議会での質問・討論(詳細)
2007年10月23日

【2006年度決算特別委員会】「行政運営調整局」中島文雄議員

横浜型の市民税減免制度の制定を

中島議員:日本共産党を代表して質問します。
 最初は、税制「改正」と住民税の影響についてです。
 昨年今年と、年金課税の強化や、低所得高齢者の住民税非課税限度額の廃止、あるいは定率減税の全廃などによる過酷な増税が、高齢者をはじめ庶民に襲いかかりました。納税通知書が届いた6月から7月にかけて、1万件におよぶ苦情やあるいは問い合せが殺到し、また、参院選直後の一般紙に「年寄りをばかにしてきた政権与党への仕返しだ。年寄りはもう要らないから死ね、といわんばかりではないか」との投書も目を引きました。そこで、今回の税制「改正」について改めて所感をうかがいます。

大場行政運営調整局:ただいまお尋ねありました個人住民税の税制改正についてでございますが、18年度19年度ということでお答えをさせていただきますが、18年度については老年者控除の廃止等高齢者への優遇措置の見直しが行われました。これにつきましては、社会保障制度の充実など、高齢者の負担能力が大きく変わってきているということで、年齢に関わらず能力に応じて公平に負担を分かち合うという趣旨で行われたものと、理解をしてございます。
 また、18年度と19年度の2か年で定率減税の縮減・廃止ということになりました。これについては、暫定的な減税措置について経済状況の好転を受けて行われたものと理解をしております。
 19年度分から税率の改正等が実施をされておりますが、これは地方分権改革の一環ということで、国から地方への税源移譲が行われたことによるものでございます。

中島議員:住民税の庶民大増税に対する市民の苦しみ等については触れなかったわけですが、市・県民税は05年度に比べて06年度は338億円、07年度は約1,600億円の増収になる、それだけ増税になったわけですね。
 個人市民税について、ここでお聞きしたいんですが、各年度の影響はどうだったのか、うかがいます。

大場行政運営調整局:18年度は定率減税の2分の1の縮減、それから老年者控除の廃止などで約145億円の増、それから19年度は税源移譲や定率減税の廃止等で約2007年度237億円の増の影響がございました。

中島議員:それでは、市税条例で定める個人市民税の減免規定の内容と、2006年度の減免実績を報告して下さい。

大場行政運営調整局:まず、個人市民税の減免規定についてですが、市税条例およびこの規則に基づきまして、災害を受けた場合、それから貧困により生活のため公私の扶助を受ける場合、それから失職等により所得が減少した場合などの事情があって、納税いただくことが困難であると認められる場合に行われるものでございます。
 実績、18年度ですが、災害を受けた場合が75人で約444万円、公私の扶助を受ける場合が318人で約517万円、失職等により所得が減少した場合が228人で約463万円ということで、合計662人、約1,677万円を減免をしております。

中島議員:私は、川崎市における個人市民税の減免実績を調査してビックリしたんです。理由がはっきりしている、いま言われたような「災害」とかあるいは「生活保護」これは別として、非常に対象者が多い「失職等による所得減少によるもの」については、本市の減免実績、さきほど報告ありましたが228人ですよね。これに比べて川崎市では1,738件なんですね。3倍の人口を有する本市に引き直せば、本市では5,000件くらい減免実績がなければいかん。いわゆる20分の1です。この違いをどう局長は分析されていますか。

大場行政運営調整局:本市と川崎市とでは減免制度の運用において一定の差異があるものと考えております。いずれにいたしましても、本市の運用にあたっては税負担の公平という観点から、収入だけで一律に判断することなく、各納税者の生活状況等を踏まえて、適正に対応しているところでございます。

中島議員:言葉でこういうふうにごまかしちゃいかんというふうに思うんですね。本市では、せっかく条例で減免規程があっても適用されない。これでは行政の怠慢と指摘されても仕方がないというふうに、私思うんですね。税金を徴収することには熱心だが、減免には不熱心。こういう市民の声がたくさん聞こえてきますが、この指摘についてどうかんがえていますか。

大場行政運営調整局:川崎市と件数について確かに多寡がありますけれども、これだけを持って、いまお話のように、減免規定が充分機能してない、あるいは怠慢であるということは当たらないというふうに考えております。繰り返しになりますけれども、税負担の公平という観点から、本市の減免の運用に当たっては法や条例の趣旨に従って、たとえば一定の所得金額を定めて一律に減免を行うということではなくて、預金あるいは不動産の保有状況など個々の事情を斟酌をして、適切な運用を図っていくべきと考えております。

中島議員:減免規定に対する周知徹底という問題があるんですね。条例を誠実に実行する、これ行政の責務であることはいうまでもありません。いわゆる行政としては、この条例で減免を謳っているならば、1人も非該当者を出さない、この努力が必要なんですね。これは納税通知書です、今年の(現物を提示)。ちいさい字で災害と生活保護だけ、こんなちいさい字です。私、当局に作ってもらったんです。条例の18条3項全部書いてあるんです。災害、生活保護、失職等。これを市民の皆さんに全部、配る。あるいは区役所の窓口で展示する、大きく展示する、掲示する。こういう努力がされなきゃならない。こういうことについては、今後このくらいのことはやろうと思えばできるんじゃないですか。いかがですか。

大場行政運営調整局:減免制度については、これまでも広報横浜の税務特別号の配布であるとか、あるいは税の知識、暮らしのガイドなどへの掲載、それから区役所窓口でもご案内などを通じて周知は進めてきたところでございます。
 速やかにというお話もいまいただきましたが、今月、市税のホームページにこの掲載を加えました。また来月11月からはすべての項目を掲載した案内チラシを区役所の窓口に設置をする予定でございます。また、ご指摘ありましたけれども、来年の6月に発送いたします納税通知書、この説明欄にも失職等により所得が少ない場合という欄を追加をするなど、引き続き周知拡大に努めてまいります。

中島議員:ぜひ、全部の条例で謳っている減免規定ね、市民に詳しく説明する、このことはやはり行政の責任だというふうに思います。
 また、少額所得者への減免制度を川崎市では独自に制定されています。私は、万たび本市でも、少額所得者の減免制度の制定を求めてきました。しかし、「川崎型」については頑として応じようとしません。それで、私、「横浜型」として提案したいと思うんですがね。民事再生法という法律ご存知だと思うんですが、政令で、18歳単身者の最低生活費は、この神奈川県では月額22万9,063円、税・社会保険料込みです、と制定されているんです、法律で。この最低生活費を参考にして、何らかの本市の減免制度、するべきじゃないですか。(副市長にお願いします)

阿部副市長:民事再生法に規定ございます最低生活費というのも、生活困窮を判断するひとつの基準ではあろうというふうには思います。しかしながら、地方税法におきましては扶助を受けることができないような収入や預金あるいは不動産がある場合などは、減免の対象外ということになっております。私どもといたしましては、一定の金額をもって一律に減免ということではなくで、その方の財産の状況等に応じて対応していくことが適当というふうに考えております。

中島議員:最低生活費について税金をかけないというのが原則ですからね。ぜひ、本市での独自な低所得者への減免を求めておきたいと思います。

滞納者に、罰則第一主義ではなく、丁寧な収納相談を

次に、市民税の滞納対策についてです。本市では、重点事項として「市民税の徴収強化」、「繰越滞納の整理」、とりわけこのなかで「滞納処分の強化」を打ち出していますが、2004年度から2006年度における差し押さえ件数の状況はどうなっているか、お答えください。

大場行政運営調整局:16年度が1万3012件、17年度が1万4122件、18年度が1万6872件であります。

中島議員:先般、旭区で、「税金滞納は別人でした」などと、間違いの事故がマスコミでも報じられるほど、この横浜における滞納処分の過酷さがこのなかにうかがえると思うんですね。そこで、財産差し押さえ件数の内訳についても報告して下さい。

大場行政運営調整局:差し押さえの内訳でございますが、不動産が2838件、預貯金などの債権が1万4011件、その他の動産これが23件でございます。

中島議員:本局の特別滞納整理班、係長2名と職員3名と、合わせて各局収納担当231名の体制で、職員1人あたりの差し押さえ件数50件、債権取立て件数30件、取立て充当額400万円以上という滞納処分のノルマを課しているようですが、担当職員1人あたりの実績はどうなっていますか。

大場行政運営調整局:収納の滞納を担当しております職員1人当たりの平均でございますが、差し押さえ件数についてはこれは目標の50件に対して73件、債権の差し押さえ取立てについては目標の30件に対して62件、取立てによる充当金額については目標が400万円でございますが、これに対して520万円となってございます。

中島議員:体制を非常に強化をしながら、強化の内容がうかがわれると思うんですが、特に債権差し押さえに重点を置いているようですが。先日、私のところに「売掛金を差し押さえられて廃業せざるをえなくなった」と涙ながらに訴えにこられました方がおられます。生命保険や給与、売掛金などのいわゆる債権、この差し押さえは憲法25条・生存権をおびやかす、こういう問題につながるもんなんですね。一部の悪質なものは除いて、生活実態をよく調査して、法や条例に基づいた「滞納処分の執行停止」、これあるわけですが、適用して、差し押さえ処分を極力避ける、この姿勢が必要だと思いますが、どうですか。

大場行政運営調整局:滞納整理を進めるに当たりましては、個別の案件毎に資産調査などを行った上で滞納処分を行うものと、それから財産がない場合、あるいは生活を著しく窮迫させる恐れがある場合、これらについては滞納処分の執行停止と、行うものを適切に判断をしているところであります。なお、差し押さえを行う場合でも、差し押さえが可能な財産が複数ある場合には、第3者の権利あるいは滞納者の生活維持、または事業の継続に与える支障などを考慮して、差し押さえる財産を決定をしております。

中島議員:本市の罰則の強化による滞納対策は、他都市と比べても異常な国民健康保険料の滞納ペナルティーとしてですね、この10月1日では3万5000世帯におよんで、保険証が取り上げられて、資格証明書の発行と。こういう姿勢と合い通じるものであるというふうに、私、指摘せざるを得ないんですね。そこで、罰則第一主義をやめて、税金に対する市民の理解、丁寧な収納相談と対応に重点をおく。それがやはり滞納対策の基本ではないかと思うんですが、副市長の見解、求めます。

阿部副市長:税金、税制、あるいは納税について、市民のご理解をいただくということは、きわめて重要なことというふうに考えております。加えまして、市税収入はなんとしても市政運営を支える基調な財源ということでもありますので、市民間の税負担の公平を図るという観点から、適切にその策を図るということもまた重要だというふうに思っております。先ほど来局長からも答弁申し上げておりますが、滞納整理にあたりましても、たとえば生活を著しく窮迫させる恐れがあるような場合などにおきましては、滞納処分の執行を停止すべきという判断のもとに停止する一方で、資産がありながら納税いただかけいような場合には適切な滞納処分を行っていくということが必要というふうに思っています。

市民の要望に、職員は誠実かつ公正に対応を

中島議員:時間の関係で、次はコンプライアンス推進対策業務に関連してうかがいます。
 地方公務員法に基づく本市職員の服務の宣誓に関する条例があると思います。大場局長も入庁入職時に、宣誓書に署名されたと思いますが、その宣誓内容をご紹介してください。

大場行政運営調整局:服務の宣誓は、地方公務員法の31条ならびに横浜市の職員の服務の宣誓に関する条例に基づいて、行っております。ちょっと文面、ご紹介をさせていただきますが、「私は、ここに、主権が国民に存することを認める日本国憲法を尊重し、且つ、これを擁護することを固く誓います。私は、地方自治の本旨を横浜市において実現していくためには、公務を民主的且つ能率的に運営しなければならないという責務を深く自覚するとともに、国民全体の奉仕者であると同時に、とりわけ、横浜市民の奉仕者であることを認識し、法令、条例、規則及び規程を遵守し、誠実且つ公正に、良心に従つて職務を執行することを固く誓います。以上」という内容です。

中島議員:大変内容の濃い宣誓内容だったように思います。2002年には市長秘書室長の公職選挙法違反事件、03年には当時の市会議員・佐藤行信氏が絡んだ競売入札妨害事件、05・06年にかけての町田市長選挙にかかわって多数の本市幹部職員による政治資金規正法違反事件など、相次ぎました。そこで、昨年12月にコンプライアンス体制を整備したということですが、その目的と取り組み内容についてもうかがいます。

斉藤コンプライアンス推進室長:昨年12月に市政運営の柱のひとつとしてコンプライアンスを掲げ、コンプライアンス委員会を中心とした内部体制を整え、さらにはそれまで運用されておりました制度を一元化する規則を制定した上で、本市一丸となってコンプライアンスの推進を実現していくということでやっているものでございます。
 コンプライアンス委員会についてご紹介いたしますと、副市長、これは総括コンプライアンス責任者ということで位置づけられておりますけれども、を委員長として9名の局長級職員により構成しております。これはコンプライアンスに係る制度の点検・評価・見直しを行うとともに、事件・事故などの再発防止や類似した事件・事故の発生を未然に防ぐとした目的の具体策の検討などを行って、総合的継続的に本市におけるコンプライアンスの推進に取り組むことを目的としております。
 現在、主な取り組みといたしましては、コンプライアンスに関する条例の検討、職員行動基準の策定、さらには事件・事故などの再発防止策の検討などを行っているところでございます。

中島議員:私は、もう見たんですが、取り組みの1つとして「経営責任職職員の行動基準」が策定されていますが、その内容についても説明してください。

斉藤コンプライアンス推進室長:まず一つ目に公正に判断し誠実に行動すること、二つ目に市民との信頼関係をつくること、三つ目に働きやすい職場環境をつくること、四つ目に自らの資質を高めること、五つ目に政治的中立への確保を徹底すること、以上5項目でございます。

中島議員:ここで、私、「政治的中立性の確保」について、この問題ちょっと取り上げたいんですが、「政治資金パーティー」や特定の議員等に対する就任祝賀会や交歓会などへの参加および寄附の禁止は、各種の「法」に基づいた当然のことなんですね。私、問題はここにある「講演会や学習会などへの依頼について自粛する」、この項目なんです。本当にあいまいなんですね。言うまでもなく、議員には行政へのチェック機能があって、行政内容の説明を求める等の調査権限、あるいは住民要望を行政に反映させる任務、これがあるんですね。このところのあいまいさを残しちゃいかんと思うんで、確認しておきますが、議員の権限等を制約することがないというふうに、確認できますか。明確に答弁願います。

斉藤コンプライアンス推進室長:いまの政治的中立性の確保につきましては、昨年の違反事件、政治資金規正法違反事件に関する市会の特別委員会におきましても、本市経営責任職の政治との関わり方、距離感があいまいであることなど、ご意見をいただいたところでございます。事件の反省から、地方公務員法、政治資金規正法等の法の精神を踏まえ、経営責任職が自らの行動の指針としたものでございます。市民、社会の目線に立って、横浜市の経営責任職として、政治的中立性について不信をもたれないように行動していくためのものでありまして、議員活動を阻害しよう、そういったものに関与しようとするものではございません。 

中島議員:次に、これもコンプライアンス取組みとして策定された「横浜市職員の公正な職務の執行及び適正な行政運営の確保に関する規則」ですが、その目的と内容についても説明してください。

斉藤コンプライアンス推進室長:横浜市の目指すコンプライアンスの推進の取り組みに当たりまして必要な制度・体制をまとめて記入したものでございます。全庁的には総括コンプライアンス責任者、コンプライアンス委員会など、区や局にはコンプライアンス責任者、コンプライアンス推進委員会などを設置することを定めて、それぞれの役割も記入してございます。また、これらの体制の中で、取り組みの総合的一体的な推進を図るため、要望記録公表制度や内部通報、内部観察など、関連する制度の取り扱いや手続きを定めております。

中島議員:この「規則」の中で、「要望等に関する対応」についての不適格さ、あいまいさがあります。このもととなっているのが、「横浜市要望記録・公表制度」です。この「制度」、パンフレットにまとまっていますが、このパンフレット見ると記録・報告・公表などをことさら強調して、なにか行政に対して要望することが悪いこと大変なこと、自由な要望は控えなくちゃならない、こういう市民に誤解を与える内容なんですね。こんな規則や制度でいいのかということが問われると思うんですが、どうですか。

斉藤コンプライアンス推進室長:要望記録公表制度は、面談または電話などによりまして受けた市政に対する要望などを記録をいたしまして、対応状況を含めて 公表しようとするものでございます。その目的は、要望などに対して組織としてきちっと対応していくと、この上で市政の透明性信頼性をより一層高めていこうとするものでございます。いま先生ご指摘のあるような面がないように、市民のみなさんに誤解されないように、今年の4月にも一部制度の内容を変えましたけれども、今後とも周知に努めるとともに、制度をよりよくしていきたいと考えております。

中島議員:策定の目的は、汚職や特定な利害関係を生み出す「不正な要望等」や「そのための行為」を防止するためだというふうに思うんです。要望等があったときの行政や職員の責務、第一に誠実かつ公正に対応する、こういうふうにしなくちゃなりませんし、目的もはっきりする。この改善を求めたいと思うんですが、もう一度答弁願います。

斉藤コンプライアンス推進室長:この制度は平成16年4月に発足しております。先ほど申し上げましたように、一部手を加え、市民のみなさまにも理解されやすいようなものに努めてまいりましたけれども、今後とも努力してまいりたいと思います。

中島議員:時間、まいりましたので、終わります。

(時間の関係上、水道局の質疑は行いませんでした。)


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