議会での質問・討論(詳細)
2019年10月2日

■交通局(岩崎ひろし)

◆岩崎委員 よろしくお願いします。
 委員長、スライドの使用許可をお願いいたします。
○山本副委員長 許可します。
◆岩崎委員 まず、市営地下鉄の安全性向上について伺っていきます。
 私は、市営地下鉄という点では、開業以来ほぼ毎日利用しています。そして、安全な交通機関として評価もしています。しかし、6月6日下飯田駅付近、8月29日に踊場駅と連続して重大な事故を起こしました。これまで築き上げてきた信頼を一気に失墜させたという事態です。今後こうした事故を絶対に起こさないということを願って議論したいと思います。
 そこで、私は、安全性向上の教訓として、2005年4月25日に発生した福知山線脱線事故にかかわる事故調査委員会報告書を改めて勉強してみました。そこで伺いますが、国の運輸安全委員会の事故調査報告書は鉄道事業者にとってどのような位置づけなのか、伺います。
◎城交通局長 国の運輸安全委員会は、法に基づいて、航空や船舶、鉄道における事故原因を究明するための調査を行うとともに、調査結果に基づいて、国土交通大臣や原因関係者に対して必要な施策や措置の実施を求めることで、事故防止や被害の軽減に寄与する、そういった委員会でございます。その報告書においては、国土交通大臣や原因関係者に対して必要な施策の実施を求めていると認識しております。
◆岩崎委員 その報告書では、国土交通大臣に事故の教訓や再発防止対策について、他の事業者においても活用されるよう仕組みを検討すべきなど建議をしています。この報告書の内容に対する当局の認識はどうか、伺います。
◎城交通局長 JR西日本の福知山線の脱線事故は、日本の鉄道の歴史の中でも極めて重大な事故でありまして、私どもとしてもその内容については、ホームページでも公開されておりますし、十分把握をしているところでございます。この事故を契機に鉄道事業法が改正されまして、国が定めた運輸安全マネジメント制度が開始され、当局においても安全管理体制の強化に取り組み、さまざまな安全管理規定等の整備が図られたところでございます。
◆岩崎委員 この事故を受けて、今答弁にもありましたけれども、鉄道事業法が改正されています。そして、安全管理規定の作成及び届け出を義務づけるなど、安全性向上にかかわる内容が充実、補強されました。
 そこで、市営地下鉄では安全性向上対策にかかわる予算を毎年きちんと計上しているのか、伺います。
◎城交通局長 平成18年の鉄道事業法の改正を契機にということではありませんけれども、毎年、安全性に向けた予算、費用は、しっかりかけているつもりでございます。安全性向上のみを目的とした予算というのは、切り分けがなかなか難しいのですけれども、例えば施設の維持管理に係る修繕費や更新に係る改良費について申し上げますと、修繕費は平成20年度は18億円でしたけれども、平成30年度は36億円ということになっております。また、施設の更新や改修ための改良費は、平成20年度は24億円でしたけれども、現在では136億円ということで、安全に関する投資はしっかり確保していると考えています。
◆岩崎委員 安全に対する投資はしているということなので、それはそれで評価したいと思うのですが、しかし、安全の向上対策費としての項目はないということで確認していいですか。ちょっとその確認をさせてください。
◎城交通局長 例えば信号保安装置の更新ですとか改良だというものについて、どの部分が安全で、どの部分が更新かというような金額的な切り分けというのは予算の中では整理はしておりませんので、何が安全投資かという部分について数字をお示しすることはできない状況です。
◆岩崎委員 そういう状況のようですけれども、法改正してまで安全性向上ということに対して力を入れるようにという方向が出されたわけです。ですから、安全性向上のための対策費、これを予算上ちゃんと明確にして、これは投資だけじゃなくて研究も必要だと思うのです。そういう意味で、ここを特出ししてちゃんと位置づけるということは必要だと思うので、予算にちゃんと項目として計上すべきだと思うのですが、この点どうでしょうか。
◎城交通局長 先ほど申し上げましたとおり、その一つ一つの事業を、何が安全で何がサービスでというふうに金額的に切り分けるのは難しいのです。例えばホームドアをつくったのは、安全のためでもあり、サービス向上のためでもあり、あるいは信号の経年的に更新をしているものについては、信頼性の向上でもあり、またその時代時代に合わせた新しい技術の導入であり、更新費用なのか、安全性向上なのかというのを幾らという形で示すのは無理なので、これは予算上、安全対策費という切り分けは技術的にできないと考えております。
◆岩崎委員 今はそういうお答えなのですけれども、やはり安全性向上というのは一つの考えなければいけない重要な課題だと思うのです。だから、なかなか難しいとは言われましたけれども、こういう事故調の報告の研究も含めて、対応する費用というのはあらかじめ持っておかないと、やはり予算に全て局の姿勢があらわれてくるわけですから、金額の多寡にかかわらず、項目として明記して、通年で追いかけていかなければいけない大事な項目としておく必要があると思うので、難しいということなんだけれども、検討ぐらいしてください。ぜひ項目に挙げてほしいということで伺います。
◎城交通局長 予算の一つ一つの事業の項目の中に、安全に対する取り組みが含まれているということは、それぞれの予算のときにしっかり御説明をしていきたいと思います。あと、もう一つ申し上げておきますと、公営企業法では、会計項目が定められておりまして、安全対策という項目は会計法上ございません。したがいまして、そういう部分でいっても、委員のお求めの項目を整理していくというのはなかなか難しいというふうに御理解いただきたいと思います。
◆岩崎委員 次に、元政府事故調の委員をやられた柳田邦男氏によれば、この報告書は、事故の発生確率が少なくても、未然に事故を防ぐ対策の推進を求めていると見ておられます。そこで、下飯田駅での事故原因とされる横取り装置の戻し忘れは、予見可能なヒューマンエラーだと私は思います。近畿日本鉄道では、戻し忘れがあった場合でも列車をとめられる信号連動式の装置を2009年の同社の事故の後、導入しています。この時点で本市も導入していれば、今回の事故は防げたのではないかと思います。
 なぜ導入しなかったのか、伺います。
◎城交通局長 横取り装置の戻し忘れによる事故というのは他社でも確かに起きていて、平成21年、近畿日本鉄道で横取り装置を戻し忘れて、同様の脱線事故は起きています。その際、近畿日本鉄道の横取り装置というのは、何ら警報装置がない、ただレールにかぶせるタイプの横取り装置でした。その後、近畿日本鉄道はこれについて改良しておりますけれども、当時、市営地下鉄の横取り装置、これは現在までもそうだったんですけれども、正しい位置にないと警報が出るという対策を施していたものでして、その時点では、安全対策はできていると考えておりました。
◆岩崎委員 そのときはそう判断していたということですが、ヒューマンエラーというのはやはり起こるし、装置がそういうエラーを見過ごすレベルのものだったら、やはり見過ごしてしまうと思うのです。だから、私は、大量輸送機関というのは絶対的安全性を求められている事業だと思うのです。それで、横取り装置のある7カ所及び折り返し用引き込み線のあるブルーライン4駅に、信号連動式の列車停止装置を設置すべきだと思います。
 どのような計画で設置されていくのか、伺います。
◎城交通局長 私どもの使っていた横取り装置は、今回の事故調査委員会の中でも、鉄道総合技術研究所からも指摘されておりますけれども、他事業者でも使われている標準的なものであったと。通常の取り扱いをしていれば、安全上問題はなかったとは言っていただいております。ただ、今回こうした事故を起こして、市民の信頼を取り戻していくためには、やはり万全の措置をとらないとと私どもは考えまして、横取り装置の戻し忘れ対策は、全7カ所について、横取り装置が正しい定位に定まっていないと警報をとめることができない検知器に交換するとともに、信号装置と連動する仕組みを導入することといたしまして、今年度中に着手し、来年度末までに設置することにしております。
◆岩崎委員 ぜひよろしくお願いします。
 もう一つ、報告書は、車掌の果たす役割を明記しています。これは経験からもそういうことがかなり詳しく書かれているのですけれども、日本共産党としては、ブルーラインがワンマン化されるときにも主張しました。それ以来、車掌乗務の継続をずっと求めています。
 改めて、車掌乗務の復活を求めたいと思うのですが、この点、認識どうでしょうか。
◎城交通局長 この福知山線の事故調査委員会の中での車掌の役割というのは、司令と車掌と連絡をする、あるいは運転手と連絡をする。運転士が、JR西日本ではメモをするというようなことがあったようです。そのメモに気をとられたりすることで運転がおろそかになるのではないか、そのためには車掌も活用することが必要ではないかというような指摘がこの福知山線の事故の中でありました。私どものブルーライン、グリーンラインについてはワンマン運転を行っておりまして、そのワンマン運転の開始に当たっては、ホームドアを初め、非常通報装置、それからATO、自動列車運転装置など、ワンマン運転を前提とした整備をしております。また、有事の際は、駅におけるワンマン支援訓練についても毎年行っておりまして、車掌を導入するということについては現在考えておりません。
◆岩崎委員 車掌の乗務は考えていないということなのですが、列車事故が発生した際の対応とか、そして車内で乗客同士のトラブルや事件が発生するなど、運転手一人で対応できない事態は起こり得ます。ですから、そのときに車掌という、市の責任を負える職員が乗務しているということが、安全性の向上という点からいって非常に大事だという思いは変わりません。
 ですから、改めてこういう状況は起こり得るのだから、車掌乗務は検討すべきだと思うのですが、この点どうでしょうか。
◎城交通局長 トラブル発生時には、車内の4カ所に設置している非常通報器のボタンを押すことで、総合司令所の係員と直接話をすることはできますし、その状況については本庁でも常にモニタリングをしている。通報を受けた総合司令所では状況を把握して、運転士や駅係員に必要な対応を指示して、最寄りの駅で対応いたします。このように各所の係員が連携することで、お客様の安全を確保できていると考えております。また、6月6日の事故でも、実際にたくさんのお客さんが乗られていたわけですけれども、駅の係員としっかり協力をして迅速な避難誘導ができておりますので、車掌乗務については今後も導入する必要はないと考えております。
◆岩崎委員 これは押し問答をしていてもしようがないですけれども、車掌のそういう事態のときに果たす役割というのは、やはり非常に大事だと思いますので、この車掌乗務の復活はぜひお願いしたいということで、この点は終わります。
 次に、バス停について伺っていきます。
 まず、危険なバス停の解消についてからです。これは前の委員も質問されていますので、重なる部分を省いてきます。危険なバス停の解消までの、つまり解消するまで、進捗管理する責任は、市の部署としてはどこなんでしょうか。
◎城交通局長 バス停そのものについては、バス事業者が管理しております。市営バスのバス停については、基本的には交通局が対応するということになりますが、移設する場合には移設先の地権者の了承が必要となりますし、道路改良を伴う場合は道路管理者である土木事務所と協議しながら対応する必要がありますし、また信号機設置、横断歩道の移設等は交通管理者である警察との協議連携が必要となります。それを総合的に進捗管理する機関というのはございませんが、それぞれの関係機関と交通事業者が協議をしながら進めていくということになります。
◆岩崎委員 共通する全体の進捗管理するところはないということだけ、ここでは確認しておいて、後でまたやります。
 次に、バス停の改良、改善についてです。バス停周辺の利用環境改善の要望が、バスの乗務員から、運転士さんからいただいています。そのうち、私が現地調査を行った3件についてございます。スライドを使います。(資料を表示)
 これは、中区上野町のバス停、横浜方向のバス停です。降車口付近に大きな街路樹があって、写真で見てもらうとわかります。この樹木が降車を妨げます。樹木の伐採とか、ガードレールの開口部を改修するなど早急な改善が必要だと思います。
 次は、中区の和田山口バス停、ここは上下ともです。これは下り方向です。バスが斜めにとまるため、これが下りで、これが上りです。どちらも斜めにとまってしまうため、降車する人は一旦車道におりてから歩道に上がるということになっています。入車角度を緩やかにできれば、車椅子の方の対応も適切に行えるという状況です。
 次は、磯子区八幡橋のバス停です。磯子駅方面のバス停。バスベイの長さが足りず、バスが斜めに、やはりさっきのと同じようにとまってしまいます。後ろから見るとよくわかります。バスが斜めにとまるため、おりる人は一旦車道に、この写真はちょうど今車道におりていますからよくわかると思うのですけれども、一旦車道におりてから歩道に上がるということになります。ここも、入車角度を緩やかにできれば、車椅子の方の対応も適切に行えるものです。
 3件挙げましたが、それぞれ改善にどう取り組むのか、伺います。
◎原田自動車本部長 御説明させていただきます。まず、1枚目のスライドの上野町バス停でございますが、乗車口にございます点字ブロックを60センチ程度で移設いたしまして、それにあわせて、降車口につきましても、横断防止柵の一部を撤去するなどの工事を施せば、街路樹を避けてお客様の乗降扱いができると考えておりますので、そういった方向で調整を進めたいと考えております。
 それから、2点目の和田山口バス停でございますけれども、ここはちょっとスライドでは見づらいのですが、バスポールが前後に2本あるバス停でございます。写真の奥側になりますが、前方のバス停につきましては問題なくバスを縁石に寄せることができると考えてございます。それから、手前の後方のバスポールでございますけれども、こちらにつきましても、バスベイの距離がかなりありますものですから、スピードを落としてバスが進入すれば、縁石に十分寄せることは可能であると考えてございます。いずれも車椅子のお客様を含めまして、安全に乗降いただけるものと考えてございます。
 それから、3点目の八幡橋バス停でございます。こちらは、国道16号にあるバス停でございまして、国で整備をいたしましたバスベイに設置されてございます。こちらは、バスベイ全体の距離が短いものですから、委員御指摘のとおり、バスの進入角度がどうしても深くなってしまいますために、縁石に寄せることが難しいという状況でございます。縁石にバスを寄せやすいように、道路に対して斜めにバスベイを設置するなど、国道の管理者に改善を求めていきたいと考えております。
◆岩崎委員 質問の1つ前の危険なバス停の解消という問題でも、それから、今のバス停の利用環境の改善でも、どちらも利用者の立場で改善に取り組む必要があると思うのですが、実施する部署が複数にまたがっています。こういう状態だと、どうしても完了まで責任を持ってやるところが曖昧になって、もたれ合いになって、なかなか進まないということが実際には起こります。
 そういう点で、進捗管理する市としての部署を決めておく必要があると思うのですが、この点、多局にわたりますので、副市長にちょっと答えていただきたいのですが、どういうふうに進捗管理を責任持ってやる体制をつくるか、この点、お答えください。
◎平原副市長 先ほど局長からもお答え申し上げましたけれども、バス停は事業者が交通管理者及び道路管理者と協議を行って、許可を得た上で設置されています。ですから、基本的には、危険なバス停というのはもう全て明らかになっておりますので、どう改良すればいいかということは、まず事業者が中心になって検討していただきたいと思います。その上で、バス停の状況に応じて環境改善の手法はいろいろございますけれども、委員からも今いろいろ状況を御説明いただきましたが、その手法が明確になれば、横浜市のどの部署が積極的に対応しなければいけないのかというのはおのずと明らかになってまいります。そういうことで、横浜市といたしましても、交通局、あるいはほかのバス事業者に対しましても、関係部署が積極的に協力して、バス停の環境改善を進めてまいりたいと考えております。
◆岩崎委員 おのずから明らかになると言うけれども、そうならないのが現実です。だから、ぜひはっきり責任負うところを決めて取り組んでもらうことをお願いして、終わります。


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