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■現年度議案討論(みわ智恵美)

みわ議員:日本共産党を代表し、市第128号議案、市第130号議案、市第134号議案、市第135号議案、市第138号議案、市第148号議案、市第153号議案については反対し、市第144号議案「令和2年度横浜市一般会計補正予算(第6号)」については賛成の立場から、また、請願第65号については、委員会での不採択に反対の立場から討論を行います。

一斉・定期的なPCR検査を広げること求め補正予算に賛成
 初めに、市第144号議案「令和2年度横浜市一般会計補正予算(第6号)」についてです。私たちは、コロナ感染への対策を進める予算として賛成です。さらに求めることとしては、コロナ感染症拡大に歯止めをかけていく取り組みを、横浜市も地道にそして着実にすすめること、コロナ禍で傷ついた市民のくらしと横浜市経済を支援することに全力を挙げることがあります。
高齢者施設でのクラスターが相次いでいることから、施設等における検査による感染の早期発見に取り組むべきとの有識者からの指摘もあり、厚生労働省は集中的に職員へのPCR等検査を行うよう、事務連絡を発出しました。
私たち日本共産党は、コロナ感染症の問題が起こった当初から、無症状感染者を一刻も早く発見し保護するためのPCR検査の拡大を繰り返し求めてきましたが、ようやく国や県が追いついたという感です。しかしその中で横浜市は1年たってもいまだ認識が変わっていません。私たちは改めて、本市においても高齢者・障害者入所施設だけではなく、通所も対象に加え、さらに医療関係者、教職員、保育士などに実施するべきと提案しましたが、市長は、「費用がかかる」と言われました。感染不安のなか任務にあたるケア労働の方々に向けて言える言葉でしょうか。
政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の中心メンバーが、宣言解除後、感染拡大へ「リバウンド」しないようにするため最も重要なことは、「無症状感染者」に焦点を当てた検査で、その発見・保護につなげることだとしています。また、ノーベル生理学・医学賞受賞4氏が、新型コロナウイルス感染拡大を憂慮して声明を発表されました。そのお一人、東京工業大学栄誉教授の大隅良典さんが、「コロナの最大の特徴は無症状の感染者がどんどん感染を広げてしまうことです。
ワクチンが国民に行き渡るのはまだ先ですから、検査によって無症状の感染者を早く見つけ出さなければ、感染の拡大を止められません」「リスクの高い医療機関や高齢者施設では毎週検査するなどの取組みがとても重大です」と述べられています。感染力の高い変異株の出現も警戒が必要です。感染者数が減ってきているときだからこそ、検査拡大の取り組みが必要との認識を持ち、一斉・定期的検査に舵をきるべきです。

事業化されていない新劇場明記の改定国際戦略は認められない
次に、市第128号議案「横浜市国際戦略の改定」についてです。今回の改定では、基本方針のひとつに「地球規模の課題解決と世界の平和と繁栄に向けた国際社会の一層の協力推進」を立てました。しかし、「国際平和への貢献」は重点的な取り組みの7つの柱の最後であり、本気度が問われます。現在国際平和の大きな課題は、核兵器禁止条約の発効を受けて、まさに唯一の戦争被爆国である日本政府がこの条約に署名・批准し、核兵器廃絶に向けて国際社会をリードすることとなっています。市長も政府に期待すると述べられましたが、改定国際戦略には、核兵器禁止条約への言及がありません。横浜市は、国に条約への署名・批准を求めるべきです。
さらに、まだ検討中でしかない「新たな劇場整備の事業化検討・推進」と書き込んでおり、「新たな劇場」について、海外の劇場とのネットワーク化を推進するとまで明記していることは重大です。このままで、改定国際戦略を議会が可決することは、事業決定していない「新たな劇場整備」についての議論を封じ込めるやり方ではないでしょうか。あってはならないことです。

第8期介護保険事業計画は、要の介護職の担い手確保策が貧弱
次に、市第130号議案「第8期横浜市高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画・認知症施策推進計画の策定」についてです。介護保険制度は、施行後20年間、サービスの削減や負担増をはかる見直しが繰り返されました。この上総合事業の対象に要介護者が含まれることとなり、「本人の同意」を強引に取り付け要介護者へのサービス後退が行われることがあってはなりません。求められているのは、必要な介護サービスを必要なときにお金の心配をすることなく利用できることです。サービス利用を危うくしている人材不足の根本的な課題は、他のあらゆる職種の平均に比べて月10万円も賃金が低く抑えられ、専門職にふさわしい処遇となっていないことです。市独自に処遇改善をするなど、人材の確保に責任を持つということを計画の中で示すべきです。また、一人暮らしの高齢者が増える中で、要援護高齢者の生活を支える、養護老人ホームや軽費老人ホームの定員を増やす計画とし、自立困難や生活困窮であっても人として尊厳のある暮らしが送れるようにするべきです。

大企業誘致より市内中小企業支援を
市第134号議案「横浜市企業立地等促進特定地域等における支援措置に関する条例の一部改正」については、条例の目的である「市内雇用の増大及び市内企業の事業機会の拡大を図ることにより、横浜市経済の活性化に寄与する」ことが現実のものとなっているかどうかが問われています。立地認定企業の発注額が1兆数千億円という中で、横浜市内事業者への発注はわずか8.5%というのが現実です。市は企業を誘致すれば、中小を含めた事業所も恩恵を明らかに受けているとしてきましたが実際はそうなっていません。コロナ禍で苦しむ中小小規模事業者への支援こそが横浜市が行うべき経済対策です。

手上げする市内法人もいなくなった保育園民間移管はただちにやめよ
市第135号議案「横浜市保育所条例の一部改正」は、横浜市立保育園を4園廃止し、民間へと移管させていくものです。127園あった横浜市立保育所を毎年3園4園と廃止し54園までにしようとしています。民間への移管は、現在横浜市の監督が及ばない、市外県外の事業者が手を挙げています。横浜市内の社会福祉法人への移管は限界となっています。先日も,移管園ではありませんが、県外の社会福祉法人が市内に開所したある認可園では、法人の運営を巡って多数の保育士の退職があり、こどもの転園希望が出る中で、区や局による法人への指導が及ばず、2021年度の新規募集は停止状態です。保育者の育成や横浜市の保育事業の発展に寄与する役割がある公立保育所の廃止は認められません。

安全面に課題が残る自動運転に拙速な対応を行うべきではない
次は、市第138号議案は国の道路法の一部改正が行われたもとで、自転車の通行に係る整備や自動運転車の走行を補助する磁気マーカーなどを道路に埋設することや、歩行者の利便性を増進する道路空間を構築することなどを盛り込んだ「横浜市道路の構造の技術的基準に関する条例の一部改正」についてです。
私たちは、自転車が安全に通行するために行われる、自転車通行帯の新設や、自転車道の設置要件の追加などについては積極的に取り組むべき課題と考えています。
自動運転は、事故防止のための補助的な機能など、期待される側面もあると思いますが、自動運転そのものについて、国際的にも結論が出ていない安全面での課題が残されているのではないでしょうか。拙速な対応を行うべきではありません。
「歩行者利便増進道路の新設」については、車道部分を減らして歩道を拡幅し、歩行者の利便に資する施設を設置して賑わい創出を図っていくものとしています。この道路占用にあたっては、国土交通省自身が、住民との協議調整をする仕組み、制度が必要としていたにもかかわらず、法律にも市の条例改正案にも、その方策はありません。道路占用事業者については地域外からの公募も可能になっています。最長20年もの期間を認めることになっていますが、これは、住民の意向を無視した、多額の初期投資が回収できるような大規模再開発などを担うまちづくり団体や開発事業者のための事業となる懸念をはらんだものです。
車道を削って歩道を拡幅という点では、車優先社会の在り方を見直し、商店街や地元住民、歩行者が安全に楽しむことができるような新たなまちづくりにつながり市として取り組んでいくのであれば、大いに進めてほしいと考えるところです。このままでの条例改正で認められません。

不要不急の国直轄大事業に市債増額は認められない
 市第148号議案「令和2年度横浜市港湾整備事業費会計補正予算(第1号)」と、市第153号議案「令和2年度横浜市市街地開発事業費会計補正予算(第1号)」については、新型コロナ感染症への追加として行われた国の第3次補正のおける「くらし・経済対策」による補正です。148号は、国直轄事業である新本牧ふ頭整備費負担金について市債を34億24百万円も新たに発行するものであり、153号は東高島北地区土地区画整理事業への国の補助金増額が行われたことにより横浜市が市債を増額するというものです。民間のマンション建設のための土地区画整理事業への増額です。両事業ともに、本来打つべきコロナ禍における経済対策とは到底言えません。

横浜市の震災対策の改善を求める請願は採択を
最後に請願第65号「国の防災基本計画に反する市防災計画の改善等について」です。  横浜市と神奈川県の地震防災戦略の減災目標「死者数の半減」は、想定地震の震度予測に基づく想定被害に対し策定されています。
しかし、横浜市の想定被害は、「横浜市独自の予測による元禄型関東地震」に基づくものであり、神奈川県の想定被害に比べ、その想定地震の震度予測が1~2段階弱いので、想定する死者数には大きな開きが生じています。横浜市の防災計画にある「あらゆる可能性を考慮した最大クラスの地震」への対策となっていないことから、私たちはこれまでにも、より被害の大きかった「大正型関東地震」も想定することが必要と求めてきました。
現在、横浜市が想定する市内における津波以外の原因による死者数約3,260 人は、神奈川県が出している市内の死者数9,510人の34%弱となっています。このような大きな格差が生じていることは、市民の生命財産を守る取り組みについても較差が生じます。
想定地震に基づく想定被害の規模に合わせて行われる震災対策である「救命・消火能力の拡充」「避難施設と備品の確保」「医療機関の機能・設備強化と医薬品等の備蓄及び供給体制の整備」などに不足が生じることとなります。市の防災計画は、「必要に応じ、毎年修正する」となっており、請願者が求めている横浜市の震災対策の改善は急務ではないでしょうか。よって、請願第65号は採択されるべきです。
以上で討論を終わります。