジング、誰もが、いつまでも、どんなときも、自分らしくいられる、これを掲げる本市ですから、ぜひ補助制度をつくるべきです。いかがでしょうか。
◎田中健康福祉局長 加齢性難聴者に対する補聴器の補助でございますけれども、介護保険制度においては福祉用具貸与の対象とはなっておりません。また、障害の制度におきましては、先ほど御説明申し上げましたとおり、重度の場合に給付することになっているという状況でございます。現在、国において加齢性難聴に関する方針がまだ示されていないということもございますので、国の動向を注視していきたいと思います。
◆北谷委員 欧米では医療の対象として公的補助を行っているため、普及が進んでいます。例えばイギリスでは47.6%、フランスでは41.0%です。高齢化がさらに進んで高齢者の社会参加や定年延長、再雇用という流れの中で、高齢者にとっては社会参加の必需品となってくるのではないでしょうか。(「そうだ」と呼ぶ者あり)健康保険の適用と補聴器購入助成制度の創設を国に働きかけていただきたい、いかがでしょうか。
◎田中健康福祉局長 先ほど申し上げましたように、現行の制度としては障害の制度としてございますが、委員御指摘のように、医療における医療保険の適用、もしくは介護保険等の適用ということも考えられますが、こうした状況でございますので、現在、御指摘がありました他都市で先行している実施状況ですとか、国の研究状況を注視していきたいと考えております。
◆北谷委員 ぜひ認識を深めていただいて、国への働きかけ、本市への補助制度の創設、ともに検討していただくことを要望します。
 次は、敬老特別乗車証制度、いわゆる敬老パスの見直しについてです。
 健康寿命の延伸、高齢者の社会参加を推進の一方で、敬老パスを利用する回数が多く、事業費負担がふえて見直しが必要だとして、利用者負担をふやす方向で議論を進めるというのは矛盾です。それは交付率を引き下げることになるからです。市の政策としての整合性がないと考えますが、いかがでしょうか。
◎田中健康福祉局長 本制度は高齢化の進展により事業費が増加して、交通事業者、本市ともに負担がふえる一方で、利用者負担はバスの場合、乗車運賃220円の1割程度になっております。こうしたことを踏まえて利用者負担も含め、制度のあり方について検討し、持続可能な制度を構築するものでございます。
◆北谷委員 事業費負担がふえてということで、それはコスト増と捉えているのではないかと思いますが、それは効果を評価していないからです。9月6日の一般質問で市長は、事業の評価をすべきだと考えておりますと答弁されています。見直しの前に、名古屋市に倣って交付効果の定量的分析を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。
◎田中健康福祉局長 客観的な評価を行うには敬老パス利用者の健康状態や要介護度の経年比較などが考えられます。そのためには膨大なデータの突合や敬老パス以外の要素の影響も分析する必要がございます。さまざまな課題があると考えております。一方で、一定の条件を付してアンケート調査によって結果を推計している名古屋市のようなところもございますので、課題を踏まえ、本市としてどのようにして効果測定をすべきか検討していきたいと思います。
◆北谷委員 ぜひ効果測定をしていただきたいのですけれども、大型開発ではすぐに経済波及効果が出てくるのですけれども、こういう市民向け事業ではいろいろ課題を述べて出てこないのです。問題だと思います。副市長、そう思われませんか。
◎荒木田副市長 福祉事業につきましても、やはり効果測定をすることは非常に重要だと認識しておりますので、局長が御答弁申し上げましたとおり、名古屋市と同じ方法になるかどうかわかりませんけれども、効果検証をしてまいりたいと思っております。
◆北谷委員 ぜひ事業の評価、効果の分析を行うべきです。高齢化による市の負担増を強調しました。アンケート回答用の資料は余りにも恣意的で、正確性に欠けるものです。このような誘導的なアンケートでは市民の意見が正確に反映できません。今回のあり方検討専門分科会には公募の市民委員が入っておらず、それも問題です。市民局広聴相談課にも声が寄せられています。市民の声をきちんと反映させるためには中間取りまとめを公表して、市民意見を募集すべきですが、いかがでしょうか。
◎田中健康福祉局長 このアンケートの中身については、分科会の中でも御議論いただいたところでございます。現在、中間取りまとめや市民意見募集を特段行う予定はございませんが、広く市民の皆様から御意見を伺うためにこのアンケートを実施したところでございますが、あわせて敬老パスの交付率の高い自治会を専門委員みずから訪問いただきまして、直接利用者のヒアリングを実施しております。また、広報等にいただいた御意見等についても、あわせまして、これらの結果を専門分科会での議論の参考としていく予定でございます。
◆北谷委員 検討会の議事録を見る限りでは局主導の色合いが大変強く出ています。値上げありきの検討会ではなくて、高齢者のためのよりよい制度、本来の目的を果たす事業となるための検討会であるべきです。見直しに当たっては、ぜひ市民意見募集をしていただきたいと思います。
 次は、生活保護制度についてです。
 10月1日から生活扶助費が引き下げられました。2018年から3年間段階的に引き下げられ、全て実施されれば減額幅は最大5%、都市部の40代夫婦と小中学生の子供2人の世帯の場合、最終的には受け取る生活扶助費が年10万円以上も少なくなります。この冷たい仕打ちに対して国に中止を求めるつもりはないか、伺います。
◎田中健康福祉局長 生活保護基準は、国が社会保障審議会の生活保護基準部会における検証結果を踏まえまして、5年に一度見直しを行っております。検証は客観的データに基づき行われているとともに、基準額が下がる場合であっても減額幅の上限を設けた上で段階的に実施するなど、配慮はなされているものと考えております。したがって、国に対し生活保護基準の見直しを中止するよう要望することは考えておりません。
◆北谷委員 身近に住民に接する地方自治体だからこそ求めていただきたい。改めて要望いたします。
 厳しい生活を強いられる生活保護利用者に対して親身になって接するケースワーカーの役割はますます大きくなっています。本市の生活保護利用者数とワーカー数の現状はどうなっているのか、伺います。
◎巻口生活福祉部長 平成31年4月の生活保護受給状況は5万3844世帯、6万9305人となっております。区生活支援課にはケースワーカーが616人配置されており、1人当たり平均87世帯を担当しております。
◆北谷委員 80世帯に1人のケースワーカーが標準ですので673人が必要となりますので、57人足りていないという計算になります。職員の負担を減らして寄り添った対応するにはケースワーカーをふやすべきですが、いかがでしょうか。
◎巻口生活福祉部長 本市ではケースワーカーに加え、事務嘱託員119名を配置し、ケースワーカーの事務負担を軽減しております。また、就労支援専門員や教育支援専門員など配置することで、ケースワーカーと一体となって生活にお困りの方への相談や自立に向けた支援をしっかりと行っております。
◆北谷委員 補助者がいるから定数が不足でいいということではないと思います。ケースワーカーをふやすべきです。また、福祉の現場とはとても思えないような対応が散見されますので、研修もしっかりしていただくよう要望いたします。
 申請権の保障には、申請書を窓口に常置して申請しやすい窓口にして、プライバシーが確保された相談ブースを整備することが必要です。どう考えておられるのか、伺います。
◎巻口生活福祉部長 生活保護制度は複雑な制度であるため、丁寧に御説明し、御理解をいただいた上で申請していただくことが大事だと考えております。その上で申請の意思のある方に対しては、速やかに申請書をお渡ししております。また、相談に当たりましては、専用の面接室を設けるなどプライバシーに配慮するとともに、相談しやすい雰囲気づくりを心がけております。
◆北谷委員 案内のときに使用する生活保護のしおりなのですけれども、改訂されて、丁寧で大変わかりやすいものになりました。ですから、これを見ていただければいろいろ御自身で参考になると思います。ですから、しおりと申請書をセットして、ぜひ窓口に常置していただくことを要望いたします。
 次は、国民健康保険事業についてです。
 国民健康保険制度は法でどのように定められているのか、伺います。
◎巻口生活福祉部長 国民健康保険制度の目的につきまして、国民健康保険法第1条で「この法律は、国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もって社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする。」と定められております。さらに、第2条で保険給付、第4条で国、都道府県及び市町村の責務、第5条で被保険者、第76条で保険料の徴収が規定されております。
◆北谷委員 今御説明いただいたことが国民健康保険ガイドブック、ホームページには記載されていません。法に沿って国民健康保険は社会保障であることを明記すべきです。いかがでしょうか。
◎巻口生活福祉部長 現在のガイドブックは市民の皆様に必要な内容が伝わるよう、工夫しながら作成しております。記載内容につきましては、これまでも市民の皆様からさまざまな御意見をいただいており、わかりやすい内容となるよう、改訂時に変更してまいりました。引き続き、いただいた御意見、御要望につきましては、改訂時に検討し対応してまいります。
◆北谷委員 ぜひ法に沿って正しい情報を発出していただくようお願いしたいと思います。
 過去3年間の保険料の推移と法定外繰り入れの推移を伺います。
◎巻口生活福祉部長 過去3カ年の1人当たりの保険料の実績ですが、平成28年度は10万1242円、平成29年度は10万1406円、平成30年度は10万7072円となっております。また、保険料負担緩和市費につきましては、平成28年度は約97億円、平成29年度は約91億円、平成30年度は約82億円となっております。
◆北谷委員 法定外繰り入れが減って保険料が上がっているということは問題です。国民健康保険は構造的な課題があり、さらなる公費の投入が必要です。今の仕組みのもとでは保険料は自動的に引き上がってしまいます。繰り入れをふやして保険料引き上げを避けるべきですが、どのように考えておられるのか、伺います。
◎田中健康福祉局長 保険料負担緩和のための法定外繰り入れにつきましては、国から計画的、段階的な削減、解消を求められております。さらなる増額は困難だと考えております。保険料につきましては、被保険者の皆様の負担が過重なものとならないよう、引き続き検討してまいります。
◆北谷委員 高過ぎる保険料で払えない人がふえてしまっては大変なことだと思います。差し押さえ件数もふえています。無理な滞納処分が行われているのではないかと心配です。払える保険料とするためにも繰り入れをふやすことを改めて要望いたします。
 次は、介護保険事業についてです。
 2018年度、要介護認定者数の見込みと実績を伺います。
◎松本担当理事兼高齢健康福祉部長 第7期介護保険事業計画では平成30年9月末の要介護認定者数を16万7400人と見込んでいましたが、実績は16万4386人となっています。
◆北谷委員 マイナス3014人ということだと思いますが、サービス利用者の見込みはいかがでしょうか。
◎松本担当理事兼高齢健康福祉部長 第7期計画では、平成30年度の介護サービス利用者数を13万2900人と見込んでいますが、実績は13万3753人となっています。
◆北谷委員 サービス利用者はふえたのに、保険給付費は約66億円不用額が出ています。利用抑制が危惧されます。見込みと実績の差、不用額についての検証をすべきと考えますが、いかがでしょうか。
◎田中健康福祉局長 平成30年度の保険給付の予算額は約2585億円、決算額は2519億円となっております。執行率は97.5%でございます。また、サービス利用者数については見込みよりふえている状況でございます。これらのことから、必要な方にはおおむね利用いただいていると考えております。なお、見込みと実績の乖離については、今年度、高齢者実態調査、分析をし、次期計画の策定の中で反映していきたいと考えております。
◆北谷委員 ケアマネジャーさんから、必要なサービスを経済的な理由から諦める高齢者の話をよく聞きます。必要な介護が受けられるよう、利用しやすくすべきです。国の高齢社会白書によると、高過ぎる介護保険料で2016年度に保険料滞納で差し押さえ処分を受けた65歳以上は過去最多の1.6万人、年金削減、消費税増税に加え、介護費用が暮らしを圧迫しています。不用額が出たことですから、第7期計画中でも保険料を引き下げることは市の裁量でできると思いますが、いかがでしょうか。
◎田中健康福祉局長 介護保険料は3年間同一額の保険料を基本としておりますので、不用額を第7期保険料額の引き下げの財源とすることは困難でございます。なお、第7期計画期間中に生じた給付費の不用額は第8期計画の中の給付費に充当し、保険料額の上昇を抑制するために活用してまいります。
◆北谷委員 保険料の引き下げを求めておきます。
 最後は、高齢者の入所施設の整備についてです。
 保土ケ谷区の養護老人ホーム、横浜市恵風ホームが廃止されました。孤立、貧困、虐待など、処遇困難な高齢者が急増する中、セーフティーネットの最後のとりでとして公が対処する施設であった恵風ホームの跡地に高齢者の入所施設をつくるべきと本会議、常任委員会で党市議団は提案してきました。跡地での施設整備について御説明をお願いします。
◎松本担当理事兼高齢健康福祉部長 跡地については、特別養護老人ホーム整備予定地としました。市有地貸与により、10月7日から整備事業者の公募を開始しました。
◆北谷委員 第7期計画は600床の整備が計画されているのですが、2018年度実績449床とのことです。2019年度の進捗状況はいかがでしょうか。
◎松本担当理事兼高齢健康福祉部長 昨年度不足分を加えた751人分の選定を目指し、平成31年2月から整備事業者の公募を行いました。しかし、民有地での応募が募集定員に満たなかったため、7月から民有地の再公募をするとともに、10月から恵風ホーム跡地など公有地での追加公募を行い、年度内の目標達成に向けて取り組んでまいります。
◆北谷委員 先ほどもありましたが、6802人の入所待ち者がおられます。あらゆる方法で計画どおり整備を進めていただくよう、ぜひ頑張っていただきたいと要望いたします。あわせて、養護老人ホームの定員の拡大を求めて、終わります


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