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■総務局【岩崎ひろし】

◆岩崎委員 委員長、スライドの使用をお願いします。
○小松副委員長 どうぞ。許可いたします。
◆岩崎委員 それでは、まず、総務局危機管理室が新型コロナウイルス感染対応で頑張っていただいていることに敬意を表しておきたいと思います。御苦労さまです。
 ここでは、防災・減災対策の推進ということと、開発・再開発行政との間にあるはざまとも言うべき問題について伺っていきます。はざまというのは、ハード整備にかかわる法体系と災害対策にかかわる法体系との間に生じます。この問題は、当局と認識がかなり共有できていると思うので、そのつもりで話をしていきます。
 中外製薬戸塚町開発計画の開発許可処分と防災対策の関係について伺っていきます。
 許可処分は8月8日付で林文子市長名で行われました。現場では工事が着々と進み、地元では不安が募っています。地元は市長宛てに浸水被害の増大防止の要望を2288筆の署名を添えて提出しているところです。建築局は、開発許可基準に適合していれば許可しなければ事業者から訴えられます。危機管理室は、災害が激甚化する中で浸水被害防止対策が迫られています。双方に対応する当局の苦労があるのは理解しているつもりです。その上で伺っていきますが、まずスライドを見てください。(資料を表示)2014年の台風18号のときの周辺地域の床下浸水被害状況です。床下浸水被害が発生した理由を伺います。
◎宇都木危機管理室長 環境創造局に確認した内容といたしましては、スライド1の平成26年の台風第18号では、戸塚駅西口周辺で整備水準を超える降雨があったために、道路等に降った雨水を街渠ますに取り込めなかったことなどが原因と聞いています。
◆岩崎委員 このスライドは現場付近の水門です。水門の役割、稼働実績及び管理状態を伺います。
◎平中危機管理部長 環境創造局に確認した内容といたしましては、昭和50年以前は当該箇所は水路であり、河川から水路への逆流防止等のために水門が設置されたものです。昭和50年代に柏尾川の河川改修とあわせ、水路を埋めて周辺高台の雨水を流す下水道管を整備したことから、水門の役割は終えており、その出口である水門は常にあけている状態と聞いております。このことから、下水道管の整備以降、水門を稼働させた実績はないとのことです。なお、水門は正常に作動することを確認しております。また、スライド1の浸水につきましては、整備水準を超える降雨であったため、道路等に降った雨水を街渠ますに取り込めなかったことなどが原因と聞いており、因果関係はないものと考えていると聞いております。
◆岩崎委員 さらに具体的に聞いていきます。柏尾川への許容放流量というのがあるのですが、これはどういうことですか。
○小松副委員長 平中部長でいいですか。
     〔岩崎委員「誰でもいいです」と呼ぶ〕
◎宇都木危機管理室長 中外製薬の開発事業では、河道への、要は柏尾川への負担を増加させないということで、30年に一度の降雨にも対応できるような雨水調整池を設置すると聞いております。
◆岩崎委員 その答えは全然違う答えですね。(笑声、私語する者あり)もう一回言いますよ。柏尾川への許容放流量というのは何ですかと聞いているのです。
◎宇都木危機管理室長 申しわけありません。道路局から確認しておりませんので、そのことについてはちょっとお答えできません。
◆岩崎委員 これは防災上、非常に大事な要素なのです。そんな答弁、全然だめですよ。これは柏尾川に放流できる水の量に上限があるということを示す言葉なのです。このことをちゃんとしておいてください。
 許容放水量は6年前から現在まで、また、現在から相当将来まで変わらないと私は思っているのですけれども、どうでしょうか。この点、答えてください。
◎宇都木危機管理室長 河川の整備状況によって変わっていくものというふうに考えておりまして、今その数値については持ち合わせしておりません。
◆岩崎委員 だから、これは当分変わらないのです。(笑声)そこで、周辺地域は50ミリを超す大雨が降れば、台風第18号のときと同じように浸水被害が出ることになります。このことをちょっと確認してください。
◎宇都木危機管理室長 整備水準は変わっていないとすれば、同じように水が出る可能性は高いと思います。
◆岩崎委員 一々ひっかかるのだけれども、可能性ではなくて、これはもう計算上ちゃんと出ることなのです。浸水被害が出るのです。いいですか。このスライドは昨年の台風第15号のときの現場の状況です。これでいろいろなことがわかります。このときは降雨量は時間41ミリでした。だから、今の答えにあるように浸水はしないのです。周辺地域には浸水はありませんでした。そこで、現場にできた水たまりの水の量は、ピーク時は約4万トンあります。台風通過後、この写真は7時間後ですから少し減っています。約2万4000トンになります。開発予定地の地下に許可基準が求める約6000トンの貯留槽ができます。貯留槽はどれほどの効果があると見ているのか、伺います。
◎宇都木危機管理室長 道路局から聞いている内容でございますけれども、中外製薬の開発事業では、先ほどちょっと答弁してしまいましたけれども、河道への負担を増加させないということのために、条例に基づきまして、開発区域内に降る大雨の流出を抑制するための雨水調整池を設置するものと聞いております。開発事業同意基準に基づく貯水量があり、30年に一度の降雨にも対応できるものと聞いてございます。
◆岩崎委員 全然答えになっていません。これは私が計算しても、当局が計算しても、計算式ですから同じ答えしか出ないのです。それを、そのようなことを言っていたら全然防災なんかできませんよ。
 貯水量の効果というのは、さっき見ている水たまりの状態のところに満水になるのをせいぜい数分おくらせるだけしか効果はありません。だから、50ミリを超えた雨が降れば、18号のときと同じように周辺には浸水被害が広がるのです。ここに土砂を入れてかさ上げをすれば、写真ではたまっている水、2万から4万トンの水が周辺地域に押し出され、浸水被害が大きくなるのは誰が計算したって当たり前ではないですか。これはちゃんと確認してください。そうしなかったら災害対策なんかできないですよ。答えてください。
◎宇都木危機管理室長 中外製薬の土地だけに限らず、浸水対策については柏尾川も含む流域について、河川改修とか雨水を一時的にためる流出抑制対策など、総合的な治水対策をも進めていくというふうに聞いております。
◆岩崎委員 聞いていることに全然答えないというのは、これはちょっとひどいですね。事前にちゃんとデータも含めて調整しているではないですか。
 そこで、開発許可基準、正式には開発事業同意基準と言うのですけれども、これが問題になります。現行の開発許可基準及び同基準の第18条第2項第5号の排水施設、それぞれこの基準の制定年月日を伺います。
◎平中危機管理部長 建築局及び道路局からは、平成16年6月1日施行の横浜市開発事業の調整等に関する条例第18条に基づく同意基準等については、条例制定時から定めていると聞いております。条例第18条第2項第5号に定める雨水流出抑制施設の同意基準についての文言は、直近では平成31年4月1日に改定していると聞いております。なお、雨水流出抑制施設の対策貯水量については、平成16年6月1日から改定していないと聞いております。
◆岩崎委員 今の答弁は16年間改定していないということなのです。これは大変な驚きです。近年、災害は激甚化、常態化しています。50ミリを超える豪雨は頻発しています。現行の開発許可基準はこれで有効に機能していると言えますか、伺います。
○小松副委員長 どなたに答弁を求めますか。
     〔岩崎委員「では、危機管理室長」と呼ぶ〕
◎宇都木危機管理室長 私は現状では機能しているというふうに考えております。
◆岩崎委員 不思議な答弁ですね。これは機能するのですか。1足す1が3にでもならないと、とてもではないが機能しているとは言えないと思います。これはさておいて、次に行きましょう。
 16年といえば、小学校一年生が大学を卒業するまでの期間と同じです。靴に例えれば、これは小学校入学時に買った靴を大学卒業まで履かせ続けたと同じことです。そういう入れ物をつくる基準なのだから、親ならこんなひどいことはしません。(笑声)
 局長は全庁的に防災対策の観点を共有する旨の答弁をされています。防災施策の観点でチェックしていれば、基準が実態に合わないということはわかったはずです。なぜ改正しなかったのか、伺います。
◎大久保総務局長 各局のそれぞれの事業において、危機管理の視点を持って取り組みを進めていくことが重要であるということは、私も以前に答弁をさせていただいたことがありました。この河川改修とか、あるいは道路整備等につきましては、それぞれの所管局が責任を持って対応しているものと理解しております。したがいまして、委員の観点からすると、16年間改定していないというふうにおっしゃるかもしれませんが、必要性があれば当然に改定をしていくものと、各局ともに認識しているというふうに私どもも考えております。
◆岩崎委員 そういう話は通用しないでしょう。危機管理なのだから、防災対策に責任を負うわけでしょう。その基準が合っているかどうかというのは、点検はどうしてもしなければならないではないですか。そのたびに点検をしていたのですか、していなかったのですか、どちらなのですか。していたら、これはわかるはずです。
◎大久保総務局長 精密に点検をしていたかどうかというふうに御指摘をいただいたとすれば、危機管理室として1つ1つの事業について、きめ細かに点検をするということはなかなかできないという状況にあると思います。ただ、この中外製薬の問題につきましては、地域の皆様方から御意見をいただきながら、でき得る対応を中外製薬側と話し合いをしながら進めてきたという経緯がございますので、そうした努力を積み重ねてきた結果、まだ御納得いただけていない住民の方々もいらっしゃるということは認識をしておりますけれども、でき得る限りの対応を進めてきたというふうに認識をしております。
◆岩崎委員 50ミリを超えれば地域は浸水被害が大きくなるということを認めておきながら、50ミリを超える大雨がしょっちゅう降るということも認めておきながら、今のは降っても大丈夫という答えなのです。それで、そういうチェックはなかなかできない、そんな防災対策なんかありますか。結果が出ているのですよ。それがどうしてチェックできないのか、もう一回答えてください。
◎大久保総務局長 先ほど来申し上げておりますように、この区域内で発生した雨水についての貯留をしっかりと受けとめられるように、こうした調整池をつくるというような調整をしたり、あるいは緑地をこの敷地の中につくるとか、道路について少し工夫をするというような対応をしてきたと理解しております。全体についての河川対策については、引き続き努力していく部分が多々あろうかと思いますけれども、そうしたことについては、これからも継続して環境創造局や道路局などと調整をしていきたいというふうに思います。
◆岩崎委員 全然納得できません。中外製薬の開発許可というのは、幾ら適合していると言ったって、これは有効性を失った基準に適合しているだけです。防災対策からは、被害の増大を招くものになるから適合と言えないのではないですか。もう一回答えてください。
◎大久保総務局長 これは本当にすれ違いの答弁になって大変申しわけないと思いますが、防災対策という視点を持って事業を進めていくのは、これはもう当然必要なことだというふうに認識しております。ただ、開発事業に関しては、それぞれに手続というものが法律、あるいは条例で定められておりまして、その手続の中でしっかりとプロセスを踏んで進めてきたことというふうに理解しております。
◆岩崎委員 答弁は納得できません。引き続きこれはやります。こうしたはざまを放置してきたことが--これをはざまと言うのです。危機管理と道路とか下水のところとの間にあるいろいろな問題です。結局、これを放置してきたのです。何回も私は指摘しているのですよ。結局、このはざまをつくっておくということは市民に被害を及ぼすことになるのです。これは渡辺副市長も何回もそうだというふうに答弁をもらっています。渡辺副市長は中外製薬の問題で、地元の皆さんに安心していただけるように指導、要請に努めると言っています。
 それからもう一つは、平成29年の予算のときの総務局審査で、渡辺副市長は防災対策は人命や財産を守る点で最も優先順位の高い施策であり、さまざまな政策の中で上位計画的に配慮しなければならない。防災対策において、ミスとか漏れがあったことは申しわけないとおわび申し上げて、おわびまでしてくれているのです。副市長、局長、部長など、上位の職責においてしっかりとチェックし確認するよう努めると答弁されています。中外製薬への開発許可処分までの経緯を振り返った上で、その認識及び今後の防災対策への心構えについて伺います。お願いします。
◎渡辺副市長 岩崎委員に、再三、まちづくりにおける防災対策の重要性について御指摘いただいて、私の認識も問いただしていただいて、その都度お答えしているにもかかわらず、またお聞きいただくようなことになっていることについては心苦しく思っておりますけれども、私は引き続きといいますか、もうこれは信念として、まちづくりにおけるさまざまな施策とか事業を進める上で、横浜市防災計画とか危機管理の視点を持ってそれを進めるということについては、これはその前提として不可欠であるというふうに思っておりまして、それは全ての区局において徹底をするようにいつも申しております。
 なお、中外製薬の開発につきましては、岩崎委員と多少認識が異なるかもしれませんけれども、ルールどおり開発区域内への雨水調整池の設置であるとか、あるいは自然浸透の効果のある緑地を設けること、また、さらに開発区域内に降った雨水が直接区域外に流出しないように、開発区域の境界に雨水側溝を設置して、この開発区域内の雨水調整池に流れるようにする。そうしたことも指導の結果、事業者側でも努力をしておりますので、その点については、ぜひ御理解を賜りたいと思っております。