議会での質問・討論(詳細)
2021年5月21日

■議員提案 議案関連質問 宇佐美さやか 2021.5.21

宇佐美議員:日本共産党を代表し、議第1号議案 横浜市脱炭素社会の形成の推進に関する条例の制定について伺います。

日本共産党横浜市会議員団として、2018年に『再生可能エネルギーの導入促進する横浜を目指し条例提案をします』ということで、パブリックコメントを実施し、91名の方々からご意見が寄せられました。2019年の第1回定例会で条例案として提出しましたが、賛成少数で否決されています。この時、私たちが目指した政策に近づけたいと考えることから、その立場で質問させていただきます。
まず、自家消費するエネルギーの小規模分散型発電についてです。今、神奈川県と本市が『みんなのおうちに太陽光』という共同購入キャンペーンを実施し蓄電池の普及を進めようとしています。本市の置かれた諸条件から、住宅をはじめとする膨大な都市施設を利用した太陽光発電を柱とし、蓄電池を併設し、夜間と災害時における停電への対応を兼ね備えた小規模分散型発電の活用を図ることが求められています。このキャンペーンだけで、市による財政的支援策もないため、劇的に増やせるとは、残念ながら考えられません。小規模分散型発電を増やすことは喫緊の課題と考えますが、条例案では、どう位置付けているのか伺います。

伏見議員:小規模分散型電源の確保の考えについてご質問いただきました。
大都市である横浜においては、大規模な再生可能エネルギー設備の設置は、用地確保が課題ともなり、難しいと考えております。そのため、平常時は温室効果ガス排出削減に繋がり、発災時には防災用電源となる小規模分散型電源の確保は有効だと考えます。先のことも見通しながら当局に対して普及促進を働きかけてまいります。

宇佐美議員:次に、条例案の定義 第2条の(1)脱炭素社会にある「人の移動に伴って発生する温室効果ガスの排出量と吸収作用の保全及び強化」とあります。吸収作用の保全とは、二酸化炭素を吸収するのは、植物の力をかりなければできないことです。しかし、本市では、人口の増加により市街化が進み、緑被率は1982年に40.3%だったものが2020年には、27.8%と激減しています。栄区の上郷開発など、大規模な宅地造成により貴重な緑が失われることは、この条例案と整合性が取れないと考えますが、大規模宅地開発によって、貴重な緑が喪失していることをどう考えておられるのか見解を伺います。

伏見議員:大規模宅地開発で、緑が喪失していることへの見解ですが、本市では、環境創造局を中心に、横浜みどりアップ計画に基づき、土地所有者の皆様のご理解とご協力をいただきながら緑地保全制度による指定の推進などにより、緑の保全を着実に進めてきています。引き続き、市内の貴重な樹林地などの緑をしっかり保存していくことが重要だと考えています。

宇佐美議員:石炭火力発電について伺います。本市には、磯子区に石炭火力発電所が在ります。日本は、国際社会から『石炭中毒』と言われるほど電力を石炭に頼り、二酸化炭素を大量に排出し続けています。本市が本気で脱炭素を目指すならば、石炭火力の早期廃止は不可欠です。脱石炭火力発電の記載がない理由を伺います。

伏見議員:脱石炭火力発電の記載がない理由についてですが、電源構成をはじめとした国のエネルギー政策については、経済性環境面など様々な観点を考慮し、国が判断するものと考えているため、記載はしておりません。

宇佐美議員:そして、もう一つ重要なのは、脱原発についてです。
2020年12月25日、経済産業省を中心に政府の「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」が公表されました。この中には、原子力について、「確立した脱炭素技術である。可能な限り依存度を低減しつつも、安全性向上を図り、引き続き最大限活用していく。安全最優先での再稼働を進めるとともに、安全性に優れた次世代炉を開発した上で最大限活用する」と、明記されています。
今年は、3.11東日本大震災から10年を迎えましたが、未だに原発事故により8万人の方々が故郷に戻ることができずにいます。福島第一原発では、解け落ちた核燃料を取り出す見通しが立たず、汚染水も日々増え続け、政府は、海洋放出を画策しています。一度事故が起きれば、取り返しのつかないことになるのは、この10年間で私たち日本人が目の当たりにしてきた事実です。今こそ、脱原発に舵をきることを多くの市民が求めています。この条例案に脱原発の記載が何故ないのか伺います。

伏見議員:脱原発の記載がない理由についてですが、本条例は、再エネと省エネに取り組むことで、2050年、脱炭素社会の実現を目指すものであり、本条例における再生可能エネルギーには、原発を含めていないため記載しておりません。

宇佐美議員:最後に、エネルギーの地産地消(ちさんちしょう)を実現するために378万市民の力を引き出すことが必要です。先に述べた蓄電池の取り組みとともに、電力を地域でつくり消費する仕組みづくりを本格的に目指すためには、市民参加型の地域電力事業体を条例に位置付けるべきと考えますが、見解を伺います。

伏見議員:市民参加型の地域電力事業体の位置ついての見解ですが、本条例は、脱炭素社会の形成の推進に関する施策の基本となる事項を定めるもので、市民参加型の地域電力については、第6条に脱炭素社会の形成の推進に関する産業育成、地域特定及び技術開発の動向に応じた再エネ導入促進、第8条に再エネ等の地産地消などの施策の方向性を定めております。多くの議員の皆様のご賛同いただきますようよろしくお願い申し上げます。

宇佐美議員:日本共産党綱領には、エネルギー政策について、次のように掲げています。原子力発電所は廃止し、核燃料サイクルから撤退し、「原発ゼロの日本」をつくる。気候変動から人類の未来を守るため早期に「温室効果ガス排出量実質ゼロ」を実現する。環境とエネルギー自給率の引き上げを重視し、再生可能エネルギーへの抜本的転換をはかる。この取り組みをここ横浜からも進めていくために、全力を尽くすと申し上げ、質問を終わります。

条例案はこちらです。


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